科学的教育グループ SEG

授業レポート

2016.05.21

高1英語

五感をフルに使って英語を楽しむ!
英語を英語のまま理解し、 積極的なアウトプットを促すネイティブパートの授業 (2)≪高1編≫

これから始まるのは、高校1年生の多読Fクラスの授業。「Fクラスは英語上級者が対象」と聞いた私は、少しどきどきしながら80分間の「ネイティブパート」を取材した。

リラックスムードで授業開始。互いの近況を英語で報告

私がSEGを訪れたのは、10月最後の火曜日。教室に入ると、17時15分からの日本人講師による多読の指導(80分)を受け終えた高1生たちが、20分間の休憩時間をとっていた。ハロウィーンが近いこともあって、ジャック・オ・ランタン型のクッキーなどのお菓子を友だちと交換したり、サンドイッチやおにぎりを食べたりと、みんなリラックスした様子だ。

18時50分ごろ、教室にMark Koopman先生が入ってきた。カナダ出身のMark先生は、上級者を対象とするFクラスで「ネイティブパート」を担当している。「高1多読」の後半80分間の授業では、オール・イングリッシュで会話・文法・英作文の指導が行われる。

最初に、Mark先生は出席をとりながら、一人ひとりに近況を訊ねていった。

  • リラックスムードで授業開始。互いの近況を英語で報告
  • リラックスムードで授業開始。互いの近況を英語で報告

出席をとりながら、一人ひとりと言葉を交わすMark先生

………………
“How are you? (調子はどう?)”
―“I’m happy! Because I’m looking forward to the concerts on Halloween.
(ハロウィーンのコンサートが楽しみなのでハッピーです!)”.
“Concert by who? (誰のコンサート?)”
―“AKB48 and HKT48. (AKB48とHKT48です)”
“I see, so there will be 96 people on the stage? (なるほど。じゃあ、96人が舞台に上がるの?)”
―“No!! (違います!)”
………………
“Did you have an exciting week? (楽しい一週間だった?)”
―“Yes. I went to the fashion show. (ファッションショーに行きました)”
“Great! What kind of fashion? (どんなファッション?)”
―“It was young generation’s fashion.(若い世代のファッションでした)”
………………

ハワイ土産のTシャツを着た男子生徒には、
“Do you like Hawaii? How many T-shirts did you buy in Hawaii?
(きみはハワイが好きなの? ハワイでどれくらいTシャツを買った?)”
―“About 25.(25枚くらいですかね)”
“Do the T-shirts all say ‘Hawaii’? Hawaii T-Shirts are very popular, young generation’s fashion!
(全部のTシャツにHawaiiって書いてあるの?ハワイTシャツはとても人気があるよね。若い世代のファッションだ!)”
………………

Mark先生のネイティブパートは、このような楽しいやりとりからスタートした。

言葉当てゲームでアウトプット力をトレーニング

Mark先生は
“I’m going to give you guys a number, please remember your number. (みんなに番号をふるから、自分の番号を覚えていてね)” と言い、一人ひとりに1番から4番までの番号を伝えた。生徒たちは、番号ごとに指示された場所へと移動。小さなグループができたところで、これから始まるゲームのルールを英語で確認する。

…………
①グループの中で一人、鬼を決める。鬼はホワイトボードを見られない
②鬼はホワイトボードに背を向け、他のメンバーと向かい合って座る
③メンバーは先生がホワイトボードに書いた単語やフレーズを見て、英語で鬼にヒントを伝える
④答えがわかった鬼は手を挙げ、回答する
⑤正解したグループはサイコロを振り、出た目の数だけポイントを獲得できる
⑥グループ内で鬼を交代する
…………

Mark先生は、
“So, we will start with a very very easy word, for example… here we go!
(では、すごく簡単な単語から始めましょう。たとえば…)”
と言いながら、ある単語を書く。それを見たグループのメンバーは、
“A kind of creature, swimming in the sea or the river. (生き物の一種で、海や川を泳いでいる)”
“You can eat it raw. (生で食べられる)”
というように、立て続けに英語でヒントを出していく。最初の問題の答えは「Fish」だった。Mark先生はヒントを出す側の生徒たちに、
“Opposite meaning, or similar words are OK.(対義語か、同義語を使ってもいいよ)”
と付け加え、ゲームを進行する。序盤で出てきたお題は、
park、hero、because、unkindなどの1ワードだったが、次第に
“He is kind to everyone.(彼はみんなに親切だ)”
“Mark is my hero, because he is kind to everyone. (マークは私のヒーローだ。なぜなら彼はみんなに親切だから)”
というような長い文章に変わっていった。それでも生徒たちは辞書を使わず、別の言葉に置き換えながら英語のまま表現し、答えを導き出そうと奮闘していた。

