Re: まだまだハムレット

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2073. Re: まだまだハムレット

お名前: Ryotasan
投稿日: 2007/1/14(19:46)

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杏樹"さん、お待たせしました。ハムレット談義の続きと行きましょう。

〉〉Hamlet談義に花が咲いていますね。質・量ともにShakespeare作品の最高峰なので、これから読む人には喜劇か、悲劇でも Macbeth や Julius Caesar など短めの作品から入ることをお薦めします。Hamletに登場する大臣もCaesarを演じたことがあるという設定になっています。

〉それは確かにそうです。ほかの作品の方がわかりやすいですね。いきなり「ハムレット」はディープすぎるかもしれません。

そうそう。舞台での上演や映画を観たり、Penguin Readers や Black Cat の副読本を読むなど、楽しく Hamlet に接近する方法はありますが、あれが Shakespear の典型的な作品だと思ってしまうのはまずいと思うんです。

〉〉今でも、原書の頁を開いて、台詞を朗読することが、年に1回ぐらいはあります。自分の解釈で好きなように読むのも楽しいので、とりあえず日本版のDVDが出るまで待てると思います。

〉原書朗読…すごいですねー。

Shakespeare は1巻本の全集 (Complete Works) がいくつかの出版社から出ており、ハードカバーの割に値段はそんなに高くないです。1冊入手して本棚に飾っておけば、原文を参照する機会も増えます。

〉〉それにしても、現代戯曲の話から Shakespeare そして Hamlet へと話がどんどん進展していくのは、やはり作品にそういう魅力があるからなのでしょうね。常識はずれに長くて、上演は大変なはずですが。

〉上演回数はものすごく多いです。いくつ見たやら…。
〉たいてい演出サイドで編集されます。その編集の仕方がまたどういう風にするか、というのが見所でもありまして。くどいセリフも多いので、削りがいもあります。

なるほど。難問に対する簡単な答ですね。

〉短めのものになりますと、よくあるのがフォーティンブラスをカットしてしまうこと。ホントに登場しないんですよ。最後は死屍累々でそのまま幕を降ろします。

当時の劇場には緞帳が無かったので、悲劇のばあい、死体、というか死んだふりをしている出演者をかついで退場する人物が必要です。Hamlet は死者の数が多く、身分も高いので丁重に運び出す必要があります。そのためにフォーティンブラスとその軍隊を登場させたという仮説もありますね。

〉いくつかそういうのを見たので、「ハムレット」を見るときは「フォーティンブラスは登場するか?」とドキドキしながら見るようになってしまいました。ちなみにローレンス・オリビエの映画にも登場しません。メル・ギブソンも映画でハムレットをやってますが、フォーティンブラスは登場しません。

たしかに、王子の死で終われば、話としてはまとまりが良いんですが . . . .

〉ハムレットもそうですが、シェイクスピア作品には本人による「定本」というものがなく、いくつかのバージョンがあって、それを再構成して現在のテキストが作られました。ですからもともとシェイクスピアがどんな本を書いて最初に上演したかわかりませんし、再演して書き直したかもしれませんし、かならずしもテキストどおりに上演することが「正解」とは言えない訳です。

学問的、理論的にそう考えることが可能だとしても、作品によっては、実際に読んでみて削るのは惜しいと感じる人もいます。僕はブラナーさんの Hamlet をまだ観ていませんが、たしか4時間ぐらいかかるんですよね。4時間かかっても、できればカットせずにやりたいと彼も考えたのでしょう。BBCのTV放送用に製作されたデレク・ジャコビさんのHamletも長かったように記憶しています。

Penguinなどから出ている原書は、読む戯曲として楽しめるように字の大きさや配列を工夫してあり、難しい文章のとばし読みに慣れている人であれば、中編の物語詩か小説でも読むような感じでHamletを読むことができます。そうやって読んでみると、どの文章も良く書けており、削るのは惜しいと僕も感じてしまいます。(そう思い込んでいるだけかも知れませんが。)

〉自由にテキストを編集してさまざまな上演のしかたがあるのもまたシェイクスピアの魅力ですが、「ハムレット」は特にその傾向が強いと言えるでしょう。(でもフォーティンブラスはカットしないでほしい)

変更しても原作者は怒らないし、現代の劇場にふさわしい形に変更することが望ましいばあいもあるでしょうね。Hamletはとにかく長いので、場所と時間によって生じるお金を考えると、削らざるを得ないばあいが殆どだと思います。

それから、死んだ王子を王として埋葬するようにフォーティンブラスは命令しますね。歴史や王位継承に関するシェイクスピアの考えがあの箇所に伺えるような気がします。墓石に王と刻まれ、後世の歴史には王として記録してある人物でも、本当は王子として死んだ例もあるのでしょうか。

〉ところで「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」という芝居はご存知ですか?(また話を広げようとする…)

はい。Hamletを素材にした現代戯曲として、80年代には有名でした。読もうかなと思っていたころ、作者 Tom Stoppard さんは脚本家として映画界への進出を始めていました。彼が脚本を担当した戦争映画 Empire of the Sun (スピルバーグ監督) が公開されたので観に行ったんですが、今イチ面白いと思えず、しばらくはStoppard作品への熱がさめていました。そのあいだに「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」が映画化されたのは知りませんでした。

その後、Stoppard さんが脚本を担当した Shakespeare in Love が面白かったので興味が再燃しつつあります。近いうちに読むかも知れません。


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