Re: 授業の評価に関して、ご相談です

[掲示板: 〈過去ログ〉多読による外国語教育 -- 最新メッセージID: 1456 // 時刻: 2024/6/3(15:36)]

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[汗] 949. Re: 授業の評価に関して、ご相談です

お名前: 酒井@快読100万語!
投稿日: 2006/5/13(01:16)

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つむぎさん、こんばんは!
酒井@快読100万語!です。

〉>酒井先生
〉ご返信ありがとうございます。反応が遅くなってしまって申し訳ありません。
〉実はちょうど2年前の今ごろ、先生の授業を見学させていただいたんですよ!
〉学生さんがとてもよく先生になついていたのが印象的でした。

しまった! わすれてしまいました・・・
どなただったか・・・?

実は毎年凄い数の方が授業見学に来てくださいます。
最初は忘れもしないメイさんで、4年前になると思います。
昨年度は「教室で読む英語100万語」のおかげか、
特に先生方の来訪が多くて、50人以上の方がいらっしゃいました。

(こんなところで、授業見学歓迎の宣伝をしております。
もうしわけない・・・)

〉私は当時は都内で非常勤で教えていましたが、今は地方に来ています。

遠いかもしれませんが、またぜひ来てください。
今年はまた変身しつつあります。一人一人の学生ともっと
近く接したいと思っています。南無三!

〉>つむぎさんは、なぜ語数を評価に反映させたいと思うのだろう?
〉>そこを知らせてくださいますか?

〉はい。授業で評価する以上、何らかのできれば客観的な基準が必要だと思いました。
〉その際まず考えられるのは、出席、語数、実力テストあたりでしょうか。

語数で知ることも、実力テストで知ることも不可能ではないかな?
語数で知ろうとすると古川さんのいうようにcheatingを誘発します。
実力テストは二つ具合の悪いことがあります。
一つは学生がテストのために読む姿勢になってしまいかねないこと。
(これは先生とのあいだで揺るぎない信頼ができていれば避けられます。)
二つめは多読で育つ力を計るテストがまだ苦付されていないこと。

なかでも先生と学生・生徒の信頼関係は一番大事ですね。
これさえあればどんなことをしても大丈夫。
(ただし拷問に近いようなことはせっかくの信頼を崩します。)

〉語数を評価することには、学生が正直に記録すればという前提でですが、
〉主に以下の二つのメリットがあるのではないかと思います。

〉1、学生の努力自体を評価できる

〉レベルは無視して語数で評価すれば、英語が苦手が学生でもがんばればそのこと自体が
〉評価されることになります。実力テストでこれが測れればよいのですが、
〉それだけで成績をつけられると思えるほど多読でついた力を測れ、かつ手軽なテストを
〉個人的に知らないので、実際がんばったけれどテストが伸びなかったということが
〉起こりそうで、外部テストだけで成績評価することに踏み切れずにいます。

努力自体を評価すると、人間性の評価になりかねませんね。
(努力は主観的なものだと思います。学生は努力したつもりでも
先生がそれを努力と認めないときの心の傷はとても大きいのでは?)

〉2.たくさん本を読もうという動機になりうる。

〉これはいわゆる「外的動機」というもので、純粋に本を読みたいとか実力をつけたい
〉といった気持ちによる「内的動機」ほどは望ましくないですが、実質7ヶ月の
〉授業という短い期間である程度成果を出すには、もともとの動機が成績であっても
〉それで多読の良さとか効果を実感してもらえば、その後続けてもらいやすいのかなと
〉思います。

なるほど・・・
それはぼくもいつも使っている「手」ですね。
きょうも授業でいいました「みなさんは成績のために、
楽に単位がとれるからこの授業を選んだかもしれません。
それはちっともかまいません。いままで何人も、そういう人が
単位のためにこの授業をとって、英語の読書をおもしろいと
おもいはじめました」って。

〉出席で評価した場合、授業には出たけれどおしゃべりばかりしていたり、寝ていた
〉ということがありえます(それはそれでよいという考えももちろん理解できますが)。

おしゃべりはよくないですね。ほかの人の読書の邪魔になる。
多読三原則のほかに、教室では4原則目があるのをご存知でしょうか?
いわく「ほかの人の読書を邪魔しないかぎり、なにをしてもいい」。
この原則を実際に使っているのは電通大だけのようですが、
電通大ではこの4原則目のおかげで多読を自らの意思ではじめる人が
かなりいると思います。

(半年くらいほんとに寝てばかりいて、それから読みはじめて
おどろくような変貌を遂げた学生は五指に余ります。まずは学生を
信じること!)

