Re: ヒストリカル・ロマンスでPBへの道をたどる方法

[掲示板: 〈過去ログ〉PBの掲示板(ネタバレ可) -- 最新メッセージID: 1182 // 時刻: 2024/4/23(18:01)]

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995. Re: ヒストリカル・ロマンスでPBへの道をたどる方法

お名前: Raquel
投稿日: 2007/9/22(12:46)

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杏樹さん、こんにちは。

うわー、素晴らしい投稿です。
私は濫読ばかりしているので、系統だったガイドができません。
ヒストリカル・ロマンスに興味があるけど、どこから読んでいいか分からない
という方には、とてもためになると思います。

〉私がヒストリカル・ロマンスでPBデビューしようとしたときは情報も少なくLisa Kleypasの「Lady Sophia's Lover」が最初の1冊でした。しかし今思い返すとやはりこれは難しかったようです。物語の起伏が大きく「読み進める力」があるのは確かですが、登場人物も多くて複雑で、もう少し内容を味わって読む力がついてから読んだ方がいい本ではないかと思うようになりました。ロマンスなのでヒロインとヒーローがわかってさえいれば最後はハッピーエンドで終わり、なのは確かですが、サイドストーリーや登場人物などけっこう多彩なものが多く、かならずしも単純なものばかりではないことがわかりました。

私のヒストリカルデビューも、クレイパスの"Lady Sophia's Lover"でした。
読みやすさレベルが5くらいと登録されていたのかな?それで読みやすいのかと思ったら、
もう、ビックリするほど何を読んでいるのか分からなかったのを思い出します。
舞台背景(Bow Street RunnerやMagistrateの仕組み)が全く分からないので、
想像力の働く余地があまりなかったからでしょうね。
それ以来、コレを初めてのヒストリカルにはお奨めできないと思ったんですが、
杏樹さんも同じように思われた様で安心しました。

〉まず初心者に読みやすいのはJulia Quinnでしょう。「ムフフ」場面はうすいので「ロマンス」ではなく「PB初心者」のための本を求める人向け、といえます。

〉★★Julia Quinn★★

Julia Quinn は、少女マンガのノリですね。
会話のセンスが抜群で、設定も複雑ではないので、初めてのヒストリカルに
お奨めできると思います。

〉To Catch an Heiress YL5.5
〉How to Marry a Marquis YL5.5

この二つ(とくに上)は、ドタバタコメディのノリですよね。
ラブシーンも少なく、しっとりした物語を読みたい方にはあまり向かないかもしれませんが、
とても読みやすくてお奨めです。
"How to Marry 〜"の方は、当時世間を席捲していたハウツー本「ザ・ルールズ〜理想の男性と結婚するための35の方法」
にインスパイアされたそうで、現代女性が男をつかまえるための技と当時の技を対比しながら読むとより楽しいです(笑)

〉★もしそこまでコメディなのはあんまり…と思うなら、Julia QuinnではBridgertonシリーズがあります。Bridgerton家は8人の子どもがいて、名前が上から順番にA,B,C.S,E,F,G,Hの頭文字がついています。ですから兄弟の順番がわかりやすく名前を覚える苦労が少ないです。この兄妹のロマンスがシリーズになっています。1作目から3作目まではそれほどのネタバレもないので順番が入れ替わっても大丈夫です。

〉1作目はDaphneが主人公の「The Duke and I」ですが、2作目の方がお勧めです。

私も同感です。

〉The Viscount Who Loved Me YL6

こちら、抱腹絶倒場面あり、切ない場面あり、とても楽しめると思います。
難しい背景知識もいらないので、ヒストリカルへの入り口としてお奨めできます。

〉An Offer From A Gentleman YL5.5

これは、なおちぃさんもおっしゃってますが翻訳が出ています。(「もう一度だけ円舞曲を」)
シマウマ読み(でしたっけ?)とか、最初だけ日本語で読んで続きを英語で
ということができるので、ヒストリカル・ロマンスを日本語でも読んだことがない
という方には、取りかかりとしてよさそうです。

〉★この2作を読んでから1作目の「The Duke and I」を読んでもかまいませんし、1作目は捨てて4作目「Romancing Mister Bridgerton」へ行ってもいいでしょう。これはColinの話です。ただし4作目はそれまでに出てきたSociety paperを発行している謎のLady Whistldownの正体が重要なポイントになりますので、最初の1作にはしないほうがいいです。正体を知った上で1〜3作目を読めば、それはそれでおもしろいかもしれませんが。

