Re: ひたすらシェイクスピア

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2090. Re: ひたすらシェイクスピア

お名前: 杏樹
投稿日: 2007/1/27(00:30)

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Ryotasanさん、こんにちは。

〉〉シェイクスピアの場合、イタリアものと言っても実際のイタリアを描いたと言うより、単に地名として出てくるだけ程度の内容なので、イタリアらしさを強調してもしなくても成り立ちます。

〉すみませんが、これは理解できません。シェイクスピアの戯曲、原文ではイタリア以外の場所に設定された作品でも台詞はみんなイタリア風だし、明らかにイタリア人と分かる名前の人物は脳天気だったり血気盛んだったりして、芝居として成り立ちやすいと僕は感じています。(本当のイタリア風というより、英国の人から見てのイタリア風かもしれませんが。)

私は日本語の舞台と戯曲しか知りませんので、原文のセリフがイタリア風になっているというところまではわかりません。
私が感じた範囲では、イタリアの情景を詳しく描写したり、当時のイタリアでないと成り立たない展開だったり、ということはあまりないように思いました。シェイクスピア自身もリアルなイタリアを書こうとしたわけではなく、イメージの世界のイタリアを書いたように思います。ですから、イタリアらしさを強調するように演じることも、場所を特定しないような演じ方をすることもできるわけです。

〉〉地名は「出てくるだけ」で、その土地を特定するような、物語の場所を限定するような描写には乏しいです。シェイクスピアの時代はイタリアの地名が出てくるだけでエキゾチックなイメージがかきたてられたのかもしれません。

〉すいませんがこれも理解できませんでした。A Midsummer Night's Dream であればアテネと近くの森で話が展開し、ギリシャ神話的な世界が期待されます。結果的にギリシャ神話というより妖精たちの世界になってしまったのは誤算かも知れませんが、異教的な世界を見せたかったのだと思います。

「アテネ」は日本語では英語読みの「アセンズ」と訳されるので、まずそこでギリシアのイメージが弱まってしまうんです。それに当時ギリシア風の服装ではなくシェイクスピアの時代の服装で演じられていたことも考えられます。アテネやギリシアと言いつつ、違う時代や場所の衣装やセットで演じても問題はありません。
ギリシア古典劇だと神託や神々は神聖で重要なものであり、それらが重要な意味を持ったり登場人物の行動や思想に大きく影響を与えますが、「夏の夜の夢」ではギリシアの神々や神託はそこまで大きな役割はしていません。
Ryotasanのおっしゃるとおり、妖精の世界になってしまったことに問題があるでしょう。しかもそれはケルト的な妖精なので、異教的世界と言ってもギリシア的世界とは離れてしまいました。
ボトムたちなどは、シェイクスピアの時代にイギリスの村でイベント的にお芝居をやっていた村人たちがいたことを髣髴させます。

〉〉やはり最近の演出ではシェイクスピアが遠い世界のお話ではなく、普遍的な人間の感情や行動を描いていることを感じさせることが多いです。私はシェイクスピアにはこうした舞台で触れてきたためか、「古典」というイメージがあまりありません。シェイクスピアが古典とか、難しいとかいうのを聞くと「?」状態になります。

〉古典ときいて中世やルネサンスの音楽や、バッハをモーツァルトの音楽を連想する人もいます。モーツァルトの音楽を聴いて、分かりやすく楽しいと感じる人もいるし、実際に演奏してみると近代の作品より難しいと感じる人もいます。そういう古典の中にシェイクスピアを入れてもそんなにおかしくないと思います。

そういう「古典」ならシェイクスピアもはいりますね。

〉モーツァルトの例が典型的だと思いますが、古典にはある種の分かりやすさもあります。僕はシェイクスピアより前の時代の作品や、19世紀の英文学も読みましたが、複雑さという点では19世紀後半から20世紀初頭が最も難解で、時代が溯るほど理解しやすいと感じています。

確かに…。時代が下るほど難解になったり理屈っぽくなったりということはありますね。不条理劇などは現代の産物ですし。


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