Re: 仕方ないなぁ。じゃぁKYOさんだけに(なっがいでぇ)

[掲示板: 〈過去ログ〉SSS タドキストの広場 -- 最新メッセージID: 14976 // 時刻: 2024/5/16(17:02)]

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10621. Re: 仕方ないなぁ。じゃぁKYOさんだけに(なっがいでぇ)

お名前: ちんげん斎
投稿日: 2004/3/8(01:48)

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ご指名を受けちゃうと弱いなぁ。

KYOさんだけのために、手直しして再投稿します。
#だから、KYOさん以外は読んじゃダメよ。

酒井先生が猛烈に書き込んでくれているので、
ちと安心して書き込めます。

さてさて、

未知語率が幾らくらいだと読みやすいとか
母国語ならともかく、外国語の理解にあてはめるのは
かなり難しいのではないでしょうか?

そもそも未知語数とか未知語の割合って数値化出来るものでしょうか?
未知語率5%といっても未知語自体が明確に定義できないと思いますが。

既知語と未知語について、ちと考えたので以下に書きます。

断っておきますが、SSS式多読的な解説ではありません。
逐語的なお話です。(さっき削除した理由はそこです)

初心者の方は、けっして
「多読をすればこういう語彙力がつくのだ」と思わないで下さい。
秋男さんやJulieさんの投稿でわかると思いますが、
ずっと沢山読んだ人が、こういった分析的な読み方をしていない。
というより、むしろしないように努力しているということです。

こんなんを偉そうに書いとる事自体が、
多読中級者の限界を示しておる。

【1】用法を知らないケース

「I」、「made」、「for」、「the」、「window」の5つの単語を
個別に知っているか?と質問すると、
「全部、知っている。」と答えられる人は多いと思います。
これは、未知語率=0% ですか?

でも、「I made for the window.」という文章にすると、
意味が判らない人は結構多いんじゃないでしょうか?

未知語率=0%でも、この場合「make for」の用法を知らないと
この文は理解できませんよね。

タドキストに馴染みやすい例で言うと、
「look」も「after」も知っていると言う人でも

「I look after him」という文は意味がわからない人が多いでしょう。

これも未知語率=0%でも知らなければ読めません。

このようなケースを「フレーズ」又は「イディオム」として
例えば、「look after」のひとかたまりで「〜という意味」として扱えば、
この場合は未知語に入れるという対応が可能かも知れません。

これは、全くの私の想像ですが<私の想像>
makeとforで新しい意味を与えるのではなく、
もともと lookあるいは、make という語が示す幅広い意味の中に
これらフレーズに対応する部分をネイティブの人々は持っており
適切な前置詞と組み合わせることで意味を絞っているのでは
ないかと感じています。</私の想像>

make=つくる。look=見る、などその語の持つ幅広い意味の中から、
ごく一部分を知ってるのは、知っている単語なのか?
それとも、すべてをつかむまでは知らない単語になるのか?
getとかhaveとかbeとか超重要単語は、
どこまでいったら全部知ったことになるのか?

【2】概念を知らないケース

一般的な単語で例を示したかったけど、
わしの実力では、そういう単語は思いつきません。
偏った例になるんで、ハブってものをご存じない方は飛ばしてください。

コンピュータに詳しい人なら、(最近ならあまり詳しくなくても)
「HUB」(日本語でハブ)というネットワーク装置をご存じだと思いますが、
装置を知っている人がコンピュータ関係の文章中で、hub と出てくれば、
「あぁ、あれのことね。」と理解することができるでしょう。

数年前に発行された英和辞書(ジーニアスです)を引いてみると、
(1)車輪のハブ
(2)中心、中枢 (例:the hub of the universe、宇宙の中心)
とあります。

