ヒストリカル・ロマンスでPBへの道をたどる方法

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987. ヒストリカル・ロマンスでPBへの道をたどる方法

お名前: 杏樹
投稿日: 2007/9/19(23:19)

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みなさま、こんにちは。
ヒストリカル・ロマンスでPBデビューしてから色々読みましたので、初心者向けのやさしい本をまとめて紹介しようと思います。これからPBを読もうと思っている人の参考になるようにと思い、今まで紹介した本も含めて紹介します。

私がヒストリカル・ロマンスでPBデビューしようとしたときは情報も少なくLisa Kleypasの「Lady Sophia's Lover」が最初の1冊でした。しかし今思い返すとやはりこれは難しかったようです。物語の起伏が大きく「読み進める力」があるのは確かですが、登場人物も多くて複雑で、もう少し内容を味わって読む力がついてから読んだ方がいい本ではないかと思うようになりました。ロマンスなのでヒロインとヒーローがわかってさえいれば最後はハッピーエンドで終わり、なのは確かですが、サイドストーリーや登場人物などけっこう多彩なものが多く、かならずしも単純なものばかりではないことがわかりました。
最初のうちはどんどん飛ばして読んでも大丈夫な内容のものの方がいいと思い、そういった本を中心に紹介しようと思います。

まず初心者に読みやすいのはJulia Quinnでしょう。「ムフフ」場面はうすいので「ロマンス」ではなく「PB初心者」のための本を求める人向け、といえます。

★★Julia Quinn★★

To Catch an Heiress YL5.5

両親を亡くして後見人の元にいるCarolineは20歳の誕生日になると遺産が自分のものになります。しかし後見人は自分の息子と結婚させてその財産を自分のものにしようとします。それを知ったCarolineは夜中にこっそりと逃げ出します。しかしその途中でスパイを追っているBlakeに見つかり、スパイと間違って捕らえられてしまいます。Blakeの隠れ家で目を覚ましたCarolineはスパイじゃないと釈明しようとしますが、なんと風邪をひいてしまって声が出ません。口を開けば咳ばかり。トンチンカンな身振り手振りのやり取りが始まります。
声が出るようになって誤解が解けた後も、20歳の誕生日まで後見人から逃れるために居座ることにしたCarolineの行動に、Blakeと仲間のJamesはあきれたりあわてたり…。ロマンス本というよりヨシモトのような相当なドタバタコメディです。その分軽く読めますし、登場人物が少なく飛ばしても差し支えのない内容で、最後にひとやまハラハラさせる出来事もあり、「最初の1冊」に向いていると思います。

How to Marry a Marquis YL5.5

To Catch an Heiressのスピンオフ。ネタバレはほとんどないので順番は入れ違ってもいいですが、最後の方にCarolineがちょっと出てくるので、To Catch an HeiressのCarolineを知っていた方がおもしろく感じると思います。
Elizabethは両親を亡くして弟や妹の面倒を見ています。さる貴婦人のCompanionをして生活してますが、財産のある男性と結婚しないと弟に亡き父の爵位を継がせるための教育もできません。そうしたらその貴婦人の家で「How to Marry a Marquis」という本を見つけてこっそり持ち出します。しかしそれを新しくその夫人の家に来たestate managerに見られてしまいます。なんと彼はその本を実践する練習相手になると申し出て…。
この二人のやり取りが漫才のようで、やはりコメディ作品です。物語の起伏は大きくありませんが、その分じゃんじゃん飛ばしても大丈夫。登場人物が少ないのでわかりやすいです。To Catch an Heiressを読んだらこれもどうぞ。

★もしそこまでコメディなのはあんまり…と思うなら、Julia QuinnではBridgertonシリーズがあります。Bridgerton家は8人の子どもがいて、名前が上から順番にA,B,C.S,E,F,G,Hの頭文字がついています。ですから兄弟の順番がわかりやすく名前を覚える苦労が少ないです。この兄妹のロマンスがシリーズになっています。1作目から3作目まではそれほどのネタバレもないので順番が入れ替わっても大丈夫です。

