PBロマンス本 900万語通過報告

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2898. PBロマンス本 900万語通過報告

お名前: パピイ
投稿日: 2009/1/10(23:15)

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みなさま、こんにちは。パピイです。
ロマンスを読み始めてちょうど2年になりますが、なんだかんだで(苦笑)、ロマンス本の報告も9回目になります。

■ 最初に
今回の報告は、PB10冊で総語数は1,001,090語、累計で9,044,160語になりました。

いつものように本の紹介をするにあたり、第一章、またはプロローグにのみこだわって紹介し、
後は全体の感想を述べるだけに止めておいて、できるだけネタバレをしないようにと考えました。

最初の章(一部主人公たちを紹介するために、その後の章を紹介したものもあります)の内容紹介は、
その章を読んだ直後に書いていますので、そのあと物語がどう展開するか全く知らずに書いており、
その後手直しなどしていません。そのため ********** で区切って、読後の感想を書いています。
この紹介方法で、その時感じたワクワク感が、すこしでもみなさんに伝わればうれしいです。
ただ、一冊ずつ読むたびに原稿を書いていますので、投稿文全体の長さを考えていません。その結果
A4換算で15頁と、いつもながらの長文になってしまったことを先にお詫びしておきます。

また今までの報告と同じように Amazon.comのレビュー数と、邦題(翻訳本があれば)を付け加えてあります。

■ 本の紹介 (読んだ順に紹介しています)
◇ Mine Till Midnight / Lisa Kleypas 語数:98,000 ISBN:0312949804
(105 customer reviews 夜色の愛につつまれて)
1848年秋のロンドン、二百万人も暮らす大都会の中でAmelia Hathawayは、兄のLeoを探しています。
以前は、颯爽としていて頼りになる兄でしたが、経済的に破綻し自暴自棄になって姿をくらましたのでした。

彼女が乗る馬車には、ジプシーのMerripenという付き添いがいます。彼は、子供のころHathaway領地の
小川のそばで、傷ついて気を失っているのを拾われたのです。おそらくジプシー狩り(地主たちが、領地内で
野営しているジプシーを腕ずくで追い出すこと)の生き残りでしょう。Ameliaの妹Poppyの頼みで、一緒に
暮らすことになりますが、放浪の民ですから、すぐにいなくなると思われていましたが、15年住んでいます。

家族でもなく、召使でもない彼ですが、一家のためにいろいろ働いてくれ、Leo探しにも加わったのでした。
本来は、彼のような男性と一緒にいることは不適切な行為ですが、26歳の彼女は気にもしていません。

二人はLeoの行きそうなところを議論したあげく、賭博場Jenner’sを目指します。そこは元ボクサーの
Ivo Jennerが創業し、彼の死後義理の息子Lord St. Vincentが経営しており、会員になるにはそれ相応の
お金が必要です。3か月前、子爵位を継いだとたんLeoが会員になりたいと言っていた場所でした。

賭博場ですから、彼女一人では中に入れてくれそうもありませんし、MerripenもRomaだからと思案して
いると、彼が支配人もRomaだと言います。ふたりで一緒に行けば支配人を説得できるだろうと相談します。

店に近付くと、二人の紳士が殴り合いをしており、そばにひとりの娼婦と、騒ぎを止めようとしている男性が
います。三人目はRohanと呼ばれ、忠告を聞き入れず殴りかかってくる二人を倒します。一人の紳士は彼に
妻への口止め料としてお金を渡しますが、Rohanは受け取りません。

Ameliaは、Rohanを支配人と見て、兄を探しており、彼について何かしらないかと尋ねますが、彼の答は
知っていても教えないというものでした。兄を心配する妹として掛け合いますが、つれない答えばかりです。
Merripenが、何かRomaだけに通じる言葉で話しかけて、ふたりは中に入れてもらえます。

以上が、第一章でした。もう少し続けます。

Ameliaを一目見た時から何か(性的に)惹かれるものをCam (Rohan)は感じます。女性の相手には事欠かない
彼でしたが、その付き合いから楽しさも喜びも見出せていませんでした。悩んだ挙句、かつて女たらしで
知られ、今や愛妻家のSt. Vincentに相談しました。彼の答は、今まで欲望が満たされなかったことがなく、
同じ様な相手とばかり付き合うから食傷気味になる、少し目新しさが必要ではとのこと。

彼の妻Evieを妹のように感じていた彼は、便宜的なものであったはずの彼らの結婚が、恋愛結婚になって
驚いた一人でした。結婚生活について問うと、ふさわしい女性を妻にするなら十分ということを知らないと
いうことがわかったとのこと。そして妻が待っているからと、仕事を押し付けてさっさと帰って行きました。

「目新しさ」とのコメントは、Ameliaにぴったりです。経験豊富で快楽と感情を混同しない女性ばかりを
相手にしてきた彼は、処女には二の足を踏んでいました。目新しさのために彼女をとの考えはありえません。

AmeliaとMerripenを待たせた部屋に向かうCamは、数年来なかったパニックを少し感じています。部屋に
入った彼は彼女を見て、パニックが納まり、性的な欲望を感じます。彼女から兄についての情報はと問われ、
Load Ramsayは、500ポンドをサイコロ博打ですり、近くの売春宿に向かったようだと答えます。

売春宿の場所を聞いて、出かけようという彼女にCamとMerripenは、同時に“No”と言います。それでも
行こうとする彼女に、Camは一緒に行こうと提案します。

以上が、第二章まででした。さて、AmeliaとCamのロマンスはどう発展していくのでしょうか?
壁の花シリーズのスピンオフですから、当然Westcliffたちも登場してくるのでしょうね、楽しみです♪
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情けない兄に代わって、妹たち三人の面倒を見るのが自分の責務と考えているヒロインと、アイルランド人の
父とロマの母の間に生まれたヒーロー。お互い惹かれあいながらも兄妹を第一に考える彼女と、半分ロマで
ある自分の居場所を見つけられない彼、二人ともなかなか一歩が踏みだせないため物語の半ば過ぎまでは少し
イライラさせられます。

でも、WestcliffとLillian、St. VincentとEvieのその後の暮らしがわかるのと、その変わらない性格で
関与してきますので、シリーズ読者にとってはうれしかったです。

さらにMerripenと妹Winnifred (Win)の秘めたるロマンスが物語を豊かにしてくれています。この二人は、
新作「Seduce Me at Sunrise」の主役のようで、読むのが楽しみです(が、読みたい本が目白押しなので
いつ読めることやら…) またCamには、彼も知らない出生の秘密がありそうで、Hathaway家シリーズ
(勝手に名付けました)5人の物語がこの先作られるのでしょうか。今後に期待大です。

◇ Love Only Once / Johanna Lindsey 語数:79,348 ISBN:0380899531
(72 customer reviews 令嬢レジーナの決断) Mallory Familyシリーズ #1
1817年ロンドン、Selena Eddingtonは、長く優美な自慢の手でデキャンタを持って、Nicolasのグラスに
ブランデーを注ぎます。その時薄いイブニングドレスを透して体の線が見えるようにして、札付きの道楽者の
彼にとってさえ挑発的だろうと思える行動をとります。しかし彼は、彼女の話も存在も上の空のようです。

彼女は話題を変えて、一番楽しみにしている明日のShepford公爵家での舞踏会の話を始めます。シーズン
始めに行われ、彼女が長年招待されるのを待ち焦がれていた舞踏会ですが、彼は覚えていないようです。
頭にきた彼女は、それなら誰かほかの人にエスコートを頼むから、あなたに頼らないと言います。

彼女らは、彼女の友人で伯爵夫人のMarieの家にいます。伯爵は外出しており、夕食後彼女は愛人と二階に
行ったため、二人っきりです。彼女は彼に夢中になる女性たちの中では輝いていますが、三か月続いた交際で、
彼はそろそろ彼女に興味を失ってきています。

