Re: retold版の Poison - 原作から削られている一文 -

[掲示板: 〈過去ログ〉PBの掲示板(ネタバレ可) -- 最新メッセージID: 1182 // 時刻: 2024/5/20(00:49)]

管理用 HELP LOGIN    :    :



上へ上へ | 前のメッセージへ前のメッセージへ | 次のメッセージへ次のメッセージへ | ここから後の返答を全表示ここから後の返答を全表示 | 返答を書き込む返答を書き込む | 訂正する訂正する | 削除する削除する

746. Re: retold版の Poison - 原作から削られている一文 -

お名前: たむ
投稿日: 2006/7/11(20:48)

------------------------------

〉こんにちは、成雄です。

 成雄さん、こんにちは。おひさしぶりです。

〉亀レスで失礼しますが、Poison の原作と、PGR5 retold 版の両方(どちらも未読でした)を、
〉最近読むことができました。

 ありがとうございます。

〉たむさんの指摘のとおりで(たかぽんさんの感想は原作を読んだうえでなのかも?)、
〉私もPGR5の方を読み終わった後には???って感じました。
〉 

〉重要と思える背景描写を、何でこんなにバッサリ削除したのでしょうかねぇ…。
〉該当場面を比べます。
〉 
〉 
〉物語の導入部です。

〉 夜中に家に帰ってきた Timber (= I ) は
〉同居している Harry がベッドに横たわっているのを見つけました。そして、

〉--- PGR5 (ISBN : 0582419433) 86ページ、下から10行目から -----

〉 "What's the matter, Harry?"
〉 "Sshh!" he whispered. "Ssshhh! Don't make a noise. Take your shoes off before you come nearer. Please do as I say, Timber."
〉 I couldn't understand what he was talking about, but I thought that if he was as ill as he sounded, I'd better try to please him. I bent down and took off my shoes and left them in the middle of the floor. Then I went over to his bed.
〉  
〉 
〉--- 同じ箇所の Dahl の元本 ( Someone Like You / ISBN:0140030743) 117ページから -----

〉 "What's the matter, Harry?"
〉 "Sshhh!" he whispered. "Sshhh! For God's sake don't make a noise. Take your shoes off before you come nearer. Please do as I say, Timber."
〉 The way he was speaking reminded me of George Barling after he got shot in the stomach when he stood leaning against a crate containing a spare aeroplane engine, holding both hands on his stomach and saying things about the German pilot in just the same hoarse straining half whisper Harry was using now.
〉 "Quickly, Timber, but take your shoes off first."
〉 I couldn't understand about taking off the shoes but I figured that if he was as ill as he sounded I'd better humour him, so I bent down and removed the shoes and left them in the middle of the floor. Then I went over to his bed.
〉 
〉 
〉Timber のこの過去が、彼の属性を読者に知らしめ、
〉これがあるから読者の記憶や展開の想像に深みを持たせると思うのですが。
〉 

 うむ〜。これはTimberのことですよね。まあ、Harryとも共通の
 思い出なのかもしれませんが。

 で、それがHarryがああいう行動を取ることと何か関係があるので
 しょうか?どうもよくわかりません。

 いま手許に本がありませんが、Timberに対してHarryが、どうして
 最初に医者を呼ぶことを思いつかないのかとなじる場面があった
 ような気がします。うろ覚えですが、医者は名前から現地の人で
 あったような気がします。ことによると人種差別的なこと?なんで
 しょうか?

〉 
〉あと、読了後の感想としては、
〉今だと
〉『 Harry って、現ブッシュ大統領のことか?』
〉とか思ってしまいました(笑)

 成雄さん、Harryの行動が、それなりにわかるんですね?
 なんだかまだ謎なんですが…
 それとも…Harryってそういうひどいことをする奴ってこと?
 でも、それではDahlのひねりがまったく感じられないし…


上へ上へ | 前のメッセージへ前のメッセージへ | 次のメッセージへ次のメッセージへ | ここから後の返答を全表示ここから後の返答を全表示 | 返答を書き込む返答を書き込む | 訂正する訂正する | 削除する削除する

[バレ] 747. Re: 【ネタバレあり!】 ダールの短編 Poison (PGR5 Taste and Other Tales に掲載)

お名前: 成雄 http://nariosky.blog12.fc2.com/
投稿日: 2006/7/13(00:19)

------------------------------

こんにちは、成雄です。
たむさん、ネットで見つけた解説(英文)を引用します。

★★★★
ここから、ネタバレ 注意!!!
★★★★

ネットで見つけた素晴らしいと思う視点を書きます。

引用 -------------------------------------------------
you think that the main conflict is between the men and the krait on Harry's stomach. It's only in the last few paragraphs, though, that you realize that Dahl's real point is about racism. Harry Pope is perfectly willing to tolerate Dr. Ganderbai as long as his life is in danger, but as soon as Ganderbai dares to question the white man, Harry lets his true colors show.
------------------------------------------------- 引用
[url:http://www.roalddahlfans.com/shortstories/pois.php]

これは racism の話だと。
Harry は Krait どころではない、とんでもない poison を持っていると。


上へ上へ | 前のメッセージへ前のメッセージへ | 次のメッセージへ次のメッセージへ | ここから後の返答を全表示ここから後の返答を全表示 | 返答を書き込む返答を書き込む | 訂正する訂正する | 削除する削除する

