Re: 酒井先生の「さよなら英文法! 多読が育てる英語力」 11/11発刊

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469. Re: 酒井先生の「さよなら英文法! 多読が育てる英語力」 11/11発刊

お名前: 主観の新茶
投稿日: 2008/11/14(21:30)

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古川さん、こんにちは。

主観の新茶です。

本日夕刻、本書を購入し、夕食を前後し、読んだ。

本書は、常識的な内容である。

第1に、英語の文章には、これにふさわしい翻訳文章が存在することを前提とする内容である。
つまり、きちんと日本語に翻訳すれば良いのに、学校文法に影響されて、自然な翻訳になっていないという主張である。
したがって、英文は、所詮、日本文に翻訳できないという見解とは、まったく異なる。

第2に、学校英語の批判である。
また、学校英語に依拠したような、過去の一部の下手な翻訳を批判した内容である。
昨今の優れた翻訳を批判した内容ではない。
また、酒井さんの本と同じような内容の成人向けの英語の本が、昨今溢れているが(ハウツーものではないもの)、それらを批判したものではない。

構成は、第1部が、問題編=原因編、第2部が、解決編=対策編である。

第1部は、さらに、5部に分かれる。
(1)  Sheをその都度機械的に彼女と翻訳するような、機械的な1対1の対応をすることはやめなさいなどという内容。学校文法の人は、機械的翻訳をしていた。第1章。
(2)  自然な普通の日本語にせよ。学校文法の人は、the=既知情報、a=未知情報を意識しない不自然な訳し方をしていたが、それはやめなさいなどという内容。第2章。
(3)  英語が過去形だからといって、日本語も過去形にすれば、自然な日本語となるものではないなどという内容。学校文法の人は、そのような不自然な訳し方をしていた。第3章。
(4)  日本語の5W1Hのような順序に変換して英語を読まないようにせよなどという内容。英語は、頭から理解すれば足りる。翻訳のときには、自然な日本語にするために、5W1Hなどを意識するのとは、異なる。第4章。
(5)  英文を直訳したような日本文は、覚えない。第5章。

第2部は、英語圏で書かれた、やさしい英語を多読3原則で読むのがよいという内容であり、初学者に説明するような初歩的な記述である。P227以下

酒井さんの「英文法」の定義も、記載されている。P292以下
酒井さんの「文法はいらない」というところの「文法」は、「高等学校までの英文法の習得形式及内容形態」といった程度のものであり、広義の意味の文法の意味とは異なる。
酒井さんの批判する文法は、限定されているのであって、酒井さんが本書で述べている文法は、通説及び多数説でいうところの文法の一部を述べたものというべきであろう。
その意味で、酒井さんが、ほかの学者が文法と定義しているものも批判したと誤解しないことが、肝要だろう。

たとえば、文法の定義の中には、言葉の順序次第=語順等の体系的理解を含むが、酒井さんは、「語順は無視すればよい」というものではない。
また、「動詞の次に位置するoverとaroundで、一般的にどのように意味が変更されるかなど、わからなくてもよい」などという主張ではない。
overとaroundの違いを考察することも、文法の一部であると理解するのが多数説であるから、酒井さんは、このような考察が不要と論じているわけでもない。

また、大人は、何らかの分業=専門の仕事に従事しているが、仕事で使用するような英語に言及してはいない。

読み聞き書き話すについて、もっぱら、文学、特に児童文学を理解する内容に限定されている。
文学の理解には、高校程度までの常識に加えるに、英文の多読で対処できるという内容である。

点数至上症として、英語力をTOEICの点数そのものと理解していることなどの改善すべき症状を揚げている。
もっとも、各種英語の試験の存在が悪と述べているわけではない。P301

前2著の主張と変化している点も存在する様子がうかがわれる。

定義については、「決まり文句」など誤解されやすい用語がある。
決まり文句=クリシェ、たとえば、as cool as a cucumberのような話ではない。
決まり文句とは、酒井さんの場合、その英語の文章が単独に記述されたときの日本語の直訳としての定訳をいう。

               他に言及すべき点もあるが、ここまでとする。


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