彼は今まで三人の処女と遊んできましたが、大きな問題になったことがありません。それというのも女性の
父親たちが、激怒した夫二人との決闘に勝利している彼を恐れたからです。彼はそんな過去を自慢するわけ
でもなく、罪悪感も覚えていません。そして地位ある父親は、娘を彼に近づけようとはしなくなりました。

Nicolas Eden、Montieh子爵が、独身生活を続けている訳を誰も知りません。男爵未亡人で、まだ24歳の
美しいSelenaの登場は、彼を捕まえて改心させる適任者のように周囲の者は感じていました。一方彼は、
後釜も見つけずに関係を終わらせたがっている自分に少し驚いています。

Selenaは、彼に嫉妬させるため他の男性からの交際申し込みを受けたからと別れ話を始めます。しかし彼は
彼女の嘘を見抜いており、その後の会話から、彼のうぬぼれに業を煮やした彼女は、彼との縁を切ります。

以上が、第一章でしたが、ヒロインの登場がありませんね。

Malory家では、Marshall、Travis、Clare、そして最初のシーズンで初舞踏会のDianna、ただ15歳の末娘
Amyを除いて、みな公爵家での舞踏会の準備で忙しく、少しイライラしたり、緊張したりもしています。
そしてEdward Maloryの姪Regina Ashtonもその一人でした。

Marshallは21歳、これからは自分の好きなことができる年になりました。Clareは20歳、これが三度目の
シーズンです。かわいい彼女ですが、いとこのReginaと一緒にいると霞んでしまいます。彼女には沢山の
申込みがあったのですが、いまだ気に入る結婚相手を見つけていません。そして今年は18歳になっていない
妹Diannaもライバルになっています。本来彼女は1年待たなければなりませんが、両親がOKしたのです。

19歳のReginaの母Melissaには、2人の兄と2人の弟、つまり叔父が4人います。一家の長Jason45歳、
Edward44歳、James35歳とAnthony34歳です。4人の叔父にとって彼女は姪と言うより娘同然でした。
彼女が6歳の時両親を亡くしてから4人で面倒を見てきたからでした。叔父たちが、彼女が早く結婚相手を
見つけて、幸せな家庭を持ってほしいと望んでいると知った彼女は、夫探しを始めました。

愛する叔父たちに喜んでもらおうと、一生懸命探した相手を紹介するのですが、叔父の誰かが相手の欠点を
見つけ出すので、いつまでたっても結婚できません。夫探しはヨーロッパにも及び、どこにも叔父たちが満足
するような男性は見つかりそうもないと考えるようになってきています。

こんな時に会いたいのは、叔父と言うより兄のように感じるAnthonyでした。家の前で馬車が止まる音が
して、彼が来たと喜んだ彼女は、女性の訪問者にがっかりします。侍女から彼が遠出すると聞いて、いても
たってもいられず舞踏会をキャンセルしてでも叔父を訪ねたいと言う彼女を、Marshallは許しません。

その時、ゲストの女性が自分の馬車を貸すと申し出ます。その女性はSelenaで、Marshallのエスコートを
手に入れたのでした。彼はSelenaに、父親に気付かれないよう30分以内に舞踏会に来るよう約束させます。

以上が、第二章でした。さて、長く付き合うことができる女性に巡り合えないNicolasと、結婚相手探しに
疲れてきているReggieのロマンスはどう展開していくのでしょうか。彼女の叔父4人たちが、どう絡んで
くるのかも、ちょっと楽しみです♪
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ヒロインには甘いと言われている私ですが(笑)、ヒーローと別れられないのが許せませんでした(爆)
と言う感想を持つくらい、とんでもないヒーローです。

ヒーローには結婚したくないそれなりの理由(出生の秘密)があって、婚約を破棄しようとするは、
結婚後すぐに失踪するは、付き合った女性への対応はLove Only Once (タイトルになっています)、
(あまり書くとネタばれになるので省略します)などの非道の数々。

出生の秘密を知ったヒロインが、それを気にもとめないことに驚いたヒーローに向かって言い放った、
“You have a mountain of faults without adding that one.”で、ヒロインを許してしまう私です(笑)

ヒーローの話を脇に置いておくと(笑)、ストーリーはスリリングでコミカルな展開もあります。ヒロインは
過去に盗賊に拉致されて経験を持っており、物語の中で二回も拉致されるんですが、過去の経験から冷静に
対応するんです、で…(以下、ネタばれになりますので省略します)

脇役の4人の叔父さんたちが、またいい味出していて物語を面白くしています。次回作のヒーローは
Anthony、第三作はJamesのようで、とっても楽しみです。

シリーズ第一作ということで登場人物は多い上に、ヒーローがとんでもないやつで、ロマンスが少ないと
いう欠点もありますが、このシリーズを読もうと思う方にはこの作品から読むことをお勧めします。

◇ Tender Rebel / Johanna Lindsey 語数:100,970 ISBN:0380750864
(59 customer review 舞踏会の夜に魅せられて) Mallory Familyシリーズ #2
1818年英国、「怖いのですか?」と問われ、馬車の窓から何となく外を見ていたRosalynn Chadwickは
侍女のNettie MacDonaldの方を向きます。彼女は身寄りも無く、故郷を後に旅をしています。もちろん、
怯えていましたが、侍女には悟られたくありませんでした。Nettieはスコットランド・ハイランド地方に
42年住んでおり初めて国境を越えてイングランドに入ったので、不安をかかえています。

彼女たちは、従弟のGeordie Cameronの追っ手から逃げて、ロンドンに向かう途中でした。というのは、
祖父Duncanが亡くなり、遺書には全ての財産をたった一人の孫、Rosalynに残したのでした。甥の息子で
ただ一人の男性血縁者のGeordieは、いくばくかの財産を相続できるものと期待していたのでした。

それを予期していたのかここ数年、彼女に付きまとっていました。遺書の内容を知って求婚してきましたが、
彼女はそれを撥ねつけたのでした。そしてその夜、侍女と一緒に逃げだしたのでした。

彼女の母Janetは、イングランド人と恋に落ち結婚しましたが、彼は事故で亡くなり、失意の元一年後、
彼女が7歳の時に亡くなっていました。その後、祖父に引き取られて育てられたのでした。彼女は友人で
ロンドンに住むFrancesを頼って行く途中、宿に泊まります。宿の16歳の少年は、彼女を見てポカーンと
しています。そう子供から年寄りまで、彼女を見た男性は一様に同じ反応を示します。

以上が、第一章でした。

ところはボクシングジム。放蕩者のAnthony Maloryにとって、ボクシングは日頃の不節制を是正し、
体調を保つための運動にすぎませんが、ここ十年負け知らず。今日も対戦相手が見つかりません。その時、
「Tony、相手を探しているなら、俺が相手になろう」と声がします。兄のJames Maloryでした。

Jamesは、10年前ロンドンでも悪評高い放蕩者でしたが、理由(第一作参照)あって姿を隠していたのでした。
彼は今朝出航するはずでしたが、17歳の息子Jeremyのため計画を変更したのです。父親たちとの島暮らし
から陸の上の生活になってから言うことを聞かなくなり、学校を終えるまでここ生活することにしたそうです。

試合をしながら会話は進みます。Jamesが海にいる間は、親友Conrad SharpがJeremyの面倒をみるのか
との問いに、JeremyはAnthonyを選んだと答えます。

以上が、第二章でした。もう少し続けます。

「恋しているのならともかく、必要もないのに結婚しようと言うの?それも会ったこともない男性と」と、
Frances Grenfellは、Rosalynnの話を聞いて驚いてそう問いかけます。彼女は7年前Henry Grenfellと
期待はずれの結婚をしてから、以前の明るかった頃とすっかり変わっています。夫を亡くした今、義母と
一人息子と暮らしています。

Rosalynnの話では、祖父の看病をしている間、結婚相手を見つけないまま25歳になり、とても恋愛結婚
など出来そうもないと考えているようです。二人は、Rosalynnが13歳でイングランドの学校に入れられた
時に知り合い、2年後手に負えないとして放校されたのですが、その間に切っても切れない間柄になり、
秘密を打ち明けられる唯一の友人になっていました。

