「熱心な」教師&従来型の授業との兼合い

[掲示板: 〈過去ログ〉多読による外国語教育 -- 最新メッセージID: 1456 // 時刻: 2024/5/14(18:29)]

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164. 「熱心な」教師&従来型の授業との兼合い

お名前: KYO
投稿日: 2004/2/21(10:51)

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下のツリーがかなり長く伸びているので新たな発言にします。

下のツリーで学生との信頼関係の形成が多読指導の成功の鍵であるという話題に関連してちょっと思ったことを書かせてください。

SSS多読ではなく従来型の授業で教えている教師で、ある種「熱心」な人ほど多読が受け入れにくい面があるのではないかという気がするのです。非常に熱心に教材研究をし授業でも一生懸命教えれば、学生も応えてくれて信頼関係も生まれそれなりに効果もあがる。そういう教師の場合、SSS多読の話を聞いても、自分が今やっている方法でも十分よくやれているし、学生たちとの信頼関係も良好だから、新たに多読による授業を取り入れる必要はないと考えるのではないでしょうか? こういう人たちを説得するのにはどうしたらいいかなと思いますね。皆さんなら、どうなさいますか? 何か有効な方法ってあるでしょうか?

さらに、それから発展してちょっと書き足します。自分はここ3年ほど"English Grammar in Use"をテキストに、主に英語を使って文法を教えるという授業をやってきたのですが、導入の工夫や自作のワークシートなどで3年目にしてようやく自分でも今年はうまくいったかなと思える授業ができました。まだ英語の理解力が高くない学生に英語で文法を教えるのにはいろいろ試行錯誤があったのですが、今年度は学生たちとの距離感も近いなあと感じる場面も多く、授業アンケートでも学生たちがよい評価をしてくれていてとてもうれしく感じました。

しかし、私の場合、"文法をいくら一生懸命やっても間接的な影響しかない、結局、英語力はinputを増やすしかない"と思っていますから、「授業外で文法の勉強に時間を割かないで、この授業内だけでやり切りなさい。自分で自由に使える時間は英語に少しでも触れるように」といいます。翻訳を教える授業に至っては「翻訳を勉強しても英語力は伸びません。授業で教えられるのは翻訳の技術です」と明言しています。

私自身もある種「熱心な」教師の1人かなと思いますから、"多読の授業ほど英語力の伸びには貢献しない、間接的な影響に留まる"と思っていても、やはり従来型の授業でもその授業の枠内でできることで、どうやったら学生が興味を持つだろうか? どうやれば理解が深まるだろうか?といろいろ工夫をします。枠組みから出ることができれば、そして、できるように努力するということが肝心なのでしょうが、カリキュラムというものがあり、それぞれの授業に一定の目標達成が割り当てられている場合は結構難しいと感じています。

ここら辺はかなりのジレンマで、多読指導以外もやっていらっしゃる先生たちは多かれ少なかれ感じていることだと思いますが、どう自分の中で折り合いをつけていらっしゃるのかな?と思います。スパッリ割り切って、カリキュラム上の授業目的はちょっと置いて、多読をとにかく導入するという場合もあるでしょうね。(カリキュラム全体が妥当かどうかの問題はもちろんあり、妥当性自体にも考慮しつつ、全体の中で自分がどういう役割を担っているかの位置づけもそれなりにやってはいるつもりですが)

自分の場合は、長期的には多読を何とか進めていきたいが、従来型の授業でもできるだけのことはしたいと思ってしまうので、オーバワーク気味になるという状態に甘んじています。来年度はたまたまカリキュラムや担当の変更でかなりの授業が新たに組まざるを得ず、そのうち多読指導は全体の6分の1ぐらいにしかならないので、これでは多読より他の授業準備のほうにすごく時間がとられる〜と昨日ちょっと青くなっていました。

そろそろ4月からの授業準備を本格的にされる頃だと思うのですが、皆さん、このあたりの問題、どう対処されていますか?


