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卒業生インタビュー 2022年3月卒業 東京大学理科Ⅲ類

2022 卒業生インタビュー【東京大学理科Ⅲ類】
田中 勇成さん(開成卒)

今春、開成高校から東京大学理科Ⅲ類に合格された田中勇成さん。中1から高3まで6年間SEGで学んだ田中さんは、どうしてSEGを選び、どのように合格までの道のりを歩んだのか。
SEG数学講師の青木亮二との対談形式でお話を伺いました。            (2022.4月)

卒業生インタビュー【東京大学理科Ⅲ類】
成績が低迷し、塾探し 授業が楽しかったSEGへ

田中 SEGとの出会いは、算数オリンピックです。受験後に送られてきた案内の中に、SEGの数学Extremeへの推薦状が入っていたので、そこで知りました。「考えるのが楽しい、系の塾なのかな」と。他塾とは違って、どちらかというと数遊び的な塾なんだ、というのが最初のイメージです。
 そこで気になったので、中1の初めに数学Extremeを受講しました。実際受けてみてとても楽しかったので、いざ塾に通おうという時に、じゃあSEGがいいなと。
 実は中1の1学期、数学の成績が良くなくて、夏休みに補習になってしまって。それで、このままじゃダメだねと親と話し合って数学の塾に通うことになり、SEGに来た、という流れです。
 SEGは中1で確率の授業をやるんですけど、ただ計算するだけじゃなくて、実際にコインを投げたりサイコロを振ったりするのが楽しかったです。ただどんどん先に進めるんじゃなくて、立ち止まって考えて実験したりしながら、じっくりやるんだなあと思いました。

卒業生インタビュー【東京大学理科Ⅲ類】中学時代は小林純先生に師事
優しく、時には厳しく答案の書き方を教わった

講師青木

青木 中学時代はどの先生に習ってたのかな。印象に残っている先生はいる?
田中 習っていたのは小林純先生です。中1の夏に入ってから中3まで、通常授業はずっとです。第一印象は「優しそう」ですね。そこから変わらず、ずっと優しかったです。ただ、めちゃくちゃ激怒されたことが2回くらいあります。

 SEGでは中学の頃からずっと、答案に日本語を書けって指導されるじゃないですか。当時の自分が、答案に日本語を書かないで式だけ書く、典型的なタイプだったんです。それを試験前にめちゃくちゃ怒られてしまって。クラス全体にではありましたけど、自分宛だなあと思いました。
 ただ結局、小林先生に教わっている間は直りませんでしたね

青木 だから自分宛と感じたんだね。それが直っていったのはいつくらいかな?
田中 日本語を書く方が楽だなと気づいたのは、高2の半ばくらいです。だんだん式だけじゃ伝わらなくなっていって、ああ、日本語の方が伝わる、楽だなと。

青木 そうなんだね。今一番中学生に言いたいことは、「早めに日本語で書け」かな。
田中 そうですね。「イコールだけでつないでいったりしないこと」ですね。
 それともう一つ、小林先生との会話ですごくよく覚えていることがあるんです。「正方形の中にぴったり入った葉っぱ形の面積を求めよ」っていう定番問題があるじゃないですか。その答の出し方が「正方形の面積の0.57倍」っていうのは、中学入試だと暗記事項なんですよ。それを小林先生に言ったら、「ええぇ!?それは暗記事項じゃないよ!?」と言われて。

青木 僕の中学受験の時から暗記事項ではあったかな。
田中 暗記事項じゃないって言われてよくよく考えて、3.14だから計算したらそうなるんだ、なるほどなって。何でそういう数字になるのかという根本的なことに、その時言われて初めて気づいたんです。なので、とても印象に残っている言葉です。

卒業生インタビュー【東京大学理科Ⅲ類】楽しい塾は他にもあるけれど
3時間全部が楽しい塾はSEGしかない

青木 中学時代はコインを投げたりサイコロを振ったりしてきたわけだけど、それは次の高校数学を学んでいくうえで、何かに影響しているかな。

田中 ありえない値を書く、ということがあるじゃないですか。有名なのは、食塩水の濃度40%はおかしいとか、こんな確率になるのはおかしいとか。そういうことに気づけるようになりましたね。答を吟味する、ということに対してとても役に立ちました。

