世界史クラブ:Stuarts

[掲示板: 〈過去ログ〉英語で趣味を楽しむ -- 最新メッセージID: 1605 // 時刻: 2024/4/19(06:45)]

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1268. 世界史クラブ:Stuarts

お名前: 柊
投稿日: 2008/11/1(07:07)

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 世界史クラブ、連続投稿の柊です。

 私の得意なテューダー朝の次の時代なので、多少の知識はあります。というか、本の蓄えがあります。
 スコットランド王家としては1371年から、イングランド王家としては1603年に始まる家系です。ステュワート、ステュアートなどと書き、元はStewardだった家系。
 テューダー朝のエリザベス1世に子どもがなく、兄弟も子孫がないままに死んでいたので、近い血縁を探したらスコットランドのジェームズ6世だったんですね。イングランド国王としてはジェームズ1世。その後、子どものチャールズ1世、その子どものチャールズ2世、弟のジェームズ2世、その子どものメアリ2世と従兄弟のウィリアム3世の夫婦共同統治、メアリ2世の妹のアン女王ときて、終わりです。
 アン女王は1714年没。アン女王の時代に、イングランドとスコットランドは(たまたま?)国王が同じという形から、グレート・ブリテンという一つの国になりました。(カンニング・ペーパーは森護「英国王室史話(下)」)

 アレクサンドル・デュマ(父)の書いたメアリ・ステュアート(Gutenbergで見つけましたが、邦訳が出ました)の始まりに「どの王家にも縁起の悪い名前(ファースト・ネーム)があるが、スコットランドの場合はステュアート(姓)だ」とありまして、スコットランド時代には0歳や1歳で即位した(親がすぐに死んだ)王がごろごろ。イングランド王を兼ねるようになっても、処刑されたチャールズ1世や、生きているのに娘(たち)に王位を追われたジェームズ2世など、多難です。

 やはり本が多いのはメアリ・ステュアートでしょうね。生後数日で父が死んでスコットランド女王、5歳かそこらでフランスに渡ってフランス皇太子妃となるべく教育を受け、結婚して割とすぐにフランス王妃になり、王妃になって1年経たないうちに夫の死でスコットランドに帰国。ところがフランスで育ったもので、スコットランド女王なのに外国人状態。再婚した後、夫殺しの疑惑で国を追われるという、波瀾万丈すぎる人生です。
 私は最近まで、好きじゃなかったですね。どうも人生万事人に流されている感じが。ところがMargaret IrwinのGaillardを読んだらそうでもなくて、私の好きな顔を上げて前を向いて、自分の意志で生きているところが好きになりました。
 では、YL順で紹介していきます。

Mary, Queen of Scots [url:http://www.seg.co.jp/sss_review/jsp/frm_a_120.jsp?cd_syuppan=0000000318 ]
OBWですね。結構ちゃんとポイントを押さえています。
Mary, Queen of Scots and her Hopeless Husbands [url:http://www.seg.co.jp/sss_review/jsp/frm_a_120.jsp?cd_syuppan=0000011790 ]
 Horribly Famousです。三回結婚しているんですが、全員だめですかという題名が、いいですねえ(いいのか?)。

Mary, Queen without a country by Kathryn Lasky [url:http://www.seg.co.jp/sss_review/jsp/frm_a_120.jsp?cd_syuppan=0000010596 ]
 子どもの頃、メアリの肖像画を見て一目惚れして、これぞ理想のお姫様と思ったという、Laskyの書くRoyal Diariesです。これの巻末の解説だけでも、勉強は充分ですね。

The Gaillard by Margaret Irwin [url:http://www.seg.co.jp/sss_review/jsp/frm_a_120.jsp?cd_syuppan=0000014449 ]
 例によって上がったり下がったりぐるぐる回ったりと忙しい本です。まだ最後までついていませんが、何しろ長いので、もうしばらくかかりますね。

Royal Road to Fotheringhay by Jean Plaidy [url:http://www.seg.co.jp/sss_review/jsp/frm_a_120.jsp?cd_syuppan=0000010771 ]
 幽閉前です。

