第3回、英語教育ワークショップ報告(2003年11月)

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[報告] 43. 第3回、英語教育ワークショップ報告(2003年11月)

お名前: マリコ
投稿日: 2003/12/3(22:41)

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100万語多読による英語教育ワークショップの報告
    2003年11月30日  SSS英語学習法研究会 河手真理子

 今年のワークショップは、参加資格を100万語多読の実践者かまたはこれから実践する教師とし、35名の参加者で行われました。
発表は14人の英語教師により行われ、100万語多読を実際に授業で行った結果から成果と問題点が報告されました。
 討論も具体的でかつ実践的なものが多く、明日からの多読指導にすぐに役立ちそうなヒント、たとえば、
1. 多読を始めてマンネリになりそうな4週間目くらいに、マンガの本を入れる。
2. 多読にだいぶ慣れてきたところでシャドウイングの指導をいれる。
などが示され大変充実したものになりました。

 これらの報告を聞きながら、この1年で、一部の大学や塾だけでなく、中学・高校・個人英語教室と少しずつ100万語多読のよさが注目されつつあることを感じました。
 初学者への英語の導入用教材がまだORTしか知られていないため、今回はORTを教材とした報告が多く、ORTのよさを再確認するきっかけにもなりました。小中学生が対象のときは教材がORTであるのは当然であるとしても、高校生、大学生でもORTから読む必要があるというのは、英語教育の早い段階での失敗を示しているといえるのではないでしょうか。

 多読を成功させる鍵は、やさしい本が自分で選べるほどたくさんあることです。SSSの古川が「多読用教材の紹介」で紹介した、ORT(Stories) と同じレベルのやさしい本のシリーズ, Literacy Land. Chatter Box, HM Leveled Readers, PM Readers, ORT WEB, ORT Non-fiction, ORT Fireflies などが、できるだけ早い時期に簡単に安く手にはいるようになることが望まれます。

■100万語多読の結果報告と問題点の概略
1.やさしい本を読むことは子どもたちにとって、楽しい経験になっているということは間違いない。
2.多読を継続していくうちに英語の力がついたと実感する生徒が多い。
3.ORTやICRには口語表現がたくさんあるので、それらの本を読むと教師にとっても役に立つ。
4.易しい本だけを勧めていても、上のレベルを自然に自分で読み始める。
5.ORT stage 5、6,7で読めなくなる生徒が多く、その対策に困ることが多い。
6.ORT stage5,6,7から何ヶ月もあがれない学生がいたが、そのうち自然に総語数1000語程度のGR(PGR0,PGR1)を読んでいた。つまりやさしいものでも読み続ければ自然にレベルが上がることがわかった。
7.対象となる学生に英語獲得自体への意欲が低いと、多読をするモチベーションが低く、多読授業を勧めるさいの障碍になっている。
8.多読を評価することの是非。学校では評価はさけられない問題であり、もしするならどう評価するのがよいか?

これらについて、熱心な質疑応答が繰り広げられました。

 学校の現場で強い風当たりを感じながらも、この方法しかないと多読の効果を信じて情熱を持って指導をされている先生方が少数ながらいらっしゃることを知り、たいへん嬉しくまた心強く感じました。これから先ますます学校教育の場で多読が広がっていくであろうという印象を深くしました。

■英語教師と社会人タドキストとの意見交換会
1.社会人は、英語ができるようになりたいというモチベーションが高く、多読を自分の意志で始めるのでうまくいくことが多いのではないか。
2.社会にでてから英語がどんな場面でも必要になるという現実を知ってもらうために、社会人タドキストが学校で講演をする機会を作ることも意義がある。
3.300万語、500万語と読み続けているタドキストに対して、教師側から驚きの声が上がり、どんなときに読んでいるか、多読前の英語の実力はどうだったか、辞書はほんとにひかないで読んでいるのか。

などの質問がされた。

■感想
 学校での評価をどうするかの討論の最後で
「社会人タドキストとの交流会の場には喜びが充満していた。評価なし、競争なし、比較なし、ただ全国のみんなの励ましがあるだけ。英語とかかわる喜びがある。学校の場に喜びはあるだろうか。」という中沢先生の言葉がとても印象的でした。
 これからの学校での英語教育を成功させるのに必要なものがはっきりしてきた感があります。

■多読を普及するための新しい会についての提案がなされ、酒井、神田、黛、畑中、西澤、古川、河手、佐藤が準備委員会の世話人となることが決まりました。


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52. ワークショップ(2003年11月) タドキスト大会 アンケート

お名前: 古川@SSS http://www.seg.co.jp/
投稿日: 2003/12/16(01:47)

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アンケート結果について


詳しくは、
[url:http://www.seg.co.jp/sss/2003-tadokists/2003-11-workshop-questionaire.xls]
をご覧下さい。

