ノーラン監督の調理方法

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[♪] 49. ノーラン監督の調理方法

お名前: 成雄
投稿日: 2003/7/31(21:44)

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みなさん、こんにちは。成雄です。

この映画をどう楽しむのかは、みなさんの記憶の好みによるところが大なわけですが
ここで、この映画を作ったノーラン監督の、時間の切り方と見せ方について
私の考えを述べてみたいと思います。これも、各人の感性のよりどころによって違う
と思うけれど、まあ、読んでみて下さい。

すでに、じゅんじゅんさん、オシツオサレツさんによって、モノクロとカラーという色によって
記憶とか、回想とか、過去とか(それをどう判断するかは意見が違うかも)を意味するシーンと
カラーによって事実(これも意見はわかれるかも)を意味するシーンと分けてある。
という指摘がされています。

私もそう思います。
で、私の考えなんですが、
ノーラン監督の見せ方は以下のようになっていると思います。
ホワイトボードで書いて説明すれば3分もかからないのですが
文章にしてみると

少し縦長の長方形をイメージして下さい。
その左下の角と右上の角に線を引いて下さい。/ の斜線(対角線)ということです。
この、左側の三角形を黒く(色は何でもいい)ぬれば、終わりです。

では説明します。

まず、黒くぬった三角形の「下から上」に向かって時間を流し
モノクロシーンの展開を膨らませて行きます。
最初は、モーテルの一室のなかで、ルームキーを見せるというシーンからです。

次に、右側の三角形の「上から下」に向かって時間を流し、
カラーのシーンの展開を膨らませて行きます。
最後はテディを射殺し、ポラ写真を撮るというシーンです。

これで、物語は完成です。

そして、映画にしたのは、/ 斜線(対角線)の部分ということです。
「下から上」へ両方の三角形の物語を順に載せていきます。
すると、最初はカラーのテディの射殺シーン。次はモノクロのルームキーのシーン。
あとはこのパターンで載せていくのです。

ノーラン監督も最後をどうするか、迷った(迷わなかった?)かもしれません。
やはり、トップシーンと同じようにエンディングに入るところでポラ写真を使います。
モノクロから途中でカラーに移行することによって斜線の先端をまとめました。

言い方、または見方を変えれば、ノーラン監督は時間をベクトルで表現した!
(基準はテディの射殺です)
これが彼のすごい(Kianさんいわく、天才)ところです。
単純だけど、美しい見せ方だと思いませんか?

私が、映画の広場での発言から一貫して言ってきたことは、このことだったのです。
どのシーンを自分の好み(整合性)として記憶するのか、できるのか、
各人によって、違います。私の「メメント」で書いたとおり、どれを選択
してもかまわない。
それは、あなたのベクトルと私のベクトルの大きさと方向が違うことを
意味しているだけなのです。

あくまで、イメージとしてとらえた話で、
数学的に言っているのではありませんから、つっこまないで下さい(^^)
これが私の、映画「メメント」の能書きです。

みなさんは、モノクロとカラーのつなぎ方をどうイメージされましたか?

ではでは


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