1枚の写真から自由な発想でストーリーをふくらませる

ゲームが終わり、全員が席に戻ったところで、Mark先生は
“What about my hero? Who is my hero?
(ぼくのヒーローは誰でしょう?)”
と問いかけ、ホワイトボードに1枚の写真を貼った。
”A cat? (ネコ?)”という声が上がると、
“My hero is my cat! Yeah, really really it’s my cat. I took the picture.
(ぼくのヒーローは、ネコ。これは本当にぼくが飼っているネコなんだ。写真を撮ったよ)”
と説明し、写真をもとに次々と質問を投げかける。生徒たちは2~3人の“idea group(アイデアグループ)”の中で相談し、問いに答える形でストーリーを作っていく。

  • 1枚の写真から自由な発想でストーリーをふくらませる

“Is my cat happy or angry? (ぼくのネコは幸せそう?それとも怒っている?)”
―“He’s angry. (怒っています)”
“A little angry or very angry? (少しだけ?それともすごく怒っている?)”
―“He’s very angry.(とても怒っています)”
“Yes, sometimes. What’s his name? (そうなんだよ。ときどきね。彼の名前は?)”
―“Mike…? (マイク?)”
“OK, Mike the cat. How old is Mike?(いいね、ネコのマイク。マイクは何歳でしょう?)”
―“6?” “1?” “4!”
“Of course, he’s 4 years old. Very young. Does he go to school?(そう!彼は4歳。とても若いんだ。彼は学校に通っているかな?)”
―“No, he has a job. He catches mice, in Mark’s house.
(いいえ、彼には仕事があります。マーク先生の家でネズミを捕まえます)”
“I see, how much do I pay him? (なるほど。お給料はいくら払うの?)”
―“250yen of cat food per day.(250円分のキャットフードを毎日)”
“And? That’s it? Cat food only? That’s why he’s angry! So, what is Mike good at?
(それと?それでおわり?キャットフードだけ?だから彼は怒っているんだね! それでマイクは何が得意なの?)”
―“Sleeping(眠ること)” , “Escaping(脱出すること)” , “Acting hungry(おなかがすいたふりをすること)”

こうして生徒たちは「ネコのマイク」のストーリーをどんどんふくらませていった。

「自分のヒーロー」についてアイデアを出し、共有する

Mike is very good at sleeping, so I want to become better at sleeping.
(マイクは眠るのがとても得意なので、ぼくも上手に眠れるようになりたい)

………………………………………………………

Mark先生はホワイトボードに上記の例文を書いた後、全員に
“Question is, who is your hero? That is the topic of today’s writing.
(あなたのヒーローは誰ですか? これが今日のライティングのトピックです)”
と説明し、「Cause and Effect(原因と結果)」というタイトルのプリントを配った。このプリントはアイデアを出すところから、パラグラフの組み立て、エッセイを完成させるまでの過程がエクササイズになっていて、直接書き込むことができる。
最初のエクササイズは、以下のとおり。

………………………………………………………

【Exercise 1】
Think of some role models from your own life and the reason that you admire them. They could be family members, friends, celebrities or even teachers!
(あなたの人生で模範となる人と、その人たちのことをすごいと思う理由について考えましょう。あなたの家族や友だち、有名人、先生でもいいですよ!)

………………………………………………………

生徒たちは、身の回りの人たちや歴史上の人物などのなかから「模範となる人物」を3人リストアップし、あこがれる理由について自由に書き出していく。Mark先生は、
“So, another word for hero is role model. Don’t think too much, just your first idea.
(heroを別の言葉にするとrole modelだよね。あまり考えすぎずに、最初に浮かんだアイデアでいいよ)”
と声をかけながら教室内をまわり、全員が書き終えたタイミングで次に行うペアワークの指示を出した。
“Let’s work together, please talk to your partner in English, who do you admire and why.
(あなたがあこがれている人とその理由について、パートナーと英語で話しましょう)”