彼女は、湖で溺れ死んだ母親のこと、祖父はGeordieが彼女のボートに何か細工をしたと疑っており、
その結果彼は遺産を手に入れられず、保護者を失った彼女を力づくで結婚して財産を手に入れようとしている
ことを話します。また用心のため短剣をブーツに入れているが、彼に手出しできないように結婚して夫を
持つ方が良いと考えています。

祖父は、心さえつかめば放蕩者は良き夫になると言っていましたが、放蕩者は放蕩者でしかなく、そんな男は
いやだと彼女は言っていました。というのはFrancesから放蕩者について学んでいたからです。

以上が、第三章でした。早急に結婚相手を見つけようとするヒロインと、ロンドン一名高い放蕩者のヒーロー。
どんなロマンスが展開するのでしょうか。当然兄弟3人がかかわってくるでしょうからとっても楽しみです♪
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ヒロインが早急に結婚相手を探そうというのは、前作と同じ様な設定ですが、ヒーローが全然違います。
喧嘩しているのに蔭ではヒロインのためにあれこれ手を尽くすイイヤツなんですよ(笑)

前作と同じ様にコミカルな展開もあり楽しく読めるのですが、スコットランド訛りなのでしょうかヒロインと
侍女との会話、感情がたかぶると訛りで話すヒロインの会話が少し読み難かったです。

ロマンスの翻訳の題名には??なものが多いのですが、本作の「舞踏会の夜に魅せられて」は、良い題名
だと思います。結婚相手を探しに舞踏会に来たヒロインと、招待されてもいないのに夫が遠出して一人で参加
した姪を心配して来たヒーローが出会い、お互いに惹かれあうというのはロマンスの王道を行っていますね。

後半で、次回作のヒロインらしき女性の登場があり、期待を持たせます。

◇ Driven / Eve Kenin 語数:87,000 ISBN:050552709X
(22 customer reviews)
煙草の煙と汗とビールの臭いが充満するBob’s Truck Stopで、Raina Bowenはただ一人で座っています。
店の中はトラック野郎たちがたむろしており、中央のポールでは肌もあわわな若い踊り子が体をくねらし
ながらその周りをぐるぐる回っています。Rainaは、窓から外をずっと眺めていたのでした。

外は零下30度です。寒さが嫌いな彼女でしたが、遺伝子組換え穀物をGladow Stationまで最初に届けると
5000万interdollarのボーナスが貰えるのです。それだけあれば、Bethの安全(?) を買ってもお釣りが来ます。

Wizardという男を待っていたのですが、しびれを切らします。その時トラック野郎の一人が、男が欲しいの
だろうと声をかけてきます。断っても、髪を掴んでキスしようとしてきますので、ナイフを取り出し男の舌を
切りつけます。彼はひるまずに、また襲いかかってきます。彼女は、相手のすきをついて殴り倒します。
今まで踊り子を見ていた男たちの注意がこちらに向きましたので、彼女はうまく身を隠します。

突然外で光があふれます。沢山のトラックが円陣を組み、1台のトラックを照らしていたのでした。臨時の
アリーナが作られて、これから格闘技が始まるのです。周囲のトラックはJason社のもので、一人の運転手
の話から一匹狼の運転手が、なにか彼らを挑発したらしく、その運転手はWizardのようです。

Jason社のBig LucとWizardの戦いが始まります。Wizardは殴り倒され、Lucは2度3度蹴りを入れます。
勝ち誇ったLucが立ち去ると、残りの男たちがさらに殴打しようと近づきます。Wizardを助けようとする
ことは無謀と言うほかありませんが、彼は彼女が欲しがっているレースのライセンスを持っているのです。

彼女は乗って来たスノウ・スクーターを見ながら救出方法を考えます。倒れている彼を立たせようとしますが、
気がついた彼はまたLucに戦いを挑みます。またやられると思った瞬間、彼のパンチはLucに決まります。
男たちが仕返しに来る前に彼女はWizardをスクーターに乗せてその場から逃げのび、遠くに停めていた自分
のトラックに帰ります。

彼は遅れてきたことに悪気を感じていない様子です。ライセンスを持ってくることを約束したはずと問うと、
Sam Bowenに会うことを約束したが、女の子に会う約束はしていないと答えます。同じ部屋で寝ることに
なりますが、彼女のベッドの周囲には武器があり、ナイフを持ってベッドに入ったことを彼に見せつけます。

その様子を見て、彼は彼女がCrazed Amazonと噂されていたことを思い出します。またここ数カ月知り得た
情報をまとめてみると、Sam Bowenが死んだというのは本当で、噂によると彼を殺したのは彼の娘とのこと。

以上が、第一章でした。

Rainaが目を覚ますと、Wizardはとっくに目覚めています。昨晩の戦いで顎や肋骨が折れているはずですが、
気にもしていないようです。贅沢な装備ですが、トラックにシャワーを取り付けており、彼に使用を勧めます。
シャワーの音を聞きながら、彼女は眼を閉じて彼を想像します。

外に出て、降り積もった雪を払ってスクーターを収納します。運転台に戻った彼女は、3台のトラックが
こちらに向かって来るのを見つけます。寝室に戻ると、彼はシャツを着ておらず、上腕には入れ墨がある
ことを知ります。それは犯罪者を意味しており、2087年に起きた事件に関係しているようです。

トラックが外で停車した音がします。彼が見つかると厄介なので隠れるように言いますが、彼は出て行こうと
します。私にはライセンスが必要なのと言いますが、申し訳ないと言い、別れの挨拶をして出ていきます。

Big Lucが直接やって来ます。Wizardと彼女の繋がりの痕跡は全て消したはずです。彼は、昨晩Bob’s Truck
に居たことを問いただします。彼の話から、Wizardは、Jason社から臨時ライセンス二つを盗み出し、また
欲得づくで動く人間で、政府のために働いていたこともあるそうです。隙をついて、彼女は彼を殴り倒します。

物陰からWizardが現れ、Lucを彼のトラックに運んでくれます。彼女はシャワーを浴びて考えます。
凍てつくNorthern Wasteの真ん中で、やっかいなJason社の連中が周りにいて、ライセンスも手に入らず、
Gladow Stationレースに出られるあてもなく、さらに扱いに困るWizardがいます。彼女はどうしても
賞金が欲しかったのです。自分のためにも、最近まで存在も知らなかったBethのためにも。

以上が、第二章まででした。さて近未来のシベリアを舞台にした物語のようですね。いろいろと事情のある
ヒロインと、胡散臭そうなヒーローですが、この先どんなロマンスが展開するのでしょうか楽しみです♪
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この作品の面白さのひとつは、ヒーローのユニークさです。ぶっきらぼうなしゃべり方とやたら難しい言い
回し、さらに感情を露わにしないことからくる人間らしさの欠如。設定が近未来ということから彼はロボット
(アンドロイド)じゃないのかしらと最初は思いました。ヒロインだって負けていません(笑)。危険な地域で
トラックの運転をするくらいですから、他人を信用せず、また荒くれ男たちの扱いは慣れています。

先の紹介文から想像した展開とだいぶ違う展開になっていきます(私の想像力が貧弱なだけ??)。
二人の過去が少しずつ明らかになっていき、さらにヒロインには宿敵が登場し、とハリウッド映画のような
展開ですが、ヒロインは、犯罪者かもしれない過去を持つヒーローにしだいに惹かれていきます。ヒーローも
次第に感情を持つようになって来て、とロマンスも十分盛り上がります。

SFですから時代背景や使用される道具類が文字情報だけでは分かり難いのと、ぶっきらぼうな文章が多くて、
ヒストリカル・ロマンスの冗長な文章に慣れきっている(笑)私には少し読み難かったです。

