700万語、50冊達成しました!

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13287. 700万語、50冊達成しました!

お名前: wkempff
投稿日: 2015/11/30(20:44)

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多読をはじめて2年2か月、ようやく700万語、50冊を達成しました。

600万語~700万語は、主に、現代の古典を読むことにチャレンジしました。

2年間経過して、もちろん、たかだか50冊ですので、新しい本を読むと新たな発見があり、楽しみも苦労も尽きないです。
これから、さらに時代をさかのぼって古典を読むか、とも考えていますが、もう少し疲れないものを読もうか、という感じもしております。

今回ご紹介する作品の中では、Kane & Abelをもっともおすすめしたいです。英語は明快で格調高く、劇的な展開で飽きさせません。
もし気楽に、ということであれば、Shall We Tell the President?は、短く劇的であっという間に読めます。

Chandlerは、これらに比較するとタフですので、Native大人用の洋書を読み始めた、あるいは最初にチャレンジする人は、ちょっと覚悟をもって取り組まないと挫折するような気がします。
私としては、Farewell, My Lovelyを強くおすすめしたいです(世間的な評価は、The Long Goodbyeが最高傑作ということになっています)。
彼の特徴である、気障で気取った、あるいは皮肉な会話や表現、そして哀切なセンチメンタリズムは、こちらのほうが、よりむき出しの形であらわれていると考えるため、です。

Chandlerのテイストは、現在のハードボイルドの人気作家、Dennis LehaneやMichael Connellyに、色濃く反映しているように思います。
Lehaneの自然や情景の描写、緊張感の演出、そして、隠喩に富んだギャングの会話は、Chandlerの直系と言ってもいいでしょう。
なかなかに骨の折れる部分もありますが、私としては、何か新しい世界が開けたような気もします。

以下、長いですが、おつきあいください。

1.Jeffery Archerの大河小説
・Kane & Abel
・The Prodigal Daughter
・Shall We Tell the President?
Kane & Abelの3部作になっています。
Kane & Abelは、たまたま同じ日に生まれた、ボストンの大銀行家の息子Kaneと、ポーランドの田舎で猟師に拾われた捨て子からホテル王にのしあがったAbelの、生涯の確執を描く大河小説です。
アメリカでは同名のテレビドラマが大ヒットし、Archerの代表作として、広く認知されています。
Kaneは順調に銀行家となり、Abelはポーランド>イルクーツクの強制収容所>イスタンブール>ニューヨークと渡りってホテル王にのし上がりますが、ある誤解からKaneに深甚な恨みを抱くに至り、生涯、争いを続けます。
The Prodigal Daughterは、Abelの一人娘に焦点を当て、前半は、Kane & Abelの後半を、Abelの娘Florintynaの目を通して描き、後半は、野心あふれる美貌のFlorentynaが苦難の末アメリカ初の女性大統領になるまでを描きます。
Shall We Tell the President?は、大統領になったFlorentynaの暗殺計画を察知した若いFBI捜査員が、極秘の中に暗殺阻止と犯人逮捕に奔走するスリラーで、これは大河小説ではありません。著者は、Edward Kennedyを大統領にして初版を刊行しましたが、おそらくは、Edward Kennedyのスキャンダルによる失脚と、Kane & Abelの成功から、大統領をFlorentynaに入れ替えて再改版しました。

最後の作品はともかく、最初の2作は、アクションあり、恋愛あり、の、非常に多彩な顔を持つ大河小説となっています。そして、共通するのが、企業の取締役会、連邦議会内部の熱い議論や演説、そして、選挙演説の凄みです。Archerは、ロンドン市議会議員からキャリアをはじめ、イギリス下院議員となりますが、スキャンダルにより、政治家として大成する夢をあきらめました。そんな気合を感じる演説、読み応えがあります。
そして、富豪の私生活、下院議員選挙や上院議員選挙の内幕、大統領選挙やホワイトハウス内部(物理的な構造や調度などを含む)など、一般に知りえない部分が詳細に描かれている(本当かどうかはわかりませんが)ことも人気の秘密と思われます。
The Prodigal Daughterの日本語訳(ロマノフフスキ家の娘)は、なぜか絶版になっているようです。原著も書店に少なく、Amazon意外手にはいりにくいかもしれません。人気ないのかな。

2.元祖ハードボイルド、Raymond Chandlerの探偵もの
・Farewell, My Lovely
・The Long Goodbye
いずれも、Chandlerの代表作で、前者が1940年、後者が1953年の作です。
Chadlerは寡作で、長編は、探偵Marloweを主人公とした7編の長編のみです。しかし、この中で、作者は、主人公の私立探偵Marloweの中に、スーパーヒーローでなく、しかし、タフで情感にあふれ心に闇を持った探偵像を造形しました。
また、精巧なプロットよりも、ときに機知に富み、ときに皮肉で、ときに情感たっぷりの会話、そして深い人物描写が特徴、と言えるでしょう。
とくに、今回紹介する2作は、探偵ものとしてのみならず、純文学としても、アメリカの文学の古典に数えられています。

残念ながら、少なくとも私にとっては、読みやすい小説ではありませんでした。

まず、会話の場面が多く、丁寧に、話者の階級や知的レベルによって俗語など使い分けられていますが、ギャングとの会話など、省略が多すぎて理解しにくいところもあります。
また、単語が、現代の小説を読む目から見ると特殊で、びっくりすることもあります。私の語彙力が不足しているせいかもしれませんが。。。。。
 たとえば、dough(現金、金)、hunch(予感)、grouse(まぬけ、のろま、原義はガチョウ)、gat(銃、gatterの略)、cabooth(調理場)、grand(千ドル)、c-note(100ドル札)、hooch(酒、密造酒)など。。。。

小説は、Marloweの一人称で進行します。
わけのわからない比喩、気障なセリフを楽しみ、ときにクスリと笑い、ときに感傷に浸る、そんな小説かと思います。

3.25年間ベストセラーを続け、すべての自己啓発書の原型、と言われる、The Seven Habits of Highly Effective People
著者は、4人のアメリカ大統領をはじめ、多くの企業経営者からコンサルを依頼され、公人、私人としての自己啓発の大切さを説いてきた人です。
出版から25年経過し、その内容、あるいは類似の内容は、各所で語りつくされた感があります。
しかし、Proactive、Synergy、WIN/WINなど、現在、ビジネスの場面でごく普通に使われる言葉は、この本をきっかけにビジネス用語になった、ということは、やはり、驚くべきことかと思います。
一貫して、交渉術のようなものでなく長期的に内面を鍛えること、良心や誠実さを大切にすることが説かれています。
Japan as No.1の時代にかかれているためか、日本の商習慣を見習いたい、という記述が随所にあり、現在の日本の状況を考えると、少し、残念ですね。

2013.10.11~ 2015.11.30

合計 50冊+3スクリプト
    702万9千語

600万語通過以降
2015.8.1-8.11
 The October List, Jeffery Deaver著 8万5千語
2015.8.12-9.8
 Kane & Abel, Jeffrey Archer著 17万6千語
2015.9.9-9.26
 Work Rules!, Laszlo Bock著 12万2千語
2015.9.27-10.13
 The Prodigy Daughter, Jeffery Archer著 16万5千語
2015.10.14-10.20
 Shall We Tell the President?, Jeffery Archer著 7万5千語
2015.10.21-11.8
 The 7 Habits of Highly Effective People, Stephen R. Covey著 16万2千語
2015.11.9-11.18
 Farewell, My Lovely, Raymond Chandler著 8万5千語
2015.11.19-11.31
 The Long Goodbye, Raymond Chandler著 12万5千語

計702万9千語


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