Re: 「脳内音読」と「音読」の間(はざま)→ 私の経験と私見

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2086. Re: 「脳内音読」と「音読」の間(はざま)→ 私の経験と私見

お名前: ありあけファン
投稿日: 2005/6/27(22:03)

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慈幻さん こんにちは
ありあけファン@214万語(多読)/3万3000語(多聴)です

〉英語の「音読」で感じたことや、「脳内音読」と「音読」について論考をまとめてみました。

私は,SSS式での多読を始める前は,「音読」をかなり行いました.
最近,「シャドウイング」と「音読」とのつながりも自分なりに理解できるようになってきたところでしたので,慈幻さんの論考はとても興味深く読ませていただきました.

〉NLPとは

〉1 脳をコンピューターに、意識をプログラムに見立てる
〉2 個人の心理的問題等をプログラムのバグに見立てる。
〉3 言語・非言語的コミュニケーションによる他者の介入や、問題を抱えた本人が技術を学ぶことで、プログラムの書き換え=問題の解決が可能と仮定する。

〉という3つの作業仮説に基づく、理論と技術の混在した心理療法の一種くらいの理解で問題ないと思います。

とてもわかりやすい理解方法ですね!
いままで,「難しい」と思っていた先入観が払拭できました.

〉正に玉石混交の態をなした理論・技術群(体系と呼べるほど整理されているようには見えない(苦笑))なのですが、色々と面白い理論や技術があるので、必要に応じて、使えそうなところをつまみ食いしたいと思っています。

〉そこで、今回は、NLPの基本理論である認知構造に関する概念を使って、脳内音読や音読の問題を考えてみたいと思います。

この問題,学習法との関連を考えると,一日も早い体系化が待たれるところですね.

〉まず、NLPでは、脳をコンピューターに、意識をソフトウェアと見なします。
〉これを私なりの解釈でコンピューターの要素に対応させると、

〉1 入力装置   五感。
〉2 制御装置   顕在意識が存在する場所。
〉3 演算装置   様々な無意識的処理がなされる場所。
〉4 記憶装置   記憶が格納されている場所。
〉5 出力装置   体。
〉6 基本OS    所謂、無意識。感情や本能と呼ばれるものも含む。
〉7 各種アプリケーション 様々な能力・技術。

〉ということになるのではないかと思います。

これも,とってもわかりやすい!

〉入力装置である五感には、Lead Systemと呼ばれる他の感覚よりも優位なものが存在するとされます。

これは,日常生活からもうなづけるかと思います.
同感です!

〉例えば、同じ英語を学ぶにしても、視覚の優れた人は本を読む方が、聴覚の優れた人は歌や映画などで音を聴く方が効率が良いと言うことです。

私の場合はやはり,視覚がやや優位かな!
でも,聴覚がないととても不安になる.実際,音楽は大好きですし,聴覚は必要なのだと思います.
「視覚優位だけど,聴覚は絶対に必要」←私はこんな感じですよ.

〉制御装置である顕在意識では、Representation Systemと呼ばれる処理システム、所謂、脳内感覚=イメージが存在します。

〉言い換えるなら、我々が認識しているのは、現実そのものではなく、現実を基に、脳内で再構成された影であるということです。

この部分なのですが,
脳内で再構成される元になるのは,
「現実のみならず,過去(ほんの一瞬前も含めて)に現実を元に再構築されたものも含まれる」
と私は考えるのですが,どうでしょうか?

〉そして、このRepresentation Systemにも、それぞれ五感に対応した脳内感覚=イメージが存在しますが、これがそのまま五感に対応している訳でも、無意識が存在する演算装置や記憶装置にそのまま伝達される訳でもないということが問題をややこしくします。

つまり,ここで,さまざまな修飾や転化,干渉を受ける,ということですね.

〉例えば、多読をしたことのない通常の日本人が英語を読んだ場合を想定してみましょう。

〉恐らく、第一段階としては、

〉英文 → 視覚 → 英文の視覚像

〉というように、「文字」という現実は、「視覚」という「入力装置」を介して、一旦は「視覚像」という形で入力されます。

〉しかし、通常は、「視覚像」そのままで意識されることはありません。

〉大抵は、

〉英文の視覚像 → 英文の聴覚像

〉への変換、所謂、「脳内音読」がなされます。

〉勿論、これは、「無意識」という「演算装置」が勝手にやってることで、私たちは意識していません。

そうですね.通常は意識しないですよね.
でも,意識する瞬間(厳密には,意識せざるを得なくなる瞬間)もあり,
そのような時は概して,「英文の視覚像」と「英文の聴覚像」の食い違い
があったり,上記の変換に時間がかかっていたりだと思います.

〉そして、ここから話がややこしくなります。

〉多読をやっていない人は、

〉英文の聴覚像 → 和文の聴覚像

〉という風に、変換=翻訳を行います。

これが起こると大抵,理解度が急降下するんですね.
完全に読書のリズムが(一瞬でも)崩れてしまいますから!