28日の質問と回答


設問5:SSSや酒井先生への質問・疑問・要望があればおかきください。 (抜粋
)						赤字はSSSによる回答
・英字新聞などと平行して易しい本を多読すべき。小説ばかりで、英文雑誌を読む力はつかにのでは?						
児童小説ばかりでも、Newsweek を読めるようになった人の例が報告されています。						
・ブランクがあると力は付かないのでしょうか?						
シャドウイングが分からない						
・英語教育の土台があるからでは?他言語でもかのうなのか?他言語で多読をしている人はいるのか?						
日本にいる日本語学習者で日本語の多読をしている人はかなりいます。
ドイツ語・中国語の多読をはじめた日本人のひともいます。
・とばすテクニックを知りたい
・音やリズムの学習はどのようにするのか
テープを聞いたり、シャドウイングしたりします
・訳せないが解る、は本当に解っているのか。読めるとは解ることでは?
うまく日本語に訳せなくても読んで楽しんでいるなら 60%は理解しているといってよいと思います。
・英語が「使える」ようになるまでに、いくらくらいかかりますか?
個人で始めるなら約10万円程度
・教材をまとめてそうろえようと思う場合、どのように、どのような順番に入手すれば良いのか
やさしいものが順々に
・文法を知らない者でも多読を始めることができるでしょうか?
初期の段階をどうするのが一番効率的なのかは正直まだ実験段階です。原理的には、読み聞かせから始めれば可能だと思います。
 基本的な単語を音に直して読むことが出来なければ、出来ないと思うのですがどうでしょうか?
聾唖の方も自由に本は読めるのですから音がわからなければ読めないといのは根拠がありませせん。もちろん、多聴の必要性を否定しているわけではありません。


30日(日)で寄せられた意見
2003/11/30   多読ワークショップ アンケート集計					
(参加者:約60名  アンケート回収:33名  回収率:55%)					
					
					
設問1:午前中のワークショップの感想をお書き下さい (抜粋)					
					
教師の会					
・色々な学校での実践例がうかがえて、私自身もやってみようという勇気がわきました					
・評価のお話はとても興味深く聞かせて頂きました。なんの制約もない自分の立場をあらためてラッキーと感じました。					
・高校での導入はやはりいろいろな縛りがある(受験との関わり、評価をどうするか)のだなあと思いました。					
  「楽しいから読む」という多読を実現しづらさがある中でいろいろな形で工夫していらっしゃるのに感心しました。					
・英・日にかかわらず多読が必要なことは明確ですので、各校多読を開始した、そのこと自体は評価できますが、					
  ノウハウよりデータの説明のみに流れたのが残念でした。(全員という意味ではありません。具体的なノウハウももちろんありました)					
  「読むことを苦にしない」という習慣そのものが、自分が社会に出て各分野で生きていく上で、					
  その分野に必要な本を読み、資料を読み、レポートを読むという形で大きな助けになるわけですから、					
  「評価なしで自発的に多読の時間を設けるということ」が基本であることに賛同します。					
・英語に苦手意識を持つ学習者(でも、英語が読めるようになりたいと思っている)に対しては、よい方法であることが、
  複数の実践側から共通してみえる。複数年の継続指導を前提に、まともな評価法を検討できないか?
・一人10分の発表時間は短すぎだと思います。
・インターネットを使っての「タドキストの会」の様々な活動は新鮮だが、あまりに素人っぽい、
  あるいはインターネットの限界性をそのまま運営に持ち込んでアップアップしている感じがする。
  インターネットは便利ですが、欠点も非常に多いものです。インターネットは便利ですが、欠点も非常に多いものです。
  これから何千人、何万人が参加してきた時のスケールを考えて、構造・組織・システム等を考えていくべきです。
  ただし、自主的な会の運営なので決めすぎはよくありませんが…

タドキストの会
・個々の活動にもっと積極的に参加する必要を感じました。
・普段掲示板だけではわからない細かい点がよくわかった。
・MLの運営だとか、興味本位の人への対応とか、今まであまり考えてなかった部分の経験談がきけたのは大きかった。
・顔のみえる関係をもちたいと思った。
・他の教室での生徒さんの様子、工夫などがよく分かり、参考になった。共通の悩みがあることも実感できた。
・実は悩んでいることはみな同じということが収穫でした。各地の活動の様子は参考になります。



設問2:お昼のワークショップの感想をお書き下さい (抜粋)

