2011 SEG

多読クラスと精読クラスの成績の1年間の伸びの比較について

SEGでは、英語の力は「初見の英文をどう理解できるか?」で判定されるべきだと考えています。
授業内容に沿った試験で良い点をとっても、授業でやったことのない英文が理解できないのでは、本当の実力とはいえないからです。
この試験Policyに沿って、年2〜3回、外部試験を英語全受講生対象に実施し、伸びを測定し、弱点が発見されればカリキュラムを微調整しています。

ACEは、三省堂が中心となって作っているNPO 英語運用能力評価協会(ELPA)が主催する、
高校生・大学生対象の900点満点のTOEIC形式(英問英答記号式)の英語力判定試験です。
前期・後期と年2回受験可能で、毎回1万人以上の高校生が受験しています。英検での取得級との対応は、次の様になっています。
英検の級 準1級 2級 準2級 3級 4級
ACE039:英検取得者の平均点 - 681 518 464 437
ACE038:英検取得者の平均点 813 667 531 464 436


全国の受験者全員および上位27%(いわゆる進学校生の英語が平均以上の生徒)、下位27%の学年別平均点は次の通りです。
(試験番号 A039 )

高1
全体
高1
上位
27%
高1
下位
27%
高2
全体
高2
上位
27%
高2
下位
27%
高3
全体
高3
上位

27%
高3
下位
27%
A039総合(900) 419 492 354 472 575 387 - - -
A038総合(参考) 436 520 376 478 578 385 501 616 398
A039語彙(150) 67 83 54 75 92 59 80 103 65
A039文法(150) 69 81 58 77 96 60 85 106 63
A039リーディング(300) 133 165 101 155 198 122 160 213 115
リA039スニング(300) 149 179 122 165 200 135 173 205 142

(A039テストは、高3受験生が少なかったため、高3については、A038の結果を参考値として使っています。)

2011年の6月〜7月に行われたSEGの多読クラスと、SEGの文法中心クラス(eMaster)の得点の平均は、次の通りでした

ACE039テスト 文法
(150)
語彙
(150)
読解
(300)
聴解
(300)
総合点
(900)
SEG高1多読クラス 95.2 95.3 225.7 252.2 651.4
SEG高1精読クラス 88.7 87.9 210.1 214.8 601.5
多読クラスと精読クラスの差 6.3 7.3 14.9 37.2 49.9
全国高2上位27%平均 575

精読クラスの平均も、高2の全国上位27%の平均を超えており、eMasterコースも十分高い効果を上げていることがわかります。しかしながら、文法・語彙・読解・聴解いずれの分野でも、多読クラスの平均がeMasterクラス(文法中心クラスの従来型クラス)を上回っています。この49.9点の差は、英語が得意な層の比率が英語多読クラスの方が高いという要因も否定できませんが、同一学力層に限っても、多読の方が効果的だということは、昨年からの継続生の得点の変化をみてみるとはっきりします。

ACEテスト高得点者は、テストの測定限界に近づいているため、正しく英語力の伸びを測定できませんので、
昨年度ACEテスト600点未満(満点は900点)の継続生のみ対象に調査した結果は、以下の通りです。

ACE039テスト: 2011
ACE038テスト: 2010
語彙
(150)
文法
(150)
読解
(300)
聴解
(300)
総合点
(900)
SEG高1多読クラス
2011/07 下記対象者平均
93.1 94.3 216.5 234.5 638.3
SEG中3多読クラス
(ACE 600未満) 2010/07
77.9 76.5 167.9 180.4 502.6
1年間の伸びの差/多読 15.2 17.8 48.6 54.1 135.6
SEG高1精読クラス
2011/06 下記対象者平均
83.0 87.7 208.7 229.2 608.5
SEG中3精読クラス
(ACE 600未満) 2010/06
76.3 76.8 174.8 170.0 498.0
1年間の伸びの差/精読 6.7 10.8 33.8 59.2 110.5
多読と精読の伸びの差 8.5 7.0 14.9 -5.1 25.1
多読と精読の伸びの比 2.27倍 1.65倍 1.44倍 0.91倍 1.23倍


上記の結果から、中3の夏には、多読クラスと精読クラスで、平均が4.6点しか違わなかった、ほぼ同学力の母集団が1年後には、平均点の差が29.8点に拡大し、多読クラスの方が精読クラスに比べて平均25.1点分、点数が伸びていることがわかります。

 (1) 多読クラスは、語彙力の向上については、精読クラスより、点数の伸びが2倍以上である
 (2) 多読クラスは、文法力の向上についても、従来クラスよりはるかに効果が高く、
    中3時では、精読クラスに比べて0.3点低かったのが、高1では、6.6点差と文法力が逆転する。
    点数の伸びは、多読クラスの方が精読クラスの1.65倍となっている。
 (3) 多読クラスは、読解力の向上についても、従来クラスよりはるかに効果が高く、
    中3時では、精読クラスに比べて6.9点低かったのが、高1では、7.9点差と読解力が逆転する。
    点数の伸びは、多読クラスの方が精読クラスの1.44倍となっている
 (4) 精読クラスは、中3から高1にかけて多読クラス生より聴解力が伸び、中3時にあった10.4点差が、
    高1時では、5.3点差に縮まるが、高1でも多読クラスには追いつかない。
 (5) 総合的・平均的にみると、同一学力の生徒層について、多読クラスの方が、従来クラスより、効果的に英語力が伸びる
といえます。

 4年続けて、中3から高1の1年間の英語の伸びにおいて、多読クラスの方が、学力中堅層においても従来クラス(eMasterクラス)よりも効果的であることが実証されましたので、SEGでは、順次文法訳読中心クラスを閉鎖し、多読クラスに統一していきます。

2010年のBACEテストによる多読クラスと精読クラスの比較を見る 全国平均との比較を見る

(2011/08/22 文責 古川昭夫 2011/10/23i一部修正)

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