1作目はDaphneが主人公の「The Duke and I」ですが、2作目の方がお勧めです。
その2作目とは

The Viscount Who Loved Me YL6

長男Anthonyのお話です。
Anthonyは18歳で父親を亡くして爵位を継ぎます。長男の務めとして結婚して跡継ぎを残さなくてはなりません。父親の存在が大きかったため自分も父の年齢で死んでしまうのではないかと思い、また父の死を嘆く母を見て、愛のない結婚をしようとします。
一方社交界の花形Edowinaには姉のKateがいますが、華やかな妹に対してコンプレックスを持ち結婚に対して夢をもてません。AnthonyはEdwinaが妻にふさわしい女性だと思って近づこうとしますが、そのため姉であるKateに自分を認めてもらわなくてはなりません。…という目的でKateに近づいたはずが…?!

An Offer From A Gentleman YL5.5

シリーズ3作目。
SophieはPenwood伯爵の私生児です。伯爵は二人の娘を連れた女性と結婚します。伯爵が亡くなった後、伯爵夫人はSophieを召使いのようにこき使います。
ある日Bridgerton家で仮面舞踏会が行われることになり、Sophieは伯爵夫人と二人の娘の準備を手伝って。3人が行ってしまうのを見送ります。自分もBridgerton家の仮面舞踏会へ行けたらいいのに…。そう思っていると、Sophieを不憫に思った召使いがSophieのおばあさんのドレスを出してきて舞踏会へ行けるようにしてくれます。そうしてSophieは舞踏会でBridgerton家のBenedictと出会います。しかし伯爵夫人にばれないよう、午前0時の鐘で帰らなくてはなりませんでした。
その後Benedictは舞踏会で出会った名前も知らない女性を探し続けます。
二人は思いがけないところで思いがけない再会をしますが、Sophieが召使いだと思ったためBenedictは気がつきません。しかし気がつかないままSophieのことを愛するようになり、舞踏会の女性の面影は薄らいでいくのですが…。
舞踏会の女性だと気がついてもらえなくて、召使いの立場で接しなくてはならないSophieの気持ちがとても切ないです。
この二人の心の動きが中心に書かれているので、内容はストレートでわかりやすいです。

★この2作を読んでから1作目の「The Duke and I」を読んでもかまいませんし、1作目は捨てて4作目「Romancing Mister Bridgerton」へ行ってもいいでしょう。これはColinの話です。ただし4作目はそれまでに出てきたSociety paperを発行している謎のLady Whistldownの正体が重要なポイントになりますので、最初の1作にはしないほうがいいです。正体を知った上で1〜3作目を読めば、それはそれでおもしろいかもしれませんが。

★★Amanda Quick★★

ロマンス色よりもミステリーかサスペンスの味付けの強い作品を書きます。その分謎解きにハラハラして読めるので、ミステリーっぽい話が好きならこちらから読んでもいいでしょう。Julia Quinnよりは難しいように思います。

Ravished YL6

Gideonは領地のrectorの娘Harrietの部屋にやってきた。そこは骨や化石が散乱していた。Harrietは近くの洞窟から化石を採掘して研究していたのだ。しかしその洞窟が盗品の隠し場所になっているという。それを知ったGideonはさっそく手立てを打ち、盗賊を捕まえる。
一方HarrietはGideonが6年前に婚約者を妊娠させ自殺に追い込んだ恐ろしい男だという話を聞く。そしておばの誘いでLondonの社交界へ行き、彼の過去を知ることになる。Harrietにはとても彼がそんな恐ろしい男には思えないのだが…。果たしてその真相は?また、盗賊は主犯格が他にいるようだが、正体がつかめない。犯人は見つかるのか?
ハラハラドキドキの展開が続くのでどんどん読み進むことが出来ます。