◇ Red Roses Mean Love / Jacquie D'Alessandro 語数:105,895 ISBN:0440235537
(75 customer reviews赤い薔薇を天使に)
1820年ロンドン郊外、何者かが後を付けてきています。Stephenは恐怖に駆られ、馬を止めて周囲を見渡し
ます。暗くてよく見えませんが、危険が迫っていることは分かっています。気づかれないようにロンドンを
抜け出したはずなのにという思いはありますが…、その時銃声が空気を切り裂きます。

焼け付くような痛みが、上腕を貫きます。痛みを堪えながら、森の中に逃げ込みます。彼は一人になりたくて
友人Justinの同行の申し出も断り、狩猟小屋に向かう途中でした。背後から追手の声が聞こえ、次の銃声で
驚いた彼は落馬して、険しい傾斜面を転がり続け、最後に流れが冷たい小川で止まります。

Hayley Albrightは、2座席の馬車に召使二人と乗っています。疲れて早く風呂に入って、ベッドに横になり
たいと思っていた時、前方の暗がりに閃光が見えます。危険を感じた彼女は、こっそりとスカートの下の
ハンドバッグを確かめます。その中のお金は彼女の家族にとても必要なもので、ロンドンまで遠出して工面
してきたのでした。ただ入手方法には多少問題があり、罪の意識が彼女の心に浮かびます。

雑木林から大きな影が飛び出して、彼女は恐怖を感じます。もしここで死んだら、自分を頼る叔母のOlivia、
Nathan、Andrew、Pamelaと6歳のCallie達はどうなるのとの思いがよぎった瞬間、それは馬だと分かり
ます。彼女は馬の手綱を取り、様子を見ます。怪我をしており、鞍がついていることから、近くで乗り手が
助けを待っているようなので、遅くなっているとは言え、放ってはおけません。馬に案内させて男を発見し、
傷の手当てをします。そして馬車に乗せて家に連れて帰ります。

ロンドン波止場地区の暗い路地で、馬車に乗った客が、近づいてきた二人の男に、彼は死んだのかと問います。
その答えに満足し、金を渡して馬車は走り去ります。馬車の中の客は、Stephen Alexander Barrett、
Glenfield侯爵8世が、ついに死んだことに満足の笑みを浮かべていました。

以上が、第一章でした。

Stephenが、気が付くとそばには美しい女性が立っています。頭はズキズキするし、肩は焼けるような痛みが
あり、ここはどこ?、私は誰?と困惑します。彼女が優しく話しかけ、ひんやりした物を額にのせると、
痛みが和らぎ、いきなり天国に来たように感じます。そう彼は、天国で天使に会ったように感じます。

けが人を連れてきてから1週間になります。18歳のPamelaが、ずっと看病につきっきりで、食事を満足に
とらない姉の様子をうかがいに来ます。傷は治りつつあるのですが、熱がぜんぜん下がらないのです。医者は
手を尽くしたのであとは奇跡を祈るだけだとのこと。母親はこの部屋でCallieの出産時に亡くなっており、
父親もこの部屋で亡くなっています。これ以上、ここで悲しい思いをしたくない彼女でした。

3年前に船長だった父親が死んで、23歳の彼女は4人の妹弟と手伝いに来た叔母、さらに父親と長年一緒に
働いていた船員たち3人の面倒をみることになります。おまけに父親の借金の返済までありました。頼ろうと
思っていた婚約者はその状況を見て彼女のもとを去ってしまいます。

経済的にはとても苦しいのですが、一家の長として彼女はそんなそぶりを家族たちには微塵も見せないように
努めてきたのでした。時にはPamelaにこのことを話そうと考えたことがありますが、年ごろの彼女の幸せを
考えると胸に秘めてきたのです。看病で疲れて、長椅子によりかかり眠りにつきます。

以上が、第二章でした。

次章で、ヒーローが目覚めます。ここまで読むと、よくある設定ですので先が見えてきます(笑)が、
はてさて想定の範囲でロマンスは展開していくのでしょうか、とっても楽しみです♪
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よくある設定の物語でしたが、とっても面白かったです。

気がついたヒーローは、けがのため自由に動けませんので、自分の命を狙う相手から身を隠すため、偽名を
使って、ヒロインの家庭で過ごすのですが、ヒロインを取り巻く家族と同居人達の裕福ではないが自由奔放で
ほのぼのとした家庭で、カルチャーショックを受け、本来の侯爵ならば絶対にしないような行動をします。
そう、前回紹介の「Slightly Dangerous」で、Wulfric公爵がヒロインに振り回されたことを思い出させます。

そして自分を犠牲にしてでも家族の幸せを第一に考え、収入を得るためにある秘密を持っているヒロイン、
また優柔不断なヒーローに働きかける友達思いのJustin (実は伯爵)、そして最強の脇役を言ってもいい(笑)
ヒロインの妹Callie(6歳)が、物語をハートウォーミングなものにしてくれます。

唯一気がかりなのはこのヒロイン、侯爵夫人、将来の公爵夫人としてうまく社交界でやっていけるのかしら
と感じたことです。どうでもいいことですが、そのくらいヒロインがよかったということで(爆)

◇ Castles / Julie Garwood 語数:111,132 ISBN:0671744208
(86 customer reviews) Lion's Lady シリーズ 4
1819年英国、彼は本物のLady Killerでした。女は狙われていることも、自分に思いを寄せる謎の相手の
本当の意図にも気付くことさえありません。彼は思いやりを持って、女を殺しやったと信じており、それを
誇りにさえ思っています。女は、最期に微笑みながら死んでいったのだから。

彼は、最初短剣を使おうと考えていました。切っ先が彼女に深く突き刺さるところを感じたかったのです。
でも突然の衝動で使用をやめ、彼が与えたダイヤモンドのネックレスを、締め上げて彼女の命を絶ちました。
アクセサリーが大好きなのだから、この選択は正しかったと彼は感じます。そして彼女を埋葬し、振り返りも
せず立ち去ります。彼女に手をかけた時の今まで経験したことのない高揚感を思い出しながら。

当分の間は今夜の記憶を糧に生きていけますが、それが衰退した頃にはまたハンティングを始めるでしょう。

以上が、プロローグでしたが、何のことか分かりませんので次に行きます。

修道院長のMary Felicityは奇跡を信じていましたが、67歳の人生で、1820年2月の今日までそれを見た
ことはありませんでした。最初は、その喜ばしい知らせは、悪魔か何かの仕業と思い、素直に信じることは
できませんでした。再度、手紙のWilliamshire公爵の封印を確かめてから、信じる気になりました。

やっと厄介者のPrincess Alesandraを修道院から追い出せるのです。彼女はその知らせに呆然とし、頭を
下げて涙を院長に見られないようにします。彼女は、以前起こした火事騒ぎが原因だと考えているようです。
院長は、後見人である公爵の手紙を見せます。それにはIvan将軍が、彼女と結婚したがっているとのこと。

彼女はその将軍と会った記憶がありません。将軍は姫と結婚すれば、大衆の支持を上で王国を我物にできると
考えているのです。彼女は、結婚の意思はありませんし、公爵も賛成してはいませんが、将軍は、力づくでも
結婚を迫ってくることでしょう。また彼女は、ここを離れたくありませんでした。

院長は、昔のことを思い出します。半年前に父親を亡くした12歳の彼女は、病める母親と一緒に来ました。
昼夜を問わない看病にも関わらず、母親は彼女の腕の中で息を引き取りました。ここには母のお墓もあること
だし、聖域だから安全という彼女に、欲に目のくらんだ将軍には意味のないことと院長は諭します。それに
後見人の意向を院長は無視できません。少しの自制心を持って、よく考えてから行動しなさいとアドバイスを
与え、世間ではプリンセスなのだから、品位と礼儀作法に気を配ってと言って彼女を送り出します。

彼女が部屋を出て行ってすぐに院長は涙を浮かべます。まるで太陽が黒雲に覆われたように感じたからです。
きっと、いたずらっ子とその悪戯を忘れることはできないでしょう。