Captive Queen of Scots by Jean Plaidy [url:http://www.seg.co.jp/sss_review/jsp/frm_a_120.jsp?cd_syuppan=0000014611 ]
 幽閉後です。
 他にPlaidyではStuart Sagaというシリーズもあって、半ダースぐらいの作品があります。復刊して欲しいです。Plaidyさんの話は面白いですが、Plaidyさんの書くメアリは好きじゃない。Plaidyさんも好きじゃなかったのかもしれないですね。

 伝記だと、メアリ大好きなAntonia Fraser [url:http://www.seg.co.jp/sss_review/jsp/frm_a_120.jsp?cd_syuppan=0000010705 ] のものだとか、読んでいませんがなにやら評判のAlison Weirのものがあります。

 メアリの息子がジェームズ6世です。しかし、メアリは夫殺しをしたとされているので、ジェームズにとっては母は父の敵ですが、夫が子どもを殺そうとしているのでメアリが殺意を持ったという説があるので、父は自分の敵なんですね。しかも、ジェームズ自身はGunpowder Plotの狂言犯だという話もあります。暗殺計画が出ると、自分の人気が上がるだろうと思ったという。
 この件に関しては、一般的な見解だと思われるのがAntonia Fraserが一冊かけて書いた本です。翻訳もあります。ジェームズの狂言だろうというのは、イングランド王を兼ねるようになってからのステュアート家を書いたHorrible HistoriesのThe Slimy Stuarts [url:http://www.seg.co.jp/sss_review/jsp/frm_a_120.jsp?cd_syuppan=0000012835 ] です。
 ステュアート朝に関しては、それこそPlaidyしか読んだ本も持っている本もありませんが、チャールズ1世の王妃のLoyal in Love [url:http://www.seg.co.jp/sss_review/jsp/frm_a_120.jsp?cd_syuppan=0000014614 ] 、チャールズ2世のLoves of Charles II [url:http://www.seg.co.jp/sss_review/jsp/frm_a_120.jsp?cd_syuppan=0000014613 ] 、チャールズ2世の王妃のThe Merry Monarch’s Wife [url:http://www.seg.co.jp/sss_review/jsp/frm_a_120.jsp?cd_syuppan=0000014612 ] 、メアリ2世のThe Queen’s Devotionがあります。
 チャールズ2世は女性関係がとにかく賑やかだったので、その辺を書いた本は沢山あるようです。

 ステュアート朝についてまとめると、テューダー朝よりは国王一人で決められることが少なく、議会が多少強くなっている気がします。それからメアリ1世への恐怖から、カトリックの国王というものに対してものすごいアレルギー反応があって、何かが起きるというパターンですね。


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1271. Re: 世界史クラブ:Stuarts

お名前: プリン http://purinbooks.at.webry.info/
投稿日: 2008/11/1(13:04)

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"柊"さん、こんにちは。
世界史、昔々、得意科目だったプリンです。

あまり詳しくはないので簡単なコメントで申し訳ないんですが、
この時代、Queen of Scotsの悲劇を背景にしたAlison Uttleyの“A Traveller in Time”を読むために、柊さんご紹介のMary, Queen of Scots and her Hopeless Husbands と、もう少し簡単に書いてあるMary, Queen of scots and All Thatの2冊を読んだことがあったので出てまいりました。

A Traveller in Timeは、20世紀の初頭、Queen of Scotsを逃亡させようと謀ったBabington一族ゆかりの地を療養で訪れた12歳の女の子が、その時代にタイムスリップしてしまい、史実を知りながらもその企ての手伝いをしようとする物語なんですね。

で、実際に史実を知ってたほうがおもしろみが増すだろうと思ってその2冊を読んだのですが、細かなことはすっかり忘れてしまいました。
結構複雑なんですよね。

で、ぴょーんと飛んで(済みません)