現物を知らない人が、辞書を引いても
恐らくどういう装置かわからないでしょう。

また、飛行機の分野でもハブという言葉が使われます。
わしの知識では、ノースウエスト航空のハブ空港はデトロイトです。
例えば、
The hub airport of the northwest is on Detroit. 
(↑悪いが、この英文が正しいかどうかわしは責任もてんぞ)
という文を辞書を頼りに、
「ユナイテッド航空の中心的な空港はデトロイトである」と訳した場合に
学校英語的には間違いではないかも知れないけど、
もとの文章では表現されているデトロイト空港の”働き”が
日本語の方には見あたらない。

コンピュータのハブの”働き”を知っている人が、
同じ文章を読んで多少は混乱しても、
少なくともデトロイト空港に行って飛行機と乗客の流れを見ると、
「あぁ、そういう意味か。」と理解できると思います。

Gooの国語辞典で日本語の「ハブ」を引いてみると
(1)車輪の部分の名。スポーク(輻(や))の中心部である軸受に連接し,
軸受とともに中を車軸が貫くところ。
車輪のぐらつきをなくすのに役立つ。轂(こしき)。とありました。

これとネットワーク装置のハブ

航空会社のハブ空港

この3つ言葉がをその働きからあわせてよく考えてみると
hub という言葉が単に中心という意味だけではなくて、
車軸にかかる応力やコンピュータの信号や飛行機や乗客などのものが、
一旦、一ヶ所に集結して、その後必要に応じた行き先に
再度配分(放出?)される場所、あるいは装置である
という概念を含んでいるということがみえてくる。

多分、ネイティブの人間は「hub」と聞いて、
そういう概念が頭に浮かぶのかも知れない。
hub=(車輪の)ハブ、中心、こしきと覚えているだけの人は、
この単語を既知語のほうへ入れてよいのだろうか?

#この概念はコンピュータのhubがオリジナルなのかも知れない。
#longmanを見る限りでは英英にも、そういう概念は説明されていない。

他に、おそらくこの手の例として思いつくものに、
「state-of-art」という修飾語がある。
卓越した新技術や、そういった技術を使ってつくられた製品を
形容する単語である。

stateも、ofも、artも特に難しい単語ではないが、
多分それを組み合わせても意味が通じないと思う。
最近は日本語訳が出来てきて、「最新の」と訳される。

<わしの想像>これも、ネイティブは「art」という言葉の中に、
卓越したとか、これまでにないといった概念を
持っているのではないだろうか?
そうだとしたら、
art=芸術では知っていることになるか?</わしの想像>

【3】背景をしらないケース

少し古い話になって申し訳ないが、
Nwesweek誌の2003年9月15日号の特集記事の一つに
「What's Good for the Goose」というタイトルの記事があった
http://www.forrelease.com/D20030907/nysu013.P1.09072003132923.10965.html

記事の内容は、韓国のおとーちゃんは、
自分の子供にアメリカで教育を受けさせるために、
息子とおかーちゃんをアメリカに送り、
自分は韓国に一人で残って収入の大半を仕送りしている。
韓国のとーちゃん側もアメリカの母子側も大変よ。という内容だったが、
タイトルがさっぱりわからない。

これも、ひとつひとつは知ってる単語だけど文章になると判らない例だ。
(もちろん、表面上の意味くらい判るわいね。)
気になったので、Newsweek日本語版スタッフがどう訳すのかが気になった。

2003年10月8日号の「Newsweek日本語版」では、
『ソウルの「アヒル」は寂しさにも耐える』というタイトルになったようだ。
[url:http://www.nwj.ne.jp/public/backnumbers/contents/20031008/contents.html]

#当時の新聞広告では、「韓国のファーザーグース」と
#いうようなタイトルだったと記憶してたが出版では変わったのだろうか?

