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卒業生インタビュー 2022年3月卒業(予定) 東京大学工学部(推薦合格)

2022 卒業生インタビュー【東京大学工学部(推薦合格)】
辻 知香葉さん(筑附3年)
「人をワクワクさせるロボットを作るのが私の夢です」

見事、東京大学に、学校推薦型選抜で合格された辻 知香葉さん。中1から高3まで6年間SEGで学んだ辻さんは、何に興味を持ち、どう学んだのか。
SEG化学科講師 吉久寛との対談形式でお話を伺いました!             (2022.2月)

卒業生インタビュー【東京大学工学部(推薦合格)】ロボット作りに魅せられ東大工学部を志望

吉久 まずは合格おめでとうございます。
 ありがとうございます。
吉久 東京大学の学校推薦型選抜で工学部に合格されたということですが、それは学科まで決まる制度なのでしょうか。
 工学部の場合、学科が2~3個ずつ、1~7までの学科群に分かれているので、その中から自分の進みたい分野の学科群に応募するという形です。ですので、学科にはちょっとだけ幅があります。
吉久 学科まで固定というわけではないんですね。けれども、枠としてこの辺りの分野だよというところからはズレない、ということですね。
 そうです。私が合格した学科群3には学科が3つありますが、推薦生だと2年生の辺りで進む学科を希望する時期があり、基本的にはそこで進振りなく希望の学科に進むことができます。
吉久 進級さえできれば行きたいところへ行けるということですね。したいことが確実にできるというのは推薦の大きな魅力ですね。
 はい。

吉久 辻さんはロボット作りをしたいということで工学部を志望されましたが、最初は何がきっかけでロボットに興味を持ったのでしょうか。
 5歳の時に、Hondaのミュージアムで開発途中のASIMO の展示を見たことです。脚だけしかない状態で見事にバランスをとっているのを見た時に、「わぁ、すごいな」と思って。それが原点です。そこからロボットに興味を持ってロボットで遊び始め、小学校5年生くらいからは実際に自分でロボットを作ったりプログラムしたり、ロボットコンテスト(以下「ロボコン」)にも挑戦し出したりして、今に至る、という感じです。

卒業生インタビュー【東京大学工学部(推薦合格)】東大の学校推薦型選抜①

講師吉久

吉久 その経験を元に東大の推薦に応募したわけですね。面接ではどんなことを聞かれるんですか。
 私の学年の工学部の場合ですが、教授5人を面接官として、1人40分の質疑応答がありました。質問内容は、志望理由、これまでやってきたこと、将来やりたいことを軸にした、提出した資料に関するものでした。
吉久 面接の時はどんな空気でしたか。硬い?
 最初は私も緊張していて硬い空気でしたが、話しているうちにだんだん盛り上がってきて、最後には楽しい空気で自分の話したいことが話せたので、とても良かったなと思います。
吉久 質問は割と専門的なんですか。
 例えば「学会で発表したというアルゴリズムについて説明してください」だとか、将来の夢を語った時に「それを実現するための具体的なプランはありますか」とか。過去に行ったことや今後についての詳細を具体的に問われました。もちろん提出した資料の中からの質問です。
吉久 では、書類の段階で相当に見てるということですね。
 しっかりじっくり読まれたのかな、という質問ばかりきました。

卒業生インタビュー【東京大学工学部(推薦合格)】東大の学校推薦型選抜②

吉久 辻さんの応募書類は私も見させてもらいました。書類作成はどのように進めていったのですか。

 まずは自分の頭の中で、「これまで取り組んできた活動」「現在の自分」「将来やりたいこと」という自分の過去・現在・未来がひとつながりでイメージできるまで熟考しました。
それができた後、その流れに沿って、東大工学部のアドミッションポリシーや周りの方のアドバイスなども参考にしながら、提出資料を作成しました。
 面接もあるので、過去の東大推薦合格者の体験談を見てみたり、SEGの先生方を含めた周りの方々のアドバイスを元に想定問題を自分で作って練習したりして、面接に備えました。
吉久 書類作りにはどのくらいかかりましたか。
 7月に推薦の募集要項が発表されたので、そこからパソコンに向かって入力するなどの提出書類の作成を始めました。もちろん一般入試の対策もしつつ、11月の提出まで推敲を重ねていきました。

