Re: 映画『メメント』について(長いです)

[掲示板: 〈過去ログ〉PBの掲示板(ネタバレ可) -- 最新メッセージID: 1182 // 時刻: 2024/4/29(19:43)]

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26. Re: 映画『メメント』について(長いです)

お名前: オシツオサレツ
投稿日: 2003/7/29(22:14)

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結構意見が出そろっていて今更の感もありますが、
行きがかり上(?)私も参入しま〜す。

成雄さんへ、
エディタで書いて、最終的に「メッセージを投稿する」に印を付け忘れました。
元原稿はコピペじゃなくカット&ペーストしてたので、のこってなかったの〜

●オシツオサレツの鑑賞状況
映画館で一度。その後ビデオで一度。次にまきもどしながらみたけど酔いそうになってやめ。
映画のパンフレットはもってません。ただし、若干の飛び道具あり。
とりあえず、自分の記憶と知っている知識で読みとったことは以下の通りです。

ナタリー:自分の情人をレニーに殺させ、テディの裏をかいてお金を奪おうとしている悪い女。
レニーに自分をなぐらせておいて、その記憶をレニーがポラに書くのをわかっているので、家中の筆記用具をかばんに入れ、外に出てからまた戻り「ドッドになぐられたの」というエピソードから確実にいえる。あとはレニーに自分は味方だと印象づける工作をする。(しかし、レニー、君もちゃんと筆記用具もっとけよ〜)

ジョン・G の書類をレストランに置き忘れるあたりのエピソードも怪しい。ナタリーがその場にいたので。さしかえた? この書類を渡した奴が電話の相手かな。(ここらへんはもう一度見ないとわからない。単に誤読を誘うようにつくってあるだけ?)

テディ:レニーの過去の事件のことを知って利用し、麻薬取引の金をうばおうとしている悪徳警官。がレニーをあやつるのに失敗し、殺される。モノクロ場面の電話の相手かどうかはよくわからない。

レニー:10分しか記憶を保てないのは、心理的なものではなくレイプ事件の時に犯人になぐられた傷を原因とする脳の損傷のせいだと思います(理由は、後述)。だから治癒不可能。物語の枠組みとしてレイプ事件は彼の想像の産物ではなく確実にあったこと。
妻を殺してしまって(意図的ではないが結果的にはそう)、しかしこれは10分しか記憶が保てない状態でのことだったで、現実感がなく、サミーのエピソードとして他人の話のようにおぼろげに記憶している。10分しか記憶が持続しないので、はっきりとした記憶は残ってないが、漠然とした印象は残っている。だからこの部分に関係していることはモノクロで描かれる。唯一カラーで妻の太股をつねるシーンが描かれる部分があるのは、これが事実であるということを監督があらわしたいから。

彼は、過去の一番衝撃的だった事件の記憶にとらわれ、復讐のみに生きているかのようだが、実は死に場所を探している。胸の入れ墨は生涯復讐をわすれない、いや、自分が妻を殺してしまったことを自分に思い出させないための烙印。

途中でレニーが殺したドッドの服に着替え、テディはそれでは犯人だと触れ回って捕まえてくれといわんばかりだし、テディにとっては彼が捕まると車に入っているお金が手に入らなくなるので止めさせようとしますが、ここで服を着替えるのがミソ。レニーが服を着替えるのは、捕まえて殺人をやめさせてほしいという心の現れともとれる。
全然着替える必然性はない。けど物語としては絶対必要なことでもある。ナタリーはこれでレニーがドッドを殺したことがわかるので、逆に言うとそうでなければナタリーにはそれがわからないので。
ここで服を着替えることで、電話をしているモノクロシーンとその語っている内容(これまでのエピソードもここにつながっていることを明らかにわからせるために、モノクロ)が、ドッドの殺し以前のことで、ナタリーと出会う前ということがわかる。

それともうひとつ、妻殺しの犯人を殺した記念にとったレニーが喜んでいるポラがあるんですが、あれ、上半身裸でしょ(入れ墨はあったかな)。だからレニーにとって妻の復讐という理由で人を殺すのはこれが最初ではないかもしれません。あの赤いチェックの服は前に殺した男のものなのかもしれない。

メモやポラ写真に日付を入れないのは、誤読を誘う監督のたくらみともいえるし、10分しか記憶が保てないのなら、日付が少々前後しようとも意味がないので、レニーにとってはいれる必要がないのだと思います。

ナタリーの化粧は単に仕事用だと思います。お昼からあの化粧では不良やし。
化粧をしてないのは、レニーにいい人らしく見せかける意味もある。

で、レイプ事件自体はもうすでに解決してるのではないかと思うのです。彼が手を下したのかどうかはわからないです。
妻が死んだ時点で、レイプで死んだとレニーは思いこみます。
復讐が終わったはずなのに、自分にとってその証拠となるポラを焼き捨てる衝撃的なシーンがありますが、これもいつもやっているのかもしれない。
復讐するということだけが、唯一この世にいる理由、そういう生き方を選択し、記憶を操作したが、実のところ死に場所を求めていて、他人に利用されるだけ。はじめてあった人でも、その人が知り合いなのかそうじゃないのかわからないので、
非常に愛想よくするというサミーのエピソードがありますが(サミーの顔が一瞬レニーに変わるのはここだったと思います)、そのためにレニーは人に利用されてしまう。

で、私の飛び道具ですが、たぶん監督はオリバー・サックスの『妻を帽子と間違えた男』の「ただよう船乗り」からインスピレーションを得て作ったと思います。こういう状態になってしまった人でも、漠然とした記憶や印象は残るということが書いてあったと思います。
でもこれは物語の枠外のことで、別に映画を知るために絶対知っておかなければいけない知識ではないことです。だから心理的なショックで記憶がなくなった、という読みも別に間違いではないと思います。で、Kianさんの友人のかたの解釈もおもしろい、と思います。

ただ私は、レニーは治癒不可能で、妻がレニーを愛していたからこそ、二人の苦悩は深かったのだと思いました。

読み返すと一部矛盾もありますが、映画見直している時間がないし、
私はこの意見でまとまっていますのでこれでいっちゃえ〜。

そでではまた


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