以上が、第一章でしたが、ヒーローの説明がないので続けます。

1920年ロンドン。昔ドルフィンと呼ばれていたColinは、AlesandraをBratと呼んでいました。後見人の
息子が、なぜそのあだ名で呼ばれているのか知りませんでしたが、自分のあだ名の意味は、よくわかっていま
した。それは両親が幼い彼女を連れて公爵家に滞在した時、彼と兄のCaineと一緒にいた際のわがままで
反抗的な態度をとっていたからでした。彼女は、もう彼がそれを忘れていることを期待しています。

公爵夫妻は彼女を自分の娘のように扱い、ロンドンに行く彼女に同行するはずでしたが急な病に寝込みます。
代わりにCaine夫妻を頼ろうとなりますが、夫妻も急病になりColinの元に身を寄せることになります。
二人のボディガードと侍女を伴って、夕方遅くColin宅に着きます。彼は不在で若い執事のFlannaghanは
当惑しますが、彼女をプリンセスと知った彼は、それ相応のもてなしをして、主人の帰りを待ちます。

深夜2時にColinが帰ってきますが、ボディガード二人が彼の前に立ちふさがります。音で部屋から出て来た
彼女は様子を見て、彼らを下がらせます。執事は、主人に事情を説明し、彼女のプリンセスらしさを褒めます。

彼女はColinに、再び会えた挨拶をしますが、彼は彼女を覚えていません。彼は、なぜここに来たのか、誰が
指図したのか、また目的地に着いたのにボディガードは必要かと問い、彼女はそれぞれ答えます。父の公爵が
結婚相手を送ってきたように、彼は感じますが、兄夫妻が急病になったのまで公爵の計画ではないようです。

ここに来たのは、二つ理由があると言います。ひとつはVictoria Perryを探すこと。旅行中に修道院で休養を
取った彼女と友人となり、文通していたが消息が途絶えたというのです。公爵によれば、彼女は駆け落ちした
とのこと。話を信じない彼女は、彼女の兄Neilに手紙を書こうと考えています。

なかなかもう一つの理由を話さない彼女に、それは何かと尋ねます。どうしても聞きたいのと確認してから、
あなたと結婚するためにロンドンに来たのよと答えます。

以上が、第二章でした。ヒロインがただならぬ設定であるところは、相変わらずLion's Lady シリーズ
らしいですね(笑)。前作でも活躍したColinとのロマンスは、どう展開するのでしょうか、楽しみです♪
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ヒロインがプリンセスというただならぬ設定ですが、どこの国のとは書かれていませんので、単なる設定(笑)
のようですね。プリンセスだからと、摂政皇太子がエスコートに登場するは、執事のFlannaghanは心酔
しっぱなしだしという具合でしたから。

紹介の続きは、当然Colinは結婚する気はないと断ります。ヒロインは何でもリストアップするのが好きで、
花婿候補とか、Victoriaの消息を尋ねるための質問事項とか、Colinはこうすべきだなどを作るんです。
花婿候補のトップはColinでしたが、断られてあっさり削除しますが、これがColinは気に入らなくて、
候補者それぞれの問題を次々指摘して…と二人の関係が進展していくところは面白かったです。

将軍の手の者によるヒロインの誘拐騒ぎや、プロローグに登場した殺人者の次の犠牲者は誰?などの
サスペンスもありますが、全体を通してはコミカルな明るい展開で安心して読めます。

タイトルにもなった「Castles」(複数ですね)は、ちゃんと登場します。それぞれ意味がありますが、
Garwoodの中世物に登場する「お城」とはちょっと違いました。

◇ Splendid / Julia Quinn 語数:104,409 ISBN:0380780747
(48 customer reviews)
1816年2月ボストン、Emma Dunsterは、父親からロンドンで1年間従兄弟たちと暮らすように言われ、
追っ払われるような感じがして嫌がります。父親は、叔父Henryと叔母Carolineは、実の娘のように
可愛がってくれるし、いとこのBelleとNedはボストンの友達より好きだと言っていただろうと諭します。

幼い時に母親を亡くしたEmmaは、父親を一人残して旅立てませんし、父が築き上げたDunster Shipping
を引き継ぐためにもボストンで学ぶことがたくさんあったのです。しかし、女性のお前と仕事をしたいと思う
顧客も従業員もいないと説得します。しかし彼女は、あきらめず食い下がりますが、父親は上手を行きます。

そこにWorth伯爵夫人のCarolineが来て、今日泥棒の鼻にパンチを喰らわしたそうねと言います。顔を赤く
した彼女は、Nedたちは財布を盗まれたのも気づかなかったから、たぶん鼻が折れたと思うけどと答えます。

Carolineが、ロンドンでは礼儀正しい女性は、悪い人でもその人の鼻などを殴ったりしないものよと言うと、
ボストンでも、そんな事をする礼儀正しい女性は、いませんわよとEmmaは答えます。

以上が、プロローグでした。

1816年4月ロンドン、Arabella (Belle) BlydonとEmmaは、メイドから仕事着を借りて、Bellaの母親に
見つからないようにこっそり台所に降りて、コックに手伝いをしようと提案しますが断られます。英国に来て
3週間になりますが、ここでは簿記などは淑女のやる仕事ではありません。英国淑女は、ダンスを練習したり、
衣装を合わせたりなどして暇をつぶしているようですが、彼女にはそれが退屈でなりません。

Carolineは、ひそかにEmmaが英国紳士と恋に落ちて、ロンドンに腰を落ち着けることを期待して、彼女の
社交界デビューを準備します。Emmaは初めての舞踏会に興奮しますが、完全主義の叔母は、パーティーの
準備を相当前から行いますので、それに嫌気がさして彼女たちは逃げようとしたのでした。

卵がないことがわかり、コックは誰か手の空いている者はと探すと、Emmaは自分が行くと言い出します。
顔を知られていないし、メイドの服を着ているので、誰にも気付かれないと考えたからです。市場で卵を
買って帰る途中、上品な馬車のそばに子犬を抱いた5−6歳の男の子がいるのを見つけます。

その子が母親待っている時、猫を見つけた子犬は腕から飛び出し、吠えながら追いかけます。後を追いますが、
ちょうどその時、別の馬車が走って来ます。Emmaは御者が前の見ていないのに気付きます。悲鳴をあげて、
持っている卵のことも忘れて、頭から飛び込み、間一髪で男の子を救いますが、気を失ってしまいます。

以上が、第一章でしたが、ヒーローが登場しないので続けます。

Emmaが目を覚ますと、そこはAlexander Edward Ridgely、Ashbourne公爵がいます。彼女が助けたのは
公爵の妹Sophieの息子Charlieでした。気が動転して声を荒げるSophieにAlexは、割れた卵の代わりを
買ってくるように言います。あなた一人を彼女と馬車に残すわけにはいかないという彼女に、数分間一緒に
いただけで、誰もメイドと結婚しろとは言わないからと、Sophieを息子を連れて卵を買いに行かせます。

彼女の勇敢な行為を見て、わが目を疑ったAlexでしたが、なにかしら彼女に惹かれるものを感じます。
気がついた彼女は名前を問われ、Megと偽名で答えます。Ashbourne公爵と名乗った彼は、彼女の口調から、
植民地の出身かいと尋ねます。「植民地」との言葉にカチンときた彼女は、アメリカ合衆国の出身と答えます。

お互いを見つめながら惹かれるものを感じ、Alexはそっとキスします。ほんの短いキスでしたが、双方とも
今まで経験したことのない感覚にとらわれ、どぎまぎします。そこに卵をたくさん買ったSophieが戻って
来ます。Sophie Leawood、Wilding伯爵夫人と自己紹介して、住所を書いたカードを渡し、なにかあったら
いつでも訪ねてねと言います。どこで働いているのかと聞かれて、Worth伯爵家と答えると連れて行って
くれます。別れ際に、Sophieは、身につけていたダイヤとサファイアのイヤリングをお礼としてくれます。

