Re: What Your XXXX Grader Needs to Know

[掲示板: 〈過去ログ〉多読と英語学習・試験に関する掲示板 -- 最新メッセージID: 1756 // 時刻: 2024/4/29(02:31)]

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140. Re: What Your XXXX Grader Needs to Know

お名前: Ry0tasan http://tadoten.blog122.fc2.com
投稿日: 2008/10/11(09:50)

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ドラちゃん、みなさん、
おはようございます。

英単語の話から、
What Your XXXX Grader Needs to Know の話に発展したのが面白いですね。

実はこのシリーズ、
米国の子どもたちの読解力低下につける薬として始まったのです。

長い間、
読解力をつけるには語彙や文法や精読が大事だと米国でも信じられていて、
その考えに基づく授業が学校で行なわれて来たんですが、
生徒の読解力は向上しないので、
言葉の知識より背景知識が大事なのではと考える人たちが出て来たのです。
実際に同じ内容でも、
難しい表現を使った文章を読ませたばあいと、
簡単な表現を使った文章を読ませたばあいと、
いろいろな試験を行なって比較したらしいです。

勿論、
語彙や文法の知識が全くの無用というわけではありません。
問題は、
語彙や文法をどう身につけるかと、
そのことにどれぐらいの労力を注ぐかです。

さらに、
背景知識が大事と分かっても、
それをどうやって身につけるかは考える必要があります。
このシリーズを開発した人たちは、
少なくとも地名・人名・年号などの丸暗記という方法には進まなかったようですね。


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150. Re: 瞠目してます!(@@) このお話、すごいヒントです

お名前: ako
投稿日: 2008/10/11(14:30)

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みなさん、こんにちは。akoです。
Ry0tasanさん、お久しぶりです。

〉英単語の話から、
〉What Your XXXX Grader Needs to Know の話に発展したのが面白いですね。

〉実はこのシリーズ
〉米国の子どもたちの読解力低下につける薬として始まったのです。

そうだったのですか!!!!!!!!大・大・納得です!
何が納得かと言いますと…

〉長い間、
〉読解力をつけるには語彙や文法や精読が大事だと米国でも信じられていて、
〉その考えに基づく授業が学校で行なわれて来たんですが、
〉生徒の読解力は向上しないので、

まさに、日本の英語教育がたどってきた経路(いや、日本のほうが、後を追った?)そのものではありませんか!
まさに、自分という個体を通して深く納得してしまいました。

「ako」というモルモットを考えてみますと、
昭和戦後生まれ、国内在住オンリー、成人前に外国人との接触体験ナシ、
等の生育条件下の日本人に、文部省時代の日本の英語公教育の成果がどう出たか、ということを思ってのことです。

〉言葉の知識より背景知識が大事なのではと考える人たちが出て来たのです。
〉実際に同じ内容でも、
〉難しい表現を使った文章を読ませたばあいと、
〉簡単な表現を使った文章を読ませたばあいと、
〉いろいろな試験を行なって比較したらしいです。

英語国での英語読解力、ということですから、日本でいえば、国語教育ということになりますね。
日本人の国語力に関しても、膨大な議論がありますから、
これは相当に、広く、深い話になりそうで迷宮に入りそうな気持ちです。

〉勿論、
〉語彙や文法の知識が全くの無用というわけではありません。
〉問題は、
〉語彙や文法をどう身につけるかと、
〉そのことにどれぐらいの労力を注ぐかです。

〉さらに、
〉背景知識が大事と分かっても、
〉それをどうやって身につけるかは考える必要があります。
〉このシリーズを開発した人たちは、
〉少なくとも地名・人名・年号などの丸暗記という方法には進まなかったようですね。

酒井先生やSSS創設の皆さんの熱い思いを初めてお聞きした時のことを思い出すような、ヒントにあふれる投稿いただき、ありがとうございました。
いま、頂いた文面を反すうしながら、灰色の脳細胞(笑)が活動開始してくるような、何かと何かが結びつきそうな、わくわくした気持ちです。
アメリカの公教育で、その後の国語(つまり英語)読解力の成果はどのようになったのか等、かなり参考になりそうですね。
高校を含め、高校以下の年齢層の日本の英語教育は、
とにかく大学入試に左右されて、右往左往しているように思います。
(英語に限らないところが、実に根の深い問題だと思いますが)

一人ひとりの個人は、これからも思うところを実践していくだけなのでしょうが、
世代によって受けた公教育の違いや、そこからくる共通点、長所短所など、
成人して以降、教育の凄さと難しさについては圧倒されることしばしばですが、面白くなってきました。

ついでみたいで申し訳ないですが、オレンジさん、
投稿ありがとうございました! 予想外のすごい展開です。
こういった発想の展開が、掲示板投稿の何よりのプラスです。


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187. 背景と成果について

お名前: Ry0tasan http://tadoten.blog122.fc2.com
投稿日: 2008/10/12(07:53)