吉久 辻さんの書類は、書類の段階でいろんなことが伝わってきました。書類の完成度がとても素晴らしいなと思ったんですけれども、一方で、その準備というのは一般入試には関係がないじゃないですか。その辺りの不安はありましたか。
 やっぱり推薦対策には結構時間がかかってしまうので、その間に周りに差をつけられてしまうんじゃないかという不安は、もちろんずっとありました。
 そのため、例えば推薦で合格したら進振りがなく希望の学科に行けることだったり、アドバイザー教員というのがついて自主研究についても相談できることだったり、自分の中で、絶対推薦で受かりたいなという理由を考えました。どれくらいの時間を推薦にとるのか一般対策にとるのかといった戦略や時間配分を、ちゃんと自分が明確な理由を持って自分で納得して割り振ることで、他は他だし、私は私なりの戦い方で戦っているんだと思えて前向きに取り組むことができました。

卒業生インタビュー【東京大学工学部(推薦合格)】
ロボット作りと勉強のバランス

吉久 ロボット作りについて大変興味があります。ロボットはどこで作るんですか。
 小学校5年生から本格的に作り始めたんですが、最初の方はロボット教室に通っていました。その教室のカリキュラムが中学2年の頃に終了してしまったので、そこからは自宅にこもっていました。ロボコンに挑戦するためのチーム練習もありましたが、基本的には自宅です。
吉久 学校の設備を使うことはなかったんですか。
 学校にはロボットで活動するようなクラブもチームもなかったので。それでも学校では、仲間を探すところから始めました。人脈も大してない中で頑張って仲間を探して、場所も学校ではなく公民館を借りたりしながら、プライベートチームみたいな形でやっていました

吉久 高校生だと勉強もちゃんとしなければいけないですし、この推薦が通らなかったら一般入試を受けていたと思うんですが、勉強とのバランスをとるのは大変でしたか。勉強が立て込む時には手薄になるとか、逆にロボットの大会の近くだとそちらにウェイトがいくとか、そういう感じでしたか。
 コロナの影響で、そもそも大会自体が高2以降なかったんです。その代わりにAIロボットの研究を始めて、それもなかなか時間がかかるものでした。
 勉強に関しては、これもやはりコロナの影響で、2年生の時の授業はすべてオンライン、映像配信の授業だったので、1日の中でも朝に見るなど自分の好きな時間にもっていくことができましたし、あまり良くないとは思いますが、ある程度ためたりして調整していました。AIの研究もあまり細切れに区切れるものでもなかったので、3日間研究につぎ込んだら、次は授業の動画をまとめて見たりとか。そういう風に結構フレキシブルに勉強も研究も進めることができました。学校までの往復時間もないので、基本1日家にいて勉強できるというのは良かったかなと感じています。
吉久 オンライン授業がプラスに働いた面もあるということなんですね。

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卒業生インタビュー【東京大学工学部(推薦合格)】
SEGの本質と向き合う授業が活きた「一生もの」であるロボット作り

吉久 SEGの授業の中で、ロボットの研究に役立ったことはありますか。
 SEGで学んだ本質的な考え方というのがとても役立ちました。
 AIでよく活用される技術に転移学習というものがあります。少ないデータ量でも推論精度を上げられるという技術です。SEGではすべての科目において本質的な問題とじっくり向き合うので、しっかり自分で考えるという姿勢が身につきます。数学だから数学にしか活きないとか、化学だから化学にしか活きないではなくて、その本質的な考え方というのが幅広い分野で応用が効くし、もちろん勉強単体でも効率的に学習を深められるので、SEGでの勉強自体がまるで転移学習のようだなと感じていました。
 そういったじっくり考えるという姿勢が、ロボット作りでもAI研究でも、本当に役立ちました。

吉久

吉久 ちゃんと考えるというのは本当に大事ですよね。
 答ばかりを探そうとしてしまう悪い癖がありましたが、6年間SEGに通い、答にたどり着けばいいとかそういう問題ではなくて、どうしてそうなるのかをしっかり考えるということが身についたと思います。

吉久 辻さんは楽しいと思うことを見つけて、それを楽しんできた、ひいては努力できたわけですが、多分みんな、自分にとって楽しいことを見つけたいと思っているはずなんです。それはどうやったら見つかると思いますか。

 フットワーク軽く、いろいろなことにまずは興味を持って、身の周りのものに目を向けてみるという姿勢が大事なのかなと思います。私自身、小さな頃からいろいろなことをやってきていて、その中にはもちろん、実際にやってみて興味がなくなったものもあります。

吉久 当たりじゃなくても試してみる中に、「これだ」と思うものが見つかるということなんですね。辻さんはロボット作りに一番ハマっている時期、毎日どれくらいの時間をかけていましたか。
 毎日一律何時間というわけではないんですが、高校生の時、多分1,000時間くらいはロボコンにかけたと思います。大会の直前には寝ないで調整とかざらにありました(笑)。
吉久 辻さんの申込書類からは好きという感じがとても良く伝わってきていて、何でこんなに好きなんだろうって思っていました。これはもう、一生ものの遊びですね。
 (笑)。

