語彙が少ないから読めない

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10557. 語彙が少ないから読めない

お名前: KYO
投稿日: 2004/3/6(08:53)

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皆さん、こんにちは。KYOです。

「英語以外で多読を楽しむ方の広場」の優香さんの仏語リポートを読んで、
語彙が少ないってどういうことか考えたので書いてみます。

(以下「英語以外で多読を楽しむ方の広場」で書いた発言の一部引用)
 ところであんまり関係ないかもしれないんですが、
 フランス語ってあまり単語を覚えなくてすむ言語らしいです。
 ある本で読んだんですけど、語彙の抽象度が高くて
 フランス語では基本の1000語まで知っていると、
 一般的なコミュニケーションで使われる語の83.5%がカバーできるそうです。
 2000語の語彙なら89.4%、5000語だと96.0%になります。
 つまりフランス語では4〜5千の単語を知っていれば、
 まず普通の本を読むのそう困ったことは起らないってことになります。

 日本語だと1000語だとカバー率はわずか60.5%、5000語覚えても81.7%ですから
 日本語学習者はたくさんたくさん単語を覚えねばなりません。

 英語だと1000語で80.5%、5000語93.5%ですから、
 フランス語に近い少数精鋭型ということですね。
(引用終わり)

ある本というのは、日本語教育関係の本なんですが、モスクワ言語学研究所がおこなった調査で、
「基本語の語彙調査に基づいて、上位n番目までの語彙で一般的なコミュニケーションで使われる語の何%までカバーできるか」という主旨の調査です。

よく単語が少ないから英文が読めないなんていいますが、
語彙ってどれぐらい覚えればどれぐらいカバーできるでしょうか。

上記の調査で語彙力があがれば未知語の割合がどれくらい減っていくかを表で見てみてみると、

1〜 1000語 80.5%
1〜 2000語 86.6%
1〜 3000語 90.0%
1〜 4000語 92.2%
1〜 5000語 93.5%

この表を見ると、1000語までの語彙の重要度はもう明らかですよね。
1000語知っていれば普通の読み物に出てくる8割の語が知っている語ということになります。
3000語までなら9割カバーです。だいたいこのあたりまでの語の使い方をよく心得ていれば、
話す聞くのコミュニケーションで不自由することはないわけです。

文章を読んでいて未知語が含まれていても、その値が5%以下なら、
文脈等を利用して推測して読み進んでいけるということが言われています。
(これはちゃんとした研究があって既知の事実になってる)
5%というのは、20語に1語の割合で知らない単語が出てくるってことです。
1ページ300語ぐらいのPBなら1ページに15語ぐらいわからない単語が合っても結構読んでいけるってことになります。
ただ、20語に1語はちょっとキツイ値らしく、40語に1語になると楽に読めるらしいんですね。
40語に1語なら未知語の割合は2.5%以下になります。

ということで、95%のカバー率の語彙力って何語知っていればいいのかな〜? 
97.5%になるのは?と私は知りたくなりました
。上の調査は5000語までしかないので、こういう割合でカバー率が上がっていくと仮定して計算してみました。
(自分ではよーできんので、やってもらった……)
一般的なコミュニケーションって何か、
この割合で上がっていくかどうかといった問題はあるわけですが、
一応以下のような感じになりました。

語彙数   カバー率  1p300語のPBでの未知語数
1〜 2000語  86.6%     60語
1〜 1000語  80.5%     40語
1〜 3000語  90.0%     30語 (10語に1語の割合で未知語に遭遇)
1〜 4000語   92.2%     23語
1〜 5000語  93.5%     20語

1〜 6000語  94.4%     17語
1〜 7000語  95.0%     15語   (20語に1語の割合)
1〜 8000語  95.5%     14語
1〜 9000語   96.2%     12語
1〜 10000語 96.4%     11語

1〜 11000語 96.8%     10語
1〜 12000語 97.2%      8語   (40語に1語の割合)
1〜 13000語 97.6%      7語
1〜 14000語 98.0%      6語
1〜 15000語  98.4%      5語

1〜 16000語 98.8%      4語
1〜 17000語 99.2%      2語
1〜 18000語 99.6%      1語
1〜 19000語 99.9%      0語
1〜 20000語 100.0%      0語

私の語彙についての感覚と上記の値はかなりと一致します。

 2万語知っていれば、難しいめの英文でも知らない単語に出会うことはまずない。
 7000語ぐらいの語彙力があれば、わからない部分があっても概ね読み進んでいける。
 1万2千語ぐらいの語彙力があれば、読んでいくのが相当楽である。

英語を仕事で使う人間としては私は語彙があんまりない方なので
(たぶん8千語から1万2千語の間ぐらいデス、私の友人で単語をよく知ってる人は2万語は越えていると思う)、
難しい英文が読んでいくのに困難なのは
語彙力がないせいだろうなと思っていたのです。

でも上記の値を見たら、ボキャビルなんてやめた!と思いました。
もし1万語から2万語レベルまでなにか単語集みたいなもので邪道な補強をしても
1000語覚えても1語ずつしか未知語が減っていかないのです、
今のまんまで多読で読みなれするほうが絶対効率がいいはずです。

普通の人なら、まず基礎の1000語はすごく大切ですよね。
3000語ぐらい使いこなせれば、日常的なコミュニケーションでは不自由しない。
6千〜7千語ぐらいを認知語彙にしておけば、PBも概ね読めるってことになります。

6千〜7千語って英検準1級(TOEICなら700点台半ば)の語彙レベルぐらいです。
2級(TOEICなら500点ぐらい)なら5千語。
大学入試に必要な語は派生語をのぞいて4千語って代ゼミの先生が書いてました。

ちなみについ先日前期試験を受けたばかりの息子に
普通のPB(グレシャムのレインメイカー)のあるページを開いて
わからない単語はいくつあると数えさせたら、18語と答えました。
1p350語ぐらいの本なので、彼の未知語の割合は5.1%。単語力からだけすれば、
読んでいけるはずですが、600ページの厚いPBをさして「読めそう?」と聞いたら
「ええっ、無理っしょー」と言っていました。

だから単語力がないから英文が読めないっていうのは
あんまりあたってない場合が多いんじゃないかなと思ったのですが、
皆さんどう思われますか?


▼返答


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