Re: 例文への疑問

[掲示板: 〈過去ログ〉英語のことなんでも -- 最新メッセージID: 2495 // 時刻: 2024/5/17(13:09)]

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1981. Re: 例文への疑問

お名前: Ryotasan
投稿日: 2008/3/4(18:27)

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こるもさんともうしばらく文法談義を楽しむことにしましょう。

〉Ryotasanさん、またまたこんにちは。

〉〉すみません。例文に間違いがあったので訂正します。

〉おおお。
〉わざわざすみません。

〉〉〉〉He has his finger on his chin.
〉〉〉〉He has his finger put on his chin.
〉〉〉〉He has put his finger put on his chin.

〉〉"He has put his finger put on his chin" は間違いでした。
〉〉正しくはこうなります:
〉〉He has put his finger on his chin.

〉〉2番目の例文は使役動詞の "has" と過去分詞の "put" が使われています。
〉〉3番目がいわゆる現在完了の "has" と過去分詞の "put" です。
〉〉もともと2番目のような使い方があり、
〉〉それが段々と変化して3番目のようになったそうです。
〉〉米国の話し言葉では、
〉〉今でも混同されることがあるようです。

〉使役動詞って、なかなか気付かないですねえ。
〉makeくらいしか。

〉・・・はっ
〉ということは、この3つの例文は、全部同じ意味になるのですか?
〉一番目のは、「何であごに指が生えてるんだろう?」
〉と思っていたのですが・・・(ばか?)

すみません。文脈や状況説明を抜きにして断片的な例文を示しても、
分からないのは僕の責任ですね。
SF やファンタジーでは顎に指が生えているという意味もありえますが、
通常で "He has his finger on his chin" という文は、
"finger" と "on" のあいだに "put" が省略されている文として理解されます。
お気づきのとおり、
三つの例文は同じ意味です。ご名答!

〉〉〉でもですね。
〉〉〉国語で文法を勉強したときに、普段なにも考えずに使っている言葉に
〉〉〉法則性があるって知って、感動したんです。

〉〉みんなが好き勝手にしゃべったり書いたりすると話が通じなくなるので、
〉〉もっと法則性を意識して言葉を使おうと考えている学者や作家も沢山います。
〉〉国語の教科書に載っている文章のほとんどは、
〉〉そういう観点で書かれた文章です。
〉〉みんなが使っている日本語と、
〉〉国家の政策として学校で教えられている国語との違いですね。

〉そうですねえ。
〉私はいわゆる「標準語」で育ったので、あまり意識はしていませんが。
〉でも、話し言葉と、書き言葉は違いますよね。

書き言葉も、
教科書に載っている国語の例だけを読んで受ける印象と、
教科書に載っていない日本語のさまざまな文章まで読んで受ける印象では、
いくらか違ってきます。

〉〉〉そして、どの言葉にもある一定の法則性がある(はずですよね?)
〉〉〉それって、すごいなあ、と。

〉〉言語が潜在的にもっている法則性を解明しようという研究は、
〉〉20世紀の真ん中あたりから熱心に行なわれていますが、
〉〉どういう結果になるのかは予想がつきません。

〉ピジン語とかを追っていくと、何かわかるのでしょうか。

"No, woman, no cry" (Bob Marley) のような例でしょうか。
ピジン語は、
複雑な語形変化や前置詞の使い分けが不要で、
文法に対する依存度が低い言語だと思います。
単語を並べれば通じる言語とでも言いましょうか。

〉そういえば、ちょっと前ですがnatureに英語に関する論文が載っていたようです。
〉不規則動詞が、規則動詞に変化する速さのことでした。
〉使う頻度の低い動詞は、規則動詞となる速度が速く、
〉使う頻度の高い動詞ほど、変化の速度が遅い、という物でした。
〉まあ、当たり前の話かもしれませんけど。

これは、
"dremt" や "dreamt" の様な形が使われなくなって
"dreamed" に統一されて行くような過程のことでしょうか。

もともと英語では,
"go" と "wend"という同義語がごちゃまぜに使われており、
英語が英国の国語として形になった時点で
"go" の過去形が "went" という不合理な組み合わせになったけれど、
毎日使っている言葉を急に変えるわけにも行かないので、
そのままになっているというわけですね。
基本的な部分ほど不規則で、
法則性が当てはまらないというわけです。

〉〉〉でも、文法は後付の理論であることも知っています。
〉〉〉だから例外も出てくるし、文法オンリーで言葉を紡ぐのは無理がある。
〉〉〉なぜかというと、初めに文法ではなく言葉があったから。

〉〉〉なのでそれほどこだわってはいません。
〉〉〉「へえ」と思えれば、それでいいんです。

〉〉納得のいく説明が得られるとドーパミンが出て気持ちがいいんですね。
〉〉これが病み付きになるわけです。
〉〉勿論、論理的な文書を書きたいと思っている人の参考にはなります。

〉なるほど、ドーパミン、ですかぁ。
〉ああ、酒井先生が「麻薬」と言われているのは、このことですね。
〉納得のいく説明が得られちゃうと、それ以上考えなくなりますからねー。
〉やっぱり危険なのかなあ?

