Re: 高慢と偏見

[掲示板: 〈過去ログ〉SSS 映画の広場 -- 最新メッセージID: 703 // 時刻: 2024/4/24(21:24)]

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503. Re: 高慢と偏見

お名前: 海
投稿日: 2003/11/4(11:18)

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みちるさん、こんにちは。

〉こっちにあげていただいて、ありがとう!

こちらこそ! また浸ってしまいました。おかげさまで新たな視点も発見。再度あのDVDを
見たあと、昨日の投稿を読み返して「随分軽いな」と赤面。これは私の軽薄さのなせる技。
ついトレンディドラマなどと書いてしまいましたが、みちるさんがすでに触れてらっしゃい
ますように、もっと人間性への洞察が深いものなのです。なんて柄にもなく真面目に書くと
恥ずかしくなってしまう・・

古典だからといって高尚なものとしてとらえて欲しくない、当時は大衆文学だったはず、と
いう思いがついあのような表現に。本を読む基準は自分にとっておもしろいか、おもしろく
ないか、だけなのです。

〉もう、気に入ったなんてものではなく、すっかりはまってしまいそうな予感・・・。
〉ダーシー様の面影がはなれませんわ。うふ。

はい、そうですね。彼は素敵です。しみじみ、うっとりと満足げに頷く・・・

〉私も感覚人間なので、掘り下げたいというよりも、もうすこし、この良さに
〉ひたっていたい・・・というだけなのです。
〉そんなのに、つき合わせちゃってごめんねー。

いえいえ、とんでもない。再度の視聴でシェイクスピア攻略に向けてシフトしていたのが
一気にオースティンに行ってしまいそう。ダーシー様の魅力には逆らえません。どちらも
読めたらいいな、の作家ですから勿論OKです。シェイクスピアシフトはテープ到着前に一
応中身を入れておきたかったため。でも「SHAKESPERE STORIES」には「As you like it」は
入っていませんでした。まあ喜劇はパターンが似ているからよし、という感じで読んでいた
のに「リヤ王」の道化にえらく惹かれたりして目論みどおりにはいかないものです。戯曲を
お話に直してある本です。でも原作にわりと忠実だと思うのですが(自信なさげ)。

〉〉そうなの。「高慢と偏見」を初めて読んだときにすっかりダーシー様のイメージが私の中
〉〉に確立してしまいました。コリン・ファースのダーシー様はジグゾーパズルの1枚のよう
〉〉にピッタリそれにはまってしまいました。「こんなことってあるのかしら」と思うくらい。
〉〉私の中のイメージ以上の存在。ダーシー様のような方は本の外にも存在したのね、という
〉〉感慨。オースティンに見せてあげたいような気持ち、「どうよっ」て。
〉ほんとほんと。なんて、ぴったり!って思いますよね。
〉もう、他のダーシー様なんて考えられないくらい。
〉普通は、思い入れのあるキャラだとなんか違うという印象があるのだけど、
〉自分が思っていた以上のダーシー様!!!

そう! 大好きな本を映画で見て満足したことはあまり記憶にありません。皆無に等しいかも。
映像化成功の大きな要因は彼にある、と言いたくなるくらいコリン・ファースのダーシー様は
素晴らしいですね。役にはまっています。

〉〉でもなんといってもダーシー様はコリン・ファースなのです。エリザベスを見つめる眼差し
〉〉の素敵さ、全ての思いがそこに凝縮されています。高慢だけれど可愛く繊細。高慢かもし
〉〉れないけれど傲慢ではない。誇り高いけれど誇りよりももっと大切なものの存在を知っている。
〉おぉー。もうもう、その通り!って感じです。
〉そうなんですよね。かっこいいとかきれいだけではなくて、あぁ、もうほんとに。
〉(これしかいえないのかっ。>自分。)
〉でも、あのうちに秘めた熱さも、ダーシー様なのですよね。
〉手紙を書く場面なんて、もうたまりませんよね。