教師の会
・評価のお話はおても興味深く聞かせていただきました。
  なんの制約もない自分の立場をあらためてラッキーと感じました。
・社会人の多読という点では本にこだわらずに
・いろいろなinputがあって、自分の中のこれまでの考えや経験をうまく折り合いがつかないかなーと思うのですが…。
  多読というのは、コミュニケーション能力を伸ばすもの、使える英語をみにつけるものだと私は思うのですが、
  多読を英語の受験対策や成績をあげるのに使うというのはどうなのか?
  英語力をつけなくてもよいと思う人が、半ば強制された形で多読をやったときにそれは有効なのか?
  日本語であれ、英語であれ本を読むという習慣のない子に多読はどうなんだろう
・多読が広がりを持ち始めている実感ができました。普及してくると様々な問題があぶり出されてきますね。
  それら全部が前向きにとらえられていくエネルギーも感じられました。うれしいです!
・中一レベルの内容の英語も残っていない大学生がいるという事実に驚きました。
  費用と時間のもったいなさに、どこに向けていいのか分からない憤りを感じました。
・社会人の方々の入室により大変面白いmeetingとなりました。
  社会人の多読という点では本にこだわらずインターネットで社会的な問題をダウンロードすると莫大な量の資料が入手できますから
  それを読んでテーマとしてBBで討論するなどcritical thinkingを育てることも大切であると思います。

タドキストの会
・早く優香さんの「自動レベル評価平均値」システムの稼動を望みます。
・レベル分けはやはり難しいです。
・レベル分け、ネット上よりも本音が出た気がします。
・YLについては、基準本の設定がされてよかった。
・フロチャート的なガイドはぜひあった方がいいと思います。ワークショップで話した、一般PB、新聞、雑誌、ビジネス書に達するまでの
  Trunk BooksとMore Books(ORTの例のような)という紹介方法に分けるのも一手かも。
・一般書のレベル分けは難しいけれど、易しい本を読んでいけば、こういうものが読めるというはげみになることなので
  私は書評に一般書のレベル分けも必要ではないかと思いました。
・SSSとしての情報発信やサービス、しくみには、プロのマーケティング視点も必要と思いますが…。
・できるだけ挫折者を出さないためのレベルの見直しは、大変有意義であると思いました。



設問3:今回のワークショップ全体の感想・次のワークショップへのご希望をお書き下さい (抜粋)

教師
・大変参考になりましたが、金曜の午後から土・日というのは翌週からの仕事を考えるとちょっと大変です
・社会人と児童英語で義務教育をはさみうちしようとの酒井先生のお言葉頼もしく受け止めました。高橋さんがSSSの方法を使わないでも、
  すでに自力で100万語読める大学生・社会人を育てるために児童英語がんばろうとおっしゃた言葉が心に残りました。
・様々な現場で英語と関わっている人が一同に会して自由に意見を交える、このような場は日本の英語教育界の中で、私の知っている限りでは
  初めてではなかったのではないかと思います。他国に比べて非常に送れている英語教育の変革がこの場から生まれていくような思いがしました。
  本当にすばらしい機会をしかも無料で開いて下さったことに深く感謝します。
・シンガポールのインターナショナルスクール(イギリス系)で2年間ほど小学校1〜2年のESLの授業の手伝いをしておりましたが、
 そこで一番重視されていたのは多読でした。ベースとなるReading Program (level 1-8)副読本、週末のreading。
 12歳までに到達するレベルがきまっておりましたが、最初なかなか読む量が少なくて、後で伸びる。
 最初どんどん読んで難しくなるとスピードが遅くなる子。550名の大所帯、内ESLに所属する子は20%ほどでしたが、
  (どの子もペースの差はありますが) 12歳までには必ず達成できるということでした。
  そのknow-howがすばらしかったので日本で実践しようと(1987〜)教材を多数持ち帰りましたが、 なかなか困難でした。
  日本の環境において同じことを行うことをあきらめかけておりまして、
  今日このようにして、各機関で多読の必要性がみとめられてきたことはたいへんよかったとおもいます。
 これから先の英語教育法として大きく伸びていく分野であると思います。
・次回、実際に各校各人がお使いの多読教材を具体的に紹介していただければと思います。
  (30日のみ出席でしたので28・29に紹介されたかもしれませんが)
・現在上下左右にはずれた学生達を個人的に教えていますので、多読では大学受験にむけて新聞や別のESL教材を使っております。
  あらためて、初心にもどり、reading programを考えてみようと思います。
・多読とリスニング等、他の技能への(波及)効果
・蔵書情報のより本格的な交換
・是非、社会人のタドキストにも来て頂いて、学生向けの公園をしてもらいたい。
・読み聞かせのための/Shadowingのためのワークショップを開催してもらいたい。
・社会人の方の多読がどうしてうまくいっているのかの研究をするといいと思います。
  教師というたちばの人は英語を通じて自分が伸びている、自分の喜びが広がっている、これを生徒に伝えるのが仕事だと思います。

タドキスト
・今回のような場は必要である。ただし、運営には負担がかかるのでボランティアでやっていくのは難しいと思う。
・こういうのが1年に1回ぐらい開催してみ直すことは非常に大切だと思った。
・これから各自主的な組織がどのように成長していくのかが楽しみです。
・次も東京でやってください。

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