独特のリズムある文体にひきこまれ、一文一文を味わいながら読みました。
語りの魅力がいっぱいで、原書で読んでこそ、その魅力のわかる本だと思います。多読をつづけていてよかった!
何度も我が家を恋しく想うビルボ。小さく、力のないホビットが、知恵と勇気を発揮して数々の危機をくぐりぬける様子には、まるで旅に出た我が子の無事と成長を願うような気持ちになりました。
童心に帰ったかのように物語に没頭できて、ほんとうに楽しかったです。
なお、多少値段が張りますが、私の読んだ版には、トールキン自身による表紙絵、挿絵(数点のカラーを含む)が入っていて、楽しめました。
(ISBN:0261103342)
指輪物語以前に児童書として書かれ、大人にも大評判になった本です。指輪物語と違い(?)本当に子供向けに書かれているので、比べるとずっと遊びが多く、ユーモアがあります。音遊びもふんだんで、なぞなぞはまるで詩のようになっていて愉快です。ストーリーが楽しいので邦訳も面白いですが、英語で読んでこそ、楽しい雰囲気がつたわってくると思います。
1年におよぶ冒険の旅で、ホビットのビルボは凄まじい体験をすることになる。
出発からしてビルボにとってはまさに青天の霹靂であったのだ。
何度も、何度も居心地のよい我が家を恋しく想い、そして冒険に出かけた
ことを後悔するさまが気の毒ではあるが可笑しくもある。恐ろしい場面の合間、
合間に、くすりと笑わされるやりとりが多々あり印象に残った。
しかし、魔法使いのガンダルフが宝探しの旅の仲間になぜビルボを選んだかが
次々と分かってくる。
安穏な生活を送っていた、野心のないビルボが、さまざまな困難に打ち勝って
いく過程で決断力、勇気、正義感を遺憾なく発揮するさまが、これを読む子供
たちに感動を与えるのでしょうか。
この本は「指輪物語」の前奏曲だそうです。
「ホビットの冒険 改版」(岩波書店)ISBN4001109832 他