重い卵を運ぶのを手伝おうというAlexを丁重に断って、キッチンに帰った彼女を、心配していたBelle達が
出迎えます。どこに行っていたのと問うBelleに、Emmaは上で話そうと二階に上がりますが、部屋に
入ったとたん、一気に疲れが出てきて気を失ってしまいます。

以上が、第二章でした。米国育ちのEmmaと、彼女をメイドと思ったAlexとのロマンスは、どう発展
していくのでしょう。これからの展開がとっても楽しみです♪
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巻頭の著者挨拶によれば、これが彼女のデビュー作で、お気に入りの作家の作品は全て読み終え、もっと読みたいと
思っている頃地下鉄の中でプロットを思いついたそうです。近年の作品ほど洗練されていないと著者も言っていますが
ロマンス愛読者らしく、いろんなプロットが盛りだくさんで、楽しんで書いているように感じました。

二人の出会いからわかるように、全体はラブコメ調でまとめられ、英語も読みやすく、楽しく読めました。

そうそう、600万語報告で紹介した「Dancing At Midnight」の前の作品です。このシリーズ3部作、結局逆から順に
読んでしまいました。もし、これからお読みの方がいらっしゃるのなら、「Splendid」、「Dancing At Midnight」、
「Minx」の順になっていることを申し添えておきます。

◇ Beyond the Highland Mist / Karen Marie Moning 語数:110,000 ISBN: 0440244161
(146 customer reviewsハイランドの霧に抱かれて)
1513年2月1日スコットランドの緑いっぱいの森の中にTuatha De Danaan宮殿はあります。豪華な高座に
腰かけた女王は、足もとに寝そべっている男に、ある男の噂話をします。その男は美しくセクシーで、女性は
一目で心を奪われるというのです。男は、虚栄心が強くて挑発に乗ろうとしませんが、心騒いでいます。

いい加減にからかうのはやめなさいと、Finnbheara王は、女王をたしなめます。昨晩彼女を他の女と比べて
至らないところを見出されている話をふと耳にしたことが許せなくて、この仕返しを考えたのでした。

王の命にも怒りは収まらず、慎重に言葉を選び、噂通りの男だということを知ったと言います。その言葉に
王と足もとの男は心穏やかでなくなり、口をそろえてその男は誰だと問います。妖精のAoibheal女王は、
王たちの嫉妬心に満足して、その男は、Hawkと呼ばれていると答えます。

以上が、プロローグでした。

1513年4月、風呂上りのSidheach James Lyon Douglas、Dalkeith伯爵3世の美しい肉体を、ベッドから
見つめるEsmereldaの心は複雑です。彼を自分だけのものにしたいと思いながらも、それがかなわぬことを
よく知っています。姉よりよかったでしょうと同じ質問を繰り返しますが、彼は答えをはぐらかします。

姉の後には、Zeldaがいました。他の女たちより自分の方がと思いたい彼女の問に、彼は沈黙で答えます。
それは、別れを意味していることをよく知っている彼女でした。突如殺したいという気持ちが湧き、短剣を
手にしますが、彼は驚きもせず、笑ってかわします。呪う気持ちも、彼のキスに彼女の体は裏切ります。

Hawkは、Grimmに自分を殺そうとした女の話をします。彼は、彼女は妻の座を得ることはできないことを
わきまえるべきだ、James王が婚約の命を出したことは周知だと言います。Hawkの両親が、Jamesに恥を
かかせて以来、王は復讐を誓っていましたが、父親が亡くなり、跡を継いだHawkを憎んできました。

会ったことも、望んでもいないComyn族の女性との結婚を強いられており、噂では彼女は気がふれていると
いうのです。結婚式まで2週間もありません。流れ星に願いをかけるという話題から、どんな願いをしたとの
話になります。Grimmは、Hawkなどを相手にしない、機知と知性を持ちとびきり美しく、彼の頼みにも
Noとしか答えない女性が現れて、二人が口論するのを聞いてみたいと答えます。

「その願い、かなえてやろう」と、人には聞こえない笑いを含んだ声がします。

以上が、第一章でした。

妖精の王は、女王まで虜にした人間Hawkを探るために送り出したお抱えの道化師の帰りを待っています。
彼の報告は、女王の話を裏付けるばかり。容姿は若い神の彫刻さながらの完璧な顔立ちと、ヴァイキングの
戦士のような肉体とまで言われ、王は、彼と一緒の女王のことを想像して気分が悪くなります。

道化は王が興味を引く話を続けます。Hawkは婚約させられており、結婚しないとJames王によって二人の
部族は破滅させられる、その相手Janetは父親の手によって今日死んだというのです。道化がそれに手を
貸したかどうかの答ははぐらかされます。王はその話に満足せず、熟考します。そして、Hawkは愛したこと
があるのかと問います。道化は、Hawkは求愛したことがなく、いつも女の方から夢中になると答えます。

それを聞いて王は道化に、何世紀の時を超えて、冷静で自立心があり、男を魅了する美しさを持つが、時空を
超える経験にも動じない女性を探せと命令します。特に重要なのは、その女は美男でも女たらしの男に特別の
憎しみを抱いており、Hawkに生き地獄を味わせることだと付け加えます。

Adrienne de Simoreは、いつになく温かいシアトルの夜なのに寒気を感じ、セーターを着て窓を閉めます。
何かに追われるような感じがして、神経質になっています。ここに来て半年も経つのにニューオーリンズから
遠く離れたような気がいまだにしません。そして逃亡者のように怯えています。

18歳になった時、抑えきれない好奇心と300ドル持って孤児院を飛び出し、奨学金を得て、ウエイトレスの
バイトで大学に通いました。20歳の時、美男子で裕福な独身のEberhard Darrow Garettに出会いました。
まるでおとぎ話のような出来事のように感じて、数ヶ月間幸福の絶頂にいました。おとぎ話の王子様が、
そうでないとわかりかけたとたん、現実から目を背けてたくさんの都合のいい言い訳を考えつきました。

Eberhardは死んでいます。もう彼の影におびえる必要はないと自分に言い聞かせます。長年のひとり身の
寂しさゆえ、彼が自分の理想とは違う男という現実を直視するまで、自分に都合のいい嘘を沢山つきました。
もし彼が内面と同じように醜ければ、銃など持ち出さなかったことでしょう。彼女は、二度と美しい男には
惹かれないと固く誓います。

家の外では、実態が無く警報装置が反応しない生物が、求める女性をやっと捜しあてました。

以上が、第二章でした。

Adrienneの足もとが無くなり、まるでアリスの穴の中に落ちるように感じます。そして時空を飛び越えて
過去にさかのぼり、Comyn族長の娘Janetとして、Hawkと結婚させられことになります。

以上が、第三章の始めまででした。妖精の王のたくらみで、HawkとAdrienneは、時を越えて出会うことに
なりますが、二人のロマンスはどう展開していくのでしょう。とっても楽しみです♪
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後半で、ちょっとね〜のところがありましたが、終盤は一気読みでした。

「ちょっとね〜」というのは、妖精の王の命を受けた道化が、ヒーローの恋のライバルAdam Blackとして
からんでくるのですが、個人的にも恨みがあり、かなりしつこくヒーローの邪魔をします。そしてヒロインを
簡単に未来や過去に何回も戻したりするのです。タイムトラベルという設定自体は許せるのですが、あまり
簡単に使われると、ただでさえ不老不死で超能力が使える相手ですから、ちょっとねと興ざめしました。

ハリポタでもタイムトラベルが登場しましたが、魔法でそれが出来るならハリーの両親がヴォルデモートに
殺されずに済んだんじゃないのと感じました。時間移動は、取扱いが難しいですね。

紹介文では女心のわからない傲慢なヒーローと、過去のトラウマから男性不審に陥った“人殺しの”頑なな
ヒロインを想像していましたが、ヒーローは族長として気高くかつ心も美しく、ヒロインも「冷静で自立心が
あり、時空を超える経験にも動じない」女性として選ばれただけあって二人のロマンスはとても良かったです。

