Re: まだまだハムレット

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2077. Re: まだまだハムレット

お名前: Ryotasan
投稿日: 2007/1/19(09:09)

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おはようございます。長くなりましたが、杏樹さんの投稿は、僕にとっても、皆さんにとっても傾聴に値すると思うので、もう少し続けさせて下さい。

〉〉全体として、杏樹さんは Hamlet を、日常語で演じられる歴史劇のように捉えてらっしゃる印象を受けました。勿論、そういう上演のしかたがあっても良いし、20世紀以降の上演のしかたとしては、その方が自然なのかも知れません。

〉私は単に「芝居」として見ているだけです。
〉Ryotasanは「文学」として見ている度合いが強いようですが。

文学というか、学問としてシェイクスピアを研究する人も必要だし、娯楽として読書の対象とするのも面白いし、古典劇としての上演も時には必要だと思っています。勿論、今では現代劇としての上演の方が一般的になる方が自然だと思います。日本やロシアの時代劇として映画化された作品も迫力満点だし、オペラやミュージカルとしての上演もあった方が楽しいし、バレエとして上演される Romeo and Juliet も好きです。

〉〉Hamletの原文に限って言えば、どの台詞も舞台で朗々と演じることを想定して書かれており、芝居がかっており、見栄を切るような演技が合います。それは古典劇として自然なことだと思います。勿論、そういう範囲での演出は限られてきます。

〉〉オペラの音楽をポップス風に編曲し、ミュージカルとして上演するのと同じように、現代語の散文劇として上演するのであれば、おっしゃるような再構成が必要になるし、そういう方法ならではの面白さもあります。「モーツァルトのオペラはブロードウェイでの上演に適さない」と主張する人がいても、僕は反対しません。

〉オペラは楽譜がありますから、曲を大きく変えることはありません。演出として現代風の衣装やシュールなセットを使ったりして上演することはありますが。

原作を大きく変更せずに上演して成功した例もありますよね。僕が高校生の時に観た A Midsummer Night's Dream のミュージカル版は、台詞と歌詞が現代日本語で、衣装も現代風でしたが、原作からの省略はほとんど無かったです。(原作を読んだのは何年かたってからですが。) 忠実な翻訳と言っても良いくらいでした。それでも違和感は感じませんでした。

それから設定を現代風にした映画の Romeo + Juliet は御存知の方も多いでしょうね。あれも言葉の部分はほとんど原作どおりでした。短くしたり再構成したりはしていなかったと思います。

〉ただ、シェイクスピアは「ハムレット」に限らず、他の芝居に比べてずっと自由な表現が出来るんです。例えばチェーホフなら当時のロシアの時代背景がないと成り立ちません。基本的な時代や国の設定があり、それを越えて上演するのは難しいのです。

僕は観ていないんですが、チェーホフの戯曲を日本の話に翻案した上演は何度も行なわれて来たように記憶しています。失敗と判断するには上演回数が多いように思うんですが (^-^;)。

ヘンリク・イプセンの戯曲をアーサー・ミラーが英語文化圏の話に翻案した作品もありますね。僕はTV映画になったのを観ただけですが、失敗作ではなかったと思います。

〉しかしシェイクスピアはどんなに時代や国を越えた表現でも成り立つんです。それは時代や国にしばられない普遍的な人間の姿が、他の芝居よりもずっとはっきり表現されているからです。

うーん。シェイクスピアのどんな作品でもそうなんでしょうか? イタリアものは、ラテン的、それに近い雰囲気の設定に限定されると思うんですが。

〉「リチャード3世」のような実在の人物の芝居でも、歴史上の人物としてではなく、強いコンプレックスゆえに人を陥れてでものしあがろうとする野望を持った一人の男の成り上がりと破滅の物語、として見ることが出来るんです。

そうですね。僕は観ていませんが、日本の時代劇風にした上演もありましたよね。現代に設定した演出もあるのでしょうか? 実業家や政治家の話にしたらどんな感じでしょうね。

それから、Measure for Measure は、そのまま日本の時代劇にできると思います。公爵は遠山の金さんで決まりです。

〉ただ、それでも現代の衣装で、現代の「自然」な口調で演じた「ハムレット」には少々無理がありました。現代の自然な言葉にはなりえなかったのです。しかしそれを逆手にとって、叫んだり、わめいたり、あばれたりなど大げさな表現をしたものはけっこうはまってました。

でしょー。不自然な点もあり、面白い点もある。満点はつけられないけれど、色々あって楽しいと思います。

〉芝居のセリフは登場人物の心を表すものです。心から出た言葉としてセリフが口から出て、それを周りの人物が受けて反応して次のセリフになります。そうしたセリフやしぐさ、表情によって感情のやり取りが生まれ、登場人物の心情が変化していき、状況が変化していくのを感じられるのが芝居の面白さです。シェイクスピアは時代背景にこだわらないで演じられる分、登場人物の心情や性格がより強く感じられるお芝居になるんです。

なるほど。もともと舞台装置がほとんど無い劇場で演じることを想定して書かれた作品であることも、翻案しやすい要素の一つだと思います。

〉〉またもや、やめられない展開になってきましたが、別スレッドにした方が良いかも知れません。

〉うーん、どうでしょう。そこまでずっと引っ張るつもりはないのですが…。今回もつい語ってしまいました。なんとか収まらないでしょうかね。

シェイクスピアと音楽について書きたいことが少しあるので、それは音に関する掲示板の方に書こうと思います。


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