〉また借りて読もうという動機としては、語数で評価するのよりも弱いと思われます。

それは逆です。語数で評価すれば借りて読むだろうか?
いや、読まない! 
評価のために借りて、評価のためににせの申告をするだけです。

それは無理ないとぼくは思うな。
学生のことを考えていない、文部科学省式の「人材育成」のための
授業をいーっぱい受けていれば、自己防衛のためにさぼる手を
考えるのは生存のために必須の知恵でしょう。

つむぎさんの授業がそういう授業だといっているわけでは
ありません。ほとんどのほかの授業はそういう「人材育成」のための
評価をしているわけだから、つむぎさんの語数による評価も
そういうものだと学生が考えて当然だということです。

〉もちろん出席や実力テストも評価基準として使えないというわけではなく、
〉私自身も語数以外の半分の成績基準を出席と実力テストとしています。

語数が半分というのはcheatingを招くに十分な割合です。
メイさんやyksiさんの「語数評価」の割合を参考にしてください。
たしか10%以下のはずです。 (ちがった?)

〉だたし以上のような考えは、学生の申請している語数が実際のものという
〉前提でなりたっているので、不正を行なう学生が増えれば、古川さんもおっしゃるように
〉語数による評価はむしろアンフェアなシステムになりかねないのですよね…。

〉私の授業では、多読をとおして自立的学習態度のようなものを身につけてもらいたいという
〉気持ちから、ちょくちょく自己評価や今の感じなどを簡単に書いてもらったり
〉しているのですが、そういうコメントや授業中の態度を見ることで、
〉語数はかなり増えているけれど不正はしていないと確信ができる学生もけっこういました。
〉また逆に、不正をしているとわかる学生も何人かいましたが、全体としては
〉少数派だと感じていました。ナイーブ過ぎると言われてしまいそうですが…。
〉でも今でも、一般的にどうかは別として、実際に自分が見てきたクラスに関しては、
〉記録された語数がそれほどひどい偽りのものだったとも思っていないのです。

ひどい偽りかどうかは、つむぎさんと学生さんの信頼関係次第です。
けれども、つむぎさんはとても心の素直な方のようだから、
ひどくはなくてもかなりの偽りである可能性はあると思います。

つむぎさんがそんな風に楽観的(?)だとすると
学生をcheatingへと誘うだけでなく、
正直な学生にも「cheatingしようかな、どうしようかな?」という
誘惑になるかもしれません。

〉ただし、やはり語数を成績に直接結びつけることが、不正を助長するものだと
〉いうことはこちらに相談させていただいたおかげでかなりよく理解できましたし、
〉成績についてももっとおおらかに考えてよいのかなと思うようになりました。
〉なので来年度以降の成績評価については、考えなおす必要があると感じています。
〉今年1年 学生の様子を見たり、掲示板・学会・交流会などでSSSの皆さんとお話し
〉させていただきながら、じっくり考えたいです。

はい、それがいいと思います。

けれども心配なのは、そうやって、つむぎさんが学生を
「cheatingしているかな、していないかな?」という眼で見るだけで、
学生との信頼関係は崩れていくと思います。

〉長くなってしまってすみません。ご質問のお答えになっていればよいのですが…。

長くなるのは当然です。おもーい課題ですからね。

学生との信頼関係を作っていこうと思うと、これまでとはまったく
ちがうやり方、ちがう心の持ち方が必要だと思います。
そして、それはひじょーーーーーーーに、むずかしい・・・


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950. Re: 授業の評価に関して、ご相談です

お名前: メイ
投稿日: 2006/5/13(15:16)

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つむぎさん、酒井先生、こんにちは。

栄えある酒井先生の多読クラス見学第1号(笑)というのになった
メイです。

つむぎさんの授業をどう評価したら・・・?というのは、教える者みんなが
迷うところだと思います。
どうしても何がしか成績なり、評価なりをしなくてはならないですものね。

多少の参考になればと思いますので、私が考えていることを
お話ししましょう。

〉〉>つむぎさんは、なぜ語数を評価に反映させたいと思うのだろう?
〉〉>そこを知らせてくださいますか?

