最近読んだPB(その3)です

[掲示板: 〈過去ログ〉本のこと何でも -- 最新メッセージID: 3237 // 時刻: 2024/5/6(14:16)]

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130. 最近読んだPB(その3)です

お名前: れな
投稿日: 2004/6/16(21:28)

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皆様こんばんは。れなです。
まあなんだか公私ともにいろんなことがあって、本を読んでる場合じゃなかったなあ、
って感じの春でした。おかげで、すっかり皆様に遅れをとって(笑)。
いえまあ、競ってるわけじゃないし、いいんですけどねー。

というわけで、すっかり遅くなりましたが、最近(?)読んだPBです。冊数少ないです。
しかも、PBじゃないものまで混ざってます。ご存知の皆様はご存知の通り、最近の私は
「現代物リベンジ」中。おなじみの異世界ファンタジーを離れて、色々読むようにしています。
ちょっと、かなり、疲れますねー。ってことでこういう真似はPB初心者の方にはおすすめ
できませんー。やっぱり、好きな本を読むのが1番。

「読みたい本がある間は読みたい本を読んでろ」

って感じでしょうか。いえ、ジャンルは違っても、一応「英語でもいいから読みたい」と
思える本を読んでいたはずなんですが(笑)。

さて、今回ご紹介する本はバラエティに富んだ充実のラインナップ。私の場合、こんな
ことは後にも先にも今回限りかも(笑)。内容はやっぱりちょっとマニアックですけどね。

1.ファンタジー系
ほほほほほほ。それでももちろん読んではいます。リベンジ始める前に読んでた分もあり
ますし、何もないなんてことはありませんよー。

今回最大のおすすめはこの本。

Nina Kiriki Hoffman
"A Fistful of Sky"  111000 LV7  ★★★★★

以前ご紹介したHoffmanの新作です。前の本はシリーズ2作目で、1作目は入手困難本(泣)
でしたが、こちらは単独の作品。HCで出たのは昨年ですが、PBにはなったばかり。今なら
簡単に手に入ります。私は予約してました。「日本中の誰よりも先に(HC派をのぞく)
読む」。洋書読みになった醍醐味を味わうには、やはりこれをやらないとー(爆)。

明るく楽しい読みやすい文体で書かれた現代アメリカもののファンタジー。でもって
この本、恩田陸の「光の帝国」に、最初のあたりの雰囲気がとても似ています。設定も、
導入部も。その後の展開や人物造形はやっぱりちょっと違ってきますけれど、それでも
近しい感じ。この本も「ピープル・シリーズ」(ゼナ・ヘンダースン)の系列なのかも
しれません。前作もそういえばそういうところありました。

成長期に高熱を出して寝込み、その後、何らかの魔法の力を身につけるという、魔法使い
一族に生まれた少女ジプサム。しかし、兄弟姉妹がすべて魔法使いに変化した後も、
彼女の魔法が目覚めることはなかった。普通の人間である父の血を強く引いてしまった
ためなのだと誰もが思い、自分でも諦めていた彼女だったが、21歳になったある日、
インフルエンザで寝込んでしまい、その後、それがインフルエンザではなかったことを
知る。遅すぎる魔力の目覚め。だがそれは、忌むべき力を意味するものだった………。

とまあ、そんな感じのお話です。なんだかこれだけだとホラーな感じ(?)ですが、
別にホラーではないですし、爆笑シーンも盛りだくさんの楽しいお話です。でもって、
これに出てくる食べ物がそれはもう美味しそうでー(笑)。ヒロインが魔法で作る
ブラウニーの壁とか、うっとり。ラストがちょっと弱いかなって気がしますが、これは
途中を楽しむ物語なので、評価は★5つ。異世界ファンタジーはちょっと、という方にも
楽しくお読みいただけるのでは? 一応一般向けに分類されていますが、実際には
ジュブナイル向けの成長小説です。
 
 
Robin McKinley
"Beauty"  64000  LV7 ★★★★
"Rose Daughter"  72000  LV9 ★★★★
関連書籍:っていうか関係はないんですが「英雄と王冠」他(早川文庫FT)

