- 澤田慧さん
- 東京大学農学部獣医学課程獣医学専修5年生
- 豊島岡女子学園高校卒
- 趣味は読書と映画鑑賞です。中高生時代に読んで感動したのは、「塩狩峠(三浦綾子)」で、通学の電車で泣きました(笑)。映画の「パッチアダムス」は男女どちらにも、「キューティーブロンド」は女の子にお勧めです!
東京大学農学部獣医学課程獣医学専修5年生の澤田慧さんに、お話を伺いました。獣医学専修では、どんなことを勉強するのでしょうか。また、「中学受験で志望校に合格できなかった」と話す澤田さんは、中高時代にどんな努力をしたのでしょうか。
ミクロな生物よりもマクロな生物を学びたかった
澤田さんはどうして獣医学を学ぶことにしたんですか?
もともと生物学がやりたくて、理IIを選んだんですけれど、生物学ができるところって東大の中で色々あるんです。一番オーソドックスなのは理学部生物学科であったりとか、あとは薬学部でも結構生物のことを勉強できるんです。教養時代に色んな授業をとって、研究室を見学したりもしたのですが、理学部生物学科や薬学部は、細胞レベルの、すごく細かい、ミクロな生物学を扱っているんですね。
私はもっと動物一個体、生物一個体の勉強がしたいなと思いました。それで、獣医学科だったらまず動物の一個体まるまるから勉強できますし、ミクロな生物よりマクロな生物が勉強できるということで獣医学科を選びました。
小さいことよりも、生物全体の動きを見たかったということですね。
そうですね。マクロな生物をできるのは医学部医学科もありますけど、理I・IIから医学部医学科に行くには大変高い点数を取らないといけないので(笑)。それに、医学部だとヒトに限った話になりますが、獣医学科だとヒト、哺乳類に限らず色んな生物を扱うので、それが楽しいかなと思ったのも理由です。
獣医学専修といっても、獣医さんになりたい人ばかりではないんですね。
東大の獣医学専修は、獣医になりたい人は少なくて、生物学がやりたくて選んでいる人が多い印象です。あと実験動物も獣医師の扱う分野なので、獣医学科で実験動物の研究をして、後に医学系の研究に転じる人もいます。
獣医学専修で学ぶこと
獣医学専修ではどんな勉強をしているんでしょうか。
大まかに3つに分かれていて、1つ目は小動物臨床です。小動物に関する医学で、これは皆さんがイメージされる獣医学のイメージに近いと思います。もう1つは産業動物で、ウシとかウマとかヤギとか、畜産系です。3つ目は、意外に思われるかもしれませんが、人への貢献も獣医はしていて、医学ともすごく関わりがあるんです。どういう面かというと、例えば食品衛生などについてです。検疫所で働いているのも獣医師ですね。似ていますが公衆衛生や、人獣共通の感染症とかも獣医が担っています。なので、結構幅広い分野の勉強をします。
獣医学の勉強は、どんな流れで進むんですか?
3年生は、まず動物の体そのものを勉強します。正常時の体の仕組みを、解剖学や、生理学などの面から学習します。3年生で、正常時の仕組みを勉強し終わったら、病気になったときに、生体内のメカニズムがどのように破綻して病気になるのかということを勉強します。おおざっぱにそれらを学んだら、いよいよ個別の疾患の勉強をします。この流れは犬猫をベースに勉強します。3年生で正常時、4年生で異常時と個々の疾患、というように勉強します。5年生になると、もうちょっとマニアックな、魚やエキゾチックアニマルなどの勉強をして、そして病院実習が始まります。先ほど言った公衆衛生・食品衛生とか感染症とかは、基礎系の科学なので、それは3年生のときに学びます。
6年生になると、病院実習を引き続き行って、あとは卒論研究がメインになります。卒業する前に国家試験があって、その発表が3月初めにあって、3月末に卒業という流れです。
じゃぁ澤田さんは今病院実習中なんですね。
そうです。動物病院で実習しています。犬猫が一番多く、たまにウサギなどが来ます。
あとは研究室にも所属しています。研究室は大まかに、基礎科学系と臨床系に分かれるのですが、私は基礎科学に興味があって、そちらに4年生から所属しています。
どんなことをしている研究室なんですか。
薬理学についての研究室です。薬理学というと薬のことを勉強しているのかなと思われるでしょうが、純粋に薬だけじゃなくて、体のなかで生成される物質と薬が、体のなかでどういう風に関わっていくかというメカニズムなどについて勉強しています。
卒論のテーマなどももう決まっているんですか?
研究室でターゲットとしている器官が血管系と消化管系の2つに分かれているのですが、私は血管のチームに所属していて、主に炎症を見ています。炎症が起きると血管が拡張して赤くなり、かゆくなってきますよね。かゆくなるのは血管から色んな物質が放出されるからで、赤くなるのは血管が拡張して血液が多く流れるからなんです。このように、炎症時の血管のメカニズムを主に見ています。炎症が起こると血管から色んな物質が出てくるのですが、私はその中の1つの物質に着目して、その物質がどうして血管を拡張するように働くのかということを研究しています。
今はもうその研究をはじめているのですか。
はい。大体どの研究室もそうだと思うんですけど、4年生の前半で実験の手技を身に付け、後半から実験を始めてうまくいきそうなテーマを絞り、5年生ではずっとデータを取りつづける感じだと思います。
実験はきっと時間がかかるんでしょうね。
特に生物学の実験は動物などを扱うので、人間の都合ではできなくて、たまに理系の中でも機械やパソコンを扱っている人たちがうらやましくなります(笑)。
生物学を学んでいて面白いこと、辛いことを教えてください。
面白いなと思うことの一つは、自分が風邪をひいたときなどに、自分の体のメカニズムが自分で分かるところですね。あと、世の中には知られていないことを自分たちが一番最初に分かるとか、成果が出たとき、新しいことを知ることができるのが研究の楽しいところだと思います。
でも、実験していてなかなかデータが出なかったりするときは辛いです。研究ってその繰り返しだと分かってはいるんですけど、大変です。あと時間がかかる実験が多くてそれが辛いなと思います。ひどいときは朝の6時に始めて、終電を逃して、次の日の午前1時に終わるようなときもあります。
肉体的にも疲れてしまいますね。
そうなんです。あと学科で普通に勉強する内容は、暗記することが多いので、それも大変です。暗記が苦手なんですよ。
SEGの卒業生は「暗記が嫌い、苦手」という人は多いですね(笑)。
そうなんです! SEG生は考えるのは得意なんですけど、暗記は嫌いな人が多いかもしれません(笑)。SEGの数学とかは公式暗記とかじゃなくて、「どうしてそうなるか」ということを勉強するじゃないですか。それなのに大学の、特に私が勉強しているところは暗記だらけなので……(苦笑)。
医者を目指していた小中高時代>>次ページへ

牧場実習で行った、牛の手術実習の様子
