「そうかな、辞書君。君はそう思うかね?」

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340. 「そうかな、辞書君。君はそう思うかね?」

お名前: MOMA親爺
投稿日: 2005/6/15(20:11)

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最近言葉に凝っています。多読だけで単語が増えていくことが不思議で、自分なりにいろいろ考えて
いたのですが、児童書やPBを読んでいて、いろいろ気がつくことがあったの書いてみます。


いくつかの単語達

beamという言葉がありますが、私にとって一番日本語で馴染みがあるとすれば「光線」です。「殺人光線」
なんて古い言葉もあるし、夜空を彩るレーザー光線もbeamが相応しい。この言葉に「笑い」のニュアン
スがあることを知り、私は感激しました。児童書を読んでいて、女の子がbeamする場面が良く出てきま
す。困るのですよね。beamって鋭くすごい速さで飛んでいくイメージや突き刺さるイメージがなまじ
あるだけに、非難しているのか怒っているのか、そんな風景を思い浮かべていたのですが、どうも違うぞ。
楽しそうだぞ。うれしそうだぞ。で、やはり笑っているんだ。それも通常の笑いではない。そうとう
入れ込んで、意識して笑っているぞ。うわっ!

気がつかされたとき、それまでの違和感が一挙に、鮮やかに変わっていくわけです。この「気づき」が
たまらなくイイのです。一挙に何かがふくらむ感じがする。早い段階で辞書を引いてもこの感じは得られ
ないんです。あるいは「気がついたとき」辞書を引いても、自分の頭は出来上がっているので、もう
動じない。「そうかな、辞書君。君はそう思うかね?」

たびたび話題になるclimbもそうです。climb downって何よ?から始まるのね。
山なんかなかなか出てこない。丘なんかなかなか出てこない。私が読む本では、車の乗降、馬の乗り降り
なんかが主なシーン。だから随分困る。困るけど、気がついたら、そこからはそんなものです。むしろ
積極的に使ってみたくなる。なんで降りるのにclimbなのよ?ふふふ・・・それが英語なんだよね。

児童書読んでいて少しこだわったのがpokeという言葉でした。
例えばこんなシーンを思いだします。教室で授業が終わります。放課後遊ぶ約束をしていた隣のクラスの
Josh君が、教室の後ろの扉を半開きに開けてpokeします。なんなんだろう?poke。こんな時、挿絵が
一枚あるといいですね。たいてい顔だけのぞかせている。あら、引っ込めた。また出したぞ!私にとって
最初の頃はこんなイメージだった。
別の本で、お母さんが七面鳥をオーブンで焼いている。いいにおいがしてきます。早く焼けないかな。
おかあさん、焼き加減が気になるようです。そこで金串が登場します。お母さん金串を七面鳥にpoke
します。えっpokeするの?金串を伝わっておいしいジュースが流れ出てきます(このジュースもずいぶ
ん面白いイメージですよね。juiceってなんでもイイみたい)
私にとってpokeのイメージはこの二つの場面で充分みたいです。とはいうもののこの二つの場面は結び
つくようで、結びつかない。結びつかないが、結びつく。ビミョーな世界なんです。これが私の今の英語
の世界です。ここで無理して日本語で「要約」してしまうと、折角のイメージが台無しです。まさに
「そうかな、辞書君。君はそう思うかね?」なのね。


アメリカでの経験と、最近になって気がついたこと(自分では大発見のつもり)

ボルチモアという町で経験した実体験です。水族館に行きます。子供が大はしゃぎです。幼児も大はしゃ
ぎです。「School of fish!」「School of fish!」 と大はしゃぎです。「ほほ〜。メダカの学校はアメリカ
にもある訳か」と感心するMOMA親爺。でもこれ違うのね。単に「お魚さんがいっぱい!」っていってる
だけ。敢えていえば「お魚さんの群れだよ!」ということみたいです。