「流れ星にかけた願い」というのが、このシリーズのネタなのでしょうか、最後の方でヒロインが流れ星に
かけた願いが、次回作のヒーローをはるGrimm関係ありそうで気になります。このシリーズは、8作あり
翻訳も4作が順調に出版されているようで日本でも人気なのでしょうね。

◇ Dance upon the Air / Nora Roberts 語数:93,697 ISBN:0515131229
(290 customer reviews 新緑の風に誘われて—魔女の島トリロジー〈1〉) Three Sisters Island Trilogy
1692年6月22日夏至の夜、マサチューセッツ州セーレム村の深い森の中、Air、Earth、Fireと呼ばれる
3人の魔女たちが密会を行います。無実のBridgetは、最近の魔女狩りで犠牲になり、ボストンでも獄中で
亡くなった者がいました。自分たちにまで手が及ぶのも間近です。

生き延びるため、ここを離れて新しい住まいを作ることにします。3人は手をつなぎ、呪文を唱え始めます。
森に轟音が走り、嵐のような風が吹き、炎が立ち上ります。空の彼方に、島が浮かび上がり、回転しながら
海の方に向かって行きます。そして静かな波間に落ち着きます。

以上が、プロローグでした。

2001年6月Three Sisters Island、Nellが前方を見つめていますと、島の灯台と石造りの家が見えてきます。
あるお店で見つけた絵の通りです。その絵が、衝動的に彼女をここに駆りたて、フェリーに乗せたのでした。

6ヶ月前から心の内なる声を聞いたのち、2ヶ月間の周到な準備を得て彼女は自由の身になったのでした。
風が彼女のブロンドの髪をなびかせます。ここ数カ月は定期的に染める色を変えてきましたが、今は元の色に
戻しています。ただ短くストレートなことが以前と違います。Evanは、彼女の長い巻き毛が好きでしたが、
時々つかんで引きずりまわしました。もう長く伸ばすことはしないでしょう。

一瞬彼?と感じたのは人違いでした。そう彼は3000マイル離れたロスにいるはずです。彼にとって、彼女は
死んでいます。Helen Remingtonは死んで、Nell Channingがここで生きているのです。

以前は、彼女をこの上なく愛すると言う彼の期待通りに豪華に装ってきました。Helenは、富の恩恵を十分に
知っていましたが、3年間恐怖と悲嘆とともに暮らしてきました。Nellは、木綿のシャツとジーンズで、母の
形見のロケットだけを身につけ、化粧もしていません。持ち物は、錆びた中古のビュイック、バックひとつと
208ドルだけでしたが、これ以上の幸せはないように感じています。

観光客たちと一緒に島に降り立ちますが、ここに住むのなら仕事を見つける必要があります。本屋さんで本を
眺めていると、隣のカフェから声が聞こえます。料理人の女性が恋人を追いかけて店を出ていくようです。
28歳のNellは、店のオーナーMiaと話をして雇われることになります。

Café Bookの経営者Mia Devlinは、利益を出すことに喜びを感ずる典型的なビジネスウーマンですが、興味
を引いたものののみ追い求めるタイプです。「Injured innocence」というのがNell第一印象で、その印象を
信じて彼女を雇うことにしたのです。もちろん期待外れならすぐに解雇するつもりです。一つ年上のMiaは、
近くに投資として買った家を、Nellに住まいとして貸してくれます。

以上が、第一章でしたが、ヒーローの登場がありませんね。

翌朝Nellは、これからの仕事の期待で太陽が昇る前から起きます。全財産を道具と材料につぎ込みました。
自分を信じてくれたMiaを後悔させたくなかったからです。店ではLulu CabotがMiaに、誰の紹介もなく
経歴調査もしないでNellを雇ったことで、文句を言いますが、Miaは取り合いません。その後、準備された
お菓子を味見して、彼女たちはNellの才能に満足します。

Zack Toddは、Nellの晴れやかな笑顔に魅了されます。彼は保安官で、Miaの店に新しい人が来たと聞いて、
仕事の途中、職業柄興味をもって店を訪ねたのです。

お昼頃Miaと話をしている最中、足もとが揺れ、明かりが眩しくなり、音楽が頭の中での唸るのを感じます。
地震かしらと思いますが、周囲の客たちはなにも感じていないようです。ただMiaだけは「なるほどね」と
言います。「なにが」との問いに、「あとで話すから。午後はいそがしくなるわよ」と言って出て行きます。
Ripleyがフェリーで帰ってきたようだわ、これで3人が島にそろったとMiaは心の中で思います。

Miaはオフィスにこもって、水晶球を取り出し問いかけます。球の中では、Nell、Ripley、Miaの三人が見え
ます。新たな影が男の形になってNellに襲い掛かり、彼女はガラスのように粉々に飛び散ります。

NellがMiaのオフィスを訪れ、お昼に起きた現象を尋ねます。「つながり」とでも呼ぶのかな、確かなことは
わからない、ただNellの過去を詮索する気はない、これから起きることに興味があると言います。そして、
怖がってばかりいると男の勝ちよと付け加えると、勝つことになどどうでもいいわとNellは答えます。

以上が、第二章41頁まででした。
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この作品は、3年ぶりの再読になります。多読通信第90号で、しおさんが「海の本特集」として紹介された
中の一冊で知りました。“魔女たちの力を受け継ぐ3人の女性を描いた”との紹介で、NHK-BSの海外ドラマ
「チャームド-魔女3姉妹-」のような物語を期待して読んで、とってもがっかり(笑)した経験があります。

今回は、ロマンスファンとして読んでみたのですが…  またまたがっかりしました(笑)
これだけロマンスにはまっている私ですから、3年前に読んだ時でも、ロマンスとして面白ければ、
がっかりすることはなかったことでしょうね。

どこが面白くないかと言われれば、ヒーローの活躍が少なく物語の盛り上がりに欠けることでしょうか。
保安官Zackは、とても優しくいい人で、ヒロインに対する思いやりも十分ですが、それだけではね。
唯一盛り上がったのは、終盤でEvanがNellを捜し当て、彼女を取り戻そうとした時にZackが
立ち向かった時で、それも残り30頁くらいになってからでした。

この作品は、Amazon.comでのレビュー290の内、3分の2の人は星5つ付けている人気作品です。
この理由を考えてみますと、夫の暴力で傷つき自分に自信が持てなくなった主人公が、MiaとRipleyの
友情に助けられながら、自分の得意な料理の才能を生かして自分自身を取り戻していく過程が多くの読者の
共感を得たのではと思います。ロマンスと魔法を期待する方にはお勧めしませんが、そうでない方には
Amazon.comのレビューを信じてみるのもよいかもしれませんね。

ロマンス作家の大御所と言われている彼女ですから、もっと面白い作品もあるのでしょうね。とりあえず
別名義のJ. D. Robbで書かれて人気の高い「Naked in Death」をそのうち読んでみようかなと思います。

◇ Simply Unforgettable / Mary Balogh 語数:110,639 ISBN:0440241138
(37 customer reviews ただ忘れられなくて)
なぜかクリスマスには雪が降りません。クリスマスの前か後、そう皆が家族の集りやハウス・パーティー
への往き帰りで移動する時に限って雪が降ります。今年も例外ではありませんでした。

Frances Allardは、大叔母たち二人とのクリスマス休暇を終えてに、サマセット州からBathにある女学校
Miss Martin’s Schoolに戻る途中です。23歳のFrancesにとって、田舎でも大叔母たちとの休暇は味気ない
ものでしたが、夏は女の子たちの世話で休暇が取れなかったので、それなりに静かな生活は楽しめました。

赤ん坊時代、妻を亡くしフランス恐怖政治から逃れてきた父親と一緒に英国に来た時、大叔母たちは温かく
迎えてくれたと聞いていますが、父はロンドン暮らしを好み、乳母や家庭教師に育てられました。18歳の時
父親の突然の死で、大叔母たちとの交友が再開して、今年もクリスマスを一緒に過ごすことにしたのでした。
大叔母たちの心遣いで、貸してくれた古い4輪馬車に乗っているものの、雪はますます深くなります。