〉 メアリの息子がジェームズ6世です。しかし、メアリは夫殺しをしたとされているので、ジェームズにとっては母は父の敵ですが、夫が子どもを殺そうとしているのでメアリが殺意を持ったという説があるので、父は自分の敵なんですね。しかも、ジェームズ自身はGunpowder Plotの狂言犯だという話もあります。暗殺計画が出ると、自分の人気が上がるだろうと思ったという。
〉 この件に関しては、一般的な見解だと思われるのがAntonia Fraserが一冊かけて書いた本です。翻訳もあります。ジェームズの狂言だろうというのは、イングランド王を兼ねるようになってからのステュアート家を書いたHorrible HistoriesのThe Slimy Stuarts [url:http://www.seg.co.jp/sss_review/jsp/frm_a_120.jsp?cd_syuppan=0000012835 ] です。

スコットランドではジェームス6世、イギリス王としてはジェームズ1世でしたっけ?
E.NesbitのタイムトラベルファンタジーにGunpowder Plotの頃話なんかが出てくるのでネットで調べたことがあります。
この辺りから議会とか宗教の対立とかさらに複雑になってきているように思います。

イギリスの古めの児童書を読むと歴史的なイベントについて出てくる場合が多いので、いろいろ知っておくといいなと思っています。

時間があったらイギリスの歴史を読書でたどるというのもおもしろいかも。

コメントあまりしないのですが、いつもすごいなぁと思って読ませてもらっています。
簡単ですが、では。


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1280. Re: 世界史クラブ:Stuarts

お名前: 柊
投稿日: 2008/11/3(08:30)

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 プリンさん、こんにちは、柊です。
 いつも読んでいただいているそうで、ありがとうございます。今回の世界史クラブちょっと不安だったので、勇気づけられました。
 歴史的イベントの出てくる児童書というのは結構ありますよね。わかっているとより面白いけど、わかっていると先が読めてしまうという悩みもあり、時々迷います。
 まあ、大体の場合この人についての小説と思って探しているので、わかっている時代ですけど。

 ご紹介の本、面白そうですね。機会があったら読んでみます。では。


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1276. Re: 世界史クラブ:Stuarts

お名前: 杏樹
投稿日: 2008/11/2(00:10)

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柊さん、ふたたびこんにちは。

〉Mary, Queen of Scots [url:http://www.seg.co.jp/sss_review/jsp/frm_a_120.jsp?cd_syuppan=0000000318 ]
〉OBWですね。結構ちゃんとポイントを押さえています。

これ、メアリー側に都合がいいような書かれ方をしているような気がしたんですが、そのあたりはどう思いますか?といっても、確かにポイントを押さえていて、「こういう見方もある」というふうに許容できる範囲だとは思いますが…。

プリンさんが紹介しているアリスン・アトリーの「時の旅人」は多読以前から読みたいと思っていていまだに読んでない本です。そのうち原書が読めるかなーと思います。


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1281. Re: 世界史クラブ:Stuarts

お名前: 柊
投稿日: 2008/11/3(08:32)

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"杏樹"さんは[url:kb:1276]で書きました:
〉柊さん、ふたたびこんにちは。

 杏樹さん、またまたこんにちは。

〉〉Mary, Queen of Scots [url:http://www.seg.co.jp/sss_review/jsp/frm_a_120.jsp?cd_syuppan=0000000318 ]
〉〉OBWですね。結構ちゃんとポイントを押さえています。

〉これ、メアリー側に都合がいいような書かれ方をしているような気がしたんですが、そのあたりはどう思いますか?といっても、確かにポイントを押さえていて、「こういう見方もある」というふうに許容できる範囲だとは思いますが…。

 かなり前に読んだのでよく覚えていないのですが、これは書いた人もメアリに全然同情していない気がすると思ったのは覚えています。事実関係に関してはどう書いてあったか覚えていませんが。
 ただ、OBWの最初のステージぐらいなので、単純化するのもしょうがないかなとは思います。


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1479. Re:Queens of England

お名前: 柊
投稿日: 2010/12/15(13:24)

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 すこしStuartsものを読んだので、感想を書いておこうと思います。Jean PlaidyのQueens of Englandシリーズを読んだぐらいですが。

