1100万語報告とRebecca

[掲示板: 100万語超 報告・交流 -- 最新メッセージID: 13567 // 時刻: 2024/4/26(09:42)]

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13405. 1100万語報告とRebecca

お名前: wkempff
投稿日: 2017/7/8(14:24)

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なんか、頻繁に登場して恐縮ですが、1100語を通過しました。

The Black Echo, by Michal Connelly 15.9万語
End of Watch, by Stephen King 14.2万語
Pacific Burn, by Barry Lancet 11.9万語
Maestra, by 9.7万語
Rebecca, by Daphne Du Maurier 15.4万語
Killing Floor (Jack Reacher #1), by Lee Child 16.9万語
The Enemy (Jack Reacher #8) by Lee Child 15.5万語

2017.3.17-6.9 計7冊
総計 80冊+3スクリプト 1101.6万語

この中で、Du MaurierのRebeccaを読んだのは、私の短い多読歴の中でもエポックメーキングで、本に引き込まれる感じ、飲み込まれる感じを味わいました。
1930年代の作品で、重厚なゴシック風ミステリー+ロマンスでありながら、驚くほど読みやすく、現代のミステリーと難易度は変わらないように思います。
(もっとも、私はすでにHitchcockの映画を見ており、スクリプトも読んだことがあるので、多少割り引いてください。)

その他、Lee Childなど、ご紹介したいものもあるのですが、それは次の機会に。

ということで、稿を分けて、Rebeccaについてご紹介します。


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13406. Rebeccaの紹介(超長文)

お名前: wkempff
投稿日: 2017/7/8(18:37)

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ということで、Rebeccaのご紹介です。周辺をいろいろ調べたりしていたら、超長文になってしまいました。お時間のある方はおつきあいください。

Rebecca, by Daphne Du Maurier

【あらすじ】
ヒロインは、両親を失い、厚かましい金持ちのアメリカ夫人の付き人としてモンテカルロにやってきました。ここで、ヒロインは、イギリスの中年の富豪貴族、Maxim de Winterに見初められ、電光石火の早業で、Maximの後妻に収まります。
Maximは、だれもがうらやむ美しい城館Manderleyを所有しており、新婚旅行を終わり、二人はManderleyに戻ります。
Maximの前妻Rebeccaは、長身、漆黒の瞳の美人で、非の打ち所のない貴族でしたが、一年前、ヨット事故で死去しています。
Manderleyでは、女中頭のMrs Danversを中心に、使用人全員の出向えを受けますが、慇懃無礼でよそよそしく、執事も、Danvers夫人も、前妻をMrs. de Winterと呼ぶのです。
ヒロインは、朝起きると一日の食事のメニューを決め、女中や執事に指示を出し、近隣の名士を招待し、あるいは招待に応じ、女主人としてふるまわなくてはなりません。しかし、Mrs. Danversの棘のある態度、完璧な貴族の美女である前妻と比較されるコンプレックス、城館の西ウイングに完璧に保存されたRebeccaの寝室、Rebeccaが揃えた調度品、などから、次第にRebeccaの影に追い詰められていきます。
頼りになるはずの、夫のMaximも、思いがけないところで癇癪を起こしたり、ヒロインが女主人としてふるまわないことに不満を言ったり、不思議に黙り込んだり、と、頼りにならず、ヒロインは、実はMaximはRebeccaを深く愛しており、単に穴埋めまたは世間体のために自分と結婚したのではないかと思い始めます。
近隣の人々は、Ball(大舞踏会)の開催を心待ちにしていました。ヒロインは、大規模な仮装パーティ(fancy dress ball)を再開することを説得され、Maximもいやいや了承します。しかし、ここで、Mrs. Danversが策略をめぐらし、ヒロインを自殺に追い込もうとします。
そのとき、海辺に難破したヨットが上がり、ここから、思わぬ方向に動き出します。Rebeccaとはいったい誰だったのか、Maximとの関係はどうだったのか、次々と新事実が現れます。ヒロイン夫妻は窮地に陥るのですが、ヒロインはなぜか急成長し、Maximを献身的に支えます。

【ヒロイン】
ヒロインの名前は、ついに出てきません。最初から最後まで「I」です。そのため、この小説の真のヒロインは死んだRebeccaだという解釈もありますが、私は、この説は取りません。
ヒロインの名前について、きっちりと、記述があります。
ヒロインが最初にMaximからメモを受け取るモンテカルロの場面。
But my name was on the envelope, and spelt correctly, an unusual thing.
最初に昼食を一緒に取る場面、Maximは言います。
'You have a very lovely and unusual name.'