教えて貰って感心したし、辞書見たらたしかに「群れ」と書いてある。でも思ったわけだ。幼児の発達段
階で最初にSchoolって言葉に出会うのは「うわ〜、いっぱい!」であり「群れ」のイメージなんですね。
彼らはここから始まるんでしょう、かの国では。彼らはそのうち小学校に行きますが、その学校ーSchool
は「群れ」であり「うわ〜、いっぱい!」に「なにかが」彩られ、くっついたイメージだと思うのです。
これが高校生になると「the School of Aristotle」なんていうのが出てくる(と思う)。
英語ウンチク本には「これをアリストテレスの学校と訳す素人がいるが、これはアリストテレス学派
のことですから、よーく気を付けるように!」と書いてあるんです。昔これを読んだボクも「へ〜」と
思っていたわけです。「漱石一門」も「吉田学校」もみなスクールなんだ。外務省にもあるよね、china school
ってのが。

この一見簡単な言葉にいろいろな日本語を付加していくことが、これまでのお勉強だったわけです。
日本の学習者はまず「学校」を習い、運が良ければ「群れ」を知り、「学派」を知る。エライエライ。

でも多読を始めてみて、また考えが変わったのね。これ皆Schoolでいいじゃん。無理に日本語に直さ
なくてはいけない人(翻訳家、受験生)は日本語としての単語を選ばなくてはいけないから、そのなかで
「群れ」「学校」「学派」なんていろいろ知っていなくてはいけませんが、でも私はSchool一本で充分で
す。最近は「同好の士が群れているイメージ」で充分ですわよ。むしろSchool=学校なる疑惑のイメー
ジを振り払うのに成功したことに・・ああ快感!

ここでいいたい。強くいいたい。
「単語にもunlearnがあるのよ」って事を!だってSchool=学校はかなり強烈なイメージとは思いませ
ん??振り払うのは大変だ。


MOMA親爺の説明は突飛すぎるという方へ第二弾、第三弾もあるのよね。

例えばideaという単語。chemistryという単語。あの英語の世界の人々は
「わかんな〜い」というI have no idea.と「民主主義の理念」idea of democracy
「なんつーか、相性がイイ」I have good chemistry with her.

「化学結合論」chemical bond
を区別していると思いますか?学校で「理念」なんていう高尚な概念を学ぶ前に「わかんな〜い」が先に
来るだろう。そもそも同じ言葉だけに「高尚」さなんてみじんも感じないだろうな、あの国の子供達は。
ちょっと「お化粧」がつくだけで、素顔は変わらないですものね。
あるいはThe chemistry between you two has gone sour.「あなたたち二人の相性はこじれてきてん
じゃない。」なんて、おませな小学生高学年か中学生同士で話しをしている、その世界に「科目としての
chemistry」が登場する。そんな世界だと思うのね。

余談ですけどテレビに出てくるsingerのchemistryってどんなイメージでつけたんでしょね?
まさか「化学」じゃないよね。相性?・・・・「あなたと私の結びつき」「親和力(これゲーテからネ)」
「みんなの和!」エトセトラ・エトセトラ・・こんなところにも、謎はあるんだなーー。

私たちが絵本やORTや児童書やGRで、ある程度欧米の子供達の発達段階をまねすることがいかに大事か、
私は多読で学ばせて頂いたと思うんです。面白いよ、これは。イメージの組上がり方が違うんだもの。
日本だとある段階から飛んじゃうのね「わかんない」から「理念」へと・・・
英語圏ではそうではなさそう。


さいごに

それで、私たちも日本語を介さない方がいいとは思いません?・・と改めて思うのです・
辞書を引かないことには、こんな意味があるんだと・・・私はそう思います。
今私は、アンラーンをしながら単語で世界を切り取っていく。そんな感じ。
面白いんだ、これが!

あるいはまったく英語を知らない日本の子供達が、多読をとおしてどんな世界を作っていくのか楽しみ
なんです。アンラーンがいらないからな、やつらは!!schoolなんか絵本じゃ良く出てくるんだろうな
なんて、思ったりしています。

英語の単語が織りなす世界というのは日本語の世界とは違います。
やはり英語は英語だなと思う。世界が違う。言葉が違えば、世界の切り取り方が違う。
これが面白い。多読をやって初めて気がついた。

という、お話でした。多読で単語が増えていくことにとても興味があるMOMA親爺でした。

おそまつ。


▼返答


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