Re: 世界史クラブ的「サン・ジョルディの日」

[掲示板: 〈過去ログ〉英語で趣味を楽しむ -- 最新メッセージID: 1605 // 時刻: 2024/4/24(16:33)]

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409. Re: 世界史クラブ的「サン・ジョルディの日」

お名前: 杏樹
投稿日: 2005/4/26(00:41)

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akoさん、こんにちは。

チクワさんに先を越されてしまいました。さすがクロトカゲは油断なりません。
長いので、ところどころはしょりますね。

〉日本史では、スペインは実はふる〜〜〜〜いお馴染みさんです。
〉スペインの旧国名はカスティーリャといい、それがナマって日本語でカステラになりました。
〉3時のオヤツは○○堂〜〜〜  …え〜、世界史ですが…。
〉そのご縁は鎖国中の江戸時代以来です。

日本語からスペイン語に入った言葉、スペイン語から日本に入った言葉もたくさんありますねー。

〉バレンタインデーが聖バレンタインの命日であると同様、
〉4月23日も、サン(聖)ジョルディの命日です。西暦303年にお亡くなりになりました。ジョン・ポール(ヨハネ・パウロ)2世様ともども合掌…。
〉クリスマスは誕生日を記念した日なのに、聖人は命日が記念日なんですね。いま気づいた…。

そこまでは気がつきませんでした。
キリストは誕生日のほか、十字架にかかった日、復活した日(イースター)、復活した肉体のまま天に昇った日(ペンテコステ)、と一通り記念日があります。特イースターは復活ですから、むしろクリスマスより喜ばしい日として祝われます。クリスマスケーキやクリスマスツリーのイルミネーションやディスプレイだけ盛大に真似してイースターはほとんど知らない日本人。

〉洋書の児童書には、ドラゴン退治がモチーフになっている物語がたくさんあるようですが、このサンジョルディ氏も、姫の救出とドラゴン退治の英雄が起源です。
〉いつのころからかカタルーニャの守護聖人になったとのことで、
〉カタルーニャでは、この日になると、男性が女性に赤いバラを贈る習慣があるそうですが(いいなぁ)、それは、サンジョルディがドラゴンと流血の戦いをした記念なのだそうです。

へぇ〜、へぇ〜。

〉ここで児童書をたくさん読まれたSSSの皆さんに質問したいのですが、
〉英語の児童書では、ドラゴンって、悪役が多いですか?
〉中国では、龍・竜は神の使いですよね。
〉同じ生き物の扱いが、文化によって違うってのは、我が世界史クラブの多読重要テーマです。
〉児童書でどう扱われるかが、その言語文化で育つ人の価値観に大きく影響するからです。

あのー、私見ですが、「龍」と「Dragon」は別物だと思います。たまたま相互に訳されているだけで。
形も違います。
Dragonはどちらかといえば恐竜に近いです。直立歩行することがあり、しっぽがあって、翼があって空を飛ぶ。口から火を噴く。
Dragonは西洋では基本的に悪役、退治すべきものとされることが多いです。あと洞窟で黄金や宝物を守っています。龍を退治して黄金を手に入れるのがヨーロッパの英雄。大天使ミカエルや聖ゲオルギウス、そしてジークフリートなどDragon退治の英雄はいろいろいますが、サン・ジョルディまでそうとは知りませんでした。

龍はどちらかといえば蛇に手足をつけた細長い生き物。翼はありません。空は飛びます。というか、あまり地上を歩くことはありません。天界の生き物だからでしょう。つまりDragonは洞窟など地底にいることが多く、龍は天にいる…と結論付けていいものかどうか…。
さらに龍は吉祥の印の聖獣で、皇帝の象徴。龍が空を飛ぶと皇帝を祝福している証。皇帝の朝服には龍がついています。皇帝の顔のことを「龍顔」とも言います。
お祭りには龍踊りや龍船が登場します。おめでたいしるしだからです。

でもチクワさんの指摘のように、愛嬌のあるDragonもいますね。特に児童書、絵本の中に。でもこれは最近の現象ではないでしょうか?