両方とも「美女と野獣」のノベライズです。"Beauty"のほうはこちらにも書評がありますね。
作者にとって、「美女と野獣」は特別な物語なのだそうです。デビュー作として"Beauty"
を書き、近年、ある種の記念碑として新たに"Rose Daughter"を書き下ろしています。
この2作、ベースは同じでも全然違うお話に仕上がっていて、比較するのもなかなか面白かった
です。原作により近いのは"Beauty"の方。"Rose Daughter"は、「この終わりって………」とか
思ったりします(笑)。

私は翻訳が出ている「ダマール王国」のお話がとても好きだったので、こちらも読んでみる
ことにしました。そうですね、この方の文体は、同じことを何度も何度も、少しずつ表現を
変えながら緻密に語っていくというスタイル。ある意味、とても勉強になります(笑)が、
苦手な方は苦手かも。私は、最初のうちは結構苦労しましたが、慣れてくるとだんだん
快感に(爆)。マキリップのような文体の美しさはあまりないのですが、"Rose Daughter"
の方には、いくつも印象的な美しいシーンがありましたし、なにより園芸マニアの血を騒がせる
ような、楽しいバラ園芸の毎日の描写が。ちなみに"Beauty"の方は、設定もお話の展開も、
なんだか「バーバラ・カートランド・ロマンス」でした(笑)。
私はファンなので、とても楽しかったです。
 
 
David Almond
"Kit's Wilderness"  45000 LV6  ★★★★★
関連書籍:「闇の底のシルキー」(東京創元社)

ええとこれは私がご紹介するまでもなく、色々な方がすでにご紹介くださっている作品。
大体、PBの広場の本じゃないですよねー。でもまあ、一応。
私は去年"Skellig"を読んで、「もう何冊か読んでみよう」と思ってこの本ともう1冊を
買いました。で、そのまま積んであったんですが、先日、あまりにもマイナーな気持ちに
なっていたときに、安定剤代わりに読みました。もう1冊は、次にそうなった時のために
とっておきます(笑)。

内容は今更語らなくていいですよねー?
この本を読んだのと前後して、梨木香歩の「エンジェルエンジェルエンジェル」(新潮文庫)
を読みましたが、この2冊、対になっているかのように似て非なるものでした。少年と、少女。
おじいちゃんと、おばあちゃん。西洋人にとっての死者と、日本人にとっての死者。
同じ頃にこの2冊を手に取ったのは偶然ですが、どちらかを先に読んでいたとしても、
やっぱりもう片方を取り出して読み返したかもしれません。
どちらか1冊を、と言われたら、私は"Kit"の方を選びますけれど。
でも、よろしければ両方手にとって読んでいただくと、より深い味わいがあるかなと
思います。

ところでこの本、私は迷うことなく「一番安い版」を選んだため、Readers Circle版
でした。で、そしたらうしろに「よりよい理解のために」みたいな問題集がついて
たんですねー。「もう読んだんだからいいかー」と思って試してみたら「作者は何故
この本に"Kit's Wilderness"というタイトルをつけたのでしょう?」とか。
そんなことわかるかー(怒)。
昔からその手の問題が大嫌いな(でも国語の成績はよかった)私でした。
 
 
2.一般向けPB
どれとどれが一般向け? って感じですが、今回頑張りました私(笑)。
でも、一押しのこの本は、多分どなたも読んでくださらないでしょう。ええ、それでこそ
というものでございます(爆)。

David Handler
"The Man Who Loved Women to Death"  99000  LV8  ★★★★★
関連書籍:「フィッツジェラルドをめざした男」他(講談社文庫)

前回ご紹介したハンドラーの、私が本当に大好きなシリーズの未翻訳最終巻。実は
出ていることも知らなかった(苦)んですが、色々検索しているうちに知りまして、
しかも絶版だったため、とうとうアマゾン(それもcom の方)のユーズドに手を出して
しまいました。というわけで、同好の士がもしどこかにいらしたら、貸出の相談に応じます。
いえ、今まで一度もこのシリーズに反応してくださった方はいらっしゃらなかったので、
多分いらっしゃらないのだと思います(泣)が。