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165. 英語運用能力を総合力として達成目標に設定することが必要では?

お名前: yksi
投稿日: 2004/2/21(12:35)

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yksi です

論点がずれてしまうかもしれません。

私は、担当教員の熱心さと、「多読」選択は、独立した(直接的な依存関係は小さい)問題だと思います。「多読」導入の障害となるのは、「英語」関連科目の達成目標が(無いこと、不明確なことも含めて)、総合力を問題にしていないことだと考えます。

例えば、異文化理解が達成目標であれば、必ずしも外国語は必要ではありません。むしろ日本語の資料が充実しているのであれば、そちらを使う方が好ましいかも知れません。
また、「五文型を理解し、五文型をふまえて簡単な英文が書ける」という細かい文法項目を、科目の達成目標の一つに設定しても、英語の文章が書ける方向への寄与は、それほど大きくないかもしれません。
英語の運用能力(聴・読・話・書)を、細分化しない、総合力として科目の目標に設定しないと、多読を導入しようということには、ならないのではないかと思います。

多読を体験された多くの方が感じている進歩は、英語を読む力(を中心とした)の総合力だと思います。科目の達成目標が、そのような総合力を問うていない場合、科目の達成目標を忠実に達成しようとすればするほど、多読は選択肢からはずれる、ということではありませんか。


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166. Re: 「熱心な」教師&従来型の授業との兼合い

お名前: 古川@SSS http://www.seg.co.jp/
投稿日: 2004/2/22(01:38)

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"KYO"さんは[url:kb:164]で書きました:

〉それで思ったのですが、SSS多読ではなく従来型の授業で教えている教師で、ある種「熱心」な人ほど多読が受け入れにくい面があるのではないかという気がするのです。

それはそうともいいきれないと思います。
神田さん、黛さん、畑中さん など今は多読中心でやっておられる
方も、つい最近までは、「熱心に普通の授業」をやられていた方です。

>非常に熱心に教材研究をし授業でも一生懸命教えれば、学生も応えてくれて信頼関>係も生まれそれなりに効果もあがる。

それなりの効果はあるが一時的
それなりの効果がそれなりに過ぎない
どんなに工夫しても、英語のできる子とまだできない子を同時に満足させることは
(特に高校や大学では)非常にむつかしい

なので、何か良い方法はないかと模索している方がSSSの多読に移ってきている
のが現状だと思います。

「それなりの効果」に満足されている先生は、多読をやろうと
まず思わないでしょうね。


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167. Re: 「熱心な」教師&従来型の授業との兼合い

お名前: coomin
投稿日: 2004/2/22(03:16)

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KYOさん

私は熱心な教師で、「それなりの効果」に満足しているような人に出会ったことはありません。(何をもって「熱心」と呼ぶか、という問題もあるでしょうが)
お友達の先生の場合も、多読の効果を知らないから多読を導入しないだけだと思いますよ。


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168. 問題状況が違ったようです

お名前: KYO
投稿日: 2004/2/27(06:11)

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みなさん、どうもレスをありがとうございます。
二つを並べて書いたのがそもそもよくなかったようです。

書いた後しばらくして自分でも気づいていたのですが、
私が置かれている状況は、多くの英語教師の方々とは違っていたのですね。
私が英語を教えているのはカリキュラムの中に
さまざまな英語の科目があるような語学系の学校だということです。
ですから自分が担当する英語科目にはそれぞれ個別の細分化された目標があります。
細分化された目標自体をどれぐらいクリアしたかという観点にたてば、
目標達成がよくなされたという判断ができるわけです。
また、全体として入学当初から卒業するまでの間に学生たちの英語力は少なくとも一定度は伸びるのです。
私の勤務校ならTOEICスコアでいえば大半の学生は200点ぐらいはアップしていると思います。
私自身は語学専門の学校としてはもっと伸びてほしいと思っていますが、
あまりできないレベルの学生でも英語力がまったく伸びない、
英語ができないままという訳ではありません。