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米国の学力論争について補足しておきます。

1947年ぐらいを境にして、
米国の大学入学者を対象にした読解力テストの結果が下降を続けていることが、
国力低下につながるという議論が、
米国の一般新聞を賑わしてきました。
ここで結果と言っているのは、
SATというテストの、
reading に関する部分の平均点です。

原因はテレビだろうとか、
学校の授業のしかただろうとか、
いろいろな仮説が出されました。

その経過の中で、
80年代末か90年代始めに、
英文学者の E. D. Hirsch, Jr. 教授が出した仮説というのが、
読解の方法や感性を中心にした授業内容が原因であるという主張です。

文章が簡単でも背景知識が不足していると理解できないということは、
いくつかの集団を対象にした調査で確認できているので、
この主張に一定の真理はあるようです。
少なくとも、
単語や文法や読解の練習だけしていて背景知識を軽視すれば、
結果的に読解力は伸びないだろうと考えための根拠にはなりそうです。
確かに、
単語や構文が易しくても背景を知らない内容の文章は理解が難しいです。

ただし、
この主張が支持され、
結果として大学入学者の読解力テストの結果が本当に上昇したという報告は聞いていないです。

一方、
なぜ試験の平均点が下降を続けたかの直接的な原因については、
90年代に決着がつきました。
それは母集団の変化です。
むかしはごく一部のエリートだけが大学へ入学していたのに対し、
実学系の大学も増え、
大学へ行きたいと本人が望めば行ける大学はどこかに必ずあるという社会に変化して行ったため、
入学者の平均点も変化したのだというのが、
最も確実視された回答です。

そういうわけで、
Hirsch 教授の犯人さがしは失敗に終わったのかもしれません。
それでもあえてこの話題を出したのは、
背景知識を増やすことが読解力の向上に繋がるという点に限って言えば、
期待ができそうと感じられるからです。


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221. Re: 背景と成果について

お名前: ako
投稿日: 2008/10/15(00:53)

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Ry0tasanさん、akoです。補足していただいて、ありがとうございました!

〉ここで結果と言っているのは、
〉SATというテストの、
〉reading に関する部分の平均点です。

了解しました。
国語力は、どこの国も真剣な問題ですね。

〉原因はテレビだろうとか、
〉学校の授業のしかただろうとか、
〉いろいろな仮説が出されました。

テレビが問題とされるのは日本もそうでしたね。
遠い昔に、一億総○○化だと話題になったそうですね。

〉結果として大学入学者の読解力テストの結果が本当に上昇したという報告は聞いていないです。

「アメリカ人の国語力」
「イギリス人の国語力」
…といったように書いてみると、つくづく、そのあたりどうなっているのか、
興味が出てきました。

あっ、この先をさらにRyotasanに調べていただきたい、という意味ではありませんので、どうかご心配なく〜。
多読英語力つけて、英米のネット新聞を読めるようになって、自分で読みます。(と宣言して自分に活を入れました)

〉なぜ試験の平均点が下降を続けたかの直接的な原因については、
〉90年代に決着がつきました。
〉それは母集団の変化です。
〉むかしはごく一部のエリートだけが大学へ入学していたのに対し、
〉実学系の大学も増え、
〉大学へ行きたいと本人が望めば行ける大学はどこかに必ずあるという社会に変化して行ったため、
〉入学者の平均点も変化したのだというのが、
〉最も確実視された回答です。

あーっ!! この、母集団が原因で、という話を、
日本人のTOEFLの点数関連の話題で聞いたことがあります。

日本人のTOEFL平均点数は、他の非英語圏の外国との比較で非常に低いのはどうしてなのか?という話題で、他国では本気で北米に留学する人だけが受験するが、日本人は進学目的の受験者だけでなく、力試しも含めた多様な受験者がTOEFLを受けるから、全体の平均が下がるそうだということでした。
日本は豊かなのですねー、とのん気なことを言っててもしょうがないですね。

それより、驚いたのはアメリカのことです。

(再度引用です)
〉大学へ行きたいと本人が望めば行ける大学はどこかに必ずあるという社会に変化して行ったため、

この現象は日本ではだいぶ前から顕著だったと思いますが、
アメリカ(90年代)でもそうだったんですか!