というわけで、とうとう読みました。
ああ、幸せ(笑)。
やっぱり会話がとってもおしゃれで、世界も素敵で、内容は結構すさまじかったりする
んですが、それでも、なんだかうっとりでした。まあ、ファンなんてそんなものです。
内容はこんな感じ。

3作目の「自分自身の」小説を書き上げ、なんとか売り込みをはかろうと編集者達と
会ったりしながら、ニューヨークで静かな日々を送るホーギー。しかしある日、彼の元に
謎の送り主から原稿の束が届けられる。それは、自らを救済者と呼び、シングルの若い
女性達を手にかける連続殺人者の殺人の記録だった。その原稿にただならぬ雰囲気を感じ、
旧知のヴェリー警部補に連絡を取ったホーギーだが、やがてその原稿は彼に殺人者の
正体についてある疑念を抱かせる。その文体、わざわざ使われたタイプライターの文字、
昔の呼び名。まさか、殺人者は………。

日本語訳で何度も読んでしまっているこのシリーズですが、そのうち地道に(ユーズド
かなあ?)揃えて全部英語で読もうかな、と思ってます。いつになるかはわかりません(笑)。
 
 
Donna Andrews
"Click Here for Murder"  72000 LV8  ★★★★
関連書籍:別シリーズは「庭に孔雀、裏には死体」他(早川文庫HM)

皆様にはメグ・シリーズの方が受けがよかったみたいですが、私はこちらもお気に入り。
超AIが主人公の近未来(?)ミステリのシリーズ2作目です。今回は前よりもっと
遊び心がある感じで、ドタバタ度も上がってきました。実はすごく「続く」って感じの
ところで終わっていて、それなのに次の巻が出てなくて気になってたんですが、最近、
予約受付始まってたので一安心。でも、PBになるまでは長いです(遠い目)。

ULからの自立をめざすTuringと、彼女に手を貸す仲間達。けれどある日、彼女の移転先を
設計していた仲間が殺され、彼の持っていたノートパソコンも失われてしまう。
一体誰が? 何のために? そして、殺人者はTuringのことを知っているのか?
だとしたら、どうやって?
私立探偵として事務所を開いたティムや、相変わらずの万能秘書モードの協力を得て
捜査を開始したTuringだが、情報は錯綜し、やがてはUL内部からも攻撃が………。

という感じのお話。新たな登場人物も増えて、にぎやかになってきましたねー。
ってことで、メグ・シリーズがお気に召した方は、ぜひこちらもどうぞ。
あ、順番通りに読んでくださいねー。
 
 
S.J.Rozan
"Stone Quarry"  88000  LV8   ★★★★
関連書籍:「チャイナタウン」他(創元推理文庫)

以前にじゅんさんにご紹介いただいていた、日本語で出ている分は日本語で読んでしまった
シリーズの未翻訳第6巻。割と好きなシリーズですし、読みやすいっていうことで読んで
みたんですが、正直言って、私の場合は、文体になれるまでにものすごい時間がかかり
ました(汗)。やはり、現代物弱いですね私。慣れてしまえば確かに難しい文章ではない
のですが、ううーん。ま、もう読んじゃったからいっかー(笑)。

リディアとビルが交互に語り手を務めるこのシリーズ、今回の語り手はビルです。
私はその方が読みやすいかなって今は思ってます。最初がリディアだったので、2巻目
の頃はびっくりでしたが(笑)。実はこの本を読む直前に、翻訳最新巻「苦い祝宴」を
読んだのですが、そちらはリディアの語り。しまった、前準備には不向きだった、とか
思いながら読みました。

若い頃から折に触れて訪れていた森の中の小屋を久しぶりに訪れたビル。それは
しかしいつもの休暇ではなく、内々に仕事の依頼を受けてのことだった。
依頼者は農場主の女性。彼女は、数日前に彼女の農場から盗まれたある物を取り戻して
欲しいと言う。実は彼女はかつて天才と称された画家であり、「ある物」とは彼女が
描いた、彼女にとっては失敗作である数枚の絵だった。
というお話に、ビルが懇意にしている酒場の主人とその弟の問題が絡んで、事態は
複雑化していきます。もちろん、殺人も。