作者の名前は、Daphne de Maurierです。この明らかにフランスの名前が、ヒロインに投影されているように思いませんか?

【Manderleyのモデルと作者】
もちろん、架空の地名であり城館の名前です。しかし、モデルは現存していて、イングランド最南端に近いCornwallにある、Menabilly houseという城館がモデルと言われています。ヒッチコックの映画から想像するManderleyよりは小ぶりですが、それでも蔦のからまる堂々とした城館で、海を臨む高台にあり、海岸線にはいくつもの小さな入り江がある、とのことです。
Minabilly houseは現存していますが、大部分が個人所有である、という記述がネット上に見られ、必ずしもはっきりと確認できるわけではありません。Google mapでは、Minabilly farmという農場の建物の北東部に立派な城館とおぼしき建物があり、どうやら、これが、現在のMinabilly houseのようです。
Du Maurierは、1929年からしばしばこの地をおとずれ、Rebeccaのヒットの後、1943年から1969年まで、この城館を借り受け、自分でリノベーションを行い、住んでいました。
ネット上では、Minabillyの前庭で3人の子供を遊ばせている動画のほか、いくつもの写真を見ることができます。

【作者について】
作者は、名前から明らかですが、イギリスに移住したフランス貴族の末裔です。彼女の両親は高名な俳優、芸術家一家でした。彼女は、当時のイギリスの上流階級の常として、学校には行かず、家庭教師について、自宅で学習をしていました。
文学に傾倒し、1930年には作家デビュー、1937年には、前作Jamaica Innで流行作家の地位を確立しました。1937年に書かれた本作Rebeccaも、映画化前にヒットし、彼女は流行作家になっていました。
1943年、彼女は、家族とともに、ManderlyのモデルになったMinabillyに移り住みます。Minabillyで、軍人の夫、3人の子供と、半隠遁のような静かな生活を送り、ベストセラー作家、ヒッチコックの大ヒット映画(Rebeccaのみならず、「鳥」も彼女の原作です)の原作者らしからぬ暮らしぶりでした。しかし、近隣の人には非常に親切で愉快な人だった、という記述もあります。
作者の写真は、若いころから、いくつも残っています。美人ですが、女優のような美人、とはちょっと違い、長身で、意思の強そうな目が印象に残ります。Minabillyで子供を遊ばせる写真や動画の多くはパンツスーツ姿で、作家というより、むしろ、現代の巨大企業の少壮女性役員のような雰囲気も感じます。気が強く、気品があり、シャイで喧騒を嫌い、愛情あふれる人だったのでしょう。
Rebeccaのヒロインに、彼女自身の性格は、色濃く投影されているように思います。
Minabillyで子供を育てる動画のほかに、老境にはいったDe Maurierのインタビューの動画も残っています。典型的イギリス上流階級の英語で、堂々として知的な語り口です。

【英語について】
1938年の作品ですので、相当に古い英語、まわりくどい美文調の表現かと覚悟していましたが、拍子抜けするほどスムーズに読めました。現代の英語となんら変わることなく読めます。
しいて言えば、幻想と現実の交錯するような出だしの2章は、ちょっと読みにくい。
その後は、あまり難解な単語もなく、読み進みやすい部類でしょう。また、少なくとも3章からは時系列が崩れず、また、ヒロインの胸の内があからさまに書かれるので、あまり暗喩や伏線を気にすることなく読み進められます。

Last night I dreamt I went Manderley again.
という書き出しの一文は、この小説の人気と相まって、非常に有名になりました。
「国境のトンネルを抜けると雪国であった。」(川端康成 雪国)
「石炭をば早や積み果てつ。」(森鴎外 舞姫)
「木曽路はすべて山の中である。」(島崎藤村 夜明け前)
このような、日本文学の傑作の書き出しと、雰囲気が似ていますね。