〉しかし、和文の聴覚像への変換で終わりではありません。

〉人が、「分かった」という感覚を得るためには、更に、Reference Systemに対応した形へ変換する必要があるからです。

〉ここで具体例を挙げましょう。

〉多読をやったことがなく、Lead Systemは視覚、Representation Systemは聴覚、Reference Systemは身体感覚が優位な人だと仮定します。

〉すると、英文を読んで、「分かった」と思うまで、実は次のような処理が必要ということになります。

〉1 英文を黙読する。
〉2 「英文の視覚像」として入力。
〉3 「英文の視覚像」を「英文の聴覚像」に変換。(「脳内音読」)
〉4 「英文の聴覚像」を「和文の聴覚像」に変換。(「翻訳」)
〉5 「和文の聴覚像」を「具体的な身体感覚」に変換。(「理解」)

〉多読に慣れてくると、徐々に、4の「翻訳」の処理は必要なくなります。

〉そして、「速読ができる人」は、2の「脳内音読」の処理も必要ないということになります。

〉つまり、「Dog」という「文字」を見た瞬間、直接に自分の優位な感覚へ変換できるようになっている訳です。

確かに,「脳内音読」が伴わないときはすごく速度が上がっています.
それでいて,意識的に速く読んでいるわけでもない,そういう時です.

〉一方で、「脳内音読」が必要な方にも、Reference Systemの優位感覚によって個人差があります。

〉「脳内音読」の速度が上がりやすい人というのは、Reference Systemも聴覚である可能性が高いのではないでしょうか。

〉言い換えるなら、「脳内音読」した時点で、Reference Systemへの変換も同時に処理されるため、すぐに「理解」できてしまうので、「脳内音読」の速度をどんどん上げていくことができます。

〉しかし、Reference Systemが「聴覚」以外の場合、「脳内音読」して、さらにもう一度変換する必要があるので、なかなか「速度」が上げられないということなのではないかと。

もう一度変換するとなると,その部分のキャッシュ領域のメモリとその処理速度の影響を受けるようです.
同じ「脳内音読」でも,すでに内容を理解している場合もあれば,「脳内
音読」と同時または直後に理解がついてくる場合,しばらくの時間差を
置いてから理解できる場合,といろいろあります.
さらに,脳の場合は完全なマルチタスクでしょうから,各タスクが消費する
リソースの影響も大きいと思います.

〉さて、ここまでの議論では、「出力装置」には、一切、触れていませんが、「多読」の処理過程は、「入力装置」・「制御装置」・「演算装置」・「記憶装置」間の情報伝達・変換で説明できるからです。

〉従って、「出力装置」へのアウトプットを考えるなら、つまり、話したり、書いたりする能力を向上させるには、「多読」で鍛えた「演算装置」と「記憶装置」を「出力装置」にスムーズに繋げる別の訓練が必要と言うことになります。

まさに,その通りですね.
私が長い間,どう表現すればいいのか,言葉が見つからなかった点をうまく
表現してあって驚きです.

〉通常、SSS式多読では、酒井先生が推薦するシャドウイングを、アウトプットの訓練として推奨しています。

私見では,シャドウイングは「記憶装置」の容量が小さくて済む方法である,と理解しています.
個人差はあるでしょうが,入力装置から出力装置まで,途中にキャッシュメモリがいくつかあって,その容量と速度によって,人それぞれのやりやすい
シャドウイングのタイミングが決まってくると思います.
(もちろん,演算量と演算速度,また演算を行うためのパイプラインの数の
影響や,演算対象となる素材によっても変わってくるでしょう)

シャドウイングを少し負荷をかけたりしながら変化させて行う方法もありますね.
一般にシャドウイングとは,流れてきた音声(入力)に対して,自分の
発声を(出力)を少しのタイムラグ(時間の遅れ)をおいて行う方法ですが,
 (a) どんどん,タイムラグを少なくしていく
 (b) どんどん,タイムラグを多くしていく
ようにすると,面白い現象が見られます.

(a)の場合も,(b)の場合も,どんどん難しくなっていくわけではないのです.

特に,(a)の場合,ある程度時間間隔が短くなると逆に易しくなる瞬間があります.
これは,通常,必要とされるキャッシュメモリをほとんど利用しなくなるため,CPUに負荷がかからなくて済む,ということだと思います.
(その極限に対しては名前が付いていて,「オーバーラッピング」というのは周知のとおりです)

逆に,(b)の場合は少し複雑です.
(b)の場合は時間間隔を長くしていくのですが,長くすればするほど,
急速に難しくなります.
ただし,1フレーズ,1センテンスなど,まとまった単位分だけ遅れる時は,
一旦メモリをクリアすることができますので(コンピュータでいうバースト転送),
時間間隔がある割には,とても容易になります.