というわけで、なかなか面白かったです。意外性はそうでもないけれど、淡々とした
語り口がいいですねー。私は、ビルがピアノを弾いている時や音楽のことを考えて
いるときの文章の感じがとても好き。ビルのピアノ、ちょっと聞いてみたいですよね。
 
 
J.D.Robb(Nora Roberts)
"Ceremony in Death"  91000  LV8  ★★★
関連書籍:「この悪夢が消えるまで」他(ヴィレッジブックス)

近未来サスペンス体裁のロマンス小説シリーズ(笑)「イヴ&ローク」の未翻訳の
第5巻。4巻までは日本語で読んでいて、結構面白く読んでいるので、「よし、これ
だけ面白ければ英語でもいけるぞ」と思って買ってみました。
結論から言うと、「ロマンス小説はかっとばすからこそ面白いので、英語で読むと
いまひとつ」でした(爆)。やっぱり、ロマンス小説読むのに5日もかけちゃダメ
ですよねー。少なくとも、私は嫌です(きっぱり)。もうちょっとかっとばせるように
なるまで、やめとこうかなー、とか思ったり(笑)。

ええとー、今回の事件はオカルト殺人。ってことで、現代物リベンジ本としては
いまひとつでした。ただ単に「次の巻」と思って買ったので、内容まで知らなかった
んですー。シリーズ全体の内容は、どうぞ翻訳版を(爆)。

で、文章についての感想ですが、さすがはベストセラー作家。めちゃくちゃ読み
やすいです。なんだか、全然、英語で読んでる気がしませんでした(笑)。
お勉強な方々にはそれが良いことなのかどうなのかはわかりませんが、とにかく
読むのは楽。なるほどって感じです。

それから、このシリーズは、「大河ロマンス小説(?)」です。サスペンスとして
高い期待をしてはいけません。それから、読むのならできれば順番通りに。
それがだめならせめて、1巻2巻だけは読んでおいてから他の巻を読みましょう。
最初を押さえておかないと、多分全然(特に人間関係のお話が)面白くありません。
でもって、このシリーズの真髄は、「世界一の大金持ち」ロークの、イヴへの
徹底した尽くしっぷりにある(笑)ため、そういうのが楽しくない方はやめて
おきましょう。悲しくなるだけです(爆)。

というわけで、単に今回の巻がはずれだったのか、のんびり読むとつまらないのか
がわからないので、そのうちもう1冊くらいは試そうと狙っている、こりない
私でした。
 
 
3.その他の本
全部「一般向け」でもいいんですけれど、最後に毛色の違う本達を。

Kate Banks, Georg Hallensleben
"The Cat Who Walked Across France"  750  LV3? ★★★★

絵本!
驚きですよね(笑)。
この本もちょっと心がすさんでた頃に、アマゾンでおすすめされて勢いで買って
しまいました。私は誰がどう見ても猫派の猫好き。アマゾンにもそのように
カウントされている模様です。

南フランスの海辺の家で、一匹のねこがおばあさんと幸せに暮らしていました。
けれどある日、おばあさんは亡くなってしまい、ねこはおばあさんの持ち物と
共に、ずっと北の都会のおばあさんの家族の家に連れて行かれてしまいます。
でもそこには、ねこのことを気にかけてくれる人はいませんでした。
ねこは、ある日とうとう、都会を離れて長い旅に出ます。懐かしい海の風を
頼り、たったひとりで。

よく、「犬は人につき、猫は家につく(でしたっけ?)」と言いますが、外国
でもそうなんですねー。「帰りたい」と思う猫の気持ちがとてもせつない本。
挿絵は油彩っぽい色彩豊かな絵です。猫は灰色に白いお腹。灰色猫、私、
大好きです。
 
 
Paul Auster
"In the Country of Last Things"  62000  LV8  ★★★★
関連書籍:「最後の物たちの国で」(白水社)

色々なところでおすすめされていた、ポール・オースター、初めて読んでみました。
何故か日本語でも未読だったんですよね。何冊か出ている中からこの本を選んだ
のは、設定が私に向いてるかなと思ったからだったんですが、ある意味、「これ
では現代物の練習にはならない(笑)」選択でした。