1作目は、読まなくてもあまり困らないですね。
ヒーローが悩む話なので、ウジウジするなと一喝したくなりました(笑)
Bridgertonはみなさんおっしゃいますが、4作目までが面白くて、
残りは少し尻すぼみな感じです。特に、最終の8作目など、超ガッカリでした。
とは言いますが、6作目の"When He Was Wicked"は泣ける切ないストーリー
が好きな方にはツボかもしれません。
また、7作目の"It's in His Kiss"もなかなか良かったです。
"How To Marry a Marquis"でヒロインの雇い主だった Lady Dansbury の孫がヒーローです。
社交界の誰からも恐れられるLady とヒロインが友情を育てる様子が、とても面白かったです。
この Lady は、実は Bridgerton シリーズに頻出してまして、"Romancing Mr.Bridgerton"でも
キーパーソンとなっています。
順番に読まなくてもあまり困らないシリーズですが、4,5,6作が実は
同時進行していて、続けて読むと色々な発見があって面白かったですよ。

Julia Quinn は杏樹さんが読まれたものと最新刊しか読んでませんが、
リージェンシーが舞台のもので、ワーテルローの戦いもナポレオンも絡んでこないし、
歴史的背景が分からなくて読みづらいということがないので、ヒストリカル・ロマンスを
初めて読む方には、とってもお奨めできると思います。

〉★★Amanda Quick★★

〉ロマンス色よりもミステリーかサスペンスの味付けの強い作品を書きます。その分謎解きにハラハラして読めるので、ミステリーっぽい話が好きならこちらから読んでもいいでしょう。Julia Quinnよりは難しいように思います。

うーん。Amanda Quick は作品によっては難しいですが、基本的に文体など
読みやすいと思います。
彼女の最近の作品は、錬金術とかオカルト(ゴシック的)調なので、
単語が難しいかもしれません。

〉Ravished YL6

これは、冒頭の場面が少し読みづらいかもしれません。
化石発掘が趣味のヒロインなので、それに関する単語が難しいかも。

〉I Thee Wed YL6

これは、作品の面白さがあまりおススメできません。
雇われコンパニオンヒロインものでしたら、「雇われた婚約者」というタイトルで
文庫になっている、"Paid Companion"の方が面白いです。
ただ、こちらは錬金術がテーマなので、単語が難しいかな。

Amanda Quick 作品で私が読みやすいと思ったのは、"Mistress"です。
興味がある方は、この掲示板の過去ログに私の投稿があるので、検索してみてください。
(「乙女のためのロマンス小説」または「乙女」でタイトル検索してください)

〉★★Lisa Kleypas★★

〉Julia QuinnやAmanda Quickを読んだらそろそろLisa Kleypasを。ロマンスの「むふふ」を期待する人にも濃いシーンがあるのでおすすめ。

Kleypas は翻訳がたくさん出ているので、シマウマ読みをしたい方にお奨めです。
ヴィクトリア朝の階級差や暗部を好んでテーマに取り入れており、しっかりと深みのある
ストーリーを楽しめるのですが、その分、あまり見たことのない単語が
多いと思います。
ストーリーの面白さはピカいちなので、物語の力に引かれてぐいぐい読めるという
利点がありますよね。

〉シングル・タイトルで去年あたりにお勧めとして出回っていた
〉Suddenly You YL6.5

実はこれ、まだ読んでいないんですが、設定的に難しくなさそうですね。

〉★さて、それからBow Street Runnerのシリーズです。Bow Streetはロンドンの犯罪街で、そこで検察官から私的に雇われて捜査をしている人たちのことです(…らしい)。

〉Lady Sophia's Lover YL6.5
〉Worth Any Price YL6.5

これは、本当に面白かったです。
でも、設定が難しい!

〉上記の作品群を読んでから読むと、起伏のある展開にどんどん読み進めることができて、PBが読めるという自信がつくと思います。

Kleypas は "Wallflowers Quartet"という四部作もいいですよね。
2,3作目が出色ですので、興味がある方は1作目を飛ばして読んでみてください。

〉1冊8〜10万語ぐらいありますので、読めば読むほど読めるようになっていく感じがします。

10作くらい読めば、PB体力が付くと思いますし、読めば読むほど読めるようになると思います。
とても詳しい投稿、ありがとうございました。

先日、酒井先生と「ロマンス本企画やりましょう」という話で盛り上がりまして、
企画が実現段階に入ったら、杏樹さんも協力していただけると嬉しいなと思います。

では、楽しい読書を♪


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