あ〜「あのうちに秘めた熱さ」ですね。まさにそう! 誠実さも優しさも持ち合わせているの
ですが、高慢な外見の中に隠されているのですね。そして自身とは価値観の違う人との関係で
どうやって自分の自尊心を保っていくか、も隠れテーマかも。迎合はできない、でも高慢にも
見られず、友好的につきあっていくのは至難の技かもしれません。ましてや階級社会のイギリ
スで傲慢や慇懃無礼の印象をあたえず、卑屈でもなく自然な敬意をもって他の階級の人に接す
るのは大変そう。

〉〉ところでダーシー様は「ジェーン・エア」のロチェスタ様に似ていると思いませんか?ブロ
〉〉ンテ姉妹とオースティン少し共通点を感じます。どちらも彼女達の今を変えるためのきっか
〉〉けとして王子様を求めていたのかな、と。少しうがちすぎでしょうか。。
〉なんとなくなのですが、私の中ではオースティンの視線っていうのは、外からの視線の
〉ように思うのですよね。誰か一人を書いてあるのではなくて、ジェインもエリザベスも
〉メアリもキティも愚かなリディアにも、ミスタ・ベネット、ミセス・ベネットまでにも
〉厳しいけれど、あたたかい視線をおくっているような。
〉ある意味、批評家、コラムニストの視線のようなところがあるのかなと。
〉題名も「自負と偏見」ですし、人間観察家なのは、間違いないような気がします。
〉(だから酒井先生に、オースティンは頭がよくてすごく冷たい人だといわれて
〉しまうのかな・・・。)

ここ、すごくおもしろいです!! 私の新たな視点も登場する俗物についてでした。私自身、
俗物の要素いっぱい、と自覚していることもあり、俗物好きなのです。ダールが苦手な原因
のひとつは俗物に容赦がないから。

ミスタ・ベネットはなかなか複雑でおもしろいですね。皮肉屋として距離をとることで紳士
としての矜持を保っているような。彼の台詞に「ああいうのをイギリス風のユーモアという
のかしら」とかなり独断的に理解しました(暗いの、その方面)。そして男性は彼のとる逃
げのスタンスを「あんな奥さんいたらしかたない」と同情的にみるのでしょうが、私は同情
できない、彼は無責任です。当面の面倒から逃げてその場しのぎ、問題の先送り、リディア
への旅行許可がいい例です。自分だけ俗物とは違う、という格好でミセス・ベネットやでき
の悪い娘達を批判しますが彼は取り繕うのが少し上手な俗物です。と言いたい放題ですが結
構好きかも、あのキャラクター。

ミセス・ベネットは抜群です。男性からだと多分、鼻持ちならないおばさん、かな? 言う
のに少し勇気が必要ですが、共感的な理解もできます。お話がハッピーエンドに終わったか
ら、ミセス・ベネット本来の志とは裏腹に、娘の足をひっぱるばかりの愚かな母親の役割で
すが、娘達や夫の本音の代弁者でもあるような。ミセス・ベネットが一手に損な役回りを引
き受けています。最後の方でジェインがエリザベスに「いつ頃から気持ちが恋に変わったの」
と聞く場面がありますね。そのときのエリザベスの答え、暗示的とは思われませんか? あ
の答え好きです。彼女の正直さを表しています。

ミスタ・コリンズはあの「手の平を返す」調子のよさ軽薄さがすごくおもしろいです。自分
の欲しい物が叶わないとわかったときの変わり身の早さ。客観的にみると彼に自尊心などあ
るの、と言いたくなるのですが、進退きわまったときには逃げずしっかり自己を正当化する
厚顔さ、たくましいですね。

シャーロットの「こんなものよ」という諦め加減もいいなあ。彼女の存在はお話を現実的な
ものにしているように思うの、奇麗事にしないための。最初、彼女をエリザベスの対極にあ
るものととらえていました。でもリディアの対極にあるものとしてとらえた方がいいかもし
れません。そのほうが彼女の凄み、賢さが際立ちます。エリザベスは本人の資質ばかりでな
く幸運にも恵まれていますもの。彼女と比べるのはアンフェアと思いますがいかがかな?
シャーロットの計算ずく、とリディアの本能の赴くまま、どちらも幸せな将来は暗示されま
せん。でも仮に、幸運に恵まれなくてベネット家の娘達が結婚せず、父親も早く亡くなると
いう運命を辿った場合、あながちシャーロットの計算を責めることもできないような。それ
に彼女は計算と引き換えに尊敬できない夫と結婚するという代償も払っています。それも自
覚的に。