[バレ] 748. Re: なるほど〜

お名前: たむ
投稿日: 2006/7/13(13:39)

------------------------------

成雄さん、こんにちは。
たびたびありがとうございます。

ようやく納得できました。そういうことでしたか。
ジダンの頭突き事件もあり、racismは大きな問題
ですね。

しかし、Penguinのretoldを読んで、そこまでわかる
のは、ちょっと難しいですね。

Dahlは前に持っていたイメージとちがい、なんというか
現実をデフォルメして提示する作家なんですね。その
現実がDahlにとってつらそうな感じです。←これは、
Poisonではなく、ほかの児童書を読んでの感想です。

ありがとうございました。
またよろしくお願いします。


上へ上へ | 前のメッセージへ前のメッセージへ | 次のメッセージへ次のメッセージへ | ここから後の返答を全表示ここから後の返答を全表示 | 返答を書き込む返答を書き込む | 訂正する訂正する | 削除する削除する

[バレ] 749. 【ネタバレあり!】 Poison by Dahl Re: なるほど〜 

お名前: 成雄 http://nariosky.blog12.fc2.com/
投稿日: 2006/7/14(01:13)

------------------------------

この投稿はネタバレを前提に書いています。ご注意下さい。
★★★★★
 
 
たむさん、こんにちは。成雄です。

〉ようやく納得できました。そういうことでしたか。
〉ジダンの頭突き事件もあり、racismは大きな問題
〉ですね。

〉しかし、Penguinのretoldを読んで、そこまでわかる
〉のは、ちょっと難しいですね。

私は、原作と retold 版の両方を読んでも、
これが racism の話だとは気づきませんでした (T_T)
 
実は、最初の投稿時には、紹介したサイトや他のサイトを調べていなかったので
私の結論は違ったモノだったです。
ネタバレ投稿時の少し前に「そうなのかぁ」と思った一人です。

ジダン選手の頭突き事件も、解説者の松木さん同様、「あたまのこと」を
言われたからじゃないかと最初は思っていたほどの鈍さですから。

話を戻して、
この物語は、全体像がほとんどわからないままに、というか、そんなことはどうでもいい話だと
言わんばかりに、一気に緊張を高め、グイグイ進みます。
猛毒を持つ Krait (アマガサヘビ)が、お腹の上で寝ているからなんとかしなければいけないと、
当事者と仲間と医者が鼻息(口息)ひとつすら押し殺しながら、手に汗握る奮闘をしたのに、
何で「実はヘビはいなかった」っていうオチなのか…。
この脱力感。
その後に当事者が逆ギレして終了…。
そりゃ無いよ!!50年前のコントなのか?

こういう感想を私は持ちました。
で、何でこう思ったのかといえば、個人設定がほとんど曖昧で、よくよく考えてもわからない。
Harry という自己中心的な人間像の話だったのかと…。

他の人が「実はダールは○○というオチを置いていたんですよ」と見つけて読み直して
スッキリするものの、やはり、「昔のコントみたい」という感想の方が今でも強いです。

ダールのこの短編 Poison の発表は 1950年6月
雑誌 Collier's [June 3, 1950] に掲載されたのが初出のようです。

その後、Someone like you をはじめ、いろいろな短編集に掲載されています。
また、米国で、ラジオドラマ (1950)・TVドラマ (1958) の原作にもなっています。
どちらも内容は変更されていて、ラジオ版では、これなら私でもわかると言えるほどの
あからさまな racist って感じの話ですし、TV版(ヒッチコック)では結末が変更されていて、
ヘビがいなくてよかったと喜んだ後に、いなかったはずのヘビが実は居て、
仲間の方がガブリとやられてしまうという逆転つきの話になっているようです。

〉Dahlは前に持っていたイメージとちがい、なんというか
〉現実をデフォルメして提示する作家なんですね。その
〉現実がDahlにとってつらそうな感じです。←これは、
〉Poisonではなく、ほかの児童書を読んでの感想です。

まだ、ダール短編をたくさん読んでいませんが、
前提としての人物の輪郭をこれほど描いていない作品は初めてでした。
(最後にそれを明らかにするという手法だったのでしょうが…。)
だから、Timber の過去の経験にヒントがあると思っていました。
日本国内で生活しているとなかなかわかりにくい話だと思います。

歴史を見ると
1945年英国戦勝国
1947年インド(とパキスタン)英国領から独立
1948年ガンジー暗殺
1950年作品発表

この作品が書かれた時代からして、
インドにいる外国人といえばイギリス人で、しかも支配する側の立場の人間というのが
特にことわり書きがない場合は、暗黙の了解なのかもしれません。
retold 版で、Timber の過去の経験を削除したのは、そのほうが物語の性格を
より明らかにできるからと判断したからではないかと思いました。

Dahl の物語はどれもスゴイと思います。児童書にしても、短編にしても。
たむさん、
これからもお互いに、Happy Reading ♪
 


タイトル一覧へ(返答順)(B)

タイトル一覧へ(日付順)


Maintenance: SSS 事務局
KINOBOARDS/1.0 R7.3: Copyright © 1995-2000 NAKAMURA, Hiroshi.