それに対して多くの英語教師の方々は、他の科目が多く並んでいる中にあまり再分化されていない
総合的な目標を持った「英語」という科目がある場で教えていらっしゃいます。
大半の方々の状況だと、英語がなかなかできるようにならない、
できる子とできない子の学力差が激しいといった悩みもより切実なはずです。
従来型の授業と決別して多読を授業方法として選択されるという形になるわけです。
こう考えると私が伺いたかった従来型の授業と多読授業との折合いをどうするか
という問題はまず多くの人には生じないですね。

ある種「熱心な」教師はほど多読指導を受け入れにくい面があるという点に関しては
そういう人を言葉で説得するのはかなり難しそうだと思いました。
相手のやっている授業に対して「効果があっても一時的」「学力差が解消できない」と言ったら、
これは相当な反発をくらいますよね。話を聞いてもらえなくなります。
こういう方々については
うまく誘って多読授業を見学する機会を作ることが一番いいように思います。
私の周囲には、ある種「熱心な」教師はわりに多数存在しますので
(いくつかの語学系の学校に勤務していますので普通の学校より語学教師にはたくさん会います)
私一人でも導入に踏み切って効果を見せられれば、普通の学校より
波及的な影響が大きい、その点は期待できると思います。
ある学校では正式な多読の授業はしていないものの、個別にやり始めた学生が数人いて、
図書館のGraded Readers の貸し出しがかなり増えています。
"ある学生が200万語を読みました。その学生が今『風とともに去りぬ』に挑戦しています"
と話すとそれはすごい!という反応がかえってきて、正式導入前でも
「多読はよさそうだ」という印象は与えられていると思います。
4月から正式導入すれば、もっと影響が与えられる可能性があるわけで
何だか楽しみになってきました。


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170. 生徒一人一人が主役になれる多読

お名前: マリコ@SSS
投稿日: 2004/2/22(20:53)

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"KYO"さんは[url:kb:164]で書きました:

KYOさん、こんばんは。SSSのマリコです。

多読は、生徒一人一人が主役になれる授業だと思います。
主役になれる授業ではなく、主役であり続けなければうまくいかない授業だと思います。
つまり授業で多読を個人指導する教師は、裏方のような、サポーターのような役目を演じることになります。
自分が主役であり続けたいという先生は、そういう役割を演じることに不満を感じられるかもしれません。

でも、英語の授業は、本来生徒のためにあるべきものですよね。


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171. 多くの教師に働きかけたい

お名前: KYO
投稿日: 2004/2/23(10:43)

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ちょっと付け加えです。

私が最初の発言で書いた以下の部分、

  「SSS多読ではなく従来型の授業で教えている教師で、ある種「熱心」な人ほど多読が受け入れにくい面があるのではないかという気がするのです」

ここに皆さんのご意見が集中してしまったようで、私としてはむしろこういう先生たちに多読のよさを気づいてもらう方法はないか?そのための具体的なやり方を伺いたかったのでした。

何を持って熱心かについては、多読を進めている教師の中でも異論があるだろうと思って、"ある種「熱心」" "〜な面があるのではないか"と相当気をつけて書いたつもりだったのですが、どうもうまく伝えられなかったようです。

  「それなりの効果」に満足されている先生は、多読をやろうとまず思わないでしょうね。(古川さん)

   私は熱心な教師で、「それなりの効果」に満足しているような人に出会ったことはありません。(coominさん)

   自分が主役であり続けたいという先生は、そういう役割を演じることに不満を感じられるかもしれません。(マリコさん)

お三人のご意見だと、こういう先生たちは説得はできない、説得が非常に難しいと思っていらっしゃるのかなと感じました。

でも自分の現在の授業に「満足」されている先生たちにも(その満足が自己満足だというご指摘があり、確かにそうだと思うところも多々あるのですが)そういう先生たちにも私は多読のよさを知っていただきたいと思います。そのためのよい方法、まず興味を持って、もっと多読について知りたいと思ってもらえるような方策を私は考え続けます。こういう先生たちが多読を進める側に回ってくだされば、とても力強い味方になると思うからです。