もちろん、古い作品ですので、ときに、びっくりするような単語が出てきます。たとえば、次のようなものです。

Pigeon holes:さすが古い城館、部屋の中でハトが巣をつくっているのか、と驚きましたが、どうやら、小さな引出がたくさんある棚を言うようです。
Ball:舞踏会。正式で盛大な舞踏会を言います。仮装舞踏会:fancy dress ballとなります。
Gay:びっくりしましたが、頻出します。快活、陽気、という意味で、LGBTとは無関係です。He is a gay, cheerful person.と言われて、彼は陽気な人だ、という意味にとらえることは、最初は難しかったです。
Dresden shepherdess:文字通り、ドレスデンの女性羊飼い、なのですが、ヒロインの仮装パーティの衣装が、Dresden shepherdessがいい、と言われ、後に、Alice the wonderlandがいい、となると、わけがわからなくなります。どうやら、Dresden shepherdessは、マイセンの陶器人形で有名になった、人気の(しかしめったに着られることがない)衣装のようです。日本でいうと、京都の舞妓さんの装い、という感じでしょうか。
tangerine(ほろ苦いオレンジの一種らしい)とか、bezique(トランプゲーム、ブリッジのようなものらしい)、とか、辞書を引いても実感できない単語もあります。
気にせず、そんなもの、と思って読み進めれば、問題ありません。

【映像との比較】
この作品は、ヒッチコックの映画で全世界に有名になりましたが、その前に、イギリスではベストセラーになっていました。

ヒッチコック版は、相当に正確に、小説のプロットを再現しています。原作にそっくりなせりふも多い。しかし、当然、省略改変されている部分もあります。
もっとも大きな改編は、Rebeccaの死因でしょう。当時のアメリカ映画はがんじがらめの規制(Hays code)と検閲に縛られ、厳格なキリスト教右派の価値観が反映されていました。当然、悪人が幸福になる映画をつくってはいけないし、殺人の描写そのものがご法度でした。


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13407. 1100万語通過、おめでとうございます!

お名前: 杏樹
投稿日: 2017/7/9(00:31)

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wkempffさん、こんにちは。

1100万語通過、おめでとうございます。
Rebeccaのレポートが面白くてレスつけさせていただきます。
私はずっと昔にまず日本語で原作を読みました。それからずっと後になって映画を見ました。そして、この作品はウィーンでミュージカル化されていて、その日本語版の上演も見ました。

〉Rebecca, by Daphne Du Maurier

〉【ヒロイン】
〉ヒロインの名前は、ついに出てきません。最初から最後まで「I」です。そのため、この小説の真のヒロインは死んだRebeccaだという解釈もありますが、私は、この説は取りません。
〉ヒロインの名前について、きっちりと、記述があります。
〉ヒロインが最初にMaximからメモを受け取るモンテカルロの場面。
〉But my name was on the envelope, and spelt correctly, an unusual thing.
〉最初に昼食を一緒に取る場面、Maximは言います。
〉'You have a very lovely and unusual name.'

私も最初に本を読んで、全部一人称で最後までヒロインの名前が出てこないことに驚きました。そして映画にするのに、名前を呼ばないなんてできるんだろうか…と思っていたら、映画でも名前がありませんでした。

〉作者の名前は、Daphne de Maurierです。この明らかにフランスの名前が、ヒロインに投影されているように思いませんか?

なるほど。フランス系の名前だったのかもしれないんですね。

〉【Manderleyのモデルと作者】
〉もちろん、架空の地名であり城館の名前です。しかし、モデルは現存していて、イングランド最南端に近いCornwallにある、Menabilly houseという城館がモデルと言われています。ヒッチコックの映画から想像するManderleyよりは小ぶりですが、それでも蔦のからまる堂々とした城館で、海を臨む高台にあり、海岸線にはいくつもの小さな入り江がある、とのことです。
〉Minabilly houseは現存していますが、大部分が個人所有である、という記述がネット上に見られ、必ずしもはっきりと確認できるわけではありません。Google mapでは、Minabilly farmという農場の建物の北東部に立派な城館とおぼしき建物があり、どうやら、これが、現在のMinabilly houseのようです。
〉Du Maurierは、1929年からしばしばこの地をおとずれ、Rebeccaのヒットの後、1943年から1969年まで、この城館を借り受け、自分でリノベーションを行い、住んでいました。
〉ネット上では、Minabillyの前庭で3人の子供を遊ばせている動画のほか、いくつもの写真を見ることができます。

