カタカナ英語から身を守るには

[掲示板: 〈過去ログ〉音のこと何でも -- 最新メッセージID: 3373 // 時刻: 2024/5/5(00:25)]

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[電球] 992. カタカナ英語から身を守るには

お名前: KYO
投稿日: 2004/1/16(12:38)

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こちらの掲示板では初めてです。KYOと言います。以下自動改行でちょっと読みづらいと思いますが。自分なりに気づいたこと(自分としては大発見)を書かせてください。

タドキストの広場のほうに「LかRか—多読 VS 音読+多聴」とタイトルで書込みをして、自分は、「中3のときラジオの英会話番組のテキストを何度も音読するという方法で英語回路を作った。音読を始めて3ヶ月ほど経って、試験で始めてみる英文が英語のままで意味がとれてるようになった。その後、30代に入って英語をやり直したときには、リスニングを中心にやった。英語の音への慣れはすでにある程度あったので、足りなかった語彙を単語集で補いながら多量の英語をinputした。1日3時間以上を2年弱ぐらい聞き、比較的短期間で英語力を伸ばせた」といった趣旨のことを書き、ちんげん斎さん、杏樹さん、みちるさん、ポロンさん、酒井先生からレスをいただきました。

杏樹さんがレスの中で、カタカナ英語撲滅は本当に大変である、「英語の音をほとんど聞いたことのない人には、まず英語を見てカタカナ発音が浮かぶのを取り除くことから始めないといけない」と書いてくださったのを読み、さらにこの掲示板のログも斜め読みでところどころ読んで、カタカナ英語に悩んでいる人が多いのにビックリしました。

実は自分の場合は、このカタカナ英語に悩んだことがなかったんです。以前ある英語学習者の人から「英語の音と文字を聞いても結びつけられない。文字で書いてあるように言ってるように聞こえない」と言われて、「ええっ、そういう人もいるんだ。それだとリスニングをしましょうって勧めても無理だろうなあ」とビックリしたことがあります。でもそういう人がたくさんいるんだというのは杏樹さんに言われるまでちゃんとわかっていなかったです。

で、考えました、一生懸命に。どうして私はカタカナ英語を身につけずにすんだのだろうか?

どうして私はカタカナ英語を身につけずにすんだのだろうか?——これは生来私の聴覚が鋭くない、特に音の聞き分けが苦手であること(和音が聞分けられません)、そして文字に書かれてあるものを音声化することが非常に苦手だということが逆に幸いしたのだと思います。

普通の人は、たぶん初出の英単語を見てだいたい発音ができるでしょう? ローマ字的に音を繋げていって、ちょっと違っていてもだいたいはなんとかなる。でも私の場合は、animalと書いてあるのを見て、a-ni-malと分けて[アニマル]と発音を思い受けべることができない、無理にやってもすごく時間がかかるし、その音を覚えることもなかなかできなかったんです。(実は今でもそうです、英語の音を入力しないと定着しないというか、そもそもちゃんと発音できない)

中3で音読をやるまでは、英語の音も綴りもすごく覚えられませんでした。だからかえって日本語的な音つまりカタカ英語と綴りがあんまり結びついていなかったんです。(当然中2まで英語はあまり得意じゃなかったです)多くの単語は、中3で音読をやったときに初めて、「animalという綴り→animalという英語音」という直接的な結びつき方をしたんです。しかもa-ni-malとバラバラにした音節の集合ではなく、animalという音がまるごとポンとはいっています。この時の音読では、ラジオで聞くネイティブスピーカのいう英語の音はとても新鮮で耳にやきつく感じで、まねをして言うのもすごく楽しいというか、気持ちがよかったです。

音読以外にも、中3の1年間はテレビの英会話番組を毎日30分視聴したり、あとセサミストリートも結構見ててました。テレビの英会話番組の初級は楽しかったけれど、中級のインタビュー番組とかはさっぱりわからず、それでも朝早起きをして聞いていると大概中途で寝てました。セサミストリートもそんなにわかってたはずないんです。でもわからなくてもなんだか楽しくて見続けていました。学校の授業で英語をやっているだけの子たちに較べればたぶんネイティブの英語に接した時間はかなり多かったと思います。