〉その点では、シャーロット・ブロンテの方が一人の視線ですよね。
〉彼女の方が、体験や内なる自分を書いているような。
〉エミリ・ブロンテは、なんといっても「嵐が丘」ですから、内なる自分のなかでも
〉もっとも熱い部分という感じですね。

なるほど、みちるさん深いですね。ブロンテ姉妹のものまで読みたくなってきました。

〉〉そしてオースティンの描く世界を忠実に再現できたBBCが素晴らしい! 尊敬です。配役・
〉〉セット・音楽・ダンス。残念ながらビングリーは今少しイメージが違いました。もっと素敵な
〉〉お坊ちゃまかと。そして脚本の妙(と生意気に書きましたが私は判断できる立場でない)
〉〉ただ前にも書きましたがあの冒頭の言葉があのような語り言葉になるのか、と感慨深い
〉〉ものがありました。
〉ほんとにすごいですよね。二次元の世界が三次元に広がったという感じがしました。
〉すばらしい映像化ですよね!映像化されて、こんなに満足というのはあまりないですね。
〉(ケネス・ブラナーの「空騒ぎ」以来かも。)
〉5時間という長さが感じられないくらい、中だるみみたいなのもなくてあっというまでした。
〉ミセス・ベネットも、まさにぴったりという感じで。
〉ミスタ・コリンズもね。そうそう、こんな人!って思いました。

ひたすら同意、ふたりとも凄くうまい役者ですね。英国俳優、恐るべしです。「空騒ぎ」観てみ
たいです。詳しいこと教えてくださいな。

〉ジェインの優しいけれど、冷たい感じというのが、本ではイメージつかみにくかったのですが、
〉あぁ、こんな感じなのかなと、すっと分かりました。

和書が行方不明で残念。冷たい感じの記載ありましたっけ? でも彼女の持つ、人に感情の波立
ちすら読ませないほどの平静さ、ならわかります。そこがダーシーがビングリーを彼女から遠ざ
けようと画策する原因のひとつともなっている・・・? うまく言えないけれど案外身近にいる
かもしれません。出来すぎで非の打ち所も無く魅力に欠ける、彼女の場合イノセントと言いたく
なるほどの善良さも加わるので更に難物、困りもの。あまりにいい人はかえって人迷惑(ここま
で言い切っていいのか!?)。だって建前を言われると「そうですね」としか返せない、多少の
毒は必要です。フェアであるという、スタンスは守って欲しいけれど。ここまで書いてため息、
善人をそしる、のはフィクションの世界とはいえつらいものがありますね。

〉エリザベスは、もう少し気が強い感じなのかしらと思っていたのだけど。

本の方が才気走っている感じがしました。でも、言いたいことをぐっとこらえる表情が素敵。
「もう、しようがないなあ」という諦めをにじませて。ジェインとの姉妹愛というより友情
もいいなあ。ここは本でもっと読み込んでみたいと思います。和書さがそっと。

〉ビングリーくんは、ひとなつっこくてお人好しでちょっと人の意見に流されそうな感じは
〉でていたかなと思います。たしかに、本のイメージの方が素敵だったかなとは思いますが。

だってあれだけ美しく善良なジェインの心を射止めるのですもの。おまけにダーシーの献身
的な友情を受けるに足る人となるとハードルは高くなってしまいます。もう少しおぼっちゃま
育ちの無垢なハンサムであって欲しいような。それでこそ多少の頼りなさにも目をつむるこ
とができるというものです。

〉それにしても、ダーシー様!!!!!
〉もう、もう、たまりませんよね〜。(はぁと。)

なんの異論もございません。(同じく、はぁと)


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