モデルになった城館があったんですね。本人の動画まで残っているなんて。

〉【英語について】
〉1938年の作品ですので、相当に古い英語、まわりくどい美文調の表現かと覚悟していましたが、拍子抜けするほどスムーズに読めました。現代の英語となんら変わることなく読めます。

1938年ならそこまで「昔」ではないと思います。日本ならすでに昭和です。

〉Last night I dreamt I went Manderley again.
〉という書き出しの一文は、この小説の人気と相まって、非常に有名になりました。
〉「国境のトンネルを抜けると雪国であった。」(川端康成 雪国)
〉「石炭をば早や積み果てつ。」(森鴎外 舞姫)
〉「木曽路はすべて山の中である。」(島崎藤村 夜明け前)
〉このような、日本文学の傑作の書き出しと、雰囲気が似ていますね。

書き出しの英語はそうなっているんですね。これは印象に残ります。

〉もちろん、古い作品ですので、ときに、びっくりするような単語が出てきます。たとえば、次のようなものです。

〉Pigeon holes:さすが古い城館、部屋の中でハトが巣をつくっているのか、と驚きましたが、どうやら、小さな引出がたくさんある棚を言うようです。
〉Ball:舞踏会。正式で盛大な舞踏会を言います。仮装舞踏会:fancy dress ballとなります。

Ballは歴史好きで、ヒストリカル・ロマンス愛読者にはとってもなじみのある言葉です。
ついでに、貴族や富豪の夫人が若い娘をcompanionと称してお供させる、というのもヒストリカル・ロマンスによく出てくることだということも、今ならわかります。「わたし」はこのcompanionだったのですね。

〉Gay:びっくりしましたが、頻出します。快活、陽気、という意味で、LGBTとは無関係です。He is a gay, cheerful person.と言われて、彼は陽気な人だ、という意味にとらえることは、最初は難しかったです。

そうなんですか。1930年代にアメリカで一世を風靡したミュージカル映画のダンスコンビ、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの作品で「The Gay Divorcee」(日本語タイトルは「コンチネンタル」)というタイトルがあります。この時代にはこちらの意味の方がよく使われていたようです。

〉Dresden shepherdess:文字通り、ドレスデンの女性羊飼い、なのですが、ヒロインの仮装パーティの衣装が、Dresden shepherdessがいい、と言われ、後に、Alice the wonderlandがいい、となると、わけがわからなくなります。どうやら、Dresden shepherdessは、マイセンの陶器人形で有名になった、人気の(しかしめったに着られることがない)衣装のようです。日本でいうと、京都の舞妓さんの装い、という感じでしょうか。

これはわかりませんね。ただ、shepherdessは羊飼いということで、「いなか娘」のニュアンスもあるようです。なので嘲笑する意味を含ませたのかもしれません。

〉tangerine(ほろ苦いオレンジの一種らしい)とか、bezique(トランプゲーム、ブリッジのようなものらしい)、とか、辞書を引いても実感できない単語もあります。
〉気にせず、そんなもの、と思って読み進めれば、問題ありません。

tangerineはMy Father's Dragon(「エルマーのぼうけん)に出てきます。ここに出てくるDragonの好物です。

〉【映像との比較】
〉この作品は、ヒッチコックの映画で全世界に有名になりましたが、その前に、イギリスではベストセラーになっていました。

〉ヒッチコック版は、相当に正確に、小説のプロットを再現しています。原作にそっくりなせりふも多い。しかし、当然、省略改変されている部分もあります。
〉もっとも大きな改編は、Rebeccaの死因でしょう。当時のアメリカ映画はがんじがらめの規制(Hays code)と検閲に縛られ、厳格なキリスト教右派の価値観が反映されていました。当然、悪人が幸福になる映画をつくってはいけないし、殺人の描写そのものがご法度でした。

ヘイズ・コードありましたねー。かなり細かい規定があったようです。ヒッチコックもそれには逆らえなかったということですか。でも、レベッカの方こそ相当な悪女だったと思う…。

ミュージカル版は、マキシムの山口祐一郎が能天気な棒読み役者で、イメージに合わなくて残念でした。しかしダンヴァーズ夫人の涼風真世が不気味でこわかったです。

私も原書が読みたくなりました。ああ、また読みたい本が増えていく…。
長文レポートありがとうございます。


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13409. Re: 1100万語通過、おめでとうございます!

