続き: 1000万語 通過しました!

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13351. 続き: 1000万語 通過しました!

お名前: wkempff
投稿日: 2017/3/16(22:57)

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ということで、次は、1000万語の感想とおすすめなど。

3年半ほどで1000万語読んだことになります。予期していたほどではないかもしれませんが、トータルの英語力も伸びたように思います。

語彙力の伸び方
現在、各種サイトで語彙力を測定すると、9000語~13000語のようです。決して威張れた語彙力ではありません。身近でも、TOEICが満点近い人、TOEFLが105を超える人、などは、20000語を超える語彙力の場合が多いので。
それでも、Michal Connellyや、James Pattersonなど、軽めのものを読むときは、辞書を使わずに、ほとんど苦労しなくなりました。

話題の広がり
ビジネスの交渉はともかく、レセプション、バンケット、ホームパーティなど、苦手としておりました。しかし、いろいろな本を乱読するうちに、話題にあまり困らなくなり、パーティが怖くなくなりました。
最近は、トランプ大統領の誕生は大ニュースですが、先日読んだNigth Lifeで、赤狩りで有名なマッカーシーとトランプの意外なつながりを発見しました。ディナーでこんな話を披露すると、ビジネスパートナーの見る目が少し変わってくるような気がします。

次は、印象に残った本、10冊です。読み進める途中の感覚と、時間が経過してからの思いは、ちょっと差があります

印象に残った本ベスト7
ベスト1 11/22/63 by Stephen King (レベル:中)
ケネディ暗殺をめぐるスリラーで、SF(タイムトラベル)、恋愛、クライムの要素を入れ込んだ重厚な超長編。King節満載で、描写は過剰に詳細を極め、たとえばケネディ狙撃犯のOzwaldのダラスのスラム街での生活は、100ページ以上割いて描かれます。今の装丁では1000ページを超える長さ。だからこそ、60年台の希望に満ちたアメリカの風景が浮かんでくるような描写で、今も断片的に思い出します。読み通して自信がついた、というのは、あります。

ベスト2 Gone Girl, by Gillian Flynn  (レベル:中)
実におぞましいサイコスリラーで、一見豊かな美男美女夫婦に潜む悪意や心の闇を、実に気色悪い形で描き出した、典型的イヤミス。実際、寝床で恐怖に震えましたが、洋書読みという観点から見ると、まあ、その程度には理解でき、没入できたんだろうと思います。米国文学の礎であるトムソーヤーやハックルベリー フィンを、奇妙な形で下敷きにしています。

ベスト3 The Pelican Brief, by John Grisham  (レベル:易)
Grishamは、私を多読の世界に導いてくれた作家で、今でも彼のリーガルものは大好きです。連邦最高裁判事暗殺事件の背景を的確に予測したレポートを書いた大学院生が、複数の暗殺者につけねらわれます。初期の作品ですが、ホワイトハウスやCIA、FBIの暗部が描かれる実にスリリングな作品。

ベツト4 Sweet Tooth by Ian McEwan  (レベル:難)
イギリスの純文学作家McEwanの、甘い甘い恋愛小説。ありきたりの筋書きかと思いきや、最後に信じられない展開があり、やられた、という気分になります。牧師の娘が数学科から文学に傾倒し、文学の教授にMI5(国内向け諜報機関)に押し込まれ、あるミッションのハニートラップ要員になります。東西冷戦下の文学者や芸術家を語るメタ小説のような側面もあります。
McEwanを原著で、というと、相当の読書好きにも驚かれます。

ベスト5 Farewell, My Lovely、by Raymond Chandler (レベル:難)
Chandler初期の作品(1940年)で、Chandlerのリリシズムがむき出しで現れた作品。ミステリー/スリラーとして読むと、必ずしも緻密でない部分もありますが、人間の深い描写、皮肉と機知に富んだ会話が非常に印象に残ります。ドライのようでウェット、気障だが実に心優しい主人公Marloweは、多くの探偵ものに絶大な影響を与えているのがわかります。

ベスト6 Kane & Abel, by Jeffrey Archer  (レベル:中)
稀代のストーリーテラーArcherの代表作であまりに有名な大河小説。ポーランドの片田舎の捨て子Abelは、シベリアの収容所から脱出してアメリカに渡りホテル王になりますが、些細な行き違いから、裕福な銀行家の跡取りKaneと、生涯の敵、あるいはライバルになります。前半は活劇調、後半はぐっと重厚に経済小説風になります。

ベスト7 Dear Life, by Alice Munro  (レベル:中)
ノーベル文学賞受賞。60年にわたり短編のみを書き続けた稀代の女流名文家の、最後の作品集になります。極度に凝縮された、詩のような文体で、小説家など多くのプロの尊敬を集めています。数語、あるいは1文で劇的に場面が展開し、しかし、少し読み進んでようやく場面が変わっていることに気づく、という仕掛けもあります。この作品集は、カナダの第二次世界大戦中や後に生きた女性の、はかなく脆く、しかしたくましい人生を描いたもの。

次は、読んで後悔した本です。実はもう少しあるのですが。。。。

ワースト3
The Serialist, by David Gordon
立派な学歴を持ちながら小説家として売れず、いくつもの仮名でポルノやヴァンパイア小説を書いて糊口をしのぐ主人公が、女子高校生に翻弄されながら連続女性殺人事件を追います。
主人公のヴァンパイア小説の一説などが挿入されるが効果的とも思えず、内容もいまいちなのですが、なにより、文章が気持ち悪いです。カンマやセミコロンでずるずると文をつなげ、1文が非常に長く、たとえば、300語を越え1ページにピリオドが一個も現れない、などというページもあります。

The October List, by Jeffery Deaver
Deaverの小説は、非常にエキサイティングですが、若干ですが、トリック優先、どんでん返し優先のような人工臭がある、というのが私の意見です。この小説はあきらかにやりすぎ。
人気のLincoln Rhymeシリーズとは独立の小説、小説は36章からはじまり、35.34、、と、時系列をさかのぼっていきます。読者は解決シーンを最初に見ているはずが、わけがわからず、頭の中の時系列も混乱していきます。明らかに、逆時系列とトリックありきの小説ですが、単純な筋書きとトリックを読みにくくしただけ。アマゾンのレヴューもボロボロです。

A Brief History of Seven Killings, by Marlon James
2015年ブッカー賞。ジャマイカを代表するレゲエ歌手の暗殺未遂事件を軸に、ジャマイカの血塗られた歴史を語る、大河小説(らしい)。語り手が次々と変わり、それぞれ、なにが軸なのかわからない長広舌で、ストーリーを追うのは困難。不思議な不思議なジャマイカ英語と相まって、ついに放り出しました。痛い挫折の記憶です。
実に読みにくいです。超難解を何度も批評家にたたかれた、The Luminaries, by Eleanor Cattonなど、この小説に比較すれば、子供だましみたいなものです。
ブッカー賞史上に残る大傑作という評価のようなので、興味ある方は是非。


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