Re: まだまだハムレット

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2075. Re: まだまだハムレット

お名前: Ryotasan
投稿日: 2007/1/16(08:56)

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杏樹さん、おはようございます。

〉こんなに引っ張っていいんでしょうか?

あまり長くなってもいけませんね。"Let us haste to hear it" というところでしょうか(Fortinbras)。

全体として、杏樹さんは Hamlet を、日常語で演じられる歴史劇のように捉えてらっしゃる印象を受けました。勿論、そういう上演のしかたがあっても良いし、20世紀以降の上演のしかたとしては、その方が自然なのかも知れません。

僕が知っている Hamlet は、せりふの殆どが韻文で書かれており、舞台での上演を想定して書かれた作品であるとしても、日本の例で言えば能や歌舞伎に、西洋で馴染みの例を挙げればオペラのような作品です。どういう上演がた望ましいかは違ってきます。

ハムレットがフォーティンブラスをデンマークの後継者に指定し、フォーティンブラスはハムレットを丁重に埋葬する、ということでおさまりがつくという歴史観は分かります。映画だったら、それを文字だけで表示するという方法もありますね。

〉編集するのは単に「削る」のではなく、演出家がどんなハムレットを見せたいのか、という表現の手段でもあります。何を見せたいか、見せたいものを強調するためにはどういう演出をすればいいか…そういったことを総合的に考えて取捨選択をするのです。単に短くすればいい、ってものではなくて。

実際には、必要なはずのフォーティンブラスを削ってしまう例もあり、それが定番的な解釈とされていたこともあるようですね。総合的に考えた取捨選択の方が望ましいのは確かです。

〉また、どんなにすばらしい「文章」でも、セリフとして人間の口から出ると、どうも自然な言葉になりにくい文章がシェイクスピアにはよくあります。それをより自然な人間の感情から出た言葉に聞こえるようにする、という場合もあります。シェイクスピアのセリフはかなり芝居がかった、見栄を切るような演技の方が合うんですが、そういう舞台ばかりでは演出も限られてきますので。

Hamletの原文に限って言えば、どの台詞も舞台で朗々と演じることを想定して書かれており、芝居がかっており、見栄を切るような演技が合います。それは古典劇として自然なことだと思います。勿論、そういう範囲での演出は限られてきます。

オペラの音楽をポップス風に編曲し、ミュージカルとして上演するのと同じように、現代語の散文劇として上演するのであれば、おっしゃるような再構成が必要になるし、そういう方法ならではの面白さもあります。「モーツァルトのオペラはブロードウェイでの上演に適さない」と主張する人がいても、僕は反対しません。

フォーティンブラスの台詞ですが、たしかに「王として埋葬する」とは書いてありません。クローディアスより丁重に扱うとすれば、それは王として扱うという意味に解釈するのが自然だという解釈のレベルです。

〉「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」も映画になってたんですか。私は舞台を2回見ました。本編ではあっさり殺されてしまう吹けば飛ぶような脇役をわざわざ取り上げて芝居にしてしまうところもまたシェイクスピアの、そして「ハムレット」の魔力ではないかと。

そうですね。月並みな結論になってしまいますが、これは否定できません。

〉私は舞台なら見たいですが、戯曲は日本語でもあまり読みたいと思いません。戯曲のまま読むと退屈そうなので…。一種の不条理劇みたいなものかもしれません。ローゼンクランツとギルデンスターンが二人でうだうだ、だらだらしゃべってる芝居です。最後はもちろん、いきなり二人にハムレットのすり替えた命令書の執行が…。

僕も Rosencrantz and Guildenstern Are Dead を日本語で読むつもりはありません。(もともと英語の作品を日本語で読む習慣はないので。) 何度も上演されたことのある戯曲であれば、原文が退屈ということはまずありません。ただし、英語の現代戯曲を音読することに慣れていて、Hamletの原文もある程度は知っている読者に限られるでしょうね。

〉さて、3月に兵庫県立芸術文化センターで「ハムレット」をやるので見に行こうと思っています。モスクワのユーゴザーパド劇場の演出家、ワレリー・ベリャーコヴィチの演出で、ピッコロ劇団を中心にしたキャストです。ピッコロ劇団は兵庫県の県立劇団です。今度はどんな「ハムレット」に出会えるか楽しみです。

またもや、やめられない展開になってきましたが、別スレッドにした方が良いかも知れません。


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