文脈もふまえて観察した言語事象について自分なりに考え、
自分なりに分かったときにドーパミンが出るのは自然な学習過程です。

一方、
辞書を引いたり、
先生に説明してもらったときなど、
あまり自然とは言えない状況でも、
謎が解ければドーパミンは出る様ですが、
これが望ましいことなのか僕には分かりません。

〉〉〉〉実際に頼りない小さな言葉なのかもしれません。

〉〉〉でもその頼りない言葉が、使用する上ではすごく重要な役割を果たしているんですよね。
〉〉〉日本語も同じだと思います。

〉〉僕も昔はそう思っていました。
〉〉そういう原則があてはまらない例も日本語には沢山ありますが、
〉〉国語に限定すれば、
〉〉小さな言葉の重要性は増すと思います。

〉〉今でも、
〉〉小さな言葉を大事にしている人の書いた文章を読むときは、
〉〉小さな言葉を大事にして読むのが良いのかもしれないと思います。
〉〉法律や契約書、文学的な短編小説や詩などでしょうか。
〉〉個人的には、
〉〉そういう種類の文章を読むときも、
〉〉まずは細かいことを気にせず読んで全体像を把握し、
〉〉2度目にもう少しじっくり読むことにしています。

〉〉実用的な文章や長編小説は、
〉〉そういう言葉を飛ばして読んでも大意を把握できます。
〉〉発音するときも、
〉〉速く、弱く、曖昧に発音されることが多いです。

〉〉頼りない言葉が大事だと考える人がいても良いとは思いますが、
〉〉小さな言葉を大事にしていると、
〉〉英語の聴き取りには苦労しませんか?

〉ううーん、英語でおしゃべりをしているときに、
〉前置詞なんて気にしていたら何言っているのかわからなくなります。
〉そういうときには「この人何が言いたいのかなー」と思いながら聞いています。
〉前置詞どころか、英語を聞いてるという意識もあまりありません。

でしょ?
文法について考えない方が良いばあいには、
うまく頭を切り替えてらっしゃるわけですね。

〉知り合いに日本語勉強中の留学生の方がいるのですが、その人と
〉日本語の話をすると、すごく面白いです。

〉例えば
〉「昨日、家族と旅行に行った」
〉「昨日、家族で旅行に行った」
〉「昨日、友達と旅行に行った」

〉とは言いますが、

〉「昨日、友達で旅行に行った」

〉とはあまり言わないですよね。
〉すごく微妙な違いですけど、私はまず言わない。
〉「友達同士で」なら言いますね。

こういうばあい、
旅行に行ったのは誰と誰なのかを考える方が重要だと思います。
「私」は家族の一員ですから、
「私と」を省略して「家族で」でも通じるのでしょう。
一方、
「友達と私で」や「私と友達で」でも通じますが、
「私」は友達の一員ではないから、
「私」を省略して「友達で」だけにするのは無理があるのだと思います。

〉私が「小さな言葉だが、重要」というのはこういうことを言っていたつもりです。
〉だからといって、前置詞(など)は重要だから、完璧にしよう。
〉とか思っているわけではありません。

より重要な言葉が省略されていることを示すサインポストであることは分かります。

〉外国の方が助詞とかを間違っていても、意味がわかれば直したりしませんし。
〉聞かれれば答えますが。

要するに、
誰が旅行に行ったのかを示してあれば、
助詞を間違えても話は通じるということだと思います。

〉〉前置詞や助詞を飛ばしても理解できる文章は、
〉〉飛ばして読んでも構わないと思います。
〉〉そうしないと読めない本も沢山あります。

〉うーん、わかっているつもり、なのですが。
〉言葉って、うまく伝えるのが難しいですねー。

微妙な助詞の違いに探偵小説のような面白さを感じるということでしょうか。
上級者の楽しみとしては理解できます。
自分で気づいた人にとっては面白いですね。

〉〉いずれにしても、Happy reading!

〉はーい。


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