大苦戦の50万語:750万語通過報告

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13298. 大苦戦の50万語:750万語通過報告

お名前: wkempff
投稿日: 2016/1/21(23:59)

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12月に700万語通過を報告してからほぼ2か月で4冊読み、750万語に到達しました。
大台まで、四分の三、これから胸突き八丁、というところでしょうか。

時間的にはまあ(私としての)平均ですが、自分の中では大苦戦でした。
Kate Mortonの長編、そして、新人Barry Lancetのデビュー作スリラーは、文章や語彙のレベルが高く、自分としては大苦戦し、ちょっと自信喪失です。たいへんに面白いだけに、始末が悪い。

大苦戦その1
Kate Mortonの長編Secret Keeper
Mortonはオーストラリアの女流作家で、現在まで5編ほどしか書いておりませんが、世界中でベストセラーになりつつある、注目の若手です。
女性の情念や哀切な運命を中心として、複雑なプロットで多面的な顔を持つ小説を書きます。

1963年、10台の主人公Lawrelは、母が、田舎の自宅玄関で、見知らぬ訪問客をいきなり刺殺する場面を目撃しますが、とっさの機転でLawrelは母が襲われたと偽証します。おかげで正当防衛が成立、家族は元通りの生活を送ってきました。2011年、母の死を目前にして、母の謎や男性刺殺の動機を知りたいと考えたLawrelは、古い写真とメモなどを頼りに調査を開始します。田舎で平凡ながら家族愛にあふれる生涯を送ったはずの母は、いったい誰だったのか。
舞台は、現代(2011年)、大空襲下のロンドン(1941年)、1963年、1953年、1929年と、時系列に従わずに目まぐるしく展開し、恋愛小説、大河ドラマ、ミステリーの3つの顔を持つ構成になっています。特に、母の運命を大きく変える、ロンドン空襲下の生活や恋愛模様が、詳細に描写されます。

非常に面白かったのですが、とにかく読んで疲れました。一つは語彙レベルがかなり高く、特に1940年台以前の記述がわかりにくいこと、もうひとつは、若草物語にミステリー要素を追加した、またはAlice Munroを思いっきり長編にしたような、濃密な女性の情念の世界に疲れた、ということもあります。文章は、流れるような文章なのですが。
もう一冊、Mortonを読もうかと思っていましたが、くたびれ果てて、棚上げです。しかし、ことSecret Keeperに関しては、読後感が非常によく、ほっとする結末ですので、ご興味がある方で長編が苦にならない方に、強くはおすすめします。
ただし、繰り返しますが、長くて、複雑で、語彙レベルが高くて、けっこう大変よ。

大苦戦その2。
2013年バリー賞新人賞作品、Barry LancetのJapantown。非常に評価の高いスリラーで、個人的にサンフランシスコはなじみがあり好きな街なので、読んでみたかった。しかし、日本も舞台になっているから簡単かと思ったら、とんでもなかった。

サンフランシスコの日本人街で5人の日本人が狙撃され殺されるところから話は始まります。現場に判読不能の漢字のメモを発見した刑事は、日本通の探偵Brodieに協力を依頼します。
主人公はBrodieは日本に何十年も住んだことがある日米バイリンガルのアメリカ人で、サンフランシスコで骨董商を営むかたわら、父親が日本に設立した探偵社の経営を引き継いでいます。彼は、ロスの親戚宅の火災で日本人の妻を失い、6歳の娘Jennyと二人、ゴールデンゲートブリッジの見えるアパートに住んでいます。
Brodieは、この漢字メモが、妻の焼死現場にも残されていたことに気づき、事件を追っていきます。
事件は、どうやら、日本の暗殺集団とつながっているらしい、と気づき、日本に飛んで調査を開始しますが、どんどん日本の闇社会に足を踏み入れ、彼にも娘にも危険が迫ってきます。
江戸時代からの暗殺集団(忍者の隠れ里をイメージしているらしい)、闇将軍、料亭政治など、日本の暗部が描写されますが、アクションにつぐアクションで飽きさせない展開になっています。

先がわからない、非常に引きこまれるプロットなのですが、残念ながら語彙レベルが高く、表現も凝っている。どんどん読みたいけれど、意味不明の部分が出てきて速度が鈍る、辞書を引くのはもどかしいけれど引かないと意味が通じない、と、けっこうストレスのたまる読書でした。ジャーナリスト出身の新人だけあって、筆力はたいしたものです。

Pattersonのサンフランシスコ関連2冊
1st to Die および、12th of Never(Women's Murder Club

皆様は、世界でいちばん収入の多い作家はだれか、ご存知でしょうか?
大御所Stephen King、人気のJohn Grishamなどの名前が浮かぶと思いますが、実は、圧倒的な差をつけて、James Pattersonが一位です。年収は、94 M$くらいらしい。

サンフランシスコは私のなじみの町で、出張で20回、プライベートで3回ほど行っており、総計4か月くらい滞在しているかもしれません。
PattersonのWomen's Murder Clubシリーズは、サンフランシスコ市警の女性刑事が主人公で、観光名所がたくさん出てきて楽しいです。
このシリーズは、市警の女性刑事が、プライヴェートの親友である、監察医、検事補、新聞記者とWomen's Murder Clubを結成し、ひそかに情報交換して、迷宮入り直前の難事件を解決していくスリラーです。
10万語に満たない長さですが、いくつものストーリーラインがちりばめられていて、かなりとっちらかった印象を与えます(#12は、少なくとも5つのストーリーが同時進行します)。
しかし、内容は薄く、場面展開も劇画調で、あっという間に読めるし、まったく疲れません。しかし、頭に残らない。
こういう気楽な作品を大量生産している(助手を使いまくって年に15冊以上)が、Pattersonの大成功の理由かと。
疲れないし、語彙レベルも決して高くないので、頭を休めるのにはいいかもしれません。あんまりお勧めしませんけれどね。

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2013.11.10-2015.11.30
50冊
702万9千語

2015.12.1-12.24
The Secret Keeper, by Kate Morton 17万2千語
2015.12.25-12.28
1st to Die (Women's Murder Club #1), by James Patterson 8万6千語
2015.12.29-2016.1.7
12th of Never (Women's Murder Club #12), by James Patterson 8万8千語
2016.1.8-1.21
Japan Town, by Barry lancet 14万9千語

合計 753万4千語


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