青木 なるほど、そういう習性が早いうちから身につくということなんだね。では改めて中学1年生……当時の自分くらいの年頃の子にSEGを勧めるとしたら、どんな言葉で勧めたい?
田中 楽しい、と言えばそれで終わってしまうんですが(笑)、3時間ずっと楽しいっていうのは他にないと思います。
 ちょっとだけ楽しい時間がある、合間の雑談で面白い話が聞ける、とかじゃなく、授業をやっている間、3時間全部が楽しいんです。また、SEGは宿題が少ないのも楽しい要因でした。宿題は簡単に済ませて、SEGに来たら3時間ずっと数学を楽しむんだぞ、というノリで最初は来ていました。中学の最初の勢いとしてはそれが大事だったなと今では思います。

青木 中学の頃とか、いろいろ問題解くのってすごく楽しいよね。
田中 そうなんです。とりあえず新しい問題に手をつけて、ダメなら次へって。ずっと解いていました。SEGの中学のテキストの本問、宿題、チャレンジ問題と、全部同じ分量があるうえに、質の良い問題がとても豊富なんです。そんな風に次々解いても飽きることはなかったですね。

卒業生インタビュー【東京大学理科Ⅲ類】
コロナ禍に見舞われた高校生活 部活や学校行事との両立は大変だった

青木 あなたが高2の頃にコロナが流行り始めて、緊急事態宣言を受けて、SEGも2カ月ほど対面授業がなくなったよね。映像ならではの良いところとかあったかな?
田中 休憩を飛ばせるのが良かったです。一度頭のスイッチが入るとそのままいきたくなってしまうので、休憩を飛ばして次にいけるというのは良かったと思います。
 対面授業が復活したあとも欠席者用として映像配信は残ったので、どうしても学校都合でSEGの授業に出席できなかった時に授業映像を見ることができたのは、正直かなり助かりました。
 高校時代は体力的にかなりきつかった時期で、部活や行事、塾などで疲れ果てて、家に帰ればすぐに寝てしまう状態がずっと続いていて。本来はSEGで習ったことをもっとしっかり復習して、いろいろな問題を解いて、とやるべき高1、高2くらいの時期にそれがまったくできていませんでしたね。
 高3になって、運動会は忙しかったですが、やっと、クリーム本の予習とかがしっかりできるようになりました。

卒業生インタビュー【東京大学理科Ⅲ類】
SEGの数学で学んだ「定石」という考え方

青木 受験に向けて、SEGの数学のここが良かった、というのがあれば教えてください。
田中 「問題を解くうえでの定石」という考え方が身についたのが一番良かったです。参考書を解き進めて、典型的な解法を覚えるという勉強法もありますが、そうではなく、その根本の部分の定石を考える。それを元にして問題の見通しを立てる、というのが、結果的にも東大入試において実際に役立ったな、と思います。

吉久

青木 他に特に印象に残っている授業はありますか?
田中 それは間違いなく高3夏期講習の「東大図形数学(理系)H」の1問目ですね。あの1問目は、あれは本当に……。予習でももう全然解けなくて! ひたすらごりごりと計算してもただ迷走するだけで。
青木 そうだったの?
田中 実はあの1問目、入試の前日に改めて解いてみたんです。そしたら、すらすらと解けたんですよ!
青木 前日に「成長」を感じることができて良かったじゃないですか(笑)。
田中 進化している、と実感できたという意味でも、印象深い問題です。

青木 自分でいうのもなんだけど、自分の授業でそうやって頭を使わせて、解けるようになった、進化した、と言われると感動しますね。ちなみに数学では、SEGのテキスト以外、何か参考書は使っていましたか?

田中 使っていないです。SEGのテキストだけです。あとは青木先生の著書『入試のツボを押さえる重点学習』ですね。あれには青木先生の授業のエッセンスがぎゅっと詰まっていて、ダジャレとかボケとかも含めて頭の中に入ってきます。あれはとても良い本です。その2つだけです。

卒業生インタビュー【東京大学理科Ⅲ類】苦手な英語を多読で乗り切る

青木 SEGで多読も受講しているけれど、どうだった?
田中 高1の冬からSEGで英語多読を始めたんですが、英語に関しては、多読は絶対的に強かったです。多読で長文への抵抗が一切なくなりました。徐々に読む力が伸びていって、最終的には共通テストレベルの長文なら怖いものなし、2次の最後の長文も割とスピーディーに読める、というレベルになりましたね。読む力は、リスニングにも活きてきます。読むスピードが上がるとリスニングのスピードも上がり、リスニングの対策でリーディングも早くなるという良い循環が生まれたと思っています。

