Re: アメリカの教科書:Core Knowledge Series

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2114. Re: アメリカの教科書:Core Knowledge Series

お名前: Ryotasan
投稿日: 2007/2/10(06:03)

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Cheeks"さんは[url:kb:2113]で書きました:

〉Ryotasan, ミグさん、そして皆様、おはようございます。
〉Cheeksと申します。私は、ネズミの鼻息でも飛んでいってしまいそうな小さな教室で、子供たちと英語を通じて遊ばせてもらっている幸運な者です。

Cheeks さん、おはようございます。

〉Core Knowlegde Seriesは、りっぱな英会話学校を経営できている友人から聞いたことがある本です。とても面白いとききました。子供たちにというよりは、Core Knowledgeは私に必要と思われますので、ぜひ手に入れなければと思ってます。

早期教育や親子英語に興味を持っている人ならどこかでいずれ出会う話題なので、問題提起として書き込んで見たんですが、何日も書き込みがないので、こういう視点には賛成できない人が多いのかなと思っていました。

〉〉この本を書いたE・D・ハーシュ教授は、米国の学校で reading を教えている先生や、子どもの教育に関心のある親たちのあいだで有名な人物です。読解力に対して80年代から独自の仮説を提唱してきました。

〉〉米国の学校では reading の方法を重視し、背景知識を軽視してきたため、子どもたちの reading 能力が低下したと言うのです。対策として、本を書く人たちが常識と仮定している共通の背景知識を子どもたちに教えるべきだと考え、そのための辞書や参考書を開発してきました。

〉なるほど。随分昔に、随分田舎の(オザーク、アーカンさー州)に行った際、小学校でslow learnersにreadingを教えるお手伝いをしました。其の時は、確か教科書をひたすら読むのを助けてあげた記憶があります。あまりにも、読むのが大変そうなので、もっと読み聞かせをしてあげてからにすればいいのになー!と思いました。

米国の学校の先生でも、Cheeks さんと同じ考えの人は沢山いて、読み聞かせを実践する例もありますね。絵本から始めて段々と慣らしていけば、小学1年生になる前に Charlotte's Web の様な長編でも聴いて楽しめるようになるし、そういう実践例を知って驚く先生もいます。

〉〉もう少し具体的に言うと、フラッシュカードを使って単語を学んだり、断片的な例文を分析するような授業より、常識的な地名や人名、歴史上の事件、ことわざや、マザーグースの詩、有名な作品の題名などを教える方が reading の力を伸ばすことができるというものです。

〉なるほどー。そこから、Info Trailのようなすばらしい本が出てきたのでしょうか。

Info Trail は英国の出版社から出ているので米国の市場をどこまで意識しているかは分かりません。米国でハーシュ教授と同じ立場をとる人たちは、自国の歴史を重視する傾向があります。

〉〉本を読んでいて分からない箇所に出会ったとき、僕たちは単語や構文が分からないせいだと思いがちですが、分からないのは背景知識が足りないせいだと、この先生はおっしゃるわけです。皆さんどう思います?

〉多くの日本人が原文で洋書を読んだ場合、両方の欠落な気がしますが、確かに背景知識が足りないと英語の単語意味や構文を知っていても、なんの話だか分からないということってたくさんありますから。最近、大学生をしているので、所謂アカデミック(私のようなレベルの人にとって)な本を読む機会が増えて、自分の母国語の難しさと自らの教養のなさに驚きの毎日です。私は、背景知識が足りていない典型的な例かもしれないです。考える力なるものは、ある程度の背景知識を学んで、そこから沸き上がるものなのでしょうか?

そう主張する人もいますね。ただ、読解力だけを指して考える力と言えるかどうかは分かりません。本を読むより自然や人間を観察した方が良いとレオナルド・ダヴィンチなら言うかもしれません。現代の教育学者でも本から学ぶことに対して否定的な人はいます。(難しい本ばかり読んで読書が嫌いになった結果かも知れません。) 僕個人としては、観察と読書の両方が必要なんだろうと思っています。どれくらいの比率が理想なのかは、学ぶ人や分野によっても違います。

思考力の良し悪しを客観的に判断するのも難しいです。素晴らしいことを考えていても、それをうまく形にして表現できないと、まわりの人はなかなか判断できません。ただ、大学での成績に反映しやすい範囲での思考力ということなら、文章での表現を想定した思考力のある人が有利だと言えるでしょう。(勿論、文章とは別の表現手段に適した思考力もあると思います。)

単語の知識や構文分析力か? 背景知識か? 思考力か? 表現力か? こういった議論に加えて、そういう力をどうやって伸ばすかも大切ですよね。「背景知識が大切」などと言われると、僕たちはついカードでの暗記や問題集での勉強を考えてしまいます。でも、楽しくなければ長続きしませんよね。

1941年から80年代まで米国で大学入学者の読解力が低下してきた原因ですが、もっとも大きいのは母集団に起きた変化らしいという指摘が90年代に入ってから出されるようになりました。学校での教え方が悪かったというより、英国系以外の民族や貧しい人にも大学で学ぶ機会を与えた結果だというのです。1941年の大学入学者がひどく偏った金持ち白人エリート集団だったというわけです。


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