Re: ロアルド・ダール”来訪者”に関する一考察、そして今、『砂の器』

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366. Re: ロアルド・ダール”来訪者”に関する一考察、そして今、『砂の器』

お名前: 道化師
投稿日: 2004/1/22(18:25)

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こんにちは、間者猫さん。道化師です。
ねたバレなのですが、読んでいません。すみません。

〉”Switch Bitch”, Roald Dahlに収録されている”The Visitor”は、
〉”Leprosy”という言葉と意味が分からなければ全然分からない話です。
〉ついに辞書を引いてしまいました。
〉しかし、引いたからといって”面白かった。なるほど!”というのではなく、
〉むしろとても悲しい気持ちになりました。
〉書かれた当時の時代を反映しているとはいえ、
〉昨今では黒川温泉宿泊拒否事件に代表される”Leprosy”の悲しい歴史を省みる時、
〉今、これを読んだ私自身を含めた無知な読者が差別を助長しないかが心配です。

確か、映画で言うと、かの有名な「ベンハー」で、ベンハーの母と妹が、
ハンセン氏病に罹り、牢獄の看守にも嫌われて、恐れられ解き放たれ、
洞窟で隠れ住んでいた所、キリストの奇跡により治ったという下りがあります。
神の奇跡を劇的に表現させる為に、悲惨の極として「ハンセン氏病」を扱う姿勢に、アメリカと言えども、ベンハー制作年代には、差別意識が残っていたのでしょうね。

〉私自身、かなり前に邦訳”来訪者”を読んでいたはずなのですが、
〉全く覚えていない(不覚)。いまさらながら情けないです。
〉筒井康隆さんの断筆宣言に代表されるような言論・表現の自由への干渉ではなく
〉過去の認識の上に書かれた本は本として受け入れ、言論・表現の自由を保障した上で、
〉読者に”Leprosy”の現状認識を知る術を与え、
〉それぞれ個人が判断すればよいのだろうと思います。
〉邦訳では”Leprosy”の現状について”あとがき”あたりで掲載してほしいものです。

そうですね。現在では、完全に完治する病であると言うだけでなく、
私たちがどんな差別をしていたかを知る手がかりが欲しい所ですね。
(差別に関しては、いつも自分が加害者の立場に立って見つめる事が大切だと思います。)

〉とここまで書いて、やはり邦訳を確認しておこうと思い、
〉図書館で”来訪者”を借りてきて確認してみると、
〉なんと”レプラ”とカタカナでそのままではないですか! 最悪!
〉もう怒りが込み上げてきました。
〉訳者も苦肉の策として”レプラ”としたのでしょうが、
〉これだと全然味も素っ気もない作品に仕上げられてしまいます。
〉”She has leprosy”と読んだ瞬間に全てが明らかになるのに全然落ちない。
〉つまらない作品に仕上げられてしまったものです。

うーん、読者が「レプラ」を知っているかどうかですね。
訳者は「知っている人は知っている言葉」として、婉曲な表現として、
レプラにしたのでしょうね。もっと婉曲だと「業病」とも書かれますが。

〉これなら堂々と日本語訳をあて、公に議論するべきだったと思います。
〉まさに筒井康隆断筆宣言と同じ構図ではないですか!
〉つまらない自主規制のおかげでつまらない邦訳に仕立てあげられて
〉本当に怒り心頭です。

間者猫さん、お怒り真っ最中の時、今テレビで「砂の器」が放映されています。
この作品は、それこそ真ん中に「ハンセン氏病」がテーマになっている話なのですが、現代のドラマとして、このテーマをどうテレビが扱っていくつもりなのか、注目して見ています。やっぱり、避けて通るのかなぁ。


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