青木 高3のときは、どんな本を読んでいたの?
田中 George Orwellの1984の原書とかです。これが面白くて、古川先生に、同じ著者の「カタロニア讃歌(Homage to Catalonia)」を買ってもらってそれも読んでいました。

卒業生インタビュー【東京大学理科Ⅲ類】理科に手応えを感じた高2の夏
東京大学理科Ⅲ類を志望校に


青木 志望校を決めたのはいつ頃ですか?
田中 高2です。それこそコロナ禍が本格的になり始めたくらいの、春先頃です。
 最初、高1の頭くらいには、理Ⅰに行きたいと思っていました。それが高2になる頃に「医学部がいいな」って思い始めて、医学部志望になりました。
青木 どの辺りに勝算を見出して、理Ⅲに決めたの?
田中 高2のコロナ休みの時に理科を1周して、その1周目を終えたタイミングで決めました。その夏に東大模試を受けたんですが、「これなら、時間をかければ理科もできるのでは」という手ごたえを感じたんです。理科がいけるなら理Ⅲもいけるじゃないかなと思って。

青木 理科は全体を通じて得点源にはなっていたの?
田中 得点源ではありましたが、不安定でしたね。ただ、最初の理Ⅲを目指した原点だったので、理科は絶対いけるはずだっていう気持ちがあって。理科が伸びれば俺はいけるんだって、それだけを心の拠り所にしていました。

卒業生インタビュー【東京大学理科Ⅲ類】高3の11月にようやく一受験生に
合格の決め手は「集中力」

青木 直前の1カ月、SEGの通常授業がない期間は、どう過ごしていた?
田中 その時は、先生との秋の個別面談で「こういう風に点数を取っていこう」と話したことだけを考えていました。過去問を解く場合数学だと6問セットで解くわけですけど、1問1問というよりは全体の点の取り方だけを意識して、それを頭の中に沁み込ませていました。
青木 その時テストゼミの経験は活きた?
田中 それはもう、ものすごく活きました。「数学ではまず1完(1問完答)」って言われていましたが、最初に夏の模試を受けた時と比べて、一番意識的に変わったところだと思います。
青木 そういうことを聞くと、こっちも勇気をもらえるね(笑)。今振り返ってみて、一東大受験生になれたなと思うのは何月くらいだった?
田中 11月頃ですかね。秋の模試が返ってきてその反省をしたところで、受験生になったかなぁって。秋の模試が終わったら外部模試はあと1回あるだけだったので、もう本番しかないから、自分にできるって言い聞かせていくしかないというか。得点パターンを頭に沁み込ませて、もう今できること、やることをやっていくしかないぞという状態でした。

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卒業生インタビュー【東京大学理科Ⅲ類】
まずは海外留学 大学では医学に限らず、挑戦していきたい

青木 さて、大学生になったらチャレンジしたいことなどありますか?
田中 留学です。コロナでどうなるか分からないですけども。医学部としての勉強が始まってしまうと大変だと聞くので、やっぱり1、2年のうちには行きたいです。まずは短期で、夏休みとかに行けたら行きたいですね。医学でも医学でなくても、アメリカには行きたいです。両親にも、アメリカの本土には絶対に行った方がいいと勧められています。2年の後半とか、後ろにいくにつれて医学の授業や勉強で時間がなくなっていくと思うので、それまでにとにかくいろいろなことに挑戦してみたいなと思っています。勉強だけに限らず、今まであまり冒険することがなかったので。

青木 物事を楽しむっていう、それくらいしか僕らが伝えてることってないですからね(笑)。では最後に、SEGに興味を持ってくれたみなさんへのメッセージを。
田中 入った直後には、テキストの薄さと問題文の短さに驚くと思います。これでいいのかなと、特に学年が進むにつれて感じてしまうと思うんですけど、テキストと先生の話と板書セットで授業なんだ、と考えれば十分豊富な量ですし、こんなに薄いテキストが量的にも質的にも、ノートもあわせて気づけば分厚くなっていっているのって、単純に楽しいんですよね。SEGの授業以外のそういったところを楽しんでもらえれば、と思います。僕はとても楽しく通わせていただきました!
青木 今日は、お話しできてとても嬉しかったです。中学数学だとか英語多読の話もたくさん聞けて、僕にもすごく新鮮でした。


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