ええとー、これも内容はいいですか?
村上春樹に似ているという評もどこかで読んでいたんですが、この本については、
私の印象は「安部公房と星新一を足して2で割ったような本」というものでした。
そうでなければ「終末期SF」。ただ、文章は明らかに、ものすごく力のある
純文学作家のそれなので、やっぱり安部公房かも(笑)。

というわけで、この本、読み始めはすごく苦労しました。なんていうのかな、
死と狂気の支配する世界を、どこまでも透明で淡々とした文章で緻密に描写されると、
さすがにくるものありますね。慣れる慣れない、読める読めないという次元ではなくて、
もっとメンタルな部分で、最初の部分はとてもつらかったです。日本語で読んでたら
違った感想を持ったかもしれません。英語の方が感情に切り込む度合いが強いです。

そんな感じでした。後半はずいぶん楽になって、最終的には楽しんで読みました。
たまにはこういう、深く考えさせられる本を読むのもいいものですね。
 
 
Richard E. Nisbett
"The Geography of Thought : How Asians and Westeners Think Differently … and Why"
48800  LV9  ★★★★

議論好き、比較文化論好きの皆様に捧げる、スペシャルな1冊(笑)。
今回、「なんとかこれを読み終わってから」と思っていたら、大変な時間がかかりました。
アマゾンのPB新刊コーナーで何度となくおすすめされていたので、ご覧になられた方も
多いのでは? PBなんですが、社会心理学系の専門書です。英文そのものはそんなに難しく
ないですが、がんがん読めるかって言われると、私は読めませんでしたー。こういう本を
「24時間以内配送」にしてるアマゾンって一体………?

さてここに、1枚の絵があります。一番下に牛。左上には鶏、右上には草。「一緒に
するのはどっち?」と聞かれたら、あなたは鶏と草、どちらを選びますか?

え? 私はもちろん「草」です。牛と言えば草ですよね。この本によると、どうも
東洋人は迷うことなく「草」を選ぶらしいです。そして、西洋人は迷うことなく「鶏」
を………。

鶏? 百歩譲って馬や羊なら一緒にしてもいいけど、鶏?

西洋人は、物事をすべてカテゴライズしてとらえるのだそうです。だから、「家畜」
つながりで牛と鶏は仲間。東洋人は「つながり」で物事をとらえるので「牛は草を食べる」。

なんというか、意外を通り越して、「マジ?」みたいな(笑)。
この本は西洋人の書いた本なので、東洋人の私には結構腹立たしい部分もあったのですが、
著者がいちいち驚いたように報告する東洋人の考え方と、それと比較されている西洋人の
考え方を読むと、「ああ、そういうことだったのか」と思うことがたくさんありました。
今まで読んできた小説の中で、どうしてそういう考え方が出てくるのかわからなかった
ようなことも、なんとなく理解できるような気持ち。これ1冊を鵜呑みにするのは危険です
が、参考にはなりますねー。ちょっと難しいですが、おすすめです。
言語による思想の違いについてもちょっと書かれています。でも、この本の中では、
あまりメインの話にはなっていませんでした。

ちなみに、この本を読む場合には、「辞書は標準装備」が良いでしょう(笑)。それも、
和英(爆)。なぜなら、この本はこうした違いのルーツを、西洋人のそれはギリシャ哲学に、
東洋人のそれは中国哲学に置いていて、ギリシャはともかく中国のそれは、日本人なら
漢字で見れば一目瞭然、っていうようなわけがわからない単語が頻出するからです。
中国史、中国思想史に詳しい方以外は、辞書引いちゃった方が断然お得。いえ、でも、
面倒くさがりの私はあんまり引きませんでした(笑)。だから、いまいちです。

それにしても、読み終わって「でも、西洋人側からだけじゃやっぱりだめよねー。
この中で共同研究してる日本人(や中国人、韓国人)の論文も探して読まないと完全
には理解できないんじゃないかなー」とか思ってしまった私はやっぱり全体を見ないと
気が済まない東洋人? それとも、科学的根拠を求める西洋思考?
 
 
ということで、今回はここまでです。な、長かったー。
長くなりすぎたので日本語本はパスしまーす。だって多いんだものー(笑)。
では皆様、楽しい読書を。
1冊でもお気に召す本があったら嬉しいです。

▼返答


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