〉〉はい。授業で評価する以上、何らかのできれば客観的な基準が必要だと思いました。
〉〉その際まず考えられるのは、出席、語数、実力テストあたりでしょうか。

〉語数で知ることも、実力テストで知ることも不可能ではないかな?
〉語数で知ろうとすると古川さんのいうようにcheatingを誘発します。
〉実力テストは二つ具合の悪いことがあります。
〉一つは学生がテストのために読む姿勢になってしまいかねないこと。
〉(これは先生とのあいだで揺るぎない信頼ができていれば避けられます。)
〉二つめは多読で育つ力を計るテストがまだ苦付されていないこと。

みなさんが言われるように語数で評価すると どうしてもcheatingは
避けられないと思います。
私は自分が学生時代にいろいろやった経験があるので、そういう学生の
気持ちはとてもよくわかります。

語数を評価に入れるかぎり、絶対にcheatingを防ぐ手だてというのは
おそらくないでしょう。
ただ、cheatingしにくい状況を作ることはできると思います。
まずは、授業中に学生と良いコミュニケーションができて、信頼関係が
できると なぜかcheatingは少なくなる気がします。
 
それと、語数を評価に入れる場合は、その割合をあまり大きくしない
ようにします。
私のところでは、60%を出席、記録を書いて提出するのを10%にして
います。これで、実力には関係なく Bにはなるので、特にcheatingを
しなくても単位は十分、取れるわけです。
後の30%は何かというと、冊数と語数でポイントを決めて加算して
います。
現在は、50冊で1%、1万語で1%ということにして 基本の70%に加えて
いく方式です。
平均して200冊ちょっと読んでいるので これで4%、このくらいで、5万語
以上になってきますので、Aを取るのも手が届く範囲です。
ちょっと心がければ、誰でも可能と学生が思ってくれれば、それだけで
意欲が違うように思います。

ここで大事にしていることは、学生の意欲を助長するような評価をしたいと
いうことです。
冊数を評価に入れているのは 実力のない人はやさしい本を読み続ける
ので、語数は伸びない代わりに冊数が伸び、読めてきた人は 長い本に
なるので、冊数は伸びず、代わりに語数が伸びていくことを狙っています。
誰にでも公平にがんばる余地があれば、無理してcheatingをする気持ちは
少なくなると思います。

実力テストを評価に入れていないのは、多読で培った力をどこまで
反映するのか 不安があるからです。
テストはある程度の目安にはなりますが、中には ずいぶん読めるように
なったのに、テストに結果が出ないこともあるので・・・

昨年度はけっこう読んでいたのに、なぜかテストの結果はあまり
よくなくて、私はかなり落ち込んでしまいました。
学生になんと言って報告したら・・・とずいぶん悩みました。
こういう時、教師はつらいものだと思いました。

かなり長いこと考えた結果、みんなに言ったことは
「みなさんが英語を勉強しているのは、英語を読んだり、話せたりする
ためでしょう? 前よりむずかしい本が読めるようになったのに、テストの点数が出なかった人は、テストというのはそんなものだと思ってください。
自分が読めたということは事実なのですから、テストの点数ではなくて
読めた事実の方が大切です。
伸ばさなくてはならないのは、英語の実力で、テストの点数ではないはずですから。」
と、こんな内容でした。
多くの人はそれで、納得してくれたように思いますが、中にはそれきり
多読はダメと思った人もないわけではありません。
むずかしいものですね。

こんなところで少しは参考になったでしょうか?