I Thee Wed YL6

まず最初に殺人事件です。Edisonは殺されたJonasの最後の言葉「Ware Catsle」を手がかりにそこへ出かけて行きます。
EmmaはWare Catsleの招待客Lady MayfieldのCompanionで、Lady MayfieldによってEdisonと知り合います。やがてEmmaの部屋で殺人事件が起こり、Edisonは殺人が起こったときはEmmaは自分の部屋にいたとアリバイ証言してくれます。そして自分たちは婚約したのだと言います。(当時は未婚の男女が二人きりになるのはスキャンダラスなことだった)。
ロンドンへ戻った二人は偽装婚約者として協力して事件の真相を探ることになります。
かなり本格的なサスペンスで、ロマンス本を読んでいることを忘れそうになります。

★★Lisa Kleypas★★

Julia QuinnやAmanda Quickを読んだらそろそろLisa Kleypasを。ロマンスの「むふふ」を期待する人にも濃いシーンがあるのでおすすめ。
シングル・タイトルで去年あたりにお勧めとして出回っていた

Suddenly You YL6.5

がとっかかりにいいでしょう。
30歳の誕生日を迎えた作家Amandaは男娼を買うことにします。
後日意外な再会をしてしまい、二人はある契約関係になり…。
出会いはイレギュラーでも、二人の関係や気持ちの変化が中心に展開されるのでロマンス本としてはわかりやすいといえるでしょう。

★さて、それからBow Street Runnerのシリーズです。Bow Streetはロンドンの犯罪街で、そこで検察官から私的に雇われて捜査をしている人たちのことです(…らしい)。

Lady Sophia's Lover YL6.5

没落貴族で両親のいないSophiaは、たった一人の肉親だった弟の死の真相を知るため、そして仇をとるために治安判事Rossに近づきます。
しかしそこはロマンス本、ミイラ取りがミイラに…。
1930年代のロンドンの犯罪街を舞台にしていて、当時の様子の描写も詳しく「ヒストリカル」な雰囲気が漂います。物語の展開は起伏があり、最後に意外な真相が判明するので読み応えがあります。

Worth Any Price YL6.5

Lady Sophia's Loverの続編です。盛大なネタバレなので、決して先に読んではいけません。読んだ人は必ずこちらもお読みください。2作でセットのようになっています。
あるBow Street Runnerが行方不明の婚約者を探し欲しいという依頼にこたえて目星をつけた屋敷に入り込みます。そこで目指す女性を見つけるのですが…。
上記の作品群を読んでから読むと、起伏のある展開にどんどん読み進めることができて、PBが読めるという自信がつくと思います。

本の紹介は以上です。

これだけ読めばあとは自分で本を選んで読めるようになっているはずです。
1冊8〜10万語ぐらいありますので、読めば読むほど読めるようになっていく感じがします。
最初の2〜3冊は飛ばしてばかりで無理矢理読んでいるような感じでした。しかし何冊か読んだらJulia Quinnが読みやすくなってきました。そして上記の本よりも難しいと思われるMary Baloghの「A Summer to Remember」を読みました。最初の方はよくわからずものすごい飛ばし方で読みましたが、だんだん内容がつかめてきてわかっていきました。1冊目を読む前なら絶対読めなかったと思います。
さらにそれからAmanda Quickを3冊読んでからまたJulia Quinnの「An Offer From A Gentlman」を読んだら、格段にわかりやすくなってました。
そしてさらに「Romancing Mister Bridgerton」を読み、今はMary Baloghの「Slightly Scandalous」を読んでます。「A Summer to Remember」のスピンオフ作品ですが、「A Summer to Remember」よりもずっと快適に、楽に読めます。前はものすごい飛ばし方で2〜3ページぐらいわからないまますっ飛ばして無理矢理読んでいるような感じでしたが、これは飛ばしても数行とか2〜3語とかの単位で、進み方もスムーズです。多読はやはり読めば読むほど読めるようになるのですね。

それではヒストリカル・ロマンスでHaapy Reading!


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