生徒たちは2人1組になり、互いのrole modelについて話し合う。

“My role model is my friend, because she is studying very hard.
(友だちをお手本にしています。なぜなら、とても勉強家だから)”
“I admire my cousin, because he is very good at speaking English.
(いとこにあこがれています。英語をとても上手に話すから)”
というように、自分のアイデアをクラスメイトと共有していた。

  • 「自分のヒーロー」についてアイデアを出し、共有する
  • 「自分のヒーロー」についてアイデアを出し、共有する

ペアワークで、クラスメイトとアイデアを共有

“Cause and Effect”の文についてみんなで考える

“Cause and Effect”の文についてみんなで考える
書き込みされたワークシート

Mark先生は、Cause(原因)とEffect(結果)の関係について、例を挙げながら解説した。

”Which one is usually first? Cause or effect?
(「原因」と「結果」は、通常ではどちらが先にくるでしょう?)”
―“Cause is first, effect is second. (原因が最初で、結果が2番目です)”
“Yes. For example, if I am hungry, what will I do?
(そうだね。もしおなかがすいたら、ぼくはどうするでしょう?)”
―“Eat something. (何かを食べます)”
“Which one is the cause, ‘I am hungry.’ or ‘I eat something?’
(「おなかがすいている」と、「何かを食べる」では、どちらが原因でしょう?)“
―“I am hungry. (おなかが空いています)”
“Mike is very good at sleeping, so I want to be better at sleeping. Which one is the cause?

(マイクはとても眠るのが上手だから、ぼくは上手に眠れるようになりたい。どちらが原因かな?)”
“ ‘Mike is very good at sleeping’ is the cause.(「マイクはとても眠るのが上手」が原因です)”

これらの例を踏まえて、
“My mother is always kind to people. As a result, I try to be kind to people. ”
(私の母はいつも人に親切だ。結果として、私は人に親切にしようとしている)
という文章を「原因」「結果」「接続語」の三つに分類すると、
My mother is always kind to people. →原因
As a result. →接続語
I try to be kind to people. →結果
となる。

さらにMark先生は、「通常であれば“原因→結果”の順番だが、使用する接続語によっては、“結果→原因”というふうに入れ替わること」を説明した。たとえば、
“I try to be kind to people because my mother is always kind to people.”
(私は人に親切にしようとしている。なぜなら、私の母がいつも人に親切だからだ)
という文章は、「結果→原因」のパターンとなる。全員でプリントの読み合わせをしながら、「Therefore」「As a result」「So」「Consequently」などの接続語を使うと「cause→effect」の順になり、「because」「As」「since」の場合は「effect→cause」になることを理解した。

エッセイをパラグラフに分けて構造を確認

エッセイをパラグラフに分けて構造を確認

生徒たちは再び2人組になり、1文ずつ交代でエッセイのお手本を音読。内容を把握した後、「Introduction Paragraph(導入)」「Body Paragraph1(理由1)」「Body Paragraph2(理由2~展開)」「Concluding Paragraph(総括)」の各パラグラフに該当する文章をエッセイから抜き出し、ワークシートに書き入れた。

——————

Introduction Paragraph:

My mother looked after me, my brother, and my sister when we were young. She gave us good examples of how to treat people and deal with problems.
(母は私たち兄弟が幼い頃、私と弟と妹の面倒をみてくれた。母は、人との接し方や問題の対処の仕方の良いお手本を見せてくれた)

Body Paragraph1:

My mother is always kind to people who need help. She worked in a School for disabled children, and sometimes I went with her to help with sports days and other school events.
(母は、助けを必要としている人々にいつも親切にしている。彼女は体が不自由な子供のための学校で働いていた。私もときどき彼女についていき、運動会などの学校行事を手伝った)

Body Paragraph2:

Whenever my mother is busy at work or at home, she has a positive attitude and does her best.
(母は職場や家でどんなに忙しくても、前向きな姿勢で最善を尽くしてくれた)

Concluding Paragraph:

She is the person who has had the biggest effect on my life. I try to remember the example that my mother set.
(母は私の人生で最も大きな影響を与えてくれた。私は母が示した模範を忘れないようにしたい)

——————

ここでエッセイの内容をおさらいするため、Mark先生は短い質問を生徒にどんどん投げかけていく。

“Who does this writer admire? (筆者は誰にあこがれているの?)”
―”Mother. (お母さん)”
“For how many reasons? (それにはいくつの理由がある?)”
―“She’s always good to other people. (いつも他者に親切)”
―“She gave us good examples of how to treat other people. (人との接し方の模範例を示してくれた)”
―“And, she doesn’t get upset. (それに、彼女はいらいらしない)”
生徒たちは、問いに答えながらエッセイの構造を確認していた。