学校で彼女の帰りを待っているClaudia Martinや、同僚のAnne Jewell、Susanna Osbourneたちのことを
考えていると、急に馬車が揺れます。外を見ると追い越しをかけている馬車と、こちらを蔑むように見ている
紳士が見え、怒りを覚えます。怒りが収まると、年配の御者Thomasのことを心配し始めた時、馬車が突如
横転してしまいます。ドアが開き、助けにさしだされた腕はThomasのではなく、先ほどの男のものでした。

助けてくれた男に悪態をつきますが、彼の説明では彼女たちの馬車が道を誤ったようです。一緒に来るよう
誘われます。鼻持ちならない男ですが、雪の中で立ち往生するわけにもいかず、ついて行くことにします。
男の馬車で温めたレンガの上で暖を取って、落ち着いて考えてみると、男はいわゆる彼女を助けに来てくれた
ヒーローのように感じます。この出来事は学校に帰った時、みなへの土産話になりそうです。

以上が、第一章でしたが、二人の説明が不十分なので続けます。

家族は出かけるのを反対していた。忠告とりわけ家族からのそれを聞き入れることはめったにない彼でした。
その結果、背筋を伸ばし彼の方を向かない、見知らぬ女性と馬車に乗るはめになりました。Hampshireに
向かう途中のLucius Marshallは自己紹介して、今夜泊まる宿のことなどからなんとか会話を持たせます。
28歳の彼は、最初中年と思った彼女が自分より若く、外国の血が混じった美しい女性であることに驚きます。

彼の祖父は、医者たちから心臓が弱まりなすすべがないと言われています。ここ十年遊び暮らしていた彼は、
それを聞いてどんなにEdgecombe伯爵を愛していたのかを悟ります。彼は相続人で、Siclair子爵でしたが
莫大な財産、議会での地位などを引き継ぐことを嫌っています。もちろん父親を数年前に亡くした時から、
それを覚悟はしていました。それより伯爵を継ぐなら結婚しろという周囲からの圧力に参っていました。

男爵令嬢で、侯爵の孫であるPortia Hunt 23歳が花嫁候補の一人でした。結婚している姉Margaretも、
未婚の妹たちCaroline、Emilyも大賛成でしたが、末娘Amyは内緒で反対しています。長年の家族付き合い
から二人の結婚は、当然のことと考えられており、Portiaも幾多の申し出を断り続けていました。

このクリスマス、感傷的になったこともあり、祖父に来年の夏までに相手を見つけて結婚すると約束して
しまったのでした。もちろん誰とは言っていませんが、祖父はPortiaのことだと思ったようです。

みすぼらしい宿に着き、主人たちが出払っているからと断る使用人をなだめて宿泊しますが、料理人もいず、
暖炉に火もありません。Francesが料理しようと申し出、有り合わせの物で作ります。その間に、Luciusが
ベッドの用意をしておいたと聞いて、少し驚きます。料理を食べながら、突如今夜はこの男性と隣合わせの
部屋で、一人で寝るという現実に気づき頬が火照るのを彼女は感じます。

以上が、第二章でした。外見には魅力を感じているものの、いけすかない男、がみがみ女とお互いは感じて
います。二人のロマンスはどう発展していくのでしょうか、これからが楽しみです♪
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Mary Baloghの作品にはよくあるような気がする?(笑)、見ず知らずの男女が同じ宿に泊まるはめになるという
設定で始まる物語でしたが流石Baloghですね。最初の印象は最悪だった二人が、この後打解けて、惹かれあい
結ばれるまでの過程は、とてもよかったです。

立場の違いを理解していったん別れた後、3ヵ月後運命に導かれるように再会したFrancesに、あきらめのつかない
Luciusはかなり強引な態度で迫り、最後は結婚まで申し込むのですが、断られます。傲慢で高飛車な彼が
生まれて初めて女性から断られ…と物語は続きますが、最後は幸せな気持ちで読了できました。

翻訳もあり、ヒーローが子供のように後先考えずに行動するのが無神経に感じるという意見もあるようですが、
男性の私にはヒーローの気持ちがとてもよく分かりますし、ヒロインに近づこうとして取るいろいろな策略も
十分納得できました。>ってことは、私は無神経なのかしら(笑)

第三章でMiss Martin’s Schoolの説明があります。Miss Martinは「Slightly Scandalous」では、Frayjaの
元(彼女に辞めさせられた)家庭教師のひとりです。その学校が経営危機に陥った時、匿名の援助者が現れたと
Francesが述べていますが、それがFrayjaということは、Slightlyシリーズを読んでいる読者にはすぐに
わかります。シリーズ読者と言えば、できることなら公爵と結婚したいと言うSusannaに、Miss Martinが
「公爵だけはやめておきなさい」と言う場面では、思わず吹き出しました。読者サービスなのでしょうね。

■最後に
◇ Perfect
日本語のパーフェクトとは意味が少し違うと昔読んだ英語学習書のコラムに書いてあり、それがどうしたと
当時は感じていました。終盤になってヒーローが「She’s perfect.」と感じる時、それまでは少し太めだの、
服のセンスが悪いなどと言っておきながら(誰を指しているかわかりますよね)その発言かい!と感じることも、
たくさん読んでいるうちにだんだん気にならなくなってきました。

「Simply Unforgettable」で、ヒーローがヒロインに向かって、Portiaのことを指してShe is perfect.
But the trouble is that I am not and have never wanted to be. と言い、さらに、
Perfection is an infernal thing. You are far from perfect. と言ったところで、グッときました。
Perfectってどういう意味なのでしょう。シリーズ最終巻は「Simply Perfect」ですが、意味がつかめるかな?

◇ 翻訳ロマンス
今回の紹介でも7冊は翻訳があります。最近、書店の新刊書コーナーに並ぶロマンス文庫の冊数が増えたよう
に感じます。翻訳では読まない私ですが、読んだことある本の訳者あとがきと翻訳タイトルには(笑)興味が
あり、ときたま覗いています。以前、200万語通過報告で、
〉「パイレーツ・オブ・カリビアン 3」の最終場面を見て“海賊物もいいかも”と、ちょっと思いました。
と書きましたが、最近海賊物らしいタイトルを見つけて原書を発注しました。それは、
カレン・ホーキンスの「海から来た伯爵」と、ガーレン・フォリーの「美しき海賊のプリンス」です。
ジョアンナ・リンジーの「風に愛された海賊」は、以前に購入しています。

◇ ロマンスを原書で読むということ
翻訳がたくさん出ているから、そちらを読めばとの考えもありますが、やはり原書で読みたいです。こんな
話題を取り上げたのは、「Simply Unforgettable」で、フランス語は原書で読むのかと聞かれたヒロインが、
I like to when the original was in that language.
So much is lost in translation even when the translator is earnest and well educated.
Something of the author’s voice is lost.
と答えていたからです。Mary Baloghは、原書でお読みなさいと仰りたいのでしょうね。

私の英語力では、どちらの方がlostが大きいか分かりませんが、ヒーローの愛のささやきや告白が
日本語にされると、多分読むのが恥ずかしく感じそうです。例えば、結婚してくれと言うだけなのに、
My dearest love, will you do me the great honor of marrying me?
という言い回しを訳された文章を読みたくないです。英語を訳さずに読めばなんてことありませんからね。

もうひとつ、熱ーいラブシーンも英語で書いてあれば、早朝の通勤電車でも、会社の昼休みでも気にならずに
読めるという大きな理由もあります(爆)

◇ 円高
年末から日本企業に多大な影響を与えていますが、タドキストにとっては洋書を購入するチャンスですね。
この先円高が進むと収入にも影響してくるだろうから今のうちにとの気持ちが、背中を押してくれます(笑)

では、ロマンスファンのみなさん、Happy Reading!


▼返答


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