Re: 追伸 Re: 物語を通して言葉に出会う

[掲示板: 〈過去ログ〉SSS雑談の掲示板 -- 最新メッセージID: 3556 // 時刻: 2024/4/30(17:51)]

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1804. Re: 追伸 Re: 物語を通して言葉に出会う

お名前: Ryotasan
投稿日: 2007/3/30(08:30)

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〉Ryotasanさん、夜更けに更にこんばんは。たかぽんです。

たかぽん、さらにおはようございます。

〉やっぱり、英語と日本語では、ある言葉の「物語」が、かなり異なることが多いですよね。

〉あ、ここで「物語」と言いますのは、その単語・フレーズ・文にまつわる、
〉個人的、集団的なイメージ、思い、のこととしておきます。

言葉の背後にある物語でしょうか。

〉たとえば、前にも挙げた「猫」の例だと、"cat"とは、まつわるものが違いますよね。
〉"cat"と言うと、妖艶な女性や、いたずら好き、気まぐれ、しぶとく生きる、
〉などのイメージが湧いてくるんだと思います。「猫」だと、必ずしもそうではないですよね。

英語では dog を男性名詞、cat を女性名詞として扱うこともあるんです。ちなみに dog の女性形は b_tch です。(こういう辞書的な知識を暗記する必要は無いです。文章を読んでいて、こういう言葉を使っているときの感情を何となく察知できれば充分です。) それから cat は lion や tiger なども含みます。

〉(もっとも、"cat"のイメージが普及することで、「猫」のイメージと接近して来ているとは思います。)

〉以前から、ずいぶんと違うなーと思っていたのは、"fish"と「魚」ですね。
〉"fish"は、あんまりいいイメージじゃないようです。今日のおかずは"fish"だよと言われると、
〉たいがい「エー…」と文句言いたげな感じがします。"fishy"なんて、有名な悪態ですよね。

日本語では「生魚」と「刺身」を使い分けています。僕たち日本語の「ネイティヴ・スピーカー」は、その使い分けを無意識に行なっています。これを品詞に分類したり、定義したりできる人もいますが、それは学校などで勉強した結果であり、母語だからではないです。

〉(もっとも、日本でも「魚」が昔ほど喜ばれなくなっていたり、raw fishを乗せたsushiが外国で喜ばれたりと、
〉イメージは微妙に変わっているようですが。)

日本も含めてアジアの食文化は豊かで、食べ物に関する日本語の語彙は英語より豊富だと思います。ですから、その豊かな感じを英米の人も分かるような英語で表現するのは難しいです。

〉前の投稿で"creak"を挙げましたが、うっかりこれは「きしむ」だと言ってしまいましたが、
〉"creak"と「きしむ」も、ずいぶんとまつわるものが違うような気がします。
〉なんとなくですが、"creak"と言うと、haunted houseとか、地下室とか、
〉暗くてじめじめした古い建物のドアなんかがギーーーッとか、床がギシギシ、
〉というようなイメージがあります。何か出てきそうな怖い感じ。
〉必ずしもそういう場面ばかりではありませんが、"creak"の代表的な使われ方だと思います。

そのとおりです。一つの単語を見ただけで spooky な場面まで連想してしまう、たかぽんも凄いですね。

〉このように、言葉には、定義や辞書的な説明だけでは表しきれない、その語にまつわる
〉「集団的(・個人的)な『物語』」があるように思います。
〉なので、まつわるものが全然違う場合が多い英語・日本語の一対一対応だと、
〉その語にまつわるものをつかめないし、また、英英辞書だけでも、その雰囲気をつかみきれない、
〉ということなのだと思います。

そうですね。わざとそういう背景を切り捨ててある辞書も存在するようです。客観的な立場をとったつもりなのでしょう。利用者としては、あくまで地図にすぎないと割り切った方が良いこともあります。

〉(ただ、英日単語帳的に覚えて、あとで多読などによって修正していくことが、
〉絶対にいけないかどうかは私にはわかりません。自分も中高と英語を勉強したので、
〉そうしてきたことになるし。。。 でも、多読以降に獲得した言葉のほうが
〉自分の中でピチピチしている感じがして、一方、訳語がポンと浮かぶような古参の単語は
〉なんだかどうも血が通わない、生き生きとしてこない、という感じがする。。。
〉しかし、個人差もあるだろうから、この問題については保留。)

善悪は別として、深いか浅いかの違いはあるかもしれません。深い方が記憶に残り、結果的に短期間で覚えられると僕は思います。日本語で説明するにしても、せめて午前一時が morning であることや、more than が「以上」ではなく不等号(>)であることなどを明記してくれれば良いのですが。

〉で、その言葉の「物語」ですが、やはりその「原体験」的なものをつかむのがいいのであって、
〉その「原体験」があるのは、やはり子ども本の中なのだと思います。
〉あるいは、マザーグースなどの歌に。
〉そういったところに、言うに言われぬ、英語の「物語」の原型のようなものがあって、
〉それが生々しく忠実に表現されているということなのだと思います。

そうですね。長い間語り継がれてきた民話や童話には、短くても深い物語がありますね。

〉(大人の本だと、その「物語」を前提として、変形させたり、解体してみたりと意匠をこらします。)

〉したがって、子どもの本から読む、ということは、「簡単なものから読む」というよりも、
〉その言語の生々しい「物語」に触れるため、という意味があるのかもしれません。

それは面白い視点ですね。特に子どもを対象にした作品でなくても、そういう物語は存在すると僕は考えています。神話や伝承バラッドがそうです。ただし、非常に昔の作品には言葉の障壁もあるので、子供用の方から入る方が実際的ですね。

〉(このあたりのことは、たこ焼さんがかなり前におっしゃってました。思い出しました…)

〉Ryotasanさんの好刺激によって、いろいろ考えてしまいます。(笑)
〉ではでは〜。

僕も色々と考えさせていただきました。どうもありがとう。


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