「学習」と「習得」

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10193. 「学習」と「習得」

お名前: 慈幻 http://www.memorize.ne.jp/diary/96/28454/
投稿日: 2004/2/12(14:26)

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どうも慈幻です。

酒井先生、秋男さん、アトムさん、突然の発言で失礼します。

〉無意識吸収法と名前を変えませんか?
〉みんなでスポンジになろー!!

先日、

ロッド・エリス 著 牧野 高吉 訳「第2言語習得のメカニズム」ちくま学芸文庫

を読了しました。

それによると、「普遍文法」を唱えたチョムスキーは、人間が生得的に持つ母語
習得の能力を

language acquisition device (LAD: 言語習得装置)

と名づけ、「LADに言語に関する経験が入力されることにより、母語が獲得され
る」という言語習得モデルを提唱しているようです。

そこで問題となるのが、成人が第二言語を学ぶ場合、この「LAD」が機能するの
かしないのかという点で、第二言語習得研究の間でも論争になっているようで
す。

私個人は、交換留学や多読等の経験から、成人でも「LAD」は機能すると思いま
すが、「母語を習得する幼児とは異なる形で」という点が重要かと。

と言うのも、普通は「第二言語」を「意図的に努力して学ぼうとする」からです。

第二言語研究で良く引用されているらしいクラッシェン博士が、

learning (意識的な学習)

acquisition (自然な言語習得)

の区別を提唱したそうです。

私の直感的な印象ですが、成人が第二言語を学ぼうとする場合、「学習」をしよ
うと努力する余り、却って「LAD」が働くのを阻害しているのではないかという
気がします。

逆に言えば、努力するのをやめて「気楽に大量の第二言語に触れる経験を積む」
ことによって、「LAD」の機能を活発化させ、自然に第二言語を「習得」するこ
とが可能になるのではないか、ということです。

多読や多聴が、「LAD」の活発化に有効ということを実証できれば、楽しいこと
になると思います。

以上、要件のみですが、今回はこれで失礼します。


▲返答元

▼返答


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