そこで,一定の時間間隔を遅らせるのではなく,常にまとまった単位だけの
時間差をおいて繰り返す方法,が負荷が少ない方法として考えられます.
これは,一般に,「リピーティング」という方法であることは周知の通りです.

まだまだあります.
まとまった単位が複数のセンテンスになってくると,通常のキャッシュメモリには入りきりません.
2次キャッシュが必要になります.
それだけ,演算速度は落ちますが,一旦,記憶して繰り返すことになり,
この方法は「リテンション」と言われることがあります.

このようにして,だんだんと,
   入力→1次キャッシュ→2次キャッシュ
と進むにつれ,正確に記憶しておくことが難しくなってきます.
そこで,通常はすでに記憶装置に記憶してある内容を読み出してくることにより補っているのです.

記憶装置の内容の助けを借りれば,もっと長い単位でも再生が可能です.
「リテンション」の単位をどんどん長くすることもできるわけです.
また,記憶装置の内容のみを使って再生することも可能です.
これが,「音読」として知られている方法ですね.
音読は,かなりの部分を記憶装置を活用することになっています.

この記憶装置を利用する泣き所は,入力の時と同じく,既存の(記憶装置内の)
「脳内感覚=イメージが」の影響,すなわち,修飾,転化,干渉を受けてしまう,
という点です.

記憶装置の内容をすっかりと洗い流すためには,できるだけ途中のメモリを
介さずに,ダイレクトに入力していくことが必要で,そのためには
キャッシュ(特に1次キャッシュ)の効率と精度を高める必要があり,
それが酒井先生の推奨されているシャドウイングだと思います.
つまり,次に入力があったときに1次キャッシュの効率と精度が高まっていると,
それだけ2次キャッシュの効率と精度,記憶装置の精度が高まりやすい,ということだと思います.

〉しかし、これまでの議論で見たように、人間の情報処理には様々な段階があるため、同じ「多読」をしてても、情報処理の内容には千差万別です。

〉恐らく、シャドウイングとは、「速読」と同じく、幾つかの処理段階を省略させる訓練としては有効でしょうが、「聴覚」優位の人向けの訓練法であるため、他の感覚が優位の人には敷居が高過ぎるということがあると思われます。

〉(実際、私には、シャドウイングは難しすぎるというのが正直な感想です)

キャッシュメモリの処理速度や容量には制限がありますので,
私も「かなり難しい」というのが正直な感想です.
でも,上記の私見からもそうですし,実際にシャドウイングの効果の大きさも体験していますのでシャドウイングはやめられません.

私の体感しているシャドウイングの効果とは,直接的には,
 ・ キャッシュメモリの処理速度の向上
 ・ キャッシュメモリの増設
のようです.たった3万3000語でこの2つが自覚できるのですから,
シャドウイングの効果がいかに大きいかがわかります.

〉従って、同じ出力を行うにしても、個々の優位感覚に基づく情報処理過程の個性に応じて、自由に速度を調整できる訓練法の方が有望だと予想されます。

自由に速度を調節できるほうが,敷居は低いと思います.
でも,記憶装置の記憶内容の精度が落ちるのは避けられず,
どちらを重要視するかは本当に難しい問題ですね.

〉その意味で、ゆっくりな音源でシャドウイングをするよりも、自分の好きな本を音読したり、気に入った歌を歌ったりする方が、「聴覚」以外の感覚が優位の人にはまだやさしいという気がします。

私は,ゆっくりな音源でのシャドウイングも上記の1次キャッシュの効率と
精度を上げる効果があると思いますので,大いに意味があることと考えます(ORT,ICR2を中心に行っています).

ところで,「聴覚」以外の感覚が優位な(私のような)人に有用な方法として,
L/R(音声を流しながら読んでいく)方法がよいような気がします.
シャドウイングの話題に隠れてあまりその効果が論じられませんが,
私も実践していてその効果には感動しています(ICR2,MTHを中心に行っています).

〉     
〉と、言うわけで、英語のPBを「音読」する傍ら、こっそりと「英語の歌」の練習も始めました。

〉とは言え、いきなり難しい曲に挑むと絶対挫折するので、

〉1 メロディーも、歌詞も簡単
〉2 でも、リズムもメロディも綺麗
〉3 さらに、歌詞が喚起するイメージも綺麗

〉という、独断と偏見と趣味による「多唱三原則」をでっち上げ、「英語で歌おう! ポップス編」なんかを参考にしながら、

〉“Moon River”
〉“My Way”

〉を練習中です(笑)

「英語の歌」とは,すごいところに気づかれたと思います.
またいろいろとお話を聞かせてください.

〉以上、要件のみですが、今回はこれで失礼します。

以上,私も私見を言いたい放題で失礼しました.
でも,長い間のモヤモヤをやっと文章化できてうれしいです.
慈幻さん ありがとうございます.

慈幻さんも Happy listening!!!


▲返答元

▼返答


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