〉そういうわけで、
〉Hirsch 教授の犯人さがしは失敗に終わったのかもしれません。
〉それでもあえてこの話題を出したのは、
〉背景知識を増やすことが読解力の向上に繋がるという点に限って言えば、
〉期待ができそうと感じられるからです。

Hirsh教授の問いかけは、国語力の低下を警告する意味で意義のあるものでしたでしょうね。

背景知識と読解力って、たまごとニワトリみたいで、なんとも私には難しいです。
たしかに多少なりとも知識のある分野の本は、読解もラクなので、知らない分野のことよりは、明らかに読めるのは確かです。が、読解力不足の段階では、いくら知っているジャンルの本でも、やはり難しくて読めないです。そこで、児童が読むような英語の本で読解力をあげて、その読解力で、大人向けの本もどんどん読み、それで結果的に知識も広がる、という場合もあって、結局、影響は相互乗り入れという感じになっています。(自分の多読の経過が、そのような感じになっている、という意味です)

もっとも、国語の場合(英語母語の人が、英語の読解力を上げる場合)の話と、外国語の場合(日本人が英語の読解力をあげる場合)の話とでは、また違うということなのかもしれませんね。

いずれにしても、とても刺激的な話で、活性化されました。
ありがとうございます。


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153. Re: What Your XXXX Grader Needs to Know

お名前: ドラちゃん http://dorataoku.blog37.fc2.com/
投稿日: 2008/10/11(16:24)

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 Ry0tasan、こんにちは〜!ドラです。

〉英単語の話から、
〉What Your XXXX Grader Needs to Know の話に発展したのが面白いですね。

〉実はこのシリーズ、
〉米国の子どもたちの読解力低下につける薬として始まったのです。

 なるほど。それは興味深い話です。

 Ry0tasanの記事を読んで、改めて3年生用の冒頭に書いてある前書きを
再読してみたんですが、でもそこにはやはり日本の学習指導要領の様な標準
カリキュラムがないために発生する様々な問題が主に書かれているだけなので、
私はそんな事が背景にあったとは思わずに読んでいました。

# 双子を同じ小学校に通わせているのに
# 全然違う事を学んでくるので、困惑して
# いる親御さんの談話とか、ですね。

〉長い間、
〉読解力をつけるには語彙や文法や精読が大事だと米国でも信じられていて、
〉その考えに基づく授業が学校で行なわれて来たんですが、
〉生徒の読解力は向上しないので、
〉言葉の知識より背景知識が大事なのではと考える人たちが出て来たのです。
〉実際に同じ内容でも、
〉難しい表現を使った文章を読ませたばあいと、
〉簡単な表現を使った文章を読ませたばあいと、
〉いろいろな試験を行なって比較したらしいです。

〉勿論、
〉語彙や文法の知識が全くの無用というわけではありません。
〉問題は、
〉語彙や文法をどう身につけるかと、
〉そのことにどれぐらいの労力を注ぐかです。

 でもね、これって日本の学校教育でも長年言われてる事ですよね。

  『生徒に読解力がない』

という命題ですね。

 こちらの多読者達の間でも、本のYLの高低だとか、ニュースや新聞記事の
読みやすさだとか、シマウマ読みの効能だとか、いろいろな事が話題になって
ますけども、やはり総じて言えるのは、

  『背景知識のあるモノは読みやすい』

という事かなぁ…と思っています。

 上で書いた『生徒に読解力がない』という言われ方にしても、結局は単なる
国語力の問題ではなくて、いわゆる総合的な学力の問題だったのではないかと、
私は素人ながら解釈しているんですが。

〉さらに、
〉背景知識が大事と分かっても、
〉それをどうやって身につけるかは考える必要があります。

 ちなみに、私がこういう本を探すに至った心境というか、希求とも言える
原体験は、数年前にChicagoの住宅街の路地で子供達が遊んでいるのを見た時ですね。

 そういう普段の生活体験や学習体験の中で積み重ねられていく言語体験が、
一つ一つの英文表現に対してピン!とくる様な解釈の裏付けになっているの
ではないかという思いが、路地で遊んでる子供達の姿を見ていたら不意に
こみ上げてきて、そうした時間の積み重ねの重みに頭の中が轟然となったのを、
多読を始めてから思い出しました。

 それで、とりあえず自分なりに出来る事を少しずつやってみようと思って探して
たら、いろいろな本を経て、このシリーズに行き当たったという訳です。

〉このシリーズを開発した人たちは、
〉少なくとも地名・人名・年号などの丸暗記という方法には進まなかったようですね。

 そうですね。

 まだ読み終わったのは2年生の分だけですが、面白く感じたのは、各教科の
内容を有機的に関連づけようという試みが、この本では随所に感じられる事です。

 思い出せる範囲で書いてみると、たとえば、歴史のセクションではアメリカ史
として、コロニー時代から独立戦争を経て、移民入植盛んなりし頃を説明して
いますが、かたや文学のセクションでは西部開拓時代の人々の生活を描いた
作品を取り上げていたりして、各教科の内容がオーバーラップする様に教材が
取り上げられている様な感触を随所に感じました。

 そのせいか、私は時々、(各教科を並行して読んでいた事もあって)歴史の
セクションを読んでいるのか? それとも、文学のセクションを読んでいる
のか? よく分からなくなってしまう事が何回かありましたけれども…(汗々)

 ではでは。


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