お名前: wkempff
投稿日: 2017/7/9(18:29)

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杏樹さま、さっそくありがとうございます。
長文の駄文におつきあいくださり、たいへんうれしく思います。

"杏樹"さんは[url:kb:13407]で書きました:
〉wkempffさん、こんにちは。

〉1100万語通過、おめでとうございます。
〉Rebeccaのレポートが面白くてレスつけさせていただきます。

おひとりでも楽しんでいただけて光栄です。

〉私はずっと昔にまず日本語で原作を読みました。それからずっと後になって映画を見ました。そして、この作品はウィーンでミュージカル化されていて、その日本語版の上演も見ました。

ミュージカルにもなっているんですね。TV番組にも何度か作り直されているようです。
しかし、なかなか、Hitchcockは超えられない、というところでしょうか。

〉モデルになった城館があったんですね。本人の動画まで残っているなんて。

私は、現在の姿が気になっています。Google mapで見つけた屋敷が本当に当たっているかどうかも、ちょっと自信がないところもあります。
個人所有ということで仕方ないのかも知れませんが、なんらかの形で公開してもらえないのもですかね。

〉〉【英語について】
〉〉1938年の作品ですので、相当に古い英語、まわりくどい美文調の表現かと覚悟していましたが、拍子抜けするほどスムーズに読めました。現代の英語となんら変わることなく読めます。

〉1938年ならそこまで「昔」ではないと思います。日本ならすでに昭和です。

確かにおっしゃる通りなんですね。川端康成の雪国が、1937年です。これワケのわからない小説ではありますが、別に日本語が難しいわけではないですね。
少し前にChandlerのFairwell, My Lovelyを読んでけっこう苦労したので、先入観があったのかも知れません。

〉Ballは歴史好きで、ヒストリカル・ロマンス愛読者にはとってもなじみのある言葉です。
〉ついでに、貴族や富豪の夫人が若い娘をcompanionと称してお供させる、というのもヒストリカル・ロマンスによく出てくることだということも、今ならわかります。「わたし」はこのcompanionだったのですね。

杏樹さんと私のジャンルの違いから、カバーする語彙の範囲の違いが出ていますね。さすがに、容易にBallの意味は推察できますが。。。。

〉そうなんですか。1930年代にアメリカで一世を風靡したミュージカル映画のダンスコンビ、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの作品で「The Gay Divorcee」(日本語タイトルは「コンチネンタル」)というタイトルがあります。この時代にはこちらの意味の方がよく使われていたようです。

これは、ゲイ(LGBTの意味の)であることがばれて奥さんに叩き出された、のではなく、「陽気な離婚した人」というような意味なんですね。

〉〉Dresden shepherdess:文字通り、ドレスデンの女性羊飼い、なのですが、ヒロインの仮装パーティの衣装が、Dresden shepherdessがいい、と言われ、後に、Alice the wonderlandがいい、となると、わけがわからなくなります。どうやら、Dresden shepherdessは、マイセンの陶器人形で有名になった、人気の(しかしめったに着られることがない)衣装のようです。日本でいうと、京都の舞妓さんの装い、という感じでしょうか。

〉これはわかりませんね。ただ、shepherdessは羊飼いということで、「いなか娘」のニュアンスもあるようです。なので嘲笑する意味を含ませたのかもしれません。

これ、確か、わずか数人のヒロインの理解者の一人、Maximの実姉が言うので、たぶん、田舎臭さを嘲笑する意味はないと思います。しかし、アリスとともに、ヒロインが幼いことを際立たせようという意図があると思います。ヒロインは、これらの助言を無視して、とんでもない方向に向かってしまいます。

〉ヘイズ・コードありましたねー。かなり細かい規定があったようです。ヒッチコックもそれには逆らえなかったということですか。でも、レベッカの方こそ相当な悪女だったと思う…。