〉さて、世界史クラブはここからが本番。

〉バルセロナの街には、スペイン語とカタルーニャ語が併記された看板があり、
〉カタルーニャは、スペインに征服されたという歴史的記憶があり、
〉今でも、「カスティーリャの連中は…」という人もいるそうです。
〉 (バルセロナ人の知人がいる日本人友人からの伝聞)

世界の3大テノールの一人、ホセ・カレーラスは国籍はスペイン人ですが、本来はカタルーニャ人です。確かに昔は言葉も風習も禁じられていました。今はカタルーニャ文化が認められるようになりましたが、だからこそカレーラスは自分のことを「スペイン人」といってもらってかまわない、しかしスペインがカタルーニャを弾圧するなら自分はスペイン人であることをやめて「カタルーニャ人」になる、と言ってました。
言葉の違いは私もわかりませんが、例えば画家の「ジョアン・ミロ」。スペイン語風に「ホアン・ミロ」と書かれることもありますが、カタルーニャ人なので、「ジョアン・ミロ」が正しいそうです。ということはホセ・カレーラスもジョゼ・カレーラスなのかもしれません。
また、スペインでは北と南では気候風土がかなり違うようです。

〉さて本日の本題。バラを贈る習慣に、本を贈る習慣が加わった理由です。

〉カタルーニャは、スペインがフランコ政権の時期(第二次大戦をはさんだ30数年の長期政権)、えらい目にあいました。
〉カタルーニャ語禁止、スペイン語を強制され、たいへんな屈辱だったそうです。
〉日韓などでも類似の体験がありますが、植民地っていやですね。

植民地とはまた違うでしょう。フランスのブルターニュ、イギリスのウェールズ、独立前のアイルランドなど、同じ国の中で異民族が同居している場合、少数民族が弾圧されることはよくあります。日本ならアイヌ民族に当たるのでは?アイヌ民族は日本人に同化することを強制され、言葉を奪われ、名前も日本風に改められ、独立した民族として存在を認められませんでした。

〉この時に、使用禁止になった愛する母国語の本を秘密裏に贈りあったことが契機、と言えば、もう説明は不要と思います。
〉カタルーニャ愛国者にとって、フランコと戦う現実を、
〉サンジョルディがドラゴンと戦った故事になぞらえたのですね。

つまりそれだけ「母語」を守ることが大切だったんですね。民族弾圧となると必ず言葉の問題が出てきますね。

〉さてさて、当 世界史クラブもSSSの多読促進活動ですから、洋書の話でシメたいと思います。

〉カタルーニャと言えば、『カタロニア讃歌』。 (カタルーニャは、現地音基準)
〉作者はジョージ・オーウェル。 ご存知、『動物農場』『1984年』の英国人作家です。
〉管理社会と全体主義に対する鋭い批判精神とブラックユーモアで小説を書いた人ですが、(映画『未来世紀ブラジル』の世界は、まさにこれ!) 本人は、スペイン内戦に実際に参加した熱血正義感(とakoは思う!!そこがいいのだ!)
〉キャパの写真とピカソの絵(ゲルニカ)で知られ、ヘミングウェイにもつながるあのスペイン内戦です。

オーウェルとスペインにつながりが…そんな熱血漢だったんですか。
でもそれを原書で読むとなるとかなり…いや、Tinyさんのように「たいてい読めます」と発言する日がいつかは…。

〉あぁ誰が為に鐘は鳴り、日はまた昇ってバンプローナの牛追い祭。こっちはヘミングウェイです。
〉オーウェルですが、実際の参戦体験が『動物農場』『1984年』につながったと思うと、醒めたブラック精神の根は、暑くて、熱い心なんだ〜、とまた暑苦しいことをakoが言う。

「暑苦しい」はやめて「熱血!」にしておきましょうよ〜。
光と影の国、スペインには熱血が似合う…。
熱血akoさんの投稿に一生懸命お返事してしまいました。
そういえば、私は聖人伝説をまとめた本があったら読みたいと思っていたのでした。実はパリのクリュニー博物館のミュージアムショップで絵本に近い装丁の聖人の本を購入してきたのですが、フランス語なのでまだ読めません。(「まだ」ということは、いつかは…と思ってるらしい?)
それでは〜。


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