なにが「アヒル」やねん?あほか、おまえ。
意味通らんやんけ。(記事の中に書いてあったらゴメンナサイ)

多分、マザーグースかなんか知らんが、
文化的背景を持ったタイトルなのだ。
なんかの小説の有名な一説かもしれん。
背景を知らなければ、
単語だけ判っても文の意味、タイトルの意味はわからない。

これも個々の単語は知っているようで、知っているとは言い切れない。

専門的な分野にも背景がある、
ある遺伝子関係のソフトの取扱説明書に、
「この操作をすると、annotated gene のリストが示されます。」
との一説があった。

辞書を引くと、
anotate=注釈を付ける。
gene=遺伝子
とあるので、

「この操作をすると、注釈のついた遺伝子のリストが示されます。」
となる。普通の翻訳ならこれで日本語として意味がとおるので
問題無しとするかもしれないが、
「注釈をつける」とはなんぞやいう点が
日本語の方には、さっぱり欠落している。
日本語訳を読んでも、これではわからない。
#以前技術翻訳は使えないと云うたのは、こう云うのが多い

#実は、これを無理矢理言葉にすると、
#著名な遺伝子研究データベースに登録された遺伝子
#というのが近いだろう。この場合「注釈をつける」とは、
#「発見者がどういう遺伝子か研究した成果をデータベースに登録する」
#の意なのだ。こんなのは、どんな辞書や教科書にも載っていない。
#業界のネイティブスピーカーがそう感じるだろうと想像するだけですわ。

これも背景知識がないと、単語は知ってるようでも文は意味をなさない。

一応辞書的な意味を幾つか知っているから既知語に入れても、
こういった深いところまで知ってる単語は案外と少ないのではなかろうか。

わかってるつもりでわかってないほうだけでも、これだけの幅がある。
当然、逆にわかってないつもりでも、ある程度の意味がとれる単語だって
同様に幅をもって存在しているはず。

さっと拾った未知語の割合を数えて、
多読したのに語彙が増えていないとか、
未知語率1%だけど読み難いとか、
未知語率5%だけど読み易いとか
あって当然(たぶん日本語でも起こりうる)だし、
くらべる意味のあることなのでしょうか。

これは単に単語だけの話であって、
文章を読むに当たっては、単語だけでなく、
さらに文自体をどれくらい深く読めるかもまた幅広く存在するのだ。

みなさん、既にご存じのように
納得力という素晴らしい能力をもつ人達もいるのだ。
(うらやましいからって、わし超能力者みたいな書き方ですね)

でも冒頭に書いたように
多読のことを知らない人に対しては、
「多読でこういった事が身に付くんだよ」というと
多読の効用の一部を説明することになるかも知れない
と考えるのは、実は「甘い罠」ですよね。

こういう逐語的に、言葉の概念を日本語で考えた時点で
既に伝統派訳読的流派(酒井先生の云う単語信奉者)の
手の内にはまっています。、

あるいは、この単語を知っているか知っていないかと
考えるだけでも英語を英語のままで理解すると
いうことの妨げになるようです。

なんで英語を理解するのにで日本語が介在したらあかんかというと、
一般的に云われている他に語彙の面で考えて、

<わしの想像>
「英辞郎」は英語←→日本語の逐語訳では突き抜けた存在で、
現在見出し語として120万語保有するデータベースですが
これで普通のPBで使用されている表現を全部カバーするかというと
それでも厳しいのではないかと思います。
(PB読むときに使ってないので実際のところよくわかりませんが
 仕事で使う限りではネイティブの文章が英辞郎の訳で全部は理解できまへん)

このことから想像できるのは、
「英辞郎」には特殊な専門用語も含まれているので、
その分差し引くとしても、逐語的に英文を理解するのには
見出し語として数十万語から100数十万語が必要だということです。

たかだか数千語の語彙を身につけられないのに、
語彙として、数十万語を身につけられようか、いやできまい(反語)
そういうのは機械に任せるしかない。

英語を日本語を通じて理解しようと思った時点できっと負けなのだ。

だから翻訳というのは奥が深く難しい。

英語の研究者でなくて
わしのように英語の単なる使用者なら日本語に直す必要はないから、
英語のままで理解するので十分なのじゃ。
多分そのほうが労力が少なくて済む。
</わしの想像>

KYOさん、最後まで読んでくれた? じゃね。


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