それには、やはり言葉による説得ではなく、実際の授業を見学をしてもらうこと、学習者が一心に読んでいる様子を見てもらい学習者から直接話を聞くこと、学習者の人たちの読めるようになったという喜びの声をこの掲示板で読んでもらうこと、こういったことが一番いいのではないかと私は思います。

「あなたのやり方ではダメだ」という言い方は、相手の心を閉ざしてしまうので私は避けたいです。私自身が多読のよさを十分に認めるまでには、心の中でかなりの紆余曲折があって「自分がこれまでいいと思ってやってきたことではダメだったのか!」という自己否定を経るのは結構シンドイものがありました。自分の内側からではなく、外からその否定を受けてしまっては反発や反感しか生まれないように思うからです。

SSS多読は、従来の方法と大きく違っていて、それだけに最初は多くの教師が違和感をいだきがちなのだと思います。それは逆の面から考えれば、SSS多読が非常にエポックメーキングな学習法であることの反映でもあるのでしょう。これまでSSS多読を広めていらっしゃった酒井先生、古川さん、マリコさんのご苦労は並大抵ではなかったと思います。私はその大変さを知らないから、能天気なことが言えるのかもしれませんね。

でもこの掲示板を読んで人の中には、多読に興味を感じるが、まだ導入までは考えていない先生方や、あるいはやりたくても客観的な条件に阻まれ従来の授業方式を続けていらっしゃる先生たちもいらっしゃるでしょう。(私が多読と従来型の授業の折り合いをどうつけているかという点で他の方の意見を聞きたかったのはそれに関連してだったのです)そういう人たちが掲示板を読まれたときのことが私はちょっと気になるのです。

多読が広まればそういう方たちの参加も当然増えるだろうし、長期的にはそういう先生たちにも多読を授業に取り入れてもらえればと願っています。SSS多読のよさをわかってもらうには時間がかかることを覚悟して、長い目でみようと思っています。


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172. Re: 多くの教師に働きかけたい

お名前: yksi
投稿日: 2004/2/24(17:25)

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KYOさんへ、yksiです。


〉私としてはむしろこういう先生たちに多読のよさを気づいてもらう方法はないか?そのための具体的なやり方を伺いたかったのでした。
〉でもこの掲示板を読んで人の中には、多読に興味を感じるが、まだ導入までは考えていない先生方や、あるいはやりたくても客観的な条件に阻まれ従来の授業方式を続けていらっしゃる先生たちもいらっしゃるでしょう。(私が多読と従来型の授業の折り合いをどうつけているかという点で他の方の意見を聞きたかったのはそれに関連してだったのです)そういう人たちが掲示板を読まれたときのことが私はちょっと気になるのです。
〉多読が広まればそういう方たちの参加も当然増えるだろうし、長期的にはそういう先生たちにも多読を授業に取り入れてもらえればと願っています。SSS多読のよさをわかってもらうには時間がかかることを覚悟して、長い目でみようと思っています。

これは私見ですが、多読の導入に熱心になれるのは、本人が多読の効果を実
感していることが、第一の要因だと思います。多読によってブレークスルー
を実感しないと、なかなか、従来の方法とはギャップの大きい多読を授業に
取り入れてまでという気には、ならないと思います。
他の方法で英語の力が身についてしまっている人には、分かってもらうこと
が難しいかもしれません。学生・生徒にではなく、本人がさらに英語力を付
けたいと思っている場合には、まだ、多読の効果を体験する余地があります
が、自分の英語力に満足している場合は、その人がまだ身につけていない他
の外国語で、多読をやってもらうと良いかも知れませんね。

教員本人が、多読の効果を実感していても、外的な制約によって授業への導
入ができないケースは、上記の場合よりも、解決が易しいと思います。この
場合、多読を実践する他の教員とのネットワークが生きてきます。

あまり、お役に立てず、申し訳ありません。

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