推理小説(ミステリー)と犯罪小説(クライムノベル)

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294. 推理小説(ミステリー)と犯罪小説(クライムノベル)

お名前: 道化師
投稿日: 2003/12/13(05:36)

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SKMさんおはようございます。
(勝手に3文字にするな!って?)
いつも、2児の母でありながら、奇怪な時間に書き込まれている
SKMさんを不思議に思っているDKCです。

"すけさやママ"さんは[url:kb:293]で書きました:
〉昔ホームズのファンだったという我が配偶者は、この本を読んで
〉「ホームズを侮辱している」と、ひどく憤慨していました。
〉「そんなにムキにならなくても」となだめましたが、だめでした(笑)。真面目なんです。

と、するとこの作品を一押ししてる私は不真面目ですね。(笑)
ホームズファンと言う人は、この話を読んで憤慨される人が多いようですね。

〉私はけっこう楽しめたんですけど、やっぱりすっきりしない感じだったので、
〉道化師さんの解釈を読ませていただきました。

〉〉いかがでしょうか。気持ち良くなられましたか?

〉疑問点は解消されたかな・・・。
〉が、うーん、やっぱりすっきりしない・・・。

〉〉私は、この割り切れなさが良かった。
〉〉勧善懲悪のスッキリ感は、好きじゃないもので。

〉そうか、そういうふうに読めばいいんですね。解決。?

この作品の好き嫌いは、元のホームズ物を、どう読んでるかで決まると思います。
俗にホームズファンと言う人は、ホームズ物を推理小説(ミステリー)、
いや、その原型の探偵小説として読んでいるんだと思うんですね。
確かに、その要素はとても大きい。
でも、その反面、コナン・ドイルがホームズを書いた当時は、
まだ推理小説と言うジャンルが確立されていなくて、
他の要素も入っていると思うのです。
それが、犯罪小説(クライム・ノベル)の部分です。
犯罪小説とは、人が如何に犯罪を犯して行くか、
その動機(心理)、手口、結末に焦点を当てた小説で、
犯人が誰であるのかに焦点をあてた推理小説とは
同じ「犯罪」を描いていても、若干趣を異にします。
ホームズ物の舞台となる19世紀末のロンドンは、
世界の中心都市として、現在のニューヨークのようなイメージの方が、
現在の歴史在る都市としてのイメージより近いのだと思います。
だから、現在のニューヨークを舞台にした犯罪を描くと、
「マフィア、ドラッグ、セックス」と言う退廃的な世界が描かれますが、
ホームズ物もこれに近い読み方も出来ると思うのです。
私もホームズ物は全部読みましたが(勿論、翻訳で!)
短編の中のいくつかと、特に長編はこの傾向が強いと思います。
それにコナン・ドイル自身も心霊現象にに凝ったりと、
「怪しい物」が好きだったようで、
意図して「犯罪小説」にしていたのかも知れません。
この点、同じイギリスでもアガサ・クリスティはハッキリと
推理小説となっていて、犯罪小説の要素は少ないですね。
究極で言えば、クリスティの小説だと別に殺人と言う犯罪でなくても構わないのです。
一見不可能に見える事が起きて、それを鮮やかに謎解きしさえすれば良い。
例えば「誰も居ないはずの部屋で、鈴が鳴った。どうしてか?」で良いのです。
でも、ホームズの小説は、そう言う訳には行かない。
あくまで犯罪が必要だと思うのです。

多分、このGRの元になった作品の著者も、
「犯罪小説」としてホームズを読んだのだと思います。
だからこの作品も明らかに「犯罪小説」になっている。
SKMさんやBNNさんの「スッキリ」しない感は、
「推理小説」を読むつもりが、
「犯罪小説」を読まされてしまった所にあるのだと思います。

と、こんな事を書いたからと言って、
SKPさんの憤慨が治まる訳では無いのですが・・・。

ではであ。


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