 最初はLoyal in Love。チャールズ1世妃、フランスのアンリ4世王女ヘンリエッタ・マリアの話です。
 滅茶苦茶読みにくかったなーというぐらいしか感想はないですね。割と早く投げました。あとは、Myself My Enemyという以前のタイトルの方が断然わかりやすかったと。最近Plaidyの復刊が盛んですが、本人が亡くなったあとに勝手にタイトルを変えて、しかも変えたタイトルのセンスが悪いのはどうかと思います。

歴史的な話をすると、アンリ4世は以前はナヴァール国王で、プロテスタントでした。しかし、フランス国民の多くがカトリックで、カトリックでないと受け入れられないという状況に際して、「パリはミサに値する」と言ってカトリックになったわけです。この辺、イングランド国民がプロテスタントを求めるからプロテスタントのまま行ったけど、カトリックを求めるならカトリックになっただろうといわれるエリザベス1世と同じ柔軟路線ですね。
 ところが、ヘンリエッタ・マリア(フランスだから、アンリエット・マリー?)は、生まれてすぐに父が暗殺されたせいか薫陶を受けなかった。夫のチャールズにもカトリックを勧めた。
 こういったことが原因になって、チャールズ1世は廃位されて処刑されてしまう。ところがヘンリエッタ・マリアは全然懲りずに、息子のチャールズ2世がようやっと王政復古をしても、唯一の信仰カトリックに帰依しなさいと説教する始末。
 この独善性について行けずに投げたわけです。
 夫を失ってフランスに戻ると、甥がルイ14世で、王母のアンヌ・ドートリッシュが苦労して摂政をやっていて、そういう意味でも面白い時代なんですが。

 Merry Monarch's Wife。チャールズ2世の王妃、ポルトガル王女のCatherine of Braganzaの話です。ポルトガル名がわからないので、英語のキャサリンで行きます。
 ポルトガルがスペインから60年ぶりに独立したときに支援したのがイングランドだった関係上、王女キャサリンはイングランド王チャールズ2世に嫁ぎます。しかし、数が多い愛人には沢山子どもが産まれたのに、キャサリンには子どもが産まれませんでした。これと、キャサリンがカトリックだったことから(プロテスタント式の儀式だという理由で戴冠式も拒否したほどです)、イングランドでは人気がなく、夫の死後はポルトガルに帰ります。
 しかし、ポルトガルでは甥か誰かの摂政をやって、女が摂政だからとなめてやってきたスペインを追い返したりして、ポルトガルでは人気があるようですね。

 Queen's Devotion。 [url:http://www.seg.co.jp/sss_review/jsp/frm_a_120.jsp?cd_syuppan=0000014735 ]
 チャールズ2世が亡くなると、弟がジェームズ2世として即位しますが、カトリックという理由で王位を終われます。父の教訓から学ばないやっちゃ。そこで即位したのが、ジェームズの娘のメアリーと、のちには妹のアンも即位します。
 そのメアリー2世の物語です。夫もウィリアム3世として即位して、夫婦で同時に君主をやっていました。
 ウィリアムは、William of Orangeという、オラニエ公で、メアリーの従兄に当たり、少し遠いですがイングランドの王位継承権も持っていました。そのウィリアムが生まれたときに冠を三つかぶっているビジョンが見えたという。三つの冠というのは、イングランドのものです。アイルランドとフランスの君主でもあると名乗っているので、合わせて三つになるわけです。
 そういったわけでメアリーと結婚し、プロテスタントでもあるので即位に支障もなかったのですが、妻を即位する足がかりとしか思っていない冷血漢。だったら徹底した冷血漢でいてくれれば楽なものを、愛人には優しく、この愛人がメアリーより偉い状態で家庭が続きます。
 そういう辛い話ですが、一つざまあみろと思ったのは、イングランドではメアリーに冷たいということでとことん人気がなかったんですね。それに、メアリーの方が統治能力が上じゃないかと思わせるところもあったのが救いでした。


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