ネタバレ風で恐縮ですが、ヒッチコックは、レベッカの悪女ぶりを変えずに、レベッカの死因を殺人から事故に変えるのに、四苦八苦しています。当時のコードで、希代の悪女が相手であっても、殺人者を野放しにするわけにはいかなかったらしいです。

〉ミュージカル版は、マキシムの山口祐一郎が能天気な棒読み役者で、イメージに合わなくて残念でした。しかしダンヴァーズ夫人の涼風真世が不気味でこわかったです。

なるほど。。。。
1970年代につくられたTV版なども映像が残っています。セリフは聞きやすいのですが、ラストの謎の改変とともに、ちょっとこちらはいただけない感じもします。

〉私も原書が読みたくなりました。

もう、これは是非。自信をもって強くお勧めします。


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13410. 陽気な離婚者

お名前: 杏樹
投稿日: 2017/7/10(00:28)

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wkempffさん、こんにちは。

〉杏樹さんと私のジャンルの違いから、カバーする語彙の範囲の違いが出ていますね。さすがに、容易にBallの意味は推察できますが。。。。

日本語でも人によって知っている言葉は変わってきますからね。
私はファンタジーや歴史に偏りすぎですけど。

〉〉そうなんですか。1930年代にアメリカで一世を風靡したミュージカル映画のダンスコンビ、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの作品で「The Gay Divorcee」(日本語タイトルは「コンチネンタル」)というタイトルがあります。この時代にはこちらの意味の方がよく使われていたようです。

〉これは、ゲイ(LGBTの意味の)であることがばれて奥さんに叩き出された、のではなく、「陽気な離婚した人」というような意味なんですね。

日本語で紹介されるときは「陽気な離婚者」と書いてあります。
離婚したいと思っている女性が、スキャンダルをでっち上げて離婚訴訟を起こそうとする騒動です。こういう設定ですが、シリアスなところはほとんどない楽しいミュージカル・コメディです。コール・ポーターの作曲で「Night and Day」というナンバーが有名です。

〉〉これはわかりませんね。ただ、shepherdessは羊飼いということで、「いなか娘」のニュアンスもあるようです。なので嘲笑する意味を含ませたのかもしれません。

〉これ、確か、わずか数人のヒロインの理解者の一人、Maximの実姉が言うので、たぶん、田舎臭さを嘲笑する意味はないと思います。しかし、アリスとともに、ヒロインが幼いことを際立たせようという意図があると思います。ヒロインは、これらの助言を無視して、とんでもない方向に向かってしまいます。

そうでしたか。細かい内容は忘れているので…。

〉〉私も原書が読みたくなりました。

〉もう、これは是非。自信をもって強くお勧めします。

強く勧められてしまいました。ますます読みたくなりました。

それでは~。


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13412. Re: 陽気な離婚者

お名前: wkempff
投稿日: 2017/7/10(21:53)

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杏樹さま、再度ありがとうございます。

〉日本語でも人によって知っている言葉は変わってきますからね。
〉私はファンタジーや歴史に偏りすぎですけど。

ballはともかく、tangerineをご存知なのはびっくりしました。
好きなジャンルの違いもありますが、ベースとなる語彙力もたいしたものかと。

〉〉これは、ゲイ(LGBTの意味の)であることがばれて奥さんに叩き出された、のではなく、「陽気な離婚した人」というような意味なんですね。

〉日本語で紹介されるときは「陽気な離婚者」と書いてあります。
〉離婚したいと思っている女性が、スキャンダルをでっち上げて離婚訴訟を起こそうとする騒動です。こういう設定ですが、シリアスなところはほとんどない楽しいミュージカル・コメディです。コール・ポーターの作曲で「Night and Day」というナンバーが有名です。

なるほど、devorceeは、まだ離婚していない人にも使うんですね。
ネットで検索したら、歴史に残る傑作コメディミュージカルとありました。
楽しそうですね。

〉そうでしたか。細かい内容は忘れているので…。

〉強く勧められてしまいました。ますます読みたくなりました。

もう、お読みにならないわけにはいかないかと^^;)
今主流になっているPB版は、装丁が非常に軽装で、持ち歩きも便利ですよ。

ということで、またよろしくお願いします。


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