エッセイのテーマを選定し、情報を交換

いよいよ、この日の授業の本題に入っていく。Mark先生は、
“OK, now your next job is please choose the hero, the role model, the person you admire that you will write about. We have 3 ideas, let’s choose one. One person to write about. One minute thinking time. Who will you write about?
(次にやるべきことは、あなたが書こうとしているヒーロー、模範となる人、あこがれの人を選んで。3つのアイデアの中から、1つ選びましょう。一人の人について書きます。1分間で誰について書くか考えてね)”
と指示を出すと、教室内がまたにぎやかになった。誰にしようかと迷う生徒に、Mark先生は
“You gotta write your own! You can do it! (自分だけのものを書かなきゃ!君ならできる!)”と励ます。

全員が選び終わると、生徒は新しいパートナーとペアを組み、誰について書くことにしたのかを英語で報告し合った。そして元の席に戻り、隣同士で「さっき報告し合ったのは誰か」「その生徒のヒーローは誰なのか」「その生徒はなぜそのヒーローを選んだのか」といった情報を英語で交換した。

アイデアをパラグラフごとに分類し、プランを立てる

次のエクササイズは、「プリントの空欄部分にエッセイに関するアイデアをランダムに書き出す」というもの。文章ではなく、単語やフレーズを思い浮かんだ順番にどんどん書き入れ、最終的にそのアイデアに基づいてエッセイのプランを組み立てていく。

Mark先生は、
“So, now your job is to write a story similar to the example essay. This essay has four sections, this story has two reasons, and final idea. So it’s an easy way to organize your writing. Please take a look at the plan, we got 5 minutes please write ideas in your plan.
(次に、お手本のエッセイのような形でストーリーを書きましょう。このお手本は4つのセクションに分かれていて、理由が2つと結論で構成されているよね。このようにして文章を構成すると簡単でしょう。5分間でプランを立てて)”
と指示を出した。

  • アイデアをパラグラフごとに分類し、プランを立てる
  • アイデアをパラグラフごとに分類し、プランを立てる

生徒は、自分が書こうとしているエッセイのアイデアを「Introduction Paragraph(導入)」「Body Paragraph1(理由1)」「Body Paragraph2(理由2~展開)」「Concluding Paragraph(総括)」の各項目に振り分けていく。そして、プランを立てる作業が終わった生徒は手を挙げ、先生から用紙を受け取った。

“So, the homework will be to finish your story. Please finish your story at home for next week. It doesn’t have to be so long, just write your ideas. Very well done today, please have a very nice week!

(宿題は、あなたのストーリーを来週までに完成させてくること。そんなに長い文章じゃなくてもいいから、自分のアイデアを書いてね。今日もよくがんばりました。良い一週間を!)”
と宿題の指示が出され、授業は終了した。

中1・高1と2つの体験授業を通じてリポーターが感心したのは、辞書に頼らず英語を英語のまま理解し、五感をフルに使って積極的にアウトプットしようとする生徒たちの「姿勢」だ。生の英語に触れられる充実した環境の中で、このようなトレーニングを積んだら相当鍛えられるに違いない。彼らのこれからの活躍に期待が高まる取材となった。

  • アイデアをパラグラフごとに分類し、プランを立てる

(高1男子生徒のコメント)
高1の春期講習から受講しています。SEGの魅力は、これだけたくさんの洋書の中から自分の英語力に合わせて選択できる環境が整っているということです。ぼくはシャーロック・ホームズやハリー・ポッターの原書が読みたいので、フィクションを中心に選んでいますが、「自分が読んでみたい本」「興味があるジャンル」をリクエストすると、それを踏まえて先生がセレクトしてくれます。今まで知らなかった本にも出会えるので毎回の授業を楽しみに通っています。

(高1女子生徒のコメント)
説明会で授業の内容や指導方針について話を聞いたとき、「多読」は他塾にはない珍しい講座なので興味を持ちました。大学受験に向けて読解力を高めたいと思い、中3の春期講習から受講し始めたのですが、自分の英語力に合った洋書を読み、たくさんの文章に触れ続けることで、以前よりも純粋に英語を楽しめるようになったと思います。