そうそう、酒井先生の授業はまた、見学にいらっしゃるとよいと思います。
毎年、伺っていますが、何か学んで帰ります。
こちらもその時々、いろいろ悩んだり、迷ったりすることがあるので、
そういう目で 見学すると また何か新発見があるわけです。

〉実は毎年凄い数の方が授業見学に来てくださいます。
〉最初は忘れもしないメイさんで、4年前になると思います。
〉昨年度は「教室で読む英語100万語」のおかげか、
〉特に先生方の来訪が多くて、50人以上の方がいらっしゃいました。

〉(こんなところで、授業見学歓迎の宣伝をしております。
〉もうしわけない・・・)

酒井先生、こちらもこんなところで何すが、今年もまた、近いうちに
見学させていただきたいです。よろしくお願いいたします。

では、つむぎさん、ご健闘をお祈りしてますよ〜。

メイ


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952. Re: 授業の評価に関して、ご相談です

お名前: つむぎ
投稿日: 2006/5/14(21:27)

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酒井先生、メイさん、返信ありがとうございました。
こうやって何人もの方が貴重な時間を割き、アドバイスくださったり
考えてくださったりすること、本当にありがたいことだと思っています。


>酒井先生

>努力自体を評価すると、人間性の評価になりかねませんね。
>(努力は主観的なものだと思います。学生は努力したつもりでも
>先生がそれを努力と認めないときの心の傷はとても大きいのでは?)

確かにそうなのですよね。語数で評価すると、本人的にはものすごくがんばった
数字でも、評価をするときには平均と比べて低いとか高いとかいう見方にならざるを
得ないので、確かに公平に評価というのには無理がありますね。

>ひどい偽りかどうかは、つむぎさんと学生さんの信頼関係次第です。
>けれども、つむぎさんはとても心の素直な方のようだから、
>ひどくはなくてもかなりの偽りである可能性はあると思います。

>つむぎさんがそんな風に楽観的(?)だとすると
>学生をcheatingへと誘うだけでなく、
>正直な学生にも「cheatingしようかな、どうしようかな?」という
>誘惑になるかもしれません。

そうですか、ちょっとショックですね(^^;)
私も信頼関係はとても大事だと思います。そのために学生とのコミュニケーションは
大切ですよね。人数が多いとこれが難しくなるので困ります。
信頼関係のためにも、古川さんの言葉にもあったように、
学生を疑うのは止めてもっとおおらかになろうと思ったのですが、
そういう楽観的な態度がさらにcheatingを誘発してしまうのですね…

語数で評価するのをやめればよいというのはよくわかったのですが、
すでにこのやり方で行くと公言して今年度は始まってしまっているので、
急にやり方を変えるのは、難しいと感じています。しかし来年度からは変えます。
今年度は、学生との信頼関係をできるだけ築けるよう努力していくしかないですね。
あとは語数の目標数を低く設定し、cheatする必要性ができるだけなくなるように
したいと思います。

酒井先生の授業も進化し続けているのですね。
なんとか都合を合わせて、また見学に行かせていただこうと思います。
またいろいろご相談させてください。どうもありがとうございました。


>メイさん

メイさんの評価の仕方を具体的に教えてくださりありがとうございます。
とても参考になりました。

>ただ、cheatingしにくい状況を作ることはできると思います。
>まずは、授業中に学生と良いコミュニケーションができて、信頼関係が
>できると なぜかcheatingは少なくなる気がします。

熱中している学生に声をかけるのが邪魔になるような気がしてなかなかできず、
つい文字によるコミュニケーションに頼ってしまいがちなのですが
(提出物にたいするフィードバックを書くなど)、
やはり直接話すことは重要ですよね。がんばります。

>昨年度はけっこう読んでいたのに、なぜかテストの結果はあまり
>よくなくて、私はかなり落ち込んでしまいました。

実は私も去年まったく同じ状況でした。
メイさんが学生に対して話されたことはその通りだと思います。
やはり実力テストで多読で伸びた力を評価するのは、少なくとも現時点では
難しいようですね。

>ここで大事にしていることは、学生の意欲を助長するような評価をしたいと
>いうことです。
>誰にでも公平にがんばる余地があれば、無理してcheatingをする気持ちは
>少なくなると思います。

よく理解できました。語数でも冊数でもよいというのは、とてもよいですね。
それでもそれを成績に反映させるのは最小限にとどめるということですね。

メイさん、今回もアドバイスありがとうございました。感謝します。
今度学会などで直接お会いできたら嬉しいです。

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