卒業生インタビュー【東京大学工学部(推薦合格)】SEGでの学び

テキストとノート類
使いやすいよう解答・ノートはテキストごとにまとめて

吉久 では、SEGについてお伺いします。SEGに入ったきっかけは何ですか。
 学校の進度が遅いことに不安があり、大学受験にも対応している塾を探している中で、SEGを見つけました。既にロボコンに参加していた当時から、大学ではロボットを勉強したいなと思っていたので、理系に強いということで最終的にSEGに決めました。中学1年生の春からずっとSEGです。

吉久 SEGに通う中で、特に印象に残っていることはありますか。
 吉久先生の授業では、化学のエッセンスを本当に分かりやすく教えてくださって、化学はいわゆる暗記科目だなんていうことを感じることは一切なく、最後まで楽しく勉強することができました。いつの間にか化学が私の中で一番の得意科目になっていて、本当に感謝しています。時々挟んでくださる実験がとても面白かったです。

吉久 やっぱり大事ですよね、実験って。では、6年間通っていた数学で、この話は面白い! これが一番面白かった! というのはどういうものでしょうか。
 その時のテキストを今日持ってきていますが、受験数学に入ってすぐに順像法・逆像法の授業があり、今まで解けなかった問題がようやく自分の中で繋がり出して。「これから受験数学が始まるけれど、楽しくできそうだな」とその時に強く感じました。
 そこから、今まで単元別で習っていたことがどんどん繋がってきて、「中学生の頃に解いた問題だけど、高校生の今、こういう解き方もあるんだな」って。
 SEGは数学だけでなくどの科目もそうですが、「昔やった記憶があるけど、こんなところで活きてるんだな」といろいろな場面で気づかせてくれます。数学では中学でやったものとまったく同じ問題が高校で出てくるときもあるくらいで、そこはずっと通っているからこそ、繋がりを見つけられて楽しかった記憶があります。

卒業生インタビュー【東京大学工学部(推薦合格)】
切磋琢磨できる仲間たちと出会えたSEG

吉久 いろいろご自分でも活動していて、学校もあり、塾もあり、忙しかったと思います。塾が大変だから辞めちゃおうかなと思ったことはないでしょうか。
 それは本当にないです。SEGに通っていて良かったなと思うのは授業だけではなくて、素晴らしい仲間たちに出会えたことに感謝しています。授業中に切磋琢磨できるだけじゃなく、ロボコンが佳境に入った時にSEGの仲間たちが頑張っている姿を見るのは刺激になって、私も頑張ることができたというのがあります。仲間たちというのが心の支えにもなりました。つらいというのはなかったですね。
吉久 それはいい場所を作れていますね。僕もまだSEGの同期と仲良くしていますよ。

 SEGの授業について、先ほど転移学習のようだと言ったんですけれども、そういう少ないながらも応用が効いて、効率的に学習が深められるようなSEGの学習法のおかげで、これまで勉強も好きなことも諦めずに続けられたというのが本当に良かったと思っています。
 そのおかげで好きなことの先に推薦合格という形で繋げることができたので、本当に感謝しています。

卒業生インタビュー【東京大学工学部(推薦合格)】
勉強も好きなことも どちらも諦めず両立できるSEGの授業

吉久 SEGにこれから入ろうと思っている方、既に通っている後輩に向けて、何かメッセージをお願いします。
 学力を伸ばしたい方はもちろん、勉強も好きなこともどちらも諦めたくないという方に、SEGを強くお勧めしたいです。問題量や宿題量は少ないですが、受験に必要なことはその中にすべて詰まっていますし、それ以上のことも詰まっています。
 特に本質的な学びができるので、そういう学びをしたい方にはぜひSEGの授業を受けていただきたいです。後輩のみんなには、SEGの先生方やテキストを信じて、最後まで頑張ってほしいなという気持ちでいっぱいです。

吉久 最後に、今更な質問かもしれませんが、あなたが持っている夢を教えてください。
 SF映画に出てくるような、人をワクワクさせるロボットを作るのが私の夢です。
吉久 それを実現できるかという結果ももちろんですが、それを実現するためにそうやって一所懸命過ごしているあなたの毎日というのが、とても格好良いなと思います。僕も及ばずながら、頑張ろうという気にさせてもらえました。今日はとても良い話を聞かせていただいて、本当に楽しかったです。ありがとうございました。
 ありがとうございました。

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