ですから音読3ヶ月で英語を英語のままで理解する回路ができただけでなく、音の面でも英語の音を一応は聞ける耳になってたんですね。(一応っていうのはその後まだリスニングについては2回大変化があるので、これについても後日書かせてください)だから高校に入って学校英語に浸かっても、英語の核になる部分ができていたので、その害をもろ被らなくてすんだのです。

高校ではホームリーダを結構読まされたんですが、パラパラっと読むとだいたい意味がわかる、でも辞書とか引かないでおおよその意味がわかるというのは「手抜き」なんだと思ってました。ちゃんと辞書を引いて訳も考えたりして「お勉強」もしました。日常の英会話は中3の時やったようにすればいいけど、高校でやってるのは「高等な」英語でたぶんやり方が違うんだろうなあって思ってたんですね。でも私の場合は被害をもろ被ってないです。レベルにあっていないとか問題はあって理想な形からはずれているけれど、文法も訳読で読んだ英語も一応は英語のinputになってるはずです。

酒井先生が『どうして英語がつかえない?』で学校英語の弊害を書いていらっしゃるのを読んだとき、確かそうだなと思ったんですが、でもそういうことって、もうみんなわかってるんじゃないかなあと思っていました。自分は、英語回路ができていたから訳読法の害からも身を守れたし、英語の音やリズム・イントネーションも一応はできていてカタカナ英語にもならなかった。その害を被って英語嫌いになったり英語ができなくなっている人がどんなこと困難を感じているのか少しもわかっていなかったのでした! 自分が無自覚になんとなくできるようになっていたので、そのことの重要性に気づいていなかったのです。つまり、

英語教師として、学習者の人が何ができないのか、何に悩んでいるのか少しもわかっていなかった!!

これに今さら気づいて、今愕然としています。これまで学習者の人にどうやったらいいかアドバイスとか結構してきたんですが、英語の音になじみのない、英語回路のできていない人にリスニングをたくさんしましょうなんて的外れなことを言ってたんじゃないだろうか。その挙句その人が真に受けて実行して挫折したりして——、ああ、ごめんなさい、と心の中でお詫びしてます。

こう考えてくると、カタカナ英語を身につけた大人がそれを「洗いすすぎ」する方法はよくわからなくても、これから英語をやる子供たちをカタカナ英語や訳読の弊害から守る処方箋は書けると思います。

1. 英語の音になじませて、英語の音を聞きとれる耳を作る
2. 英語を英語のままで理解する回路を作る

もうすでにSSS多読による経験や具体的なやり方がちゃんと積み上げられているので、これは十分可能なはずです。学校英語に触れてしまう以前に、子供たちに、最初はORTなどを使って読み聞かせたりCDの音を聞かせたりして、英語の生の音に十分なじませながら、SSS多読をすすめていけばいいんです。そうすれば英語を聞き取る耳も英語回路もできる。そしてこの二つがちゃんとできていれば、学校英語の弊害からはちゃんと身を守れます。最低でも英語嫌いにはならないし、さらに本人が自覚的にinputを積めば英語が得意になるはずです。この方法なら、英語が苦手な親でも可能です。多読本をそろえるお金と最初に子供を誘う手間はかかるかもしれませんが、中学生になって塾にお金を払うことを考えればコスト的にもぜったいこちらのほうが有利です。

酒井先生が最近児童英語に熱心でいらっしゃるのは、学校英語に触れる前に子供たちに核となるような英語の基礎力をつけたいと思っていらっしゃるからではありませんか? もうこういうお話はすでにでているのかもしれませんね。そうだったらごめんなさい。でも自分にとっては大発見で、英語教師としては